2019年4月17日水曜日

筋トレと心疾患

腕立て40回以上で心疾患リスク低下?

腕立て伏せが40回以上できる中年男性は、10回未満しかできない同世代の男性と比べて心血管疾患(CVD)リスクが有意に低いことが、米Harvard T.H. Chan School of Public Healthの研究で分かりました。研究者によると、腕立て伏せの回数とCVDリスクの関連について検討した研究はこれが初めで、「腕立て伏せ回数の測定は、簡便で安価なCVDリスクの評価法になりうる」としています。

 研究者らによると、客観的に評価した体力(心肺フィットネス) は健康状態の強い予測因子であり、医療機関で患者の心肺フィットネスを評価する必要性が指摘されているといいます。また、トレッドミル最大運動負荷試験などによる心肺フィットネスの評価結果とCVDリスクに負の関連が認められたとの報告があります。しかし、トレッドミル試験などの体力測定方法はルーチンで実施するには高額で時間もかかります。

 そこで研究者らは今回、より簡便で低コストの体力測定方法として腕立て伏せの回数測定に着目。2000~10年に収集された18歳以上の男性消防士のデータを使って、腕立て伏せ可能回数とCVDリスクの関連について検討しました。対象は研究開始前および開始後、定期的に腕立て伏せ可能回数の測定やトレッドミル最大運動負荷試験などの身体検査の他、健康状態に関する質問調査が実施されています。

 最終解析対象は、研究開始前に身体検査を受けた消防士1,562例のうち、腕立て伏せ可能回数のデータが入手できた1,104例(平均年齢 39.6歳、平均BMI 28.7)。
 10年の追跡期間中にCVDに関する出来事(冠動脈疾患、心不全、心臓突然死)が37件発生していました。解析の結果、腕立て伏せが40回できた男性は、10回以下の男性と比べて年齢やBMIで調整後のCVDリスクが96%低かったのです。腕立て伏せ可能回数は、トレッドミル最大運動負荷試験の結果に基づいた最大酸素摂取量よりもCVDリスク低下に強く関連していたのです。

 結果について、研究者らは「研究対象が、身体活動レベルが高い中年男性だったため、女性や他の年齢層の男性、身体活動レベルが低い男性には当てはまらない」と説明。その上で「より多様な大規模研究で検証する必要はあるものの、腕立て伏せ可能回数の測定は、有益かつ客観的な身体機能およびCVDリスクの臨床評価ツールとなりうる」と結んでいます。

 同大学では「今回の研究から、健康の維持には体力が重要であること、医師は診察の際に患者の体力を評価すべきであることが、改めて示された」と述べています。
(出典:https://medical-tribune.co.jp/)

■筋トレは心筋も強くする

筋トレは筋力を高めたり、筋肉量を増やす効果があります。これらの効果に加えて、新たに注目されているのが最大酸素摂取量を増やす効果です。

 最大酸素摂取量とは、ある運動を疲労困憊まで行ったときの酸素の摂取量のことをいい、体力や持久力の指標とされています。ハーバード大学の研究では、最大酸素摂取量が多い人は少ない人に比べて28%も死亡率が低いことが示されています。そのため、健康の増進のために最大酸素摂取量を高めることが推奨されています。

 これまで最大酸素摂取量を高める方法として有酸素運動が推奨されてきました。しかし近年、特にベンチプレスやスクワットなどの多関節トレーニングが最大酸素摂取量を高める効果が報告され、公衆衛生学でも有酸素運動に代わる健康増進の手段として注目されています。 
 そして筋トレが最大酸素摂取量を高める要素のひとつとして考えられているのが、心臓から血液を送り出す量(心拍出量)であり、そのポンプ能力を担う「心筋の収縮力」です。
 継続的なトレーニングが心筋の筋肉量を増やし、収縮力を高めることによって心臓から拍出される血液量を増加させます。トレーニング時、全身の末梢血管は収縮して血圧が上昇しますが、それにより、心臓に圧力負荷を生じさせます。この圧力負荷が心筋を増強させる要因であると考えられています。

筋トレは心臓病後の心筋も強くする

イスラエル・ヘブライ大学病院の研究で、従来の有酸素運動に比べて、有酸素運動に筋トレを追加することで、心臓病により弱った心筋の能力を高め、体力の向上とともに日常生活や仕事の満足度を高めることが確認されています(2018)。
心筋による収縮・拡張能力が増加し、さらに仕事や家事などの身体機能に関する生活の質(QOL)の向上が示されました。また、被験者に有害事象は認められなかったとのことです。

 現代の運動生理学では、筋トレが心臓の機能を高めることを明らかにし、その結果が医学に応用されつつあります。そして社会全体の健康増進を目的とする公衆衛生学においても、筋トレの重要性が認識されつつあるのです。

スクワットや腕立て伏せなどの筋トレ後、胸に手を当ててみてください。心臓の大きな鼓動を感じるはずです。筋トレによって心臓も強くなっているのです。


いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン

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