2024年10月23日水曜日

肥満

 死亡リスク推定に有用な“丸み指数”

 肥満の一般的な指標はBMIですが、内臓脂肪の分布を反映していないため、より包括的な肥満指標として身長とウエスト周囲長から算出する身体の「丸み指数(=BRI;body roundness index)」が提案されています。北京中医薬大学の研究者らは、1999~2018年の米国民健康・栄養調査(NHANES)に参加した成人3万例超のデータを用いてBRIの推移と全死亡との関連を検討。その結果、米国成人のBRIは上昇傾向にあり、BRIの最低5分位群と最高5分位群で全死亡リスクが上昇するU字形の関連が認められたと、米国医師会雑誌『JAMA Network Open』(2024;7)に発表しました。

 BRIは「364.2-365.5×√〔1-[ウエスト周囲長(cm)/2π]2/[0.5×身長(m)]2〕」として算出します。ウエスト周囲長を考慮したBRIは内臓脂肪分布を反映しており、BMIよりも包括的な肥満指標であることを示すエビデンスが蓄積されつつあります。しかし、BRIと疾患や死亡のリスクとの関連を示すエビデンスは乏しい状況です。そこで研究者らは、1999~2018年のNHANESに参加した20歳以上の32,995例(平均46.74歳、女性50.10%)のデータを用い、米国成人におけるBRIの推移と全死亡との関連を検討。解析の結果、平均BRIは1999年→2018年で4.80→5.62と上昇しており、2年ごとの変化率は0.95%でした。

 同期間のBRIの上昇傾向は女性、65歳以上の高齢者、メキシコ系米国人でより顕著でした。BRIは加齢に伴い上昇し、女性の方が高値で男女差は経時的に拡大しました。この結果について、研究者らは「女性では体組成および食欲に性ホルモンが影響している可能性があり、高齢者のBRI高値は脂肪組織の老化や機能不全を反映している可能性がある。また、メキシコ系米国人においては一般的に食事の質の低下、食料不安、心理社会的ストレスが認められる」と説明しています。

約10年の追跡期間中における全死亡は3,452例(10.46%)でした。制限付き三次スプライン解析では、BRIと全死亡リスクとの間にU字形の関連が認められました。

交絡因子(年齢、性、人種/民族、教育歴、貧困所得比率、喫煙状況、飲酒状況、心血管疾患の家族歴、糖尿病の家族歴)を調整後の解析の結果、全死亡リスクはBRIの第3五分位群(BRI 4.45~5.46未満)と比べて第1五分位群(同1.05~3.41未満)で25%、第5五分位群(BRI 6.91以上)で49%といずれも有意に上昇していました。

 研究者らは「BRI超低値例は栄養不良、疲労、運動耐容能の低下、筋萎縮を伴っている可能性がある」と指摘し、BRI高値例については「内臓脂肪が蓄積すると、体重が基準範囲内であってもインスリン抵抗性が亢進し心代謝性疾患のリスクが高まる」と説明。その上で、「死亡リスクの推定や高リスク群特定のための簡便な非侵襲的スクリーニング法として、BRIは有用性が高い」としています。

(出典:https://medical-tribune.co.jp/)


■肥満に関わる善玉ホルモン

 脂肪には大きくわけて2つあります。それが「皮下脂肪」と「内臓脂肪」がです。皮下脂肪は一番落としにくい脂肪で、最後の手段として体がエネルギーとして使います。それに比べ内臓脂肪は一時的に体が蓄える脂肪で、比較的とれやすい脂肪です。

動脈硬化や糖尿病を抑制「アディポネクチン」

「アディポネクチン」とは、体の脂肪細胞から分泌される生理活性物質(アディポサイトカイン)の一種で、動脈硬化や糖尿病を防ぐ善玉ホルモンです。生理活性物質の多くは肥満に伴って脂肪細胞からの分泌が活発化しますが、内臓脂肪が増えれば増えるほど、脂肪細胞が肥大・分裂し、悪玉物質がたくさん分泌される一方で、アディポネクチンの分泌量は大幅に減少(血液中の濃度が低下)してしまいます。したがって、肥満を改善し内臓脂肪を減らし、アディポネクチンの分泌を正常化させることが大切になります。

満腹信号を脳に送る「レプチン」

「レプチン」は、アディポネクチンと同じ脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンです。このホルモンは、食事開始から20~30分後に分泌が始まります。血液中にレプチンが流れ出して、血中のレプチン濃度が上がると、脳に対して“満腹信号”を発信します。内臓脂肪が増えるとレプチンの働きが低下します。つまり、なかなか満腹感が得られないので、つい食べ過ぎてしまうのです。

 食事は30分以上かけてゆっくり摂ることが重要です。一方で、レプチンは自然免疫細胞を刺激して炎症性サイトカインを産生させ、獲得免疫ではIFN-γを産生するTh1というTリンパ球の働きを増強して、多発性硬化症*の病態を悪化させてしまいます。

*多発性硬化症とは:免疫細胞が中枢神経(脳・脊髄)や視神経に炎症を起こして、神経組織を障害する自己免疫疾患。

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 肥満に関連したホルモンは、免疫機能を変化させ、炎症を促進する傾向にもあるようです。感染症、アレルギー、がんの予防としても、体重のコントロールが大切になってきます。

 当学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、生体の免疫バランスを保ち、生体機能恒常性の維持に有効な作用があります。肥満やメタボによる免疫機能変化の抑制、および脂肪組織内でおこる炎症対策にも期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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