2025年4月17日木曜日

脳の仕組み

 良質の油は思考を柔軟にする

 人の全ての細胞膜は、主にリン酸脂質によってつくられています。もちろん、脳の神経細胞の膜も脂質でできており、細胞膜がきれいな状態でなければ、神経伝達物質もうまく働いてくれません。神経伝達物質の正常なやり取りがなければ、脳は正常な指令を出すことができなくなり、ひどい場合には、うつ症状などが表れることになります。

 細胞は、生命の基本単位です。細胞が正常に働かなければ、人は何もできなくなります。細胞の再生が上手くいかなくなれば、その部分が壊死します。また、細胞間の神経伝達が滞れば、触っても何も感じなくなるのです。しかも、脳の神経細胞の数は、生まれたときに備わっていた数から増えることはありません。年を重ねるにつれ、どんどん少なくなっていくだけです。それでは、どうすれば細胞の働きを健康に保てるのでしょうか。

 たとえば肌の老化には、3つの大きな原因があると考えられています。

 一つは「乾燥」です。高齢者の肌がカサカサになるのは、保水力が衰え、皮膚が乾燥するからです。二つ目が「光老化」、つまり日焼けによる老化です。私たちの肌は、日光の中の紫外線を受けると日焼けを起こします。若いころは海水浴をして日に焼けても、そのうち黒くなった肌がむけ、3カ月もすると元通りになります。しかし、年齢とともに、焼けた肌はなかなか元のようには戻らなくなり、紫外線を受けた部分にシミやソバカスができるようになります。高齢者の顔に見られる紫斑がこの光老化によるもので、日光に晒される顔の部分に集中的に表れます。三つめは「酸化」です。酸化はストレス、飲酒や喫煙、紫外線、放射線、食品添加物などによって生じる、いわば身体のサビ。肌の老化の約8割がこの酸化によってもたらされている、とも言われています。

 よく言われるアンチエイジング(抗老化)というのは、肌の老化の3大原因をできるだけ避け、美しく健康的に歳を重ねることを提唱しているわけです。ここで注意しなければならないのは、肌で起こることは全身で起きている、ということ。中でも「酸化」は、細胞レベルでも日々起こっています。たとえば、悪い油を摂ると細胞膜がサビつきます。細胞膜の再生を促すような質の良い油を補給する必要があります。サビついた細胞をそのまま放置しておくと、神経の伝達はどんどん滞ってしまい、その結果、見た目の健康も、精神的な反応も、悪くなってしまうのです。

 ここでいう“質の良い油”とは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など、オメガ3系の油です。イワシやサバなどの青魚、大豆などに多く含まれています。

 脳の神経細胞の膜をきれいに保つことができれば、判断力や思考力などもアップします。DHAやEPAは、血液をサラサラにする効果も非常に高く、肉体的な若さを保つ意味でも、積極的に摂るようにしたいものです。

(出典:『甘い物は脳に悪い』笠井奈津子著より)


■脳の仕組みとこころ

感情・思考を生み出すのは脳

 楽しい、悲しいといった感情や物事を考える思考は、頭の中つまり脳で生み出されています。では、脳は何でできているでしょうか? 答えは「神経細胞」です。

 脳は神経細胞の集合体で、その数は500億~1000億個以上と言われています。集合体の中ではある一つの神経細胞がキャッチした外部情報をリレーのように次の神経細胞へ、そしてまた次の神経細胞へと伝えています。

 情報を伝えるバトンの役割をするのが神経伝達物質です。神経細胞内部では情報が電気信号となって細胞の末端まで到達しますが、電気信号のままでは次の神経細胞に情報を伝えることはできません。そこで、電気信号は神経伝達物質が収納されている袋に働きかけ、神経伝達物質を放出させます。すると、次の神経細胞では放出された神経伝達物質をキャッチし、その情報を再び電気信号に変換して次の神経細胞へとリレーをつなぎます。つまり外部情報は、電気信号と神経伝達物質に変換されることを繰り返しながら伝えられていきます。

 また、キャッチした外部情報のすべてが次の神経細胞に伝えられるわけではありません。情報量が一定量未満の場合には、その情報は消えてしまいます。

 このように脳内の500億~1000億個以上ある神経細胞では、外部情報を取捨選択しながら情報の取り込みと伝達を繰り返す「外部情報のリレー」が無数に起きています。そして、その果てしないリレーの結果として感情・思考が生み出されているのです。

こころの病気と神経伝達物質

 神経伝達物質は情報を伝達する大切な役割を担っています。神経伝達物質の働きがきちんと行われているからこそリレーが続き、その結果として感情・思考は正常に作動して精神状態が正常な状態に保たれます。逆に、神経伝達物質の働きが乱れてしまうと、精神状態を正常に保てなくなるのです。精神状態が正常に保たれなくなった結果として、うつ症状や過剰な不安・興奮が現れてしまうのです。

 神経伝達物質は量が不足しても過剰であっても“正常でない”状態です。神経伝達物質には多くの種類がありますが、こころの病気に関係する代表的なものは、ノルアドレナリンドーパミンセロトニン(右表参照)で、「脳内3大神経伝達物質」と呼ばれています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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