米国、喫煙年齢を21歳に引き上げ電子たばこ人気抑制へ
アメリカ議会は昨年12月19日、通常のたばこおよび電子たばこ、さらにあらゆるたばこ製品の購入可能年齢を、2020年内に現在の18歳から21歳に引き上げる審議を可決しました。米国では基本的に喫煙可能年齢は18歳以上とされるものの、ほぼ半数の州がすでにこれを21歳以上に引き上げて設定しています。ドナルド・トランプ大統領は昨年9月に、フルーツやメンソールなどのフレーバー付き電子たばこの販売禁止を提案したものの、その後11月に21歳未満への販売禁止へと方針を変更し、この議案を支持していました。
米国では10代の電子たばこ喫煙者数が急増しています。米食品医薬品局(FDA)は、2018年には360万人以上のミドル~ハイスクール(12~18歳)年代が電子たばこを使用したと報告しました。また、高校生の間での喫煙率は減少していて、全体の約3.6%しかたばこを使用していないとされる一方、電子たばこはというと、直近の集計月ですでに昨年のほぼ2倍、全体の20.9%が使用したと報告されています。
この急激な増加傾向が、電子たばこ使用が原因と見られる全国的な肺疾患患者増加の原因と考えられ、今回の議会による法定喫煙年齢の引き上げ案可決を促すことになりました。米疾病予防管理センター(CDC)は、約40人が死亡したこの肺疾患の原因をまだ特定していないものの、電子たばこの成分に含まれる麻薬成分テトラヒドロカンナビノール(THC)の"割り材"に使われる、ビタミンEアセテートがその可能性が高いとの報告をしています。
全米の喫煙許可年齢を18歳から21歳に引き上げた法律が全米に施行されたところで、すでに21歳以上に引き上げている半数の州では何も変わることはありません。それでどれほどの効果があがるのかにはやはり疑問の声もあり、禁煙推進団体「Campaign for Tobacco-Free Kids」の代表マシュー・マイヤーズ氏は、「21歳への年齢引き上げは前向きなステップになる話だが、たばこ・電子たばこ業界は他の問題から人々の目をそらすためにそれを支持している。たとえばフレーバー付き電子たばこやメンソールたばこを全面禁止にするほうが、まだ効果があるだろう。年齢制限が問題の解決策になるのなら、最初から今回の問題は起こっていないはずだ」と手厳しい指摘をしています。米国では独自にフレーバー付き電子たばこの販売を禁止する州や自治体が増加しています。
(出典:https://japanese.engadget.com/)
■新型たばこに対する康復医学的見解
新型たばこは、従来型の燃焼式とは異なる新しいたばこ製品です。葉たばこを加熱しニコチン含有エアロゾルを発生・吸引する「非燃焼・加熱式たばこ」と、液体を加熱してエアロゾルを発生・吸引する「電子たばこ」とがあります。非燃焼・加熱式たばこやニコチン含有の電子たばこには、燃焼式たばこと同様に依存性薬物のニコチンが含まれます。これらの新型たばこは、「煙が出ない又は煙が見えにくいので禁煙エリアでも吸える」、「受動喫煙の危険がない」、「燃焼式より健康リスクが少ない」などと誤認され、急速に広まっています。
禁煙できない人、またはやめる意志のない人にとっては健康被害の低減につながるとして、新型たばこの使用を推奨する考え方があります。しかし、これらの新型たばこの使用と病気や死亡リスクとの関連性についての科学的証拠はまだ得られていません。非燃焼・加熱式たばこの主流煙中に、燃焼式たばことほぼ同レベルのニコチンや揮発性化合物(アクロレイン、ホルムアルデヒド)、約3倍の多芳香環炭化水素物(アセナフテン)等の有害物質が含まれているとの報告があります。
一方、ニコチン入り電子たばこ使用者から検出されるたばこ特異的ニトロソアミンの尿中代謝物は、燃焼式たばこ使用者の 1.5~4.2%、揮発性有害物質の代謝物は 20~60%程度と少ない、とする報告がありますが、体内に有害物質が取り込まれているのは明らか。また、加熱でエアロゾルを発生させる仕組みは、ニコチン以外のリキッド成分を分解して複雑な混合物を発生させ、発がん性物質に変化することが指摘されています。葉たばこを加熱させてエアロゾルを発生させるタイプの電子たばこでは、燃焼式たばこと同様に放射線元素のポロニウムも含有されています。
新型たばこは周囲の人々への受動喫煙の危険も指摘されています。従来のたばこ使用者の呼出煙と同様に、大量の"見えにくいエアロゾル"を呼出しています。
世界保健機構(WHO)では、「電子たばこのエアロゾルによって、健康に悪影響がある可能性」を指摘しています。WHOの研究では、①電子たばこ使用者の呼出煙中のニッケルやクロムなどの重金属濃度は、燃焼式たばこの呼出煙よりも高い、②PM2.5、ニコチン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどの濃度は、通常の大気中濃度より14~40 倍(PM2.5)、10~115 倍(ニコチン)、2~8 倍(アセトアルデヒド)、20%(ホルムアルデヒド)高い、とされています。WHOは「受動喫煙者の健康を脅かす可能性があると考えることが合理的である」と述べています。特に、呼吸器疾患や冠動脈疾患をもつ患者さんなどにとっては有害な影響が懸念されます。
新型たばこは、従来の燃焼式たばこに比べてタール(たばこ煙中の有害物質のうちの粒子成分)が削減されていますが、依存性物質であるニコチンやその他の有害物質を吸引する製品です。従って、使用者にとっても、受動喫煙させられる人にとっても、非燃焼・加熱式たばこや電子たばこの使用は推奨できません。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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