アルツハイマー病に関する明るい話題、次々と
米デューク大学の研究チームが米専門誌「神経科学ジャーナル(Journal of Neuroscience)」に発表した論文によると、免疫系がヒトに近い形に作られたマウスでの実験の結果、アルツハイマー病の初期段階で、本来は脳を保護する「ミクログリア」という免疫細胞が分裂して変化し、重要な栄養素であるアルギニンを消費し始めることが分かったとのこと。
チームは、発症前のマウスにジフルオロメチルオルニチン(DFMO)という低分子薬剤を投与しこのプロセスを阻止することで、脳内のプラーク発生と記憶喪失予防に成功したといいます。
今回の研究では、免疫細胞の具体的役割の解明はできませんでしたが、アルツハイマー病発症の新たな要因特定と治療法開発につながる可能性がある、と伝えています。
一方、日本では、アルツハイマー病の治療薬と市販の漢方薬「人参養栄湯」との併用で、患者の認知機能低下や病気に特徴的なうつ状態に回復傾向がみられたというニュースが流れました。
慶応大などのチームが、近く日本老年精神医学会の英文誌に発表します。今後、患者数を増やし、効果の検証や仕組みの解明を進めるとのことです。
アルツハイマー病患者の脳では、情報をやり取りする神経細胞の突起を包む「ミエリン」と呼ばれるサヤが失われることが分かっています。チームが、アルツハイマー病マウスに、様々な薬剤を投与したところ、病後の体力低下や疲労回復などに使われる人参養栄湯では、失われたミエリンが再生されたのです。自ら意思決定できる中程度の進行度の患者を選び、同意を得た上で、2011年から2年間、既存の治療薬「ドネペジル」(毎日5mg)と人参養栄湯(同7.5g)を患者12人(平均年齢75歳)に投与。ドネペジルのみの患者11人(同75歳)と、症状の変化を比較しました。その結果、6カ月後には、併用した患者群ではドネペジルのみの患者に比べ、うつ状態を示す数値が改善し、その効果は2年続きました。また、記憶や判断力などの認知機能もほぼ同様の効果がありました。
一方で、妄想や無関心など他の症状では両者に差はありませんでした。
チームの阿相皓晃・慶応大講師(神経科学)は「人参養栄湯のみでも有効なのか、重度の患者に効果があるのかなど、研究を続けたい」と話しています。
■ミクログリアとミエリン
ミクログリアは“諸刃の剣”
脳の中には大きく分けて2種類の細胞が細胞が含まれています。一つは私たちが見たり聞いたり触ったりした情報を修理する「神経細胞(ニューロン)」で、もう一つはそのニューロンを支え栄養を与える「グリア細胞」です。グリア細胞は主に3種類ありますが、その中でちょっと変わった細胞が「ミクログリア」です。ミクログリアはマクロファージのような性質を持っており、脳細胞が死んでしまえばそれを食べて組織をきれいに保とうとします。病原体などと戦うときには倒すために様々な毒性の物質を出しますが、うまく制御できないとそれが健康なニューロンにも作用して殺してしまうことがあります。もちろん、ミクログリアはニューロンの栄養となる物質を出してニューロンを保護することも知られており、ここからミクログリアは“諸刃の剣”といわれるのです。
浜松医科大の研究では、自閉症の人はミクログリアが過剰に働いていることを突き止めており、これがセロトニントランスポーターの低下と相関関係にあることがわかっています。
また、慢性疲労症候群の原因の一部にミクログリアの活性化の可能性があるとする名古屋大学などの研究や、今号1枚目の、ミクログリアがアルギニンを消費することがアルツハイマー病の一要因とする研究発表など、ミクログリアのさらなる解明により、現代病のいくつかの治療が進むことが期待されています。
ミエリン再生に対する研究に期待
生後何らかの理由によりミエリンが壊れはがれる病気を「脱髄疾患」といいます。脱髄疾患の中で最も多いのは「多発性硬化症」と呼ばれる疾患で、世界で250万人の患者がいます。また脱髄疾患には分類されていませんが、脳梗塞やアルツハイマー病においてもこのミエリンに障害が出ることが分かっており、最近では統合失調症等の精神疾患においてもミエリン異常が仮説として提唱されています。即ち、世界で数千万人規模の人がミエリンに障害を持ち、そのための症状に苦しんでいると推定されています。
現在のところ、一度壊れた髄鞘を治療として再生させる薬はありません。前項の慶応大などの研究に期待が寄せられています。
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微小循環の改善は、アルツハイマー病も含めた認知症全般に対して有効です。「HM-3000(特系霊芝)」は、血流改善だけでなく、スコプラミン薬による記憶障害などに対しても影響を与えることがわかっています。
今年、宮崎県の認知症患者がHM-3000配合商品を使用して症状が改善したとの報告がありました。この件は、来年開催される「第1回康復医学学会日本」の大会で、薬局の先生から発表していただく予定です。
また、神経細胞膜の流動性に影響するデータを持つ「ラフマ」は、ミクログリア活性の抑制に期待ができます。
いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン
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