2016年3月16日水曜日

便と健康

「糞便バンク」開設、腸内感染症治療に(オランダ)

オランダの研究者らが、血液バンク、精子バンクに続いて同国初の「糞便バンク」を開設しました。慢性腸内感染症の患者の治療を目的とした最先端医学の一分野だといいます。

 新たに開設されたのは「オランダ・ドナー糞便バンク」。ライデン大学の研究者(細菌学教授)は、「移植のための糞便中の物質を医師や病院に提供する一助となる」と語っています。同施設は、こうした移植に役立てるために必要な糞便の収集、保管、配布を行います。
 糞便移植療法は、慢性の腸内感染症、特にクロストリジウム・ディフィシレ菌(CD)に苦しむ患者の唯一の解決策である場合が多く、特に、長期にわたって抗生物質治療を受けた後の患者の体内で増殖するケースが顕著だといいます。
 「ある種の抗生物質が腸内の細菌叢(さいきんそう/マイクロバイオーム)を破壊するため、細菌が増殖して拡散することが可能になる」と教授は説明。そして「糞便移植により、体に良い細菌を体内に戻すことができる。この細菌が移植後に腸内で拡散することで、健全な細菌叢が腸内に再生される」と続けています。

 オランダでは毎年約3,000人がCD感染と診断されており、感染例の約5%で慢性化しています。同国では毎月約3~4件の糞便移植が実施されています。症例によっては、CD感染が重度の下痢や、大腸や腸せん孔の重い炎症を引き起こし、命にかかわる恐れもあります。
 糞便のドナーについて教授は、「健康で、太り過ぎでもやせ過ぎでもなく、優れた腸内細菌叢の持ち主でなければならない」と言います。

 昨年世界初の糞便バンクを2か所開設した米国とは異なり、ドナーに報酬は支払われません。糞便はそれぞれの自宅で収集され、ドナーは匿名性が保たれます。提供された糞便は、オランダ西部の都市ライデンにある糞便バンクに運ばれ、移植に適した製品へと加工されます。移植には内視鏡が用いられるそうです。

 「糞便バンク」は、他の疾患に関する研究の一助となることが期待されているほか、消耗性疾患のクローン病など、その他の病気に適用される可能性もあるとのことです。ただ、「献便」が献血と同程度に受け入れられているわけではないことを教授は認めています。
 「だがそれは、人々の慣れの問題であり、ドナーは難病に苦しむ患者に安全な治療の可能性を提供していると考えている」。
出典:AFP=時事 2016.02.16

■健康は“便”で判断できる

便は健康状態を知らせる、腸からの“便り”

毎日の排便チェックで、腸の健康状態はすぐにわかります。排便回数や便の量・色・形・においは、腸内環境の良し悪しを如実に反映しているからです。

【回数と量】
 通常1日1~3回、少量でも毎日排便することが大切です。日本人の量は130~180gで、バナナ1本半くらい。食物繊維を多く摂る人は200~300gになります。
【色】
 便に色を着けているのは胆汁の中の「ビリルビン」。この物質は、便がアルカリ性なら黒ずみ、酸性なら黄色味を帯びます。腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が多い場合は、腸内は弱酸性に保たれているので、便は黄色っぽくなります。しかし悪玉菌が増え、腸内がアルカリ性になると便はずみます。黒い便が続くときは、胃や腸のどこかで出血している恐れもあります。特にコールタール状の便の場合は、がん潰瘍などが疑われます。
【水分量】
 健康体の便は、適度な水分を含みます。質の良い脂肪が不足していると硬くてコロコロした便になり、脂肪過多のときは水っぽい便になります。腸の中に長い間留まっていると、便は水分がなくなり、便器の水に沈みます。水にふわふわと浮くのが、しっかり消化され適度な水分を含む“良い便”の目安となります。
【におい】
 オナラの主成分は窒素、水素、酸素、二酸化炭素、メタンで、ほぼ無臭。悪臭の元はアンモニア、硫化水素、インドール、スカトールなどで、悪玉菌が作り出します。これらが0.1%でも混じると臭いガスになります。便秘時のオナラはとても臭くなります。腸内の腐敗が悪臭の元なので、オナラのにおいでも健康状態がわかるのです。

腸内細菌と便

大便の成分は、水分含有量80%、食物繊維10%、食べかす・老廃物・腸内細菌10%です。便の腸内細菌を調べれば、その人の健康状態が判断できます。

 千葉大学医学部付属病院は、薬や抗生物質では治療が難しい腸炎患者の症状を改善するために、健康な人の腸内細菌を注入する「糞便移植療法」という新しい治療法の臨床研究に取り組んでいます。これは、健康な人の便と生理食塩水とを混ぜてろ過し、その液体を患者の腸内に注入するという方法です。正常な腸内細菌を患者の腸内フローラ(腸内細菌が多数集まっている場所)に注入することで、腸内細菌のバランスが正常化し、症状の改善が期待できるのだそうです。

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グリシンの整腸作用

康復医学学会が、新しい甘味料のあり方として霊芝炭とともに研究を続けている「グリシン」(アミノ酸の一種)は、睡眠改善のほかにもさまざまな健康作用が確認されています。整腸作用が高いこともそのひとつで、便通改善物質として働きます。
 グリシンは、腸内善玉菌を増殖させて腸の活動を活発にするため、便秘や下痢になりにくくなるのです。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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