2020年8月5日水曜日

夏血栓

この時期、判断が難しい“夏血栓”

 今年6月、男性陸上隊員(45)が死亡しました。死因は心筋梗塞。10kgの荷物と小銃を携帯しながら20kmの「徒歩行進訓練」後、別の訓練までの休息時に倒れたといいます。陸上自衛隊第一師団の発表では、隊員間の距離を取っていたため、亡くなった陸上隊員は訓練中、途中からマスクをあごにずらしていたそうです。マスクということから、「マスクによる熱中症で亡くなった?」と思う人が多いのではないでしょうか。

「心筋梗塞ということから、熱中症ではない。脱水で血液がドロドロになり、血栓ができやすくなったことが原因だ。一般的に『夏血栓』と呼ばれている。しかしながら、猛暑日のマスクは脱水を起こしやすくするため、熱中症だけでなく、夏血栓に対してもリスクを高める。新型コロナウイルス対策でマスク装着が日常化しているが、装着には注意が必要だ」(国際医療福祉大学熱海病院検査部長 〆谷医師)

 心房細動で血栓ができる心原性脳塞栓もこの時期に多い血栓症なのですが、心房細動が起らなくても血栓ができやすくなる条件があります。夏の血栓の症例では、「夏の暑い日に東京ドームでビールを飲みながら野球観戦をしていた30代男性が急に胸の痛みを訴え、救急車で運ばれてきた。検査をするとその人は心筋梗塞だった。ほかにも30代の運転手は、胸の痛みと血痰が出たため、検査をしたら肺血栓塞栓症だった。また、デスクワークの多い50代のビジネスマンは、1週間ほど息切れが続いたので、肺のレントゲンを撮ると、動脈が少し拡張していた。その後、待合室で待っていると急に心肺停止に。スタッフが蘇生措置をして一命を取り留めたが、もし措置が10分遅れていたら死亡していた。その患者も肺血栓塞栓症だった」(大谷クリニック院長 大谷医師)

 夏の暑い日に急に気分が悪くなり、しかもそこで間違った処置をしてしまうと命を落とす危険が一気に増します。例えば、急性肺血栓塞栓症と診断が確定され治療した場合の死亡率は2~8%ですが、夏血栓とわからず適切な治療が行なわれなかった場合の死亡率は30%に上ります。

 一般の人は自分が熱中症なのか、夏血栓なのか判断が難しいのです。熱中症の場合は、体を冷やすなどの処置をしますが、脳梗塞などの場合は血栓を溶かす作業をしなくてはなりません。判断を間違えたために障害が残つたという症例もあります。そのため、熱中症だと思って日陰で休んでいたら、突然、死亡してしまうという恐れもあります。「急性肺血栓塞栓症の死亡例の40%が発症1時間以内の突然死です。症状は発熱、冷や汗、動悸、咳、呼吸困難、胸の痛み、血痰など。もし苦しいと感じたら、自分で判断しないで早めに病院で検査を受けたほうがいいでしょう」(大谷医師)

■夏血栓とその対策

 冬の血栓症は、暖かい部屋から急に寒い室外に出たときなど、急激に血管が収縮し、血流が早くなって血栓がはがれ、脳や心臓の血管に詰まることが多いのですが、夏血栓は脱水症状などで血液粘度が上昇することが主な要因です。厚生労働省の調査によると、血栓症は35歳からの発症率が急増しています。

血栓ができやすい要因

血液の変化 
 いわゆる「血液ドロドロ状態」。血栓症のリスクという観点からは、血小板や凝固系が活性化されやすいこと、線溶系に異常をきたしている可能性が考えられます。血小板が活性化されると血液が凝固しやすくなりますが、例えば精神的なストレスが大きい場合は、その傾向が強くなります。

血管の変化 
 血管内で血液が固まりにくい状態を保つために働くのが血管内皮(血管の最内側層)細胞です。この細胞が炎症や動脈硬化により障害されると血液が固まりやすくなります。動脈の内膜にコレステロールなどからなる粥状物質がたまってプラークができ、次第に肥厚することで動脈の内腔を狭めるタイプでは、プラークが破綻した際に凝固系が一気に活性化され、急性心筋梗塞や梗塞範囲の大きい脳梗塞を引き起こします。

血流の変化 
 血流が遅いと血栓症を起こしやすくなります。血流速度は、心臓が血液を送り出す力や細動脈で生じる抵抗によって変わりますが、静脈ではふくらはぎの筋肉の収縮や呼吸運動も大きく関わっています。エコノミー症候群は、静脈に血栓が生じて起こります。

エアコンやアルコールの摂取でも脱水症状になる!

 夏血栓のひとつである脳梗塞による死亡率は、気温が30℃を超えると上がり、32℃で急上昇する傾向にあります。室内では、エアコンのせいで汗をかいた自覚がなくても、知らないうちに脱水症状になっていることもあります。また、ビールなどは、水分補給をしているようでも、アルコールの利尿作用によって、逆に脱水症状になりやすいのです。

====================

 血栓は、夜間の睡眠中、血圧の低下によって起きることもあります。血栓症は、徐々に進行していくがんなどと異なり兆候が見えにくく、突然、重篤な症状を起こし、心筋梗塞や脳内出血などで死に至るケースもあり、脅威は身近なものとなっています。そして、脂質異常症、糖尿病、高血圧、ストレスの蓄積、喫煙、加齢などの危険因子が多くある人ほどリスクが高くなります。

 康復医学学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」には、医薬品のように血栓を溶かすのではなく、形成し始めると次から次へと形成される血栓に対して、それを抑制するエビデンスがあります。「夏の血栓」対策にはおすすめです。


いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン

0 件のコメント:

コメントを投稿