“質の良い筋肉”を目指す
骨格筋は、筋線維という繊維状の細胞が集まって構成されています。筋線維の束は筋束(きんそく)と呼ばれ、全体は筋外膜で覆われています。筋肉の量が増えるというのはこの筋線維の1本1本が太くなることで、筋肉が減るというのは筋線維が細くなることを意味します。他の多くの組織と同じように、筋肉は絶えず新しい筋線維の合成と古くなった筋線維の分解を繰り返しています。ところが歳をとると、この合成が滞り、分解が進むようになります。そのため、普通に生活していても、全体の量が徐々に減っていってしまうのです。筋肉の合成が減少したり、分解が増加したりする理由には、運動量や身体活動量の減少、筋肉の合成を促すホルモン(男性ホルモンや成長ホルモン)の減少、栄養(特にたんぱく質)の摂取量の減少、筋肉の分解を促す「炎症性サイトカイン」の異常分泌――などがあります。
筋肉の「質」の低下(機能低下)が起きるメカニズムはどうなっているのでしょうか。
「筋肉は太いほど大きな力が出せる。筋力が落ちるのは、歳とともに筋線維が萎縮して細くなる(筋肉の量が減る)から。しかし、筋線維の太さは変わらない場合でも、細胞と細胞の間や細胞の内部に脂肪がたまり、実質的にやせ細っていることがある。見た目の筋肉の大きさは変わらないのに、実は“サシ”のように脂肪が入り込んでいる、この状態をダイナぺニアと呼ぶ。さらに進むと筋線維全体が細くなって、見た目の量も減っていく」(同志社大学スポーツ健康科学部教授・石井好二郎氏)。
本来、脂肪は皮膚のすぐ下の組織(皮下脂肪)や内臓周辺の脂肪組織(内臓脂肪)にたまるものですが、本来たまるべきではない場所にたまる「異所性脂肪」もあります。中に異所性脂肪がたまった筋肉は「脂肪筋」とも呼ばれ、肝臓に異所性脂肪がたまると「脂肪肝」と呼ばれます。筋肉の細胞に脂肪がたまると、収縮する力が低下します(=筋力の低下)。さらに、筋肉の細胞には、糖を取り込み血糖値を調整する機能がありますが、異所性脂肪がたまると糖を取り込む能力が落ち、糖尿病の発症にもつながります。
筋肉に脂肪がたまる原因は、主にエネルギーの摂り過ぎ。余ったエネルギーが脂肪に変わり、皮下にも内臓周辺にもためきれずにあふれ出したものが、異所性脂肪となります。異所性脂肪がたまると、多くの場合まず脂肪肝になり、次に骨格筋に脂肪がたまり、筋力の低下が起こります。当然、内臓脂肪もたまっているので、生活習慣病のリスクが高くなります。高脂肪食をよく食べる人や運動不足の人は、異所性脂肪には要注意です。しかし、体重はさほど多くなく、見た目の肥満はない人でも、異所性脂肪がたまる人がいます。メタボに関連する高血糖、高血圧、脂質異常症のうち2つ以上が当てはまる場合は、筋力が低く、筋肉の質の低下が起こっていることがよくあります。
(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)
■筋肉と健康の密接な関係
加齢によって筋力が減っていきます。一般に30歳を超えると年に1%ずつ筋力量が減るとも言われています。すると熱中になりやすくなったり、代謝が悪くなったりしやすいです。
筋トレは加齢していくほど大切
筋トレというと、スポーツ選手や、筋肉質の体系を望む人がやるもの、と思われるかもしれません。しかし、実は年齢を重ねて行くほど、筋トレを習慣的に行うことが重要になります。筋肉量は30歳をすぎた頃から次第に減り始め、80歳の時点ではいちばん筋肉量があった時から6~7割も減った状態になってしまうからです。筋肉は運動器としての役割だけをしているわけではありません。筋肉は糖質と脂質を分解して、熱を発生する基礎代謝も行っています。
筋肉量が多いほど体の中にある余分な糖質・脂質が燃焼され、その結果として血糖値の上昇が抑制され、重大疾患の要因になる生活習慣病の予防にもつながります。
筋肉の主な役割
姿勢を保持 :骨格筋は姿勢保持にとって非常に重要。筋力の維持は、高齢者の転倒による怪我・骨折などの予防につながる。
血液を心臓に戻す :血液を心臓へ戻す際、体の骨格筋が収縮することで血管を収縮してポンプのような役割をする。筋肉量が減ると心臓の筋肉に負担がかかり様々な不具合が出る。
代謝を上げる :体温を一定に保ち生命維持に必要な「基礎代謝」はほとんど骨格筋が担っている。代謝(生命維持のために有機体が行う合成や化学反応)は、「異化」と「同化」に区分される。異化=物質を分解してエネルギーを得る過程、同化=エネルギーを使って物質を合成する過程。
体を衝撃から守る :衝撃から内臓、骨、血管などを守るクッションのような役割をしている。
水分を貯蔵 :骨格筋は体の約6割の水分を保持している。細胞が蓄える水分は、体内で脱水が始まると、細胞から脱水傾向のある血管内に水分を補填して、血液循環を保とうとする。
免疫力を上げる :リンパ球などの免疫細胞は筋肉に多く蓄えられているグルタミンによって活性化される。ゆえに筋肉量が減ると、免疫機能も低下すると言われている。
運動で生理活性物質(マイオカイン)を分泌 :骨格筋は運動をするときに、様々な生理活性物質を分泌していることがわかってきた。この物質を総称して「マイオ(筋)カイン(作動物質)」という。
代表的マイオカイン⇒●IL-6(糖や脂肪代謝を促し肥満や糖尿病を予防) ●FGF-21(肝臓で脂肪を分解) ●Irisin(肥満、糖尿病の予防) ●IGF-1(筋肥大の促進、認知症の予防) ●BDNF(脳の神経細胞を生育)
筋肉量を維持するには
■筋トレを行う
■日常生活の中でこまめに体を動かす
■意識的にたんぱく質を摂取する
筋力トレーニングでは、衰えやすい足腰の筋肉を優先的に鍛えるのがよいでしょう。また、筋トレ後30分以内に良質のたんぱく質を摂取すると、筋肉を合成する働きが促進されます。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
0 件のコメント:
コメントを投稿