食事時間の長さと子供の野菜摂取量
子供に野菜や果物をしっかり食べさせたかったら、食事にかける時間を増やすと良いかもしれません。昼食時の着席時間を10分増やしたところ、野菜と果物の摂取量が有意に増えたとの研究結果が報告されました(『JAMA Network Open』に昨年6月掲載)。
この研究は、米イリノイ大学で行われたサマーキャンプに参加した小中学生を対象に実施されました。論文著者の一人、同大学のプレスコット氏は、「子供たちは食事の最初に、まず楽しみにしている料理を食べ、時間が余ったらほかの料理を食べる。しかし、時間がなければ好きな物以外はあまり手をつけない。残るのはたいてい野菜や果物だ」と話します。プレスコット氏らは、2019年のサマーキャンプに参加した38人の子供(平均年齢11.9歳、女児61%)に対して20日間にわたり計241回、学校給食プログラムの栄養基準に準拠して調理された昼食を提供。着席時間を無作為に10分または20分に設定し、摂取量の違いの有無を検討しました。その結果、着席時間が10分の時は20分の時に比べて、野菜と果物の摂取量が有意に少なかったのです。前菜とメインディッシュ(たんぱく質と穀物)および飲み物(牛乳と水)については、条件間の有意差がありませんでした。
摂取エネルギー量も10分の時は20分の時に比べて-22.03kcalであり有意に少なかったのです。さらに栄養素別に見ても、炭水化物-3.81g、食物繊維-0.51 g、たんぱく質-1.11gと、着席時間が10分の時には有意に少量でした。その一方で、脂質は-0.36gであり有意差がなかったのです。微量栄養素に関しては、評価した項目のうちビタミンDとカルシウムには有意差がないものの、鉄〔-0.20mg〕とカリウム〔-53.49mg〕の摂取量は、着席時間10分時の方が有意に少ない結果でした。
プレスコット氏によると、子供たちの昼食時の着席時間が10分しかないという実態は、かなり一般的なことだといいます。「給食では列に並んで自分の食事を受け取る順番を待たなければならない。また、給食の時間は食後の休憩時間と連続している。子供たちが実際に食事にあてる時間は、大人が考えているよりもはるかに短い」と語っています。
米国では子供の健康状態を改善するために、2010年に学校給食の栄養要件が強化されました。プレスコット氏は今回の研究から、このような連邦政府の取り組みを後押しするデータが得られたとしています。「学校給食改善プログラムについて最も評価すべき点の1つは、世帯収入の多寡に関わらず全ての子供たちが、家庭ではあまり食べられないような様々な食品を、学校で食べられるようにしたことだ。しかし、給食の時間が短いがために、子どもたちがそれらの食品を食べる機会を失っているとすれば、プログラムが成功したとは言えない」と述べています。
(出典:https://www.ehealthyrecipe.com/
■フレイル予防にも野菜・果物を
日本人は野菜も果物も足りていない!
野菜350g、果物200g。これは厚生労働省や農林水産省が推進している、健康のために摂取するのが望ましい1日あたりの目標量です。
野菜や果物はビタミン、ミネラルといった栄養素の重要な供給源です。それだけでなく、食物繊維やポリフェノール、カロテノイドなどの機能性成分も含まれています。機能性成分は老化防止や生活習慣病予防、免疫力向上などに効果があると言われ、野菜や果物をきちんと摂ることは健康維持に欠かせません。ところが実際の摂取量は、20代以上の全体平均で野菜288.2g、果物108.7gとなっており、目標にはまったく届いていないのが現状です。野菜と果物はなぜ必要?
野菜や果物が足りていないと心配なのは、ビタミンやミネラル、食物繊維の不足です。国民健康・栄養調査のデータによると、日本人はビタミンAの5割以上を野菜から、ビタミンCは3割以上を果物から摂取しています。この2つの栄養素は、ビタミンEやポリフェノール等と並んで抗酸化作用があり、細胞老化や、心血管疾患などの生活習慣病の原因になり得る脂質の過酸化反応を抑制したり、「活性酸素」を無害化するのを助けたりする働きがあると言われています。また、野菜や果物が主要な供給源となっているカリウムは高血圧の予防に、食物繊維は糖尿病や大腸ガンの予防などに役立ちます。
野菜、果物が果たすフレイル予防効果
どの世代においても健康のために野菜や果物は欠かせませんが、近年、高齢者のフレイル予防にも野菜や果物の有効性を示唆する研究結果が報告されています。マドリード大学の研究では、ヨーロッパの3つのコホートから抽出した高齢者約3000人を対象に平均追跡期間2.5年間でフレイルの発生状況を調べたところ、果物や野菜を1日1サービング以下しか食べないというグループに比べ、1日2サービング以上食べるグル―プでフレイルになるリスクが減っていたことが報告されています(1サービング:果物120g、野菜150g)。また、筋肉の量が減少したり、筋力が低下したりするサルコペニアは、フレイルを招く要因の一つです。野菜や果物に多く含まれるカロテノイド類やビタミン類の不足は、このサルコペニアの誘発原因になるとも考えられており、十分な果物・野菜の摂取はフレイルの予防においても大切な食材です。
野菜の副菜を1品足す、果物は間食で補うなど、普段の食生活で少しずつ意識して野菜や果物を摂る習慣をつけましょう。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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