台風の季節は片頭痛注意報?
台風シーズンの夏から秋にかけて、低気圧の接近とともに片頭痛を訴える人は少なくありません。昔からこうした天気の状態による頭痛は「天気病み」とも呼ばれていました。
「片頭痛」は、頭の片側、もしくは両側が脈拍に合わせてズキズキと痛む頭痛のこと。月に1~2回、多い人では週に1~2回ほどの頻度で数時間から2~3日間、痛みが続きます。日本では約840万人が悩まされています。同じ頭痛でも長時間のパソコン作業などで筋肉が緊張して起こる「緊張性頭痛」は体操や体を動かすことで痛みが引くことが多いものです。ところが、片頭痛は動くとかえって痛みが増します。頭痛以外に吐き気や嘔吐、下痢を引き起こすことがあり、仕事や家事が続けられなくなるなど日常生活の大きな支障になることも少なくありません。
「低気圧によって人の体はむくみがちになる。このむくみが脳血管にも及んで片頭痛が起こりやすくなる」(東京女子医科大学 清水俊彦医師)。夏から秋口にかけて、しばしば台風の接近するシーズンは片頭痛患者にはつらいシーズンとなります。
片頭痛患者は女性が男性の4~5倍と圧倒的に多く、特に20~40代の女性に集中しています。これはセロトニンが女性ホルモン(エストロゲン)の分泌と密接に関係があるからと考えられ、月経や排卵日前後に片頭痛が起こりやすいのはこのためです。不規則な食生活や過激なダイエットでホルモンバランスが乱れても、片頭痛の原因になることもあります。
清水医師によると、日本人はがまん強く頭痛に耐えようとする傾向があります。医療機関にかからずに治そうとして、市販の頭痛薬に頼る場合もありますが、片頭痛の根本的な治療薬でないと度重なる服用がかえって頭痛を引き起こすケースもあります。
また、頭痛に詳しくない医師だと「ただの頭痛で心配ない」と鎮痛剤(頭痛薬)を処方してすませてしまうこともあります。"頭痛は立派な病気"だけに、頭痛専門医がいる病院・クリニックなどで受診しましょう。
頭痛外来などで専門医が片頭痛患者に処方するトリプタン製剤は、血管のセロトニン受容体に作用し、血管の収縮と炎症物質の放出を抑制します。片頭痛の根本原因に直接作用し、痛みを大幅に軽減できる薬です。
強い光が誘因することもあるので、夏場の外出時にはサングラスと日傘を準備しましょう。家庭内でも蛍光灯やパソコンのブルーライトを避け、できるだけ柔らかい光の照明器具を選びましょう。また、水分補給では硬水のミネラルウオーターがお薦め。脳血管を安定させる作用があるマグネシウムが多く含まれています。
「どうせ治らない痛みだから」とあきらめるのではなく、片頭痛についてくわしく知ることが、症状の改善と予防につながるのです。
(出典:https://style.nikkei.com/)
■片頭痛とセロトニン
片頭痛発生のメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、三叉神経―血管説が有力です。何らかの原因で脳の血管が拡張し、その拍動に伴い血管周囲を取り巻く知覚神経(三叉神経)が刺激されて、頭がズキンズキンと割れるように痛むのです。片頭痛は天候や睡眠の変化、体内ホルモンの変動、ストレスからの解放など心身のリズムが崩れたときに起きやすいですが、この働きに重要な役割を果たしているのが脳内セロトニンです。
脳内のセロトニンは大脳深部の中脳で産生され、近接した視床下部により分泌が調節されています。視床下部はセロトニンのほか、自律神経や睡眠と覚醒、情緒、女性ホルモンなどのホルモン調節に関与し、また満腹・空腹の中枢でもあります。人のほとんどすべての感覚は大脳深部の脳の視床に向かい、その情報は直下の視床下部に送られます。
片頭痛を持つ人は、環境変化や心身のリズム変化、ホルモン異常などに対して視床下部が敏感に反応する体質を遺伝的に持っているといわれています。興奮した視床下部からの刺激を受けて中脳からセロトニンが大量に放出され、やがて脳内のセロトニンが枯渇してしまいます。また視床下部のストレス中枢は興奮すると、脳幹にあるセロトニン神経を直接抑制しセロトニン分泌を低減させます。ストレス状態はセロトニン欠乏脳を生みます。
セロトニンは知覚神経である三叉神経をコントロールし、また三叉神経終末にはCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質が存在しています。このCGRPは受容体を介して血管を拡張させるとともに炎症を起こすことがわかっています。セロトニンが減少すると、セロトニンの制御から解き放たれた三叉神経は勝手に興奮し始め、脳血管に向けてCGRPを放出し、脳血管を拡張させ、脳血管周囲に炎症を起こします。その結果、過剰に拡張した脳血管の隙間から炎症物質が漏出、血管周囲に起こった炎症をさらにひどくするとともに、血管周囲の三叉神経を刺激して、痛みが増して脈打つ頭痛が起こります。
セロトニンは臓器に作用し、それぞれの臓器がそれぞれの反応し、セロトニンが作用するセンサーにも様々なタイプがあり、片頭痛を起こす血管だけに作用するセロトニンがあるのではないかと思われていました。その結果、脳の血管だけに作用し、セロトニンに構造が類似しているトリプタンが発見され、現在、片頭痛の治療に広く使用されています。さらに三叉神経から放出されたCGRPをブロックするという抗CGRP抗体が現在、開発されています。
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康復医学学会の主要研究素材である「ラフマ葉エキス」は、脳内セロトニンの産生を促し、セロトニン神経の通過性を安定させることが確認されています。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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