2020年11月4日水曜日

歯周病

 歯周病で膵臓がんのリスク2倍に!

 歯周病が様々な臓器に影響を与えることは、疫学的には随分前からわかっていました。新たな動きとして、歯周病菌があらゆる臓器に影響を与えることを示すしっかりしたエビデンスが出てきました。歯周病のコントロールの悪さが、全身疾患のリスクを上げるメカニズムもわかってきています。歯科と医科が手を結び、治療を行う機会も増えてきました。

 歯周病は主に2つの要因で他の臓器の健康を左右します。①血液に入り込んで全身を駆け巡る歯周病菌などの口腔細菌と②歯を失い咀嚼が難しくなることでの栄養低下です。口腔ケアをおろそかにし歯周病が進行すると、歯周ポケットの組織が破壊され、炎症が起こります。そこから口腔細菌が血液内に入り込むのです。歯周ポケットの滲出液は血液とほぼ同じ成分であり、血液内でもしばらく生き延びることができるため、血液に乗って全身に運ばれます。


歯周病菌が全身に及ぼす影響

 まず、膵臓がんの発症リスクが高まると言われています。歯周病菌の代表的な菌で、特に問題があるポルフィロモナス・ギンギバリス菌の保菌者は膵臓がんの発症リスクが1.6倍、同じく歯周病菌の一種であるアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌の保菌者は膵臓がん発症リスクが2.2倍高くなると発表されています。

 膵臓がんに限らず、歯周病菌はすべてのがんのリスクを上げるとされています。


生活習慣病・認知症と歯周病菌との関係

 例えば高血圧、脳血管疾患、心疾患などに関係していることがはっきりしています。これらの疾患で共通しているのが動脈硬化です。それは、歯周病菌のギンギバリス菌とギンギバリス菌が分泌する無数の外膜小胞(OMVs)に細胞侵入する性質があり、それによって動脈に慢性炎症が起こるからです。

 認知症の中でも多くを占めるアルツハイマー型認知症に関係しているとみられているのが、アミロイドβという脳内で作られるたんぱく質です。これが脳内に蓄積し、脳細胞を死滅させることが発症の一因になっているというのです。

 このアミロイドβは、ギンギバリス菌が多いほど、蓄積が多いことがマウスを使った感染実験でわかっています。つまり、ギンギバリス菌は脳のアミロイドβの沈着を促し、アルツハイマー型認知症の発症リスクを上げると考えられるのです。

 その他、糖尿病、関節リウマチ、早産、低体重児出産、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)、クローン病、潰瘍性大腸炎、大腸がんなど、歯周病との関連が指摘されている疾患は多岐にわたります。

(出典:https://diamond.jp/)


■歯周病のメカニズム

 毎日きちんと歯を磨いているから大丈夫だと思っていても、歯医者で「歯周病予備軍です」と言われてしまった方も、多いことでしょう。歯周病になると、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎のすき間に細菌が増え、歯を支えている骨(歯槽骨)が減少していくため、やがて支えをなくした歯がぐらつき、ついには抜けてしまいます。

 歯周病は、大きく分けて「歯肉炎」「歯周炎」の2つの時期に分けられます。「歯肉炎」の状態であれば、大抵の場合、原因となっているプラーク(歯垢)と歯石を除去し、丁寧にブラッシングをすれば治ります。しかし「歯周炎」まで症状が進行してしまうと、歯茎が腫れ、膿が出たり、歯がぐらついて抜けてしまったりすることもあります。

 歯周病の部分的な原因  

 口の中の部分的な原因としては、プラーク(歯垢)があげられます。プラークは、食事のたびにネバネバした薄い膜の細菌集団が発生し、歯の表面に付着します。うがいなどでは簡単に落ちず、放置しておくことで、徐々に菌が増殖していきます。プラーク1mgには、多い場合500種類以上の細菌が1億個もいるといわれます。

 プラークは、長い間放置されると、歯と歯の間や歯と歯茎の間で、石灰化して硬い歯石(プラークの死骸が石のように硬くなった状態)になります。歯石になってしまうと、自分では取り除くことが出来ないため、歯科医院で特殊な専門の器具(スケーリングやPMTCなど)を使用し、除去しなければなりません。

 歯周病の全身的な原因 

 歯石がたまってしまうと、歯周ポケット(歯と歯茎の間のすき間)が少しずつ深くなっていきます。歯周病菌は酸素が大嫌いなため、歯周ポケットは歯周病菌が繁殖する格好の場所となり、ますます有害な種類の菌を繁殖させます。

 酸素を嫌う歯周病菌は、身体の組織を構成するたんぱく質を壊し、歯茎の腫れなどの炎症を引き起こし、身体を細菌から守る白血球を攻撃する有害物質を出します。また、口臭の原因となるガスを出したりして、その後、歯を支える骨を溶かしてしまいます。支えを失った歯は、最終的に抜けてしまいます。

 今や歯周病は、成人の8割がかかっているといわれる生活習慣病です。前章のニュース(出典:https://diamond.jp/)でお伝えしたように、歯周病は様々な臓器に影響を与えてしまいます。メカニズムを知ることで、しっかりと歯周病にならないための予防をすることが大切です。

 歯磨き剤は、フッ素ラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤など、毒性が認められている成分が含まれているものは避けましょう。

 康復医学学会で企画・開発し、メーカーで製品化された歯磨き剤にはこれらは含んでおりませんので安心してお使いいただけます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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