2025年6月11日水曜日

内臓脂肪

 中年男性、内臓脂肪を7日で15%減

 高強度の持久力運動により、体脂肪だけを効果的に減らせることを示す研究結果が報告されました。中年男性が7日間で1440kmのロードサイクリングを行った結果、全身の体脂肪は9%減少、内臓脂肪は15%減少して、血圧や血清脂質にも良い影響が生じ、一方で体重はわずか1%しか減らなかったといいます。

 この研究は、ラヴァル大学(カナダ)のジャン=ピエール・デプレ氏らによるもの(詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」9月号に掲載)

 論文の責任著者である同氏は、「我々の研究結果は、肥満予防にはカロリー制限よりも、身体的に活動的なライフスタイルを促進することが重要であるという事実を裏付けている」と述べています。

 また研究グループは、「人間はできるだけ食べないようにするのではなく、身体的に活動的になるように設計されていることを示す、一つのエビデンスといえる」という別の言い方で研究結果を総括しています。

 この研究には、50~66歳のレクリエーションレベルの男性サイクリスト11人(平均年齢60.4±4.4歳)が参加しました。これらの参加者はベースライン時点において、同年齢の一般男性86人に比べて心肺機能が有意に高く、皮下および肝臓の脂肪量が有意に少ないものでした。

 これらの参加者に対して、7日間で1440kmのロードサイクリングを課し、その間、消費したエネルギー量を食事で十分に補充して体重が落ちないようにしてもらいました。そのため、朝食と昼食はビュッフェ形式で自由に摂取可能とし、夕食は持ち帰りの弁当や菓子などを無制限に提供しました。

 7日後、体重は約1%減少し(-0.8±0.9kg)、BMIも低下(-0.3±0.3)したものの、わずかな変化に抑えられていました。

 それに対して、全身の脂肪量は約9%減少し(-1.5±1.0kg)、内臓脂肪量は14.6%減少(-14.1±14.2mL)、ウエスト周囲長も有意に低下していました(-3.2±1.7cm)。

 さらに、除脂肪体重は1.2%増加し(0.8±1.2kg)、総コレステロールは20%以上低下、トリグリセライド(中性脂肪)に関しては40%近く低下し、また血圧も大幅に低下していました。

 研究グループは、「これらの結果は、持久力運動によって引き起こされる影響が体重の変化にとどまらずに、体組成への好ましい影響が少なくないことを改めて強調している」と結論付けています。

(出典:HealthDay News)


■今、改めて"内臓脂肪"を知る

 人間の体では、脂肪は主に二つの場所に蓄積されます。このうち内臓の周りにつく脂肪が「内臓脂肪」、皮膚の下につく脂肪が「皮下脂肪」です。

 内臓脂肪は、腹筋の内側、胃や腸などの消化器官の収まる空洞「腹腔(ふくくう)」内につきます。一般的に、内臓脂肪は女性より男性がつきやすい脂肪ですが、閉経後は女性も内臓脂肪がつきやすくなる傾向があります。

 内臓脂肪は皮下脂肪に比べて注意が必要な脂肪と言われています。それは、内臓脂肪が過剰に蓄積すると糖尿病など様々な病気を引き起こす「生活習慣病」の原因になるからです。

内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクがアップ!

 内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクが高くなるのか、それは以下の理由です。

 お腹周りの脂肪である内臓脂肪は、脂肪細胞から様々な「生理活性物質」を分泌しています。生理活性物質とは、わずかな量で私たちの体の生理に影響を与え、身体の働きを調整する役割を持つ、ホルモンに似た物質です。その作用の多くは体で起きている炎症や、免疫機能の促進または抑制に深く関わっています。

 内臓脂肪から放出される生理活性物質には、生活習慣病を「招くもの」と「防ぐもの」があります。内臓脂肪がたまると、生活習慣病を引き起こす生理活性物質の分泌量が増加し、反対に生活習慣病を防ぐ生理活性物質は減少してしまいます。そのため、内臓脂肪がたまると血糖値や血圧が上がり、血管の損傷が促進され、やがては糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病になるリスクが高まってしまうというわけです。さらに進行すると、動脈硬化や心臓病、脳卒中など命にかかわる病気を発症する危険性が高まります。

 内臓脂肪の蓄積で増加する生理活性物質 

TNF-α:インスリンの働きを妨げ、血糖値を上げる。TNF-αの増加で糖尿病のリスクが上がる。アンジオテンシノーゲン:血圧を上昇させ、高血圧の原因となる。PAI-1:血栓をつくり、動脈硬化を促進させる。

 内臓脂肪の蓄積で減少する生理活性化物質 

レプチン:満腹中枢を刺激して食欲を抑制する、生活習慣病を防ぐ生理活性化物質。内臓脂肪の蓄積で分泌が減少すると、この効果も減少する。アディポネクチン:血圧や血糖を低下させ、傷んだ血管を修復する。動脈硬化の防止効果のある生理活性化物質。内臓脂肪の増加⇒血管損傷の進行⇒生活習慣病。

内臓脂肪が引き起こす主な病気

▼糖尿病 ▼高血圧症 ▼脂質異常症 ▼高尿酸血症・痛風 ▼狭心症・心筋梗塞 ▼非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝) ▼脳梗塞 ▼月経異常・不妊 ▼腎臓病

 内臓脂肪は生活習慣病の原因になり、放っておくと命に係わる病気を発症するリスクが高まります。健診などで内臓脂肪を指摘されたら、まずは自分の生活習慣を振り返り、無理のないゆるやかなダイエット生活を始めましょう。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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