2025年5月28日水曜日

デジタル認知症

 デジタル時代の隠れた危険

 現代の私たちの日常生活では、デジタルテクノロジーが浸透し、スマートフォンやパソコンがない生活は考えられません。デジタル機器は、便利で生活を豊かにしてくれますが、過度な使用によっては「デジタル認知症」という危険が潜んでいます。

 デジタル認知症は、デジタル機器の過度な使用によって引き起こされる認知機能の障害で、記憶力の低下、注意力や集中力の低下、運動能力の低下などが症状として現れます。

 デジタル認知症は正式な病名ではなく、状態を表す呼称であり、最近ではスマホ認知症とも呼ばれています。この名称は、主に高齢者が発症する認知症と症状が似ていることから使用されていますが、脳の萎縮などの症状はありません。年齢や性別に関係なく発症し、特に脳が成長途中の若い世代に大きな影響を与えると言われています。

 デジタル認知症の原因としては以下のものが考えられます。

 情報過多による脳疲労 :スマホやパソコンを長時間使用し、常に新しい情報にアクセスすることで、情報過多になり、脳疲労が起こる可能性がある。

 デジタル機器依存による記憶力の低下 :電話番号などの情報の記憶は完全にスマホに依存し、検索して情報を取り出すだけという状態が当たり前になり、その結果、記憶力はどんどん低下していきます。

 対面コミュニケーションの不足 :SNSなどのバーチャルなコミュニケーションは、実際の対面コミュニケーションとは異なり、感情的なつながりが不足することがあります。また、すぐに返信しなければならないというプレッシャーや、誰かとつながっていないと不安というような感情を生むこともあります。これらの要因が精神的な問題を引き起こすリスクとなります。

 運動不足と不適切な姿勢の影響 :デジタル機器の長時間使用は、運動不足を引き起こし、肥満や体の健康問題につながる可能性があります。また、長時間前かがみの姿勢でいることも悪影響を及ぼします。

 デジタル認知症の症状として、右表のようなものが挙げられます。中でも、デジタル認知症が子どもに与える影響は深刻だと言われています。子どもは脳がまだ成長途中であるため、デジタル機器の過度な使用が脳の発達に悪影響を与える可能性が高いと考えられています。特に、発達の遅れや不安定な感情、協調性のない行動などに注意が必要です。

(出典:https://medical-b.jp/)


■デジタル認知症の予防

 デジタル認知症は、日々の行動に気を付けることで予防が可能です。

デジタル機器の使用時間を減らす⇒1日の中でデジタル機器を使用しない時間を決めたり、目的のない時はデジタル機器を使用しないなどのルールを設け、できるだけデジタル機器の使用時間を制限しましょう。また、デジタル機器を使った後は必ず一定の休憩時間をとりましょう。特に子どもに対しては、保護者が時間管理をサポートすることが重要です。

【頭を使う、脳を鍛える】⇒脳も体の他の筋肉と同様に使わなければ衰えてしまいます。日常生活で脳を鍛えるために、クロスワードパズル、数独、ボードゲームなどのゲームや、絵を描くこと、楽器の演奏など、画面から離れて脳をトレーニングする活動を取り入れることで、脳血流が活発化し、脳内の老廃物を運び出すとともに脳の記憶機能も鍛えられます。思い出せないことがあっても、すぐにスマホで検索せずに、思い出すことに集中しましょう。

【読書をする】⇒タブレットではなく、実際の本や雑誌、漫画、新聞を読むことで、読解力や記憶力が向上すると言われています。

屋外で体を動かす⇒屋外で体を動かす行為は、脳を活性化させ、血流を増加させて脳への栄養供給を促進します。デジタル機器から離れて屋外で時間を過ごすことは、子どもから高齢者まで、あらゆる年齢層にとって有益なことです。

対面のコミュニケーションを促進する⇒人と直接会って話し、交流することは、脳を刺激し活性化させます。メールやSNSなどのオンラインコミュニケーションではなく、実際に相手と対面して、表情やしぐさを見ながらコミュニケーションをとることが大切です。

 人の脳の働きは取り入れた情報を処理し、アウトプットするまでがひとつのサイクルになっています。デジタル機器の使用においても、脳はそれらを情報として処理するために活発に稼働します。「特に考えずに」「なんとなく」取り入れた情報はアウトプットされないまま、「情報のゴミ」として蓄積されます。脳の容量を超えて情報のゴミが溜まり続けると脳の疲労が深刻化し、脳の機能が低下してしまうのです。

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 康復医学学会が推奨する「HM-3000(特系霊芝)」の、脳血流を維持・促進させる働きは、デジタル認知症の予防にもつながります。

 また、スマホやパソコンのブルーライトを見続けると睡眠を促すホルモン・メラトニンの分泌量が減少するといわれています。「ラフマ葉エキス」は、メラトニンの材料となるセロトニンの産生を促します。それがメラトニンの活性に影響し、質の良い睡眠へと誘います。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月21日水曜日

鉄欠乏

 鉄分不足、心臓には大きなリスク

 鉄分の不足は心臓の健康に悪影響を及ぼします。たとえば、慢性心不全の患者の30%以上は鉄欠乏性貧血が合併していると報告されており、貧血を合併している人は、合併していない人と比べ、全死亡率や心不全による再入院率が高くなっています。また、心不全患者の鉄分不足を治療すると、再入院率とQOL(生活の質)が改善されるという報告もあります。

 鉄分は、赤血球に含まれるヘモグロビンを合成するために欠かせない物質で、不足するとヘモグロビンの生成が足りなくなり貧血が引き起こされます。ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割を担っているため、貧血になると細胞が酸欠状態になり、疲労感、倦怠感、立ちくらみ、息切れ、動悸、めまい、頭痛など様々な不調が現れるのです。

 貧血が起こる原因は、その70~80%が冒頭で触れた鉄分不足による鉄欠乏性貧血で、多くは体から血液を失う要素がある人に生じます。例えば歯茎のトラブルや痔などで頻繁に出血しやすいとか、消化管など体内での出血、女性の生理の出血量などで起こります。こうした場合、慢性的な貧血状態になり、それが心臓に負担をかけることにつながります。貧血による体内の酸欠状態をカバーするため、心臓が必死に働き多く血液を循環させようとして、心拍数が増加する「心悸亢進」という症状が現れ、心臓に大きな負担がかかります。その結果、心不全の"予備群"のような状態になると、特に高齢者では心不全を起こしやすくなったり、心臓に障害があれば狭心症や大動脈弁狭窄症の症状が急激に現れたりするのです。

 貧血気味の人で息切れ、胸が苦しい、立ちくらみといった症状がある場合は、家族歴や既往歴を確認して、心臓疾患の疑いがあるなら専門医を受診したほうがいいでしょう。

 鉄欠乏性貧血は、鉄剤を服用して新たに赤血球を作り出す治療で改善できます。ただし、不足の鉄分を取り込んだとしても、体内に「貯蔵鉄」の蓄えがなければ、再び貧血が起こります。貯蔵鉄はフェリチンという鉄結合たんぱく質として肝臓、脾臓、骨髄などに貯蔵されており、体内の鉄分が不足すると血液中に放出されて不足分を補う働きをします。そのため、貯蔵鉄を十分に作っておかないと、貧血を繰り返すことになるのです。

 鉄分は食事で摂ることも重要です(右表)

 慢性的な鉄分不足の場合、心臓に負担がかかって何らかの影響が出る前に、まずは貧血の症状が先に現れやすいといえます。近頃疲れやすくなった、少し動くだけで動悸がするなどの変化を自覚したら、医療機関で血液状態をチェックしてもらいましょう。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■鉄欠乏の症状と対応法

 鉄は体内の酸素の運搬・貯蓄に強く関わる栄養素であり、人間は鉄が無くては生きていけません。欧米では小麦粉などの日常食材に鉄分を添加したり、鉄不足の女性に妊娠を控えるよう勧めたりする国もあるのに対し、日本はこれといった鉄不足対策は行われていません。特に55歳以下の有経女性の大半は鉄不足となっているのが現状です。

鉄欠乏の症状

 鉄不足でまず思い浮かぶ症状は貧血(男性:Hb値<13g/dl、女性:Hb値<12g/dl)です。検査で貧血と判定されるほどの鉄不足はすでに重症レベルと言えます。「フェリチン」(体内の鉄貯蔵量を反映するたんぱく質)を測定してみると、ほぼ底を付いているケースがほとんどです。鉄不足はほかにも次のような様々な症状を起こします。

 骨・皮膚・粘膜の障害 (あざ、コラーゲン低下による骨・肌異常、爪・毛髪・舌異常) 

 知能・情動への影響 (不眠・集中力低下・学習障害・うつ・パニック障害) 

 ホルモンへの影響 (甲状腺ホルモンの成熟障害、不妊症)

 白血球・免疫への影響 (抵抗力の減少) 

 消化系に及ぼす影響 (嚥下障害、食欲不振、下痢、便秘、氷を好んで食べる) 

 いわゆる不定愁訴 (頭痛、イライラ、耳鳴り、肩こり、寝坊癖、疲労、むずむず脚など)

 これらの症状が鉄不足からくることに気付いてない方が大勢いますので要注意です。

 貧血ではないから鉄不足ではないと考えがちですが、貧血でなくとも潜在的鉄欠乏の人は多いのです。血液検査項目の赤血球数Hb値などに続いて「MCV(平均赤血球容積)」という項目があれば注意してみてください。〔異常なし〕とされていてもMCVが95(fl)を下回り、かつ上記のような症状がある人は、鉄不足を疑って受診してみてください。

 貧血治療経験のある45歳の有経女性が特にわけもなく気が滅入ってきたとします。「更年期?」などと軽く済まさず鉄欠乏再発を疑いましょう。鉄不足でメンタルが不安定になるのは、やる気を高めるノルアドレナリンドーパミン、興奮と抑制をバランス調整するセロトニンなどの脳内神経伝達物質が、たんぱく質を原料として造られる際に鉄が必要だからです。

 女性が出産後、情緒不安定に陥るのも鉄不足の悪化が一因と考えられています。妊婦が鉄不足だと胎児も鉄不足となり早産や低出生体重児の原因となるため、妊婦の鉄不足はあらかじめ十分に改善しておく必要があります。

鉄欠乏の対応法

 まず、鉄分豊富な食材を意識的に摂ります。牛・豚・まぐろなどの赤身肉やレバーに含まれる動物由来「ヘム鉄」、小松菜、海苔、パセリなどの植物系食材に含まれる「非ヘム鉄」、吸収がよいのは前者ですが、両方一緒に摂るのが効果的です。

 病院では鉄剤が処方されますが、むかつきや便秘などの副作用が苦手な人もいます。そういう場合は上記の食材に加えて「ヘム鉄」サプリメントの服用も有効です。鉄が充足されれば吸収しなくなるだけなので鉄過剰とはなりません。出来れば血液検査でフェリチン値(貯蔵鉄)が60~100ng/ml以上になるまで補充するのがよいでしょう。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月14日水曜日

筋肉

 “質の良い筋肉”を目指す

 骨格筋は、筋線維という繊維状の細胞が集まって構成されています。筋線維の束は筋束(きんそく)と呼ばれ、全体は筋外膜で覆われています。筋肉の量が増えるというのはこの筋線維の1本1本が太くなることで、筋肉が減るというのは筋線維が細くなることを意味します。

 他の多くの組織と同じように、筋肉は絶えず新しい筋線維の合成と古くなった筋線維の分解を繰り返しています。ところが歳をとると、この合成が滞り、分解が進むようになります。そのため、普通に生活していても、全体の量が徐々に減っていってしまうのです。筋肉の合成が減少したり、分解が増加したりする理由には、運動量や身体活動量の減少、筋肉の合成を促すホルモン(男性ホルモンや成長ホルモン)の減少、栄養(特にたんぱく質)の摂取量の減少、筋肉の分解を促す「炎症性サイトカイン」の異常分泌――などがあります。

 筋肉の「質」の低下(機能低下)が起きるメカニズムはどうなっているのでしょうか。

「筋肉は太いほど大きな力が出せる。筋力が落ちるのは、歳とともに筋線維が萎縮して細くなる(筋肉の量が減る)から。しかし、筋線維の太さは変わらない場合でも、細胞と細胞の間や細胞の内部に脂肪がたまり、実質的にやせ細っていることがある。見た目の筋肉の大きさは変わらないのに、実は“サシ”のように脂肪が入り込んでいる、この状態をダイナぺニアと呼ぶ。さらに進むと筋線維全体が細くなって、見た目の量も減っていく」(同志社大学スポーツ健康科学部教授・石井好二郎氏)

 本来、脂肪は皮膚のすぐ下の組織(皮下脂肪)や内臓周辺の脂肪組織(内臓脂肪)にたまるものですが、本来たまるべきではない場所にたまる「異所性脂肪」もあります。中に異所性脂肪がたまった筋肉は「脂肪筋」とも呼ばれ、肝臓に異所性脂肪がたまると「脂肪肝」と呼ばれます。筋肉の細胞に脂肪がたまると、収縮する力が低下します(=筋力の低下)。さらに、筋肉の細胞には、糖を取り込み血糖値を調整する機能がありますが、異所性脂肪がたまると糖を取り込む能力が落ち、糖尿病の発症にもつながります。

 筋肉に脂肪がたまる原因は、主にエネルギーの摂り過ぎ。余ったエネルギーが脂肪に変わり、皮下にも内臓周辺にもためきれずにあふれ出したものが、異所性脂肪となります。異所性脂肪がたまると、多くの場合まず脂肪肝になり、次に骨格筋に脂肪がたまり、筋力の低下が起こります。当然、内臓脂肪もたまっているので、生活習慣病のリスクが高くなります。高脂肪食をよく食べる人や運動不足の人は、異所性脂肪には要注意です。しかし、体重はさほど多くなく、見た目の肥満はない人でも、異所性脂肪がたまる人がいます。メタボに関連する高血糖、高血圧、脂質異常症のうち2つ以上が当てはまる場合は、筋力が低く、筋肉の質の低下が起こっていることがよくあります。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■筋肉と健康の密接な関係

 加齢によって筋力が減っていきます。一般に30歳を超えると年に1%ずつ筋力量が減るとも言われています。すると熱中になりやすくなったり、代謝が悪くなったりしやすいです。

筋トレは加齢していくほど大切

 筋トレというと、スポーツ選手や、筋肉質の体系を望む人がやるもの、と思われるかもしれません。しかし、実は年齢を重ねて行くほど、筋トレを習慣的に行うことが重要になります。筋肉量は30歳をすぎた頃から次第に減り始め、80歳の時点ではいちばん筋肉量があった時から6~7割も減った状態になってしまうからです。

 筋肉は運動器としての役割だけをしているわけではありません。筋肉は糖質と脂質を分解して、熱を発生する基礎代謝も行っています。

 筋肉量が多いほど体の中にある余分な糖質・脂質が燃焼され、その結果として血糖値の上昇が抑制され、重大疾患の要因になる生活習慣病の予防にもつながります。

筋肉の主な役割

 姿勢を保持 :骨格筋は姿勢保持にとって非常に重要。筋力の維持は、高齢者の転倒による怪我・骨折などの予防につながる。

 血液を心臓に戻す :血液を心臓へ戻す際、体の骨格筋が収縮することで血管を収縮してポンプのような役割をする。筋肉量が減ると心臓の筋肉に負担がかかり様々な不具合が出る。

 代謝を上げる :体温を一定に保ち生命維持に必要な「基礎代謝」はほとんど骨格筋が担っている。代謝(生命維持のために有機体が行う合成や化学反応)は、「異化」と「同化」に区分される。異化=物質を分解してエネルギーを得る過程、同化=エネルギーを使って物質を合成する過程。

 体を衝撃から守る :衝撃から内臓、骨、血管などを守るクッションのような役割をしている。

 水分を貯蔵 :骨格筋は体の約6割の水分を保持している。細胞が蓄える水分は、体内で脱水が始まると、細胞から脱水傾向のある血管内に水分を補填して、血液循環を保とうとする。

 免疫力を上げる :リンパ球などの免疫細胞は筋肉に多く蓄えられているグルタミンによって活性化される。ゆえに筋肉量が減ると、免疫機能も低下すると言われている。

 運動で生理活性物質(マイオカイン)を分泌 :骨格筋は運動をするときに、様々な生理活性物質を分泌していることがわかってきた。この物質を総称して「マイオ(筋)カイン(作動物質)」という。

代表的マイオカイン⇒●IL-6(糖や脂肪代謝を促し肥満や糖尿病を予防) ●FGF-21(肝臓で脂肪を分解) ●Irisin(肥満、糖尿病の予防) ●IGF-1(筋肥大の促進、認知症の予防) ●BDNF(脳の神経細胞を生育)

筋肉量を維持するには

筋トレを行う

■日常生活の中でこまめに体を動かす

■意識的にたんぱく質を摂取する

 筋力トレーニングでは、衰えやすい足腰の筋肉を優先的に鍛えるのがよいでしょう。また、筋トレ後30分以内に良質のたんぱく質を摂取すると、筋肉を合成する働きが促進されます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月7日水曜日

便の異常

 なぜ高齢者は便もれしやすいのか

 65歳を超えると30%の人が便秘になり、7%の人に便もれが起こると言われています。介護施設では50%近くの人に便もれの経験があるという研究もあります。高齢になると便秘気味、下痢気味になるひとがいますが、それは運動不足、筋肉量の低下、腸内環境の悪化、内服薬などが関係しています。

 高齢になると運動量が少なくなります。運動により腸も活発になりますが、動かないでいると腸に運動刺激が起こらず、適切に動いてくれません。すると便秘になりやすくなります。

 さらには筋肉が衰えます。腕や足の筋肉だけではなく、骨盤や肛門周りの筋肉も弱くなるのです。その結果、尿もれをしやすくなり、便の切れも悪くなります。踏ん張っても便を出し切れなくなるため、便秘になることがある一方で、便を我慢しなければというときに肛門をギュッと締めて抑えることができなくなります。

 腹圧性尿失禁(お腹に力を入れた瞬間に起こる尿もれ)に効果のあることが知られている「骨盤底筋トレーニング」という方法が、便失禁に対しても効果的なことが分かっています。

 それ以外にも、歩くだけでいいので足を使っての運動が便の排出・状態を良くします。

 高齢になると、腸内の環境も変わってきます。腸というのは非常に長い臓器です。腸の中にはおよそ1000種類もの菌(腸内細菌)がいて、消化吸収を助けたり、免疫機能を刺激したりしています。しかし高齢になってくると体調不良・食欲不振・度重なる抗菌薬の使用などにより、腸内環境が悪化しやすくなります。すると、同じような食事を摂ったとしても若い人と比較して適切な吸収が行われず、固まって便秘になったり、うまく吸収できず下痢になったりします。特に油ものやニンニクなどの刺激物を食べたときは、こうした胃腸の不調が顕著に現れやすくなります。

 対処法として、1つは乳酸菌やビフィズス菌、麹菌など、腸内細菌となりうるものを摂取することです。具体的には発酵食品。ヨーグルトのほかに納豆やしょうゆ、みそ、ぬか漬けなどを定期的に摂取することをお勧めします。それ以外にもプレバイオティクスといって、腸内細菌のエサとなるフラクトオリゴ糖のようなものを摂取することも大切です。これはバナナなどに含まれています。

 食物繊維にも整腸作用があります。キャベツのような分かりやすい食物繊維は不溶性食物繊維といいます。水に溶けにくいので不溶性です。一方で水溶性食物繊維と呼ばれる食物繊維も大切です。水溶性食物繊維は、ぱさぱさした食物繊維のイメージとは違い、ドロッとしたものです。例えば、オクラやモロヘイヤ、納豆などに含まれるねばねばした成分がそれになります。この水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取することが、腸内環境を整える上で重要になります。そうして刺激の強いものを避けることが腸を守ります。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■便の異常と内服薬の影響

 高齢者の便の異常の原因として、運動不足、筋肉量の低下、腸内環境の悪化とともに多いのが“内服薬の影響”です。

 高齢者が飲む内服薬には様々なものがありますが、腸の異常によく関係してくるのが便秘薬(緩下薬、下剤)や下痢止め(止痢薬)です。下剤は簡単に薬局で手に入るために安易に使用されることが多い薬です。少しでも便秘気味だと、便の排出を薬の力に頼ろうとする人は少なくありません。ただし、医師の管理下で飲むならいいのですが、そうでなく自己判断で使用をしている場合は注意が必要です。

 便秘は、本来は生活改善をして便が出やすい環境を整えるのが最優先です。下剤を使えばその時は便が出やすくなりますが、連用してしまうと、体が下剤の刺激に慣れてきて、効果が薄れてくる場合があります。すると、「ではもっと強い薬を」となって、きりがなくなります。運動や食べ物の工夫など、日々できることをやることが優先すべき対応です。

 また、医師に便秘の薬を処方されていて、便秘も改善されてやや下痢気味になってきたという場合。そんなときに外来で「お変わりありませんか?」と聞かれて「変わりません」と答えてしまうのもよくありません。そう答えた結果、医師に「便秘が改善していないのだな」と思われて薬が処方され続け、下痢気味になっているという方も多いのです。処方薬の服用で便の状況が変わってきたら、主治医に報告しましょう。

 自己判断で下痢止めを使うのも控えた方がいいでしょう。腸が下痢を起こしているときは何かしらの理由があります。例えば食中毒のように何か悪いものを食べて、体の中に入ったウイルスや菌を排出するために下痢が起きていることもあります。それなのに無理やり下痢止めで止めてしまうと、体の中にウイルスや菌が蔓延してしまいます。下痢がつらいときは、安易に下痢止めを使うのではなく、医師に相談して対処するほうが安全です。

 これらの薬だけではなく、高齢になると多くの薬を飲みます。その薬が副作用として下痢や便秘を引き起こすこともあります。特に便秘との関連が指摘されているのは、抗精神病薬や抗うつ薬、睡眠薬です。下痢は、抗菌薬や抗がん剤で起こりやすいようです。徐々に便秘になっていくケースもあり、飲んでいる薬が原因だと気づきにくいこともあります。下痢や便秘があるときは主治医や薬剤師に相談してください。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン