2011年10月27日木曜日

ポリオとRSウイルスについて

アジア各地にも広がるリスクが高い「ポリオ」「RSウイルス」

経口生ポリオワクチンの定期摂取率の低下が問題になっていますが、日本では1980年から30年以上、野生のポリオウイルスによる小児まひの患者は出ていません。確かに1960年のポリオ大流行を急速に終わらせたのは経口生ワクチンです。しかし、生ワクチンは腸の中で増える間に病原性(毒性)を強めることがあり、頻度は少ないものの、生ワクチンを飲んだ人や保護者などに、ごくまれにワクチンの副作用として小児まひが起こっているという背景がありました。
他の先進国では、1990年代後半から経口生ワクチンを不活化ワクチンに切り替えてきましたが、日本国内で承認されているワクチンは、今のところ経口生ワクチンしかありません。先進国の中で、いまだに経口生ワクチンを使用しているのは日本だけです。

こうした中で先日、神奈川県が独自に不活化ポリオワクチンを海外から輸入することを決めたという報道がありました。神奈川県の黒岩祐治知事は、厚労省予防接種部会の委員を長年務めていました。「そのため、不活化ワクチン導入に対してもいろいろな思いがあったようだ」と神奈川県健康危機管理課・金井信高課長。

また、長年、国内での感染例のないポリオですが、WHO(世界保健機関)は、ポリオの感染が中国で見つかったと発表しています。パキスタンでまん延しているウイルスと遺伝子が同じで、同国が感染源の可能性があると指摘。アジア各地にも広がるリスクが「高い」として警戒を呼び掛けています。中国ではこれまでに子ども6人を含む計9人の感染例を確認。すべてのケースが新疆ウイグル自治区ホータンで見つかりました。厚労省では、中国への旅行者に対し、「現在、日本で定期予防接種されている経口生ポリオワクチン2回では不十分で、少なくとも出発前に1回はワクチンを受けるように」と呼び掛けているそうです。

そして、国立感染症研究所によると、例年は秋に患者が増え始め冬にピークを向える「RSウイルス」が、今年は6月末から増加し始め、10月に入りすでに昨年の11月下旬並みで、2004年以降最も早いペースで流行しているとのことです。
RSウイルスについては次ページでさらに詳しくお伝えします。


■拡がるウイルス感染(前編)

今年のRSウイルスは、過去最大の流行の恐れ
乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者は、都市部を中心に増え続け、国立感染症研究所は、これまでで最も大きな流行になる恐れがあるとして注意を呼びかけています。毎年冬場にかけて流行する、主に乳幼児で流行する発熱やせきなどの症状が出る病気で、初めて感染した場合は肺炎脳症を引き起こして重症化することがあります

感染源はおとな?
RSウイルス感染症は、主にくしゃみなどによる飛まつ感染接触感染で発症し、発熱や鼻水、せきなど、かぜのような症状が出ます。年齢を問わず何度でも感染を繰り返します。大人は鼻かぜ程度の軽い症状で済んでしまうことが多いので、乳幼児のいる家庭では、親や兄弟が感染していることに気付かずに乳幼児に感染させてしまうケースが多いようです。

ウイルスの侵入を防ぐことが先決!
ウイルスに対して鼻腔から肺に至る気道では、線毛や粘液が24時間の防御を行っています。鼻から入った空気は4つある副鼻腔を通過する間に、ホコリやウイルス・細菌などの異物を除去、それと同時に温められ、100%加湿された空気は、肺胞で酸素が最も吸収されやすい状態となります。
そして、上気道では粘膜免疫を初めとするウイルス対策機能が働いていますが、この粘膜は、乾燥に非常に敏感になっています。
のどが潤っていると、粘膜免疫、粘液線毛の輸送機能や抗菌作用、免疫タンパクが発達し、防御機能が正常に働き、ウイルスの繁殖を防ぐことができるのです。

対策は次号後編へ!


いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ

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