脊椎圧迫骨折で介護度10倍上昇
群馬大学は7月、レセプト情報*のビッグデータを活用し、高齢者に多い脊椎圧迫骨折の受傷後の経過の詳細を初めて明らかにしたと発表しました。この研究は、群馬大学、東京大学、自治医科大学の各研究者グループによるもの(『Journal of Bone and Joint Surgery』」に掲載)。
*レセプト情報とは:特定健診等情報(医療機関が医療保険者へ発行する診療報酬明細書のこと)
脊椎圧迫骨折は加齢に伴う骨粗しょう症が主な原因で、転倒やしりもちなどのちょっとした怪我で生じる骨折です。高齢者の約5人に1人が経験する骨折ですが、多くの場合は数週間~数か月で治癒します。しかし、一部の患者では持続する腰痛や背骨の変形などに悩まされることもあり、足の痛みやしびれ、麻痺などの症状が出てくる場合には手術が必要になります。ところが、これまでの研究では、どのような患者で痛みが持続し日常生活に影響を及ぼすかについては明らかにされていませんでした。
研究グループは今回、65歳以上の圧迫骨折患者18,392人のレセプト情報から、受傷後の生存期間・鎮痛剤の処方期間・要介護度の変化を調べ、さらにそれぞれのリスク要因について解析しました。
その結果、圧迫骨折後に4か月以上の長期にわたって鎮痛剤が必要な患者が23%いることが明らかになりました。さらに、骨折前から介護を受けていた患者は、骨折後により多くの介護が必要となるリスクが、リスク比で10倍であることが判明しました。
これまで不明だった高齢者の脊椎圧迫骨折後の鎮痛剤の処方期間や要介護度の変化について調査を行った結果、鎮痛剤を長期間処方された人や要介護度が悪化する人のリスク要因が初めて明らかになりました。脊椎圧迫骨折後の長期的影響を詳細に検証した研究は過去に例がなく、得られた知見は今後の適切な医療・介護の資源配分に役立つと考えられます。
同研究成果により、すでに介護を必要としている患者は骨粗しょう症の治療を行うなど、適切に圧迫骨折を予防することが重要であることが明らかにされました。一方で、実際に患者が日常生活においてどのようなことで痛みに困っているのか、どのような介護が必要となったのかの詳細は明らかにされていません。そのため、具体的な日常生活動作のレベル(歩行できるのか、杖や車椅子が必要なのか)や必要な介護(食事の介助、入浴の介助、トイレの介助などが必要か)などについて、詳しく追跡調査することが必要です。
また、骨粗しょう症の重症度(どれだけ骨が折れやすいか)や、骨折の重症度(変形をきたしているか、麻痺などの神経症状が出ているか)による違いは検討されていません。さらに骨折の後、骨粗しょう症治療を行うことで痛みや介護度が改善するか否かについての検討もされていません。「これらの重症度を考慮することで、将来的には患者にとってより最適な治療を提供できるようにすることが求められる」と、研究グループは述べています。
(出典:https://www.qlifepro.com/)
■高齢者に多い骨折と予防・ケア
高齢者の骨折は、骨粗しょう症による骨の脆弱化が基礎にあり、わずかな外力でも骨折を起こすことが特徴です。いちど骨折を起こすと長期間の安静が必要で、「寝たきり」の原因になる可能性もあります。また、高齢者が骨折する原因のほとんどは「転倒」です。
高齢者に多い4つの骨折
(1)大腿骨近位部(だいたいこつきんいぶ)骨折
太ももの付け根の骨折で、転倒によって起こる。寝たきりになってしまう方も多く、社会問題となっている。
(2)脊椎圧迫(せきついあっぱく)骨折
背骨の骨折。尻もちをつくことで起こることが多い。骨粗しょう症が進むと、普段の生活動作の中でも起こることがあり、「いつのまにか骨折」と言われるものもある。
(3)上腕骨近位部(じょうわんこつきんいぶ)骨折
腕の付け根の骨折。転んで肩を直接打ったり、肘や手をついた時に起こる。
(4)橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折
手首の骨折。転んで手をついた時によく起こる。
高齢者の骨折の治療について
骨折の治療は、手術療法と手術によらない保存療法に分かれます。
保存療法の場合は、骨折部位が安定するまで数週間から数ヶ月間、骨折部の安静を保つ必要があります。脊椎圧迫骨折や橈骨遠位端骨折、上腕骨近位部骨折で骨折部が安定している場合は、保存療法が選択される場合が多いです。
しかし、大腿骨近位部骨折の場合、長期の安静により筋力低下・認知症・肺炎・褥瘡(じょくそう)などを発症し、寝たきりになる頻度が高いことがわかっています。可能であれば手術療法を選択し、早期からリハビリを行い、機能回復をはかることをお勧めします。
高齢者の骨折の予防は骨粗しょう症のケアから
高齢者の骨折は予防が何より重要です。まずは骨粗しょう症のケアに取り組むことです。
【骨粗しょう症のケア】
●定期的に検診を受け、骨粗しょう症の程度を評価をする。
●骨粗しょう症があれば内服薬や注射薬による治療で進行を抑える。
●カルシウム、ビタミンD、タンパク質などの栄養素を適量に摂取する。
●運動、日光浴を行う。
【転倒しないために】
●ロコモティブシンドロームのチェックを行い、転倒しやすいかどうかを把握する。
●転倒しないよう、生活環境の整備を行う。
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康復医学学会の主要研究生薬である「HM-3000(特系霊芝)」には、骨粗鬆症を治療する活性成分(βシトステロール、エポキシラノシトール、22トリエン3、6ジオン、霊芝ケトントリオール等)や、生物学的過程を通じて抗骨粗鬆症作用を発揮する成分が含まれていることがわかっています。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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