2025年4月30日水曜日

ジャンクフード

 英、ジャンクフードCMを深夜枠に限定

「やみつきになる美味しさ」に覚えはないでしょうか。甘いもの、脂っこいもの、辛い物やしょっぱいものなどが、その代表格です。

 人は生きるために必要な栄養素を体が自然と欲するようにできています。技術や科学の発展はめざましく、一食で様々な栄養が摂れるので、先進国では人々が飢餓に苦しむことはほとんどなくなりました。しかし、体の進化は悠久の時を経てきたものです。急激な食文化の変化に体がついて行かず、近年では、肥満による病気の方が問題になってきています。

 たとえば、様々な人が暮らすイギリスでは、1990年代初頭から肥満が増えてきました。同国の国民保健サービス(NHS)によると、成人の60%以上が太り過ぎ、または肥満だといいます。その問題の多くは子供時代に始まり、境遇が恵まれていない人ほど、食生活が乏しい傾向があることを研究は示唆しています。

 そこで英国は2021年6月、思い切った政策を打ち出しました。テレビとオンラインで、ジャンクフード(脂肪、砂糖、塩分を多く含む飲食物)のCM表示時間に、制限を設けるのです。チョコレートやアイス、ハンバーガー、シリアル、人工甘味料の入ったジュースなどの宣伝は、夜9時から朝5時半の「深夜枠」での表示となり、午後6時ごろなど、子供と大人が家で一緒にテレビを見るゴールデンタイムには放送されなくなります。

 非営利団体Cancer Research UKによると、英国の11~19歳がジャンクフードの広告を見ている場所は、ソーシャルメディア86%、テレビ84%、街中の看板82%でした。また、同国の保健省は、脂肪、砂糖、塩分が多く、子供が過剰に糖質とカロリーを摂取しがちな食品や飲料のオンライン広告を制限すれば、英国の4~15歳が1年間に食べる量を125億カロリー(ドーナツ6,200万個に相当)を減らすことが可能だとしています。

 この政策に対し、抗議や懸念の声もあがっています。BBCによると、英国の広告協会の人は「放送やオンラインパブリッシャーの仕事が失われる」と主張し、食品業界の一部は「ジャンクフードの広告だけを規制するのは不均等につながる」と話しています。

 英国政府は、若者が不健康な製品を過剰に消費するのを防ぐことを目指し、これまで長らく広告規制の政策を打ち出してきました。首都ロンドンでは、2018年から公共交通機関でジャンクフードの広告が禁止されています。

 かつて「成人病」という言葉がありました。これは大人が急になるものではなく、子供の頃からの生活習慣がもとで発症するため、今では「生活習慣病」と呼び方が改められています。若いうちにジャンクフードを食べ過ぎると、健康を害する未来が待ち受けている可能性があるのです。英国が打ち出した大胆な政策は、子供を守る立場にある大人がとった行動としては、評価できるものでしょう。

(出典:https://ideasforgood.jp/)


■ジャンクフードで脳が萎縮する

 ポテトチップスや甘い清涼飲料水、インスタントラーメン、クッキーなどの加工食品やファストフード‥‥ こうした食品は、塩分、糖分、脂質、カロリーが過剰なものが多く、良質なたんぱく質、ビタミン、ミネラルや食物繊維などの栄養価は低いため、「ジャンク(=がらくた)フード」と呼ばれます。ジャンクフードを食べ続けると、肥満、糖尿病や心臓病などの生活習慣病になりやすいことはご存じの通りです。さらに最近の研究では、ジャンクフードが"脳にも悪影響"を与えることが明らかになってきました。

不健康な食事で左海馬の体積が小さくなる!?

 研究によると、[1]新鮮な野菜、サラダ、果物や魚などを摂取する健康的な食事のグループ [2]焼き肉、ソーセージ、ハンバーグ、ステーキ、ポテトチップスや清涼飲料水を摂取する西洋型の不健康な食事のグループに分けて調査した結果、[1]の参加者たちは、平均的な食事パターンの人より、左海馬の体積が45.7㎣が大きめでした。一方[2]の参加者たちは、左海馬の体積が52.6㎣小さくなっていました。また、年齢、性別、教育、労働状況、抑うつ症状と投薬、身体活動、喫煙、高血圧や糖尿病など他の要因を除いた食事だけでも、海馬の体積に影響を与えることが分かりました。

 海馬は学習や記憶、抑うつなど気分の調節に関与しています。また成人でも「ニューロン新生」と呼ばれるくらい、新しい神経細胞をつくる稀な脳の領域です。海馬の体積はうつ病だと減少し、抗うつ薬はニューロン新生と海馬の体積を増加させると報告されてきました。

加工食品は避けなければならない

 海馬は、一生を通じて学習、記憶および精神的健康の中心です。よって今回の調査結果は、全年齢の人に当てはまるでしょう。つまり、食事の主な成分を野菜、サラダ、果物、豆類、全粒穀物と生のナッツなどの植物性食品、魚や脂肪の少ない赤身肉、オリーブオイルなど、健康な脂質にすべきだということです。同時に、清涼飲料水、塩味の揚げたスナック、焼き菓子のような加工食品は極力、回避するべきです。健康に良くない脂質や糖分、精製された炭水化物を多く含む食品類は、海馬や消化管に悪影響をおよぼすのです。

 最近の研究で、腸内細菌叢が体や心の健康に関して、中心的な役割を果たすと分かってきました。食物繊維を多く含む食品や発酵食品は、腸内細菌叢の健康を促進しますが、脂肪や人工甘味料、乳化剤を含む加工食品は、腸の健康を損傷してしまうことが理解されています。

食事パターンと精神障害の発症の関係

 世界保健機関(WHO)によると、精神疾患や神経疾患に苦しむ人は世界で4.5億人にも上り、生涯に4人に1人が経験しています。特に大きな割合を占めるうつ病と不安障害の人口は、今後数十年のうちに世界全体でさらに増加すると示唆されています。精神障害の発症には遺伝や環境などの様々な要素が複雑に影響しあっていますが、今回の報告で、食事のパターンの重要性が示されたのです。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年4月23日水曜日

腸内環境

 腸内環境を整えて、元気な毎日を!

 腸は、食道、胃に続く消化器の一つで、小腸、大腸に分かれています。私たちは、これらの消化器から食べた物に含まれている水と必要な栄養素を吸収し、残ったものを便として排泄します。排便時に便の状態を確認することは、自分自身の健康状態を知るために役立ちます。理想的な便は、いきまずにストンと出る黄色または黄褐色の便です。便は、腸に長く留まるほど硬くなります。また、黒っぽい色で悪臭がある便は、腸内環境のバランスが悪くなっている状態です。腸内環境が悪いと、便秘や下痢など、お腹の不調が起こります。

 腸内には、およそ1000種類、100~1000兆個の細菌が棲んでいると言われています。多種多様な菌の様子が花畑のように見えることから「腸内フローラ」とも呼ばれます。腸内細菌には、腸によい働きをする善玉菌と腸内で有害物質を作る悪玉菌、どちらかの優勢な方に味方する日和見菌があります。腸内細菌の種類は、人によって全く異なり、食べ物や生活習慣、加齢、ストレスなどによっても変化します。健康的な腸内環境は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が優勢で、腸内を弱酸性に保ちます。酸性に傾いた腸内は、悪玉菌の増殖を妨げ、有害物質の生成を抑えます。また、悪いイメージの悪玉菌ですが、肉類などのたんぱく質を分解し、便として排泄するという大切な働きがあり、必要不可欠な存在なのです。

 善玉菌と悪玉菌の勢力争いにより、腸内フローラのバランスは毎日変化しています。

 私たちの腸は、体を病原菌やウイルスから守る「腸管免疫システム」を備えています。腸内環境はこの免疫システムにも影響するため、免疫力を高めるためにも、善玉菌を増やし、腸内環境を良好にすることが大切です。

 腸内環境は、食べたものに大きく左右されるので、食生活には注意が必要です。善玉菌を増やすには二つの方法があります。一つは、ビフィズス菌や乳酸菌を含むヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物などの発酵食品などを摂ること。善玉菌を腸内に増やすためには、毎日続けて食べると効果的です。もう一つが、オリゴ糖や食物繊維を摂ることです。オリゴ糖や食物繊維の成分は、消化・吸収されることなく大腸まで達し、善玉菌のえさになって、菌の量を増やします。オリゴ糖は大豆やたまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどに多く含まれます。

 腸内環境を整えるには、腸そのものを動かす習慣をつけることも重要です。適度な運動は、体を振動し筋肉も動かすので、腸内の便の動きをサポートしてくれます。便を送り出すためには、腹筋や、体の深部にある腸腰筋が後押ししてくれるので、ウォーキングなど下半身の運動を増やすよう心がけましょう。また、十分な睡眠や朝食を摂ることでも、腸内のリズムが整います朝の目覚めに一杯の水や白湯を飲むと、大腸の反射を促すことができるのでおススメです。

(出典:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/)


■腸内環境とうつ病の関係

 うつ病の原因の一つが脳内セロトニンの不足です。不足すると神経細胞間の情報交換が乱れ、キレやすい、落ち込む、無気力、ボーっとするなど様々な症状が表れます。

 セロトニンは、実は脳内に2%、腸内(消化管粘膜)に90%、血液(血小板中)に8%という割合で存在しています。このたった2%の脳内セロトニンが人の精神状態を大きく支配するのですが、腸内環境が正常でないと腸内のセロトニンが脳まで上手く運ばれず、脳内セロトニンが不足してしまいます。

 セロトニンを増やす研究の中で、腸内細菌の重要性が分かってきました。スウェーデンのカロリンスカ研究所で、腸内細菌を持つマウスと持たないマウスを比較した結果、腸内細菌を持たないマウスは、危険を伴う攻撃的な性格や行動が顕著であることが確認されました。腸内細菌が活発な健康な腸はセロトニンを生成し脳に送り届けるため、精神状態も良好である事が分かったのです。つまり、腸内環境の悪化がうつ病の要因にもつながるという事です。

 高齢化の進んだ現代社会では、新たな問題も生じてきました。認知症と抗うつ剤の問題です。日本では認知症患者は多くの場合、精神科で診ます。認知症患者の表情は暗く、無気力なものです。これは認知症の周辺症状の一つにすぎませんが、精神科医の中には、これをうつ病と誤診して、強い抗うつ剤を処方することがあります。認知症患者に抗うつ剤を処方すると、歩行困難や寝たきりになるケースがままあります。認知症の人は、脳の状態が非常にデリケートで、薬の量が少し多いだけでもダメージが大きくなります。症状悪化⇒より強い抗うつ剤⇒症状がさらに悪化⇒二度と改善しないほど深刻化‥‥という状況に陥ります。

 高齢者の場合、それが認知症なのか、うつ病や統合失調症なのか区別をするのが困難です。幻視や妄想の症状のある人に、リスパダール(抗精神病薬)を処方する精神科医が多いですが、それが認知症の症状だった場合リスパダールを処方するのは極めて危険です。筋肉に異常が起こり、歩けなくなってしまう患者もいます。

「医者に言われたから」「有名な薬だから」と安易に薬を飲んでいると取り返しのつかないことになります。患者の家族側にも"知識"という武器が必要なのです。

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 脳内セロトニンの増加と脳神経細胞膜流動性の向上には「ラフマエキス」がお勧めです。

 また、「HM-3000(特系霊芝)」は、乳酸菌等で腸内細菌の環境を整えると同時に、腸壁に密集する絨毛(じゅうもう)内の毛細血管の機能を改善し、腸の働きを促します。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年4月17日木曜日

脳の仕組み

 良質の油は思考を柔軟にする

 人の全ての細胞膜は、主にリン酸脂質によってつくられています。もちろん、脳の神経細胞の膜も脂質でできており、細胞膜がきれいな状態でなければ、神経伝達物質もうまく働いてくれません。神経伝達物質の正常なやり取りがなければ、脳は正常な指令を出すことができなくなり、ひどい場合には、うつ症状などが表れることになります。

 細胞は、生命の基本単位です。細胞が正常に働かなければ、人は何もできなくなります。細胞の再生が上手くいかなくなれば、その部分が壊死します。また、細胞間の神経伝達が滞れば、触っても何も感じなくなるのです。しかも、脳の神経細胞の数は、生まれたときに備わっていた数から増えることはありません。年を重ねるにつれ、どんどん少なくなっていくだけです。それでは、どうすれば細胞の働きを健康に保てるのでしょうか。

 たとえば肌の老化には、3つの大きな原因があると考えられています。

 一つは「乾燥」です。高齢者の肌がカサカサになるのは、保水力が衰え、皮膚が乾燥するからです。二つ目が「光老化」、つまり日焼けによる老化です。私たちの肌は、日光の中の紫外線を受けると日焼けを起こします。若いころは海水浴をして日に焼けても、そのうち黒くなった肌がむけ、3カ月もすると元通りになります。しかし、年齢とともに、焼けた肌はなかなか元のようには戻らなくなり、紫外線を受けた部分にシミやソバカスができるようになります。高齢者の顔に見られる紫斑がこの光老化によるもので、日光に晒される顔の部分に集中的に表れます。三つめは「酸化」です。酸化はストレス、飲酒や喫煙、紫外線、放射線、食品添加物などによって生じる、いわば身体のサビ。肌の老化の約8割がこの酸化によってもたらされている、とも言われています。

 よく言われるアンチエイジング(抗老化)というのは、肌の老化の3大原因をできるだけ避け、美しく健康的に歳を重ねることを提唱しているわけです。ここで注意しなければならないのは、肌で起こることは全身で起きている、ということ。中でも「酸化」は、細胞レベルでも日々起こっています。たとえば、悪い油を摂ると細胞膜がサビつきます。細胞膜の再生を促すような質の良い油を補給する必要があります。サビついた細胞をそのまま放置しておくと、神経の伝達はどんどん滞ってしまい、その結果、見た目の健康も、精神的な反応も、悪くなってしまうのです。

 ここでいう“質の良い油”とは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など、オメガ3系の油です。イワシやサバなどの青魚、大豆などに多く含まれています。

 脳の神経細胞の膜をきれいに保つことができれば、判断力や思考力などもアップします。DHAやEPAは、血液をサラサラにする効果も非常に高く、肉体的な若さを保つ意味でも、積極的に摂るようにしたいものです。

(出典:『甘い物は脳に悪い』笠井奈津子著より)


■脳の仕組みとこころ

感情・思考を生み出すのは脳

 楽しい、悲しいといった感情や物事を考える思考は、頭の中つまり脳で生み出されています。では、脳は何でできているでしょうか? 答えは「神経細胞」です。

 脳は神経細胞の集合体で、その数は500億~1000億個以上と言われています。集合体の中ではある一つの神経細胞がキャッチした外部情報をリレーのように次の神経細胞へ、そしてまた次の神経細胞へと伝えています。

 情報を伝えるバトンの役割をするのが神経伝達物質です。神経細胞内部では情報が電気信号となって細胞の末端まで到達しますが、電気信号のままでは次の神経細胞に情報を伝えることはできません。そこで、電気信号は神経伝達物質が収納されている袋に働きかけ、神経伝達物質を放出させます。すると、次の神経細胞では放出された神経伝達物質をキャッチし、その情報を再び電気信号に変換して次の神経細胞へとリレーをつなぎます。つまり外部情報は、電気信号と神経伝達物質に変換されることを繰り返しながら伝えられていきます。

 また、キャッチした外部情報のすべてが次の神経細胞に伝えられるわけではありません。情報量が一定量未満の場合には、その情報は消えてしまいます。

 このように脳内の500億~1000億個以上ある神経細胞では、外部情報を取捨選択しながら情報の取り込みと伝達を繰り返す「外部情報のリレー」が無数に起きています。そして、その果てしないリレーの結果として感情・思考が生み出されているのです。

こころの病気と神経伝達物質

 神経伝達物質は情報を伝達する大切な役割を担っています。神経伝達物質の働きがきちんと行われているからこそリレーが続き、その結果として感情・思考は正常に作動して精神状態が正常な状態に保たれます。逆に、神経伝達物質の働きが乱れてしまうと、精神状態を正常に保てなくなるのです。精神状態が正常に保たれなくなった結果として、うつ症状や過剰な不安・興奮が現れてしまうのです。

 神経伝達物質は量が不足しても過剰であっても“正常でない”状態です。神経伝達物質には多くの種類がありますが、こころの病気に関係する代表的なものは、ノルアドレナリンドーパミンセロトニン(右表参照)で、「脳内3大神経伝達物質」と呼ばれています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年4月9日水曜日

4月10日は「女性の日」

 女性特有の病気

 明日、4月10日は「女性の日」です。1949年に労働省(現・厚生労働省)が「婦人の日」として制定し、1998年「女性の日」に改称されています。

 さて、治療や入院、手術を伴う疾病の中には、女性がかかりやすい病気がいくつかあります。女性の病気は年代によって異なりますが、ライフステージごとに何かしらの疾患リスクがあります。「年齢のせい」「疲れのせい」などと自己判断していると、知らない間に病気が進行してしまう可能性もあります。以下は各世代で気を付けたい病気です。


 20代~30代   就職や結婚、妊娠・出産など、大きな変化が起こりやすい年代です。

(1)月経関連の病気:女性は慢性的なストレスを抱えていると、ホルモンバランスの乱れから、月経関連の病気にかかりやすくなります。

(2)甲状腺の病気:代謝をつかさどる「甲状腺ホルモン」が体内で過剰に分泌されると、バセドウ病という甲状腺疾患を発症することがあります。女性の罹患率は男性の3~5倍とされており、女性特有疾患のひとつに数えられています。

(3)乳がん・卵巣がん・子宮がん:女性特有の器官にまつわるがんは比較的若いうちから発症リスクが高くなります。事実、厚生労働省の統計によると、乳がん・卵巣がん・子宮がんのいずれも20代~30代以降から罹患率が上昇し始めています。

 40代~50代   加齢による衰えが目立ち始める年齢で、心身の不調に悩まされやすくなります。40代後半、更年期の症状が表れ始めますが、他にも気を付けたい病気があります。

(1)乳がん・卵巣がん・子宮がん:40代以降になると罹患率が大きく上昇する病気です。特に乳がんの罹患率は20代~30代と比べると7倍以上に及んでいます。

(2)更年期障害:閉経期前後の10年間に、卵巣ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少し始め、症状が現れます。のぼせや顔のほてり、動悸、息切れ、発汗、頭痛やめまい、イライラなど、心身に様々な不調を来すようになります。閉経を迎えると、これらに加えて膀胱炎や関節痛、無気力感などの症状が表れ始め、さらに心身への負担が大きくなります。

 60代以降   60代以降は、加齢や閉経などの影響で心身に異常やトラブルが発生しやすくなります。女性ホルモンの分泌減少に伴うトラブルに悩まされるようになるため注意が必要です。また、男女問わず疾患リスクも高くなるため、幅広い病気に備えることが大切です。

(1)がん:女性特有のがんに限らず、胃がんや大腸がん、肺がんなど他の部位のがんリスクも高くなります。特に大腸がんや肺がんは、乳がんに次いで罹患数が多いがんであり、死亡数で見ると大腸がん・肺がんが乳がんより上位に位置しています。

(2)更年期関節症:女性ホルモン「エストロゲン」の受容体は、筋肉や腱などの関節組織にも分布しており、節々の柔軟性を維持する働きを担っています。更年期にエストロゲンの分泌が不安定になると、関節の柔軟性が徐々に失われ、手足にこわばりや痛みを感じるようになります。

(出典:https://www.taiyo-seimei.co.jp/)


■女性のストレス

 職場に家庭、子育て、仕事量や人間関係など、日常的に抱えるストレスは、女性なら月経不順といった体の不調や深刻な病気を引き起こすことが多くあります。

女性の脳とストレスの影響

 女性は脳内セロトニンの産生能力が男性よりも低い*ため、ストレスが体に反映しやすくすぐ生理周期や体調に影響してしまうので、女性にとってのストレスはまさに大敵です。

 これは、女性の脳の仕組みに理由があります。自律神経をつかさどる視床下部と女性ホルモンを分泌させる下垂体が近くにあり、ストレスで自律神経が刺激を受けると視床下部と一緒に下垂体も反応し、ホルモンがスムーズに分泌できなくなってしまいます。その結果、女性ホルモンのバランスが乱れ、生理不順PMS(月経前症候群)月経困難症など女性特有のトラブルが起こりやすくなってしまうのです。

* 女性の脳内セロトニンの産生能力は健常男性よりも約52%低く、セロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少することが研究でわかっています。

月経異常、PMSはストレスで症状が悪化?

 更年期年齢(45~55歳)でもないのに3カ月以上月経がないとか、24日以内の周期で頻繁に月経があるようなら、明らかに月経異常です。無排卵の可能性もあります。放置すると不妊になったり、血管や骨の老化を早めたりする原因にもなります。また、月経の3~10日前に以下のような症状が出たらPMSの可能性があります。 ●腹部のはり ●むくみ ●頭痛 ●便秘 ●肌荒れ ●落ち込み ●感情の制御不能 ●イライラ ●眠い ●異常な食欲

 ストレスが強いと痛みや精神的な症状が強く出る傾向があり、中には暴力的になる人もいます。これらの症状は月経がはじまると治まります。

女性はうつ病の生涯有病率が男性の2倍!

 うつの症状は、環境の変化や仕事などのストレスなどが引き金になります。特に女性の場合、環境の変化の他に、出産や閉経などの女性ホルモンが減少することがきっかけになることがあります。

 人が一生のうちにかかる「うつ病」の割合(生涯有病率)、男性に比べ女性のほうが約2倍高いことがわかっています。特に社会的な影響が大きいのは産後に発症する産褥期(さんじょくき)です。発見が遅れると、母親の状態が子供の発達にまで影響を及ぼします。

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 月経の前(黄体期)にはセロトニンが低下することが知られています。PMSの症状軽減には、「ラフマ葉エキス」のセロトニン活性効果が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年4月2日水曜日

自閉症

 自閉症、海馬異常で他者覚えづらく

 今日4月2日は「世界自閉症啓発デー」。2007年の国連総会において、カタール王国王妃の提案により、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが決議され、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取り組みが行われています。

 昨年6月、東京大学の研究者らは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)などとの共同研究で、自閉スペクトラム症(ASD)*で脳の海馬にある特定の神経同士の接続が弱くなり、他者を記憶する能力が下がることをマウスの実験で突き止めました(英科学誌「Nature Communications」に掲載)。ASDでは他者を記憶しづらくなる社会性記憶障害が起きることがあります。成果はASDの解明や治療法の開発に役立つと見られています。

 脳が物事を記憶する際、複数の神経細胞が繋がる神経回路に情報を保存していると考えられています。他者に関する記憶の場合、相手に応じて反応する神経細胞の集団が変わります。

*自閉スペクトラム症(ASD)とは:何らかの脳機能の障害によって、日常生活に支障をきたすほど他者とのコミュニケーションに困難を抱えたり、特定の物に強い興味やこだわりなどを示したりする発達上の障害。子どものころに症状があらわれはじめ、男児に多く発症する傾向がある。ASDに関与する遺伝子は数百以上に上り、複数の遺伝子の異常によって発症するとみられている。人によって様々な症状を示し、根本的な治療法はない。かつては言語発達の違いで「自閉性障害」や「アスペルガー症候群」と区別していたが、現在は多様な症状をまとめ、ASDとしている。

 ASDではコミュニケーション障害や興味の幅が狭まる症状のほか、社会性記憶障害が起きることがあります。研究チームはASD発症者の多くで変異が生じる遺伝子「Shank3」について、マウスの脳全体で働かなくさせるとこの障害が起きることを見つけていましたが、詳しい仕組みは未解明でした。今回の研究では、記憶に関わる脳の海馬だけでShank3遺伝子が働かないように遺伝子操作したマウスを使い、社会性記憶障害との関連を調べました。通常のマウスは初対面の相手に興味を抱き、近寄って観察する時間が長くなります。一方で面識がある相手を観察する時間は短いのです。ところが遺伝子操作したマウスは面識がある相手にも長く接しました。他者に関する記憶には一定数の神経細胞が必要なことも分かりました。Shank3遺伝子が働かないようにした海馬の神経細胞の数を徐々に増やすと、ある段階で社会性記憶障害が起きました。

 疾病対策センター(CDC)によると8歳児の36人に1人がASDの患者だと推定されています。ASDに関わる遺伝子は数百個あり、複数の遺伝子変異の蓄積で発症する場合も多いようです。症状は様々で、根本的な治療法はありません。

 研究チームはヒトのASDの社会性記憶障害でも、脳の海馬の同様な仕組みが関わっているとみています。研究者の一人は「海馬がASD治療の新たな標的となる可能性がある」と話しており、海馬の神経細胞のつながりを改善する研究などを進める考えです。

(出典:https://www.nikkei.com/)


■自閉症と自律神経

 自閉症の人では、自律神経のバランスが乱れていることが多く、自律神経失調症の症状が起こりやすくなります。自律神経失調症の症状としては、思うように体が動かない、イライラしやすい、やる気が出ない、不安感が強くなるなどが挙げられます。

 自閉症は、遺伝要因と環境要因による複合性疾患と考えられており、生まれつきの障害で完全に治ることはありません。自閉症の環境要因としては、妊娠初期の喫煙、水銀、有機リン酸系農薬、ビタミン等の栄養素、親の高齢、妊娠週数、出産時の状況(帝王切開等)、夏の妊娠、生殖補助医療による妊娠などが考えられています。また、自閉症では、知的能力障害(知的障害)のほか、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、学習障害(限局性学習症、LD)などがしばしば併存します。

リーキーガット症候群

 小腸の粘膜にはもともと穴が開いており、身体に必要な栄養を吸収しています。ところが何らかの理由で穴が大きくなってしまうと、有害なものまで体内に取り込んでしまい、それが慢性炎症を生じさせて病気を起こしやすくさせます。これを「リーキーガット症候群」(右図参照)といい、ガン、心臓病、糖尿病、アレルギー疾患、認知症、うつ、不安症、そして自閉症などにも深く関わっています。

 リーキーガット症候群の原因として、慢性ストレス冷え糖質過多の食事加工食品抗生剤などの薬残留農薬の野菜などが挙げられています。

発達障害とキノコ

 発達障害の子どもを調査したところ、野菜嫌いの子どもの中でも、特にキノコが苦手な子どもが多いという結果が出ているようです。自閉症とキノコに関する総論において、キノコの摂取が腸内細菌叢を改善させて、自閉症を改善する可能性が指摘されています。

 また、食用キノコのサプリメントが、自閉症児の腸内細菌叢を改善することが報告されており、チャーガ(Inonotus obliquus)、霊芝(Ganoderma lucidum)、冬虫夏草(Cordyceps militaris)、山伏茸(Hericium erinaceus)、ひらたけ(Pleurotus giganteous)、マジックマッシュルーム、舞茸、椎茸などの“自閉症やADHDに対する有効性”が指摘されています。

 自閉症児では偏食が多く、偏食によって腸内フローラの問題が起こることが指摘されています。一方で、腸内細菌叢が操り人形のように摂食行動を操作することが知られています。

 自閉症の腸内フローラの特徴としては、多様性とプレボテラ(腸内細菌タイプ=エンテロタイプを決める3種類の菌のうちの一つ)が少ないことが指摘されています。マウスの実験では、キノコ類がプレボテラを増やすことが確認されています(2018『Journal of Functional Foods』)


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愛・感謝 村雨カレン