2012年3月22日木曜日

苦味は薬味②


苦味は究極の味

 味覚は、甘味、塩味、旨味などは素直に感じることができますが、酸味は時として腐敗を知らせる味でもあります。そして、薬などが持つ“苦味”は、食べづらい味として、人体の弱った時のシグナルの機能を持っています。

 ある反応を起こさせる最低の刺激量を、「閾値(しきいち)といいます。苦味を感知できる閾値は、他の味に比べはるかに低い値です(右表参照)。口に入れたときに、ごくわずかな量でも敏感に苦味を感知することで、毒物の摂取をさけることができるようになっているのです。そのため、殺虫剤や洗剤、不凍液、工業用アルコールなどには、誤飲を防ぐために強力な苦み成分が微量に添加されています。 
 また、微量の苦味物質は、食品や料理の味わいに“こく”“しまり”を与えて複雑で深みのあるものにしています。そして、苦味には甘味との対比効果があり、砂糖を入れたコーヒーの苦味が甘味を引き立てたり、苦いものを味わった後の甘味が特に甘く感じられたりするのはそのためです。

 苦味は一般的に好まれにくい味だけに、古くから薬品や加工食品の苦味を抑制する研究は行われてきました。しかし、甘味や旨味などの好まれる味に比べ、苦味自体の嗜好性の研究例は多くありません。それでも近年では、苦味は成人の食嗜好を考える上で重要な味として注目され、「究極の味」とも言われるようになっているようです。
 また、苦味成分から生活習慣病を予防するなど、人体に有用な生理活性作用が次々と明らかになっています。そして、こんな調査もあります。ストレスを感じた後は、苦味の感受性が低下し、苦味のある食品をおいしいと感じる傾向があるそうです。また、食に対する興味や関心が強いほど苦味を好む傾向も強くなり、ストレス解消の手段として苦味をより求めるようになるそうです。

 ストレスを感じたら、ぜひ「苦味」をご賞味ください。 


■「苦味は薬味」②

 食物が持つ味や性質のことを「五味五性」といいます。五味とは、酸・苦・甘・辛・鹹(塩)の5つの味のこと。五性とは、寒・涼・平・温・熱の5つの性質のことを指します。五味五性の食品を組み合わせることで、食品自体の味も深まり、体によい効能も得ることができるのです

通常の食品では摂りにくく調味料にない味『苦味』
 普段食べている食品全ての性質を理解し実践していくことは、とても難しいかもしれません。五味五性は、自分の体調が悪いとき、悪寒のする時は、体を温める熱や温のもの、夏場は熱をとる涼や寒の食べ物、冷えが気になる時は、夏でも寒や涼のものは控える‥‥、というように、『体が欲するもののバランス』を考えるのが基本です。しかし、通常の食生活で『苦味』のある食物は取りにくく、さらに『苦味』の調味料などは皆無です。

「薬味」について
 薬味とは、漢方薬において薬方(処方)を構成する個々の生薬のことを意味します。たとえば、葛根、麻黄、桂枝、甘草などで構成されている葛根湯は、七つの薬味でできています。また、日本の食習慣にある薬味は、食欲を増進させる、水分の摂り過ぎで冷えた体を温める、食べ物の腐敗や食あたりを防ぐなどの効果が期待できます。料理の味を引き立てると同時に、料理に薬効成分をプラスするためのものなのです。

 日々の食生活で摂取しにくい『苦味』は、五行思想においても小腸、心、舌、そして“血脈”をつかさどる大切な味として位置付けられています(図表参照)。

 生薬の最高峰といわれる霊芝にも『苦味』があります。霊芝の苦味は、医薬品のような“えぐい”苦味ではなく、『さわやかな苦味』が特徴です。


いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ


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