喉の老化:メカニズムと予防策
喉の老化は、加齢とともに誰にでも起こりうる自然な現象です。しかし、そのメカニズムを理解し、適切な予防策を講じることで、QOL(生活の質)の低下を防ぎ、いつまでも若々しい声と健康な喉を維持することができます。
喉の老化のメカニズム
喉の老化は、主に以下の3つの要素が複雑に絡み合って進行します。
(1)声帯の構造変化:【声帯粘膜の弾力性低下】声帯の表面を覆う粘膜は、年齢とともにヒアルロン酸やコラーゲンが減少し、弾力性が失われます⇒声帯が十分に振動しなくなり、声がかすれる、声量が落ちるなど。【声帯筋の萎縮と脂肪変性】声帯を動かす筋肉(声帯筋)も、全身の筋肉と同様に加齢とともに萎縮し、脂肪組織に置き換わることがあります⇒声帯の閉鎖が不完全になり、息漏れのような声になったり、高音が出しにくくなったりする。【声帯靭帯の硬化】声帯の内部にある靭帯も、加齢とともに硬くなり、柔軟性が低下します⇒声帯の振動パターンが変化し、声の質に影響を与える。
(2)喉頭全体の機能低下:【喉頭軟骨の石灰化】喉頭を構成する軟骨(甲状軟骨、輪状軟骨など)は、年齢とともに石灰化が進み、柔軟性が失われます。【喉頭周囲筋の筋力低下】喉頭を支え、動かす周囲の筋肉も、加齢とともに筋力が低下します。【唾液分泌量の減少】加齢とともに唾液腺の機能が低下し、唾液の分泌量が減少することがあります。
(3)神経系の影響:【神経伝達速度の低下】声帯を動かすための脳からの神経指令の伝達速度が、加齢とともにわずかに低下することがあります。【反射機能の低下】嚥下反射や咳反射といった喉の防御機能も、加齢とともに低下することがあります。
喉の老化による主な症状
声の変化 ▼声がかすれる、ガラガラ声になる ▼声量が小さくなる、張りがなくなる ▼高音が出しにくくなる、歌が歌いにくくなる ▼話している途中で息が苦しくなる ▼声が出しにくくなる、疲れやすくなる 嚥下機能の低下 ▼食物や飲物が飲み込みにくくなる ▼食事中にむせやすくなる ▼喉に食べ物が残る感じがする その他 ▼喉の乾燥感、異物感 ▼痰が絡みやすい ▼口臭
喉の老化の予防方法
喉の老化は完全に止められませんが、その進行を遅らせ、症状を軽減することは可能です。
発声・嚥下トレーニング :●声帯運動(ハミング・リップロール/タングトリル・母音発声) ●嚥下体操(首のストレッチ・舌の体操・頬の体操・パタカラ体操・空嚥下)
生活習慣の改善 :●喉の乾燥を防ぐ(こまめな水分補給・加湿・マスクの着用) ●声の酷使を避ける(大声を出さない・長時間の会話を控える・ささやき声もNG) ●食事と栄養(バランスの取れた食事・刺激物を控える・消化の良い食事) ●禁煙 ●適度な運動 ●十分な睡眠
■嚥下障害の原因と食事の工夫
嚥下障害の原因は、器質的・機能的・心理的の3つに大別されます。食べ物が口腔内から咽頭、食道、胃へと運ばれるまでには多くの器官が関わっていますが、嚥下障害はこれらの器官が何らかの理由で上手く働かないことが原因で起こります。
●器質的原因 : 口腔内から胃までの気管に食べ物の通過を妨げる構造上の問題があり、うまく嚥下ができなくなるケース。中でも多いのは、口内炎や喉頭がんによる腫瘍、炎症など。
●機能的原因 : 器官の構造ではなく、それらを動かす筋肉や神経に問題があって嚥下機能が衰えるケース。運動麻痺や認知機能障害を引き起こす「脳血管疾患(=脳卒中)」、または「パーキンソン病」など神経と筋肉の伝達異常が生じる「神経筋疾患」が原因の可能性があります。向精神薬や鎮静剤など薬の影響で各器官の働きが低下することもあります。加齢により咀嚼や嚥下に必要な筋力が衰えるのも、機能的原因の一つ。
●心理的原因 : うつ病による食欲不振など、心因性の疾患が嚥下障害を引き起こすケース。
誤嚥をきたしやすい疾患
以下のような疾患があると誤嚥性肺炎を起こしやすいと言われます。
▲脳血管障害 ▲パーキンソン病 ▲認知症 ▲その他神経疾患 ▲胃食道逆流症
▲食道運動疾患 ▲口腔内乾燥 ▲口腔内癌 ▲歯の噛みあわせ異常 ▲寝たきり状態
▲経管栄養の使用 ▲睡眠薬の使用
誤嚥しない食事の工夫
食事形態は重要です。一般にはペースト状やゼリー状、ムース状が嚥下しやすい形態です。これらの形態は十分に噛めなくてもそのまま飲みこむことができ、また、食べ物を1つの塊として飲みこめるため、食物残渣で誤嚥するリスクを減らします。ただ、お茶漬けのように固体と液体が分離しているものはかえって危険です。また、嚥下反射は常温食材よりも冷たいもの熱いもので起きやすいので注意しましょう。黒コショウの香りは、嚥下反射を司る脳の一部、島(とう)皮質(ひしつ)の血流を促し、唾液分泌を増やして嚥下機能を改善させたとする報告もあり、服貼りタイプの芳香シートが市販されています。
そして、食後すぐに横にならないことも重要です。食後2時間くらいは座位を保ちましょう。寝たきりの場合でも、可能であれば頭を30°程度上げることで誤嚥を防ぎます。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン

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