プロゴルファーが広場恐怖症を告白
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年は約3カ月遅れで開幕を迎えた女子ツアー。2017年の「日本ジュニア選手権」を制するなどアマチュア時代から有望株として知られた菅沼菜々プロ(20)が6月25日からの「アース・モンダミンカップ」(千葉)の開幕を前に、不安障害の一つ「広場恐怖症」に苦しんでいることを告白しました。
「選手仲間にも心配されていました。ファンの方に病気について知ってほしいと思い、公表を決意しました」
彼女が突然その症状に襲われたのは、2016年高校2年の夏。自宅から高校に通う駅のホームで急に、電車に乗ることができなくなったのです。診察を受けたものの病名ははっきりせず、高校3年時は電車通学もできていました。
しかし高校卒業後、18年7月のプロテストに合格した後から再び症状が出たのです。公共交通機関での長時間移動などに対し、激しい恐怖や不安を覚える「広場恐怖症」と診断されました。広場恐怖症の原因は解明されていません。
ツアーフル参戦初年度だった昨季は、飛行機や新幹線での移動を伴う北海道や九州での大半の試合に出場できませんでした。昨年8月の所属先の冠大会「ニトリレディス」(北海道)でも、父の運転で盛岡駅まで行ってから新幹線に乗ろうと努力しましたが、ホームにうずくまって号泣。現地入りを断念しました。昨季は全38試合で出場30試合。賞金ランキング62位で、惜しくもシードを逃しました。
「できることを信じてやるしかないです」。彼女はコロナ禍でも前向きにゴルフと治療に努めています。自宅(東京・立川市)を拠点に、練習ラウンドや体幹トレーニングで準備を進めました。薬の服用はドーピング違反にあたる恐れもあることから、治療はカウンセリングや自然療法に限られます。完治した人の本を読み、1人でツアー転戦できるようにと2月末に運転免許証を取得しました。
「不安はありますが、コースは好きなので、そこをプラスに考えて頑張ります」
今季"開幕戦"となる「アース・モンダミンカップ」の昨年大会は首位発進して、最終的に昨季最高の5位。今年もファンや同じ病気に苦しむ人たちに勇気を届けるため、優勝争いを演じようと意気込み参加しました(結果:4アンダー27位)。
【広場恐怖症】:広い場所が怖いのではなく、広場の人混み、電車や飛行機など公共交通機関の利用時、狭い空間にいる際など、その場所から逃げ出すことが困難な場所や状況に対して強い恐怖や不安を抱く「不安症群」の一種。突然、激しい不快感に襲われ動悸や発汗、身震い、息苦しさなどパニック発作を起こす。10~20代の若年時に発症するケースが多い。パニック症を伴わない場合、生涯でかかるのは女性の2%、男性の1%とされる。高速道路走行中、地下鉄の長いトンネル内、劇場の中央付近の座席などで起きる例がある。
(出典:https://www.sanspo.com/)
■広場恐怖症とパニック
広場恐怖症の方のほとんどがパニック障害を伴っています。特に原因もなく突然起こる「予期しない発作」、また発作が起きるのではないかという「予期不安」があります。パニック発作の症状は、動悸、発汗、めまい、窒息感、胸痛、吐き気や嘔吐、下痢、失神、現実感の消失、死への恐怖です。高齢者では転倒を恐れる、子どもでは迷子を恐れるなどがあります。仮に、動悸や窒息感などで医療機関に駆け込んでも、その時には治まっていることも多く、医師にも身体的異常は確認できないことが多いようです。
広場恐怖症は、パニック発作が起こった時にそこから逃れられない、助けも求められない状況を恐れます。それは広場に限らず、乗り物、人混みの交差点、高速道路、美容院、歯科受診時、劇場の中心辺りの席など、すぐには逃れられない場所、逃げたら恥をかくと思われる会議、結婚式など自由を束縛される状況などが挙げられます。また逆に、家にひとりでいるという状況に恐怖を感じる人もいます。誰かと一緒なら行動が可能な場合もありますが、家族依存になるなど行動可能な範囲が限られます。生活機能の著しい低下は避けられません。
明確な原因は解明されていませんが、身体的な不安に対する感受性が高い人がなりやすいようです。脳科学の研究では、大脳の扁桃体に関わる恐怖神経回路の過剰な活動性が指摘されています。扁桃体は心地よい、不快、恐怖といった情動の中心機能を司っています。何かの刺激を受けて扁桃体で生まれた恐怖感情と、環境要因、心理的要因、遺伝的要因が関わりあっていることが多いと言われています。幼少期のつらい出来事、両親の死や別離、虐待、何者かに襲われる、被災するなど強いストレスがかかる経験があったなどの環境的要因が背後にあることが多いようです。加えて遺伝的要因もあり、親が広場恐怖症の場合、遺伝することがあります。
【治療方法】
薬の服用だけでは完治する可能性は低いと言われています。薬物療法としては、いわゆる抗うつ薬や、抗不安薬などを使用します。
そして、行動療法は、患者本人に「乗り越えたい」という強い意志があるほうが、効果は高いようです。認知・行動療法として、現実の捉え方、ものの見方に働きかけ、バランスよく柔軟な視点を持てるように、ストレスを軽減していく心理カウンセリングを行います。
エクスポージャー(曝露療法)も効果が期待できます。不安を感じる状況を低いものから高いものへ順にリストアップし「不安階層表」を作ります。できるところから、実際に経験するようにし、もともと恐れていた場所でも十分な時間そのままいるようにすれば、不安や恐怖を乗り越えられることを実際の体験から学び取るようにする治療法です。
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パニック障害の原因は、脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)のバランスの乱れであることがわかってきています。 特にセロトニンとノルアドレナリンが関係しており、セロトニンは、他の脳内神経伝達物質の情報を制御し、精神状態を安定させる働きがあります。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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