新型コロナとメラトニン
スペインのラパス大学病院で、新型コロナ予防に関するメラトニン投与の臨床試験(ランダム化比較試験=RCT)が2020年4月に開始されるというニュースが入ってきました。調査対象/450人(18~65歳の医療関係者)、薬品/メラトニンサプリ、試験/介入群:メラトニン2mg、対照群:偽薬、方法/就寝前に経口でサプリメントを摂取し、12週間行う。
何度かお伝えしましたように、抗ウイルスに関する自己の免疫機能を高めるため、薬からではなく栄養素から考えることが各国の研究機関で活発になってきています。
なお、メラトニンはビタミンやミネラルと違ってホルモン的な作用があるため、「体にいいんだ」ということで安易にサプリメント使用に走らないようにしてください。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、今年3月に日本初のメラトニン受容体作動性入眠改善薬、世界初の遺伝子組み換えvon Willebrand因子(VWF)製剤、独自の化学構造を有する非定型抗精神病薬、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬などの医薬品が厚生労働省から承認を受けたと発表しました。血液脳関門を容易に通過できるので、即効性がありますが、理解のある栄養カウンセラーやお医者さんに相談して摂取する必要があります。
メラトニンには抗酸化、抗炎症作用があり、体内合成することができるホルモン様物質です。私たちとしては、いかにメラトニンをきっちり合成・分泌させることができるかが、カギとなります。
新型コロナウイルスが体内へ入ると「インフラマソーム」(ウイルス感染時に発現される炎症シグナルを送るたんぱく質)が合成されます。そしてインフラマソームが過剰になると炎症が持続し肺炎へと向かいます。「メラトニンはCOVID-19の重症化を軽減できるか」という研究もアメリカで行われています(20200408発表)。すでにメラトニンはインフラマソームをブロックする働きが解明されており、また、ウイルスによる活性酸素ストレスを阻害する働きもあることがわかっています(⇒抗炎症作用と抗酸化作用)。
さらに、新型コロナ感染では間質性肺炎*が問題になっていますが、これが悪化すると、肺胞の組織が線維化して硬くなってしまいます。そして2018年には、メラトニンは肺の線維症を予防することも確認されています。
*間質性肺炎:肺の中にある肺胞の壁の部分(=間質)に炎症が起こる病気の総称(右図参照)。
(出典:https://medical-tribune.co.jp/ 、https://www.youtube.com/ 栄養チャンネル)
■メラトニンの働きと合成
メラトニンは、睡眠に向かわせる作用のあるホルモンで、脳の松果体で合成・分泌されます。すでに哺乳類が誕生する30億年以上も前から存在し、もともとは活性酸素を消去する抗酸化物質として原始生命体が利用してきたことがわかっています。メラトニンと睡眠
生命活動には概日リズム(体内時計)と言われる活動と睡眠の周期があり、朝日を浴びて規則正しい生活をすることでメラトニンを分泌する時間や量が調整されます。夜、暗くなる→ メラトニン分泌量が増える→ 脈拍・体温・血圧が低下→ 睡眠を誘発
睡眠中に行われるメラトニンの作用には以下のようなものがあります。
・抗酸化作用 ・抗炎症作用 ・損傷したDNAの修復
・抗がん作用 ・免疫細胞強化作用 ・若返り効果
・成長ホルモン分泌 ・骨の形成や葉の発達
特にマクロファージ・樹状細胞・NK細胞・顆粒球・B細胞・ヘルパーT細胞など免疫細胞の作用を強化するメラトニンの効果は、ウイルス感染症対策のカギとなりそうです。
メラトニンの合成方法(右図参照)
メラトニンの材料となるトリプトファンは食品からも摂ることができますが、経口摂取で取り入れたトリプトファンから5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)を経て作られたセロトニンは、その大部分が腸内で使用されてしまい、脳内の中枢神経系に2%しか存在しない脳内セロトニンの合成にはほとんど期待できません(セロトニンはほかに消化管粘膜に90%、血小板中に8%存在します)。したがってメラトニンの合成には至らないのが現状です。マグネシウムとメラトニン合成
高齢者46人の二重盲検で、8週間毎日500mgのマグネシウムを投与したグループは、メラトニンが優位に増加したという研究があります(2012年)。マグネシウムはメラトニンを調節し、体内の睡眠覚醒サイクル(体内時計)を誘導します。
だからマグネシウム(350~500mg/日)の摂取を意識することが大切なのです。
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康復医学学会では、主要研究素材「ラフマ葉エキス」配合のサプリメントをお勧めしています。ラフマ葉エキスは、メラトニンの原料となる脳内セロトニンの産生を効率的に促し、セロトニン神経の通過性を安定させます。メラトニンの合成の促進に期待できます。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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