2021年8月27日金曜日

新型コロナウイルスの変異株とワクチン

 ワクチン接種完了でも感染リスク

 米国疾病予防管理センター(CDC)は7月30日、新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株について、ワクチン接種を完了した者であっても、同株に感染した場合に他者に拡散させるリスクを指摘する声明を発表しました。

)各種決められた回数のワクチン接種完了後2週間を経た者が対象で、ファイザー製とモデルナ製は2回、ジョンソン・エンド・ジョンソン製は1回の接種でワクチン接種完了とされている。

 CDCが同日に発表した疾病・死亡率週報(MMWR、以下、週報)によると、マサチューセッツ州で7月3~17日に発生したクラスター感染のうち、73.8%(469人中346人)がワクチン接種完了者だったと報告。また、感染者のうち133人のゲノム配列を検証したところ、9割がデルタ株に感染していたとしています。これを受けて、CDCのロシェル・ワレンスキー所長は「ウイルス量が多いことは感染リスクが高いことを示しており、ほかの変異株と異なり、ワクチン接種完了者であってもデルタ株に感染した場合にはウイルスを伝染させることが懸念される」と声明の中で述べています。そして、今回の発見に基づいて、ワクチン接種完了者が知らないうちにウイルスを他者に拡散させることのないよう、7月27日にマスク着用推奨のガイドラインを変更したとしています。CDCは週報の中でも、ワクチン接種が重症化と死亡を防ぐ最重要の戦略とした上で、感染率が高くない地区でもワクチン接種の有無にかかわらず、屋内でのマスク徹底などの感染予防策の拡大を検討すべきとしています。

 米国では今回の発表の前にも、連邦政府や自治体、大手民間企業が従業員に対してワクチン接種を義務付ける、または接種の有無を確認し、未接種の場合は毎週の検査を受けさせるといった方針を出すなど、デルタ株による感染拡大を受けた対応が取られていました。今回の発表を受けて、今後はマスク着用の方針が自治体や企業において変更される可能性があります。例えば、既に小売り大手のウォルマートとクローガーは7月30日に、マスク着用に関する方針の変更を発表しました。ウォルマートは、CDCの呼び掛けどおり、感染拡大地域では従業員にマスク着用を義務付けるとともに、来客にも着用を推奨します。クローガーは、ワクチン接種の有無にかかわらず、同社の店舗・施設内にいる間、全ての者にマスク着用を強く推奨するとしています。

(以上、出典:CBSニュース7月30日)

★現在、南米などで感染が広がり、日本への上陸も確認されている"ラムダ株"にも変異がいくつかあり、従来株よりも感染力が強くなったり、ワクチンの効きめが弱くなったりする可能性が懸念されています。ただし現時点では、ラムダ株の感染力の強さや、ワクチンの効果に与える影響については、専門家による審査前の論文報告がいくつかあるものの、十分には明らかになっていません。


■デルタ株に対するワクチンの有効性

 感染者の大部分はワクチン未接種の人たちです。しかし、2回の接種完了後に感染する「ブレイクスルー感染」も発生しており、わずかながらこうした感染によって入院、死亡するケースも報告されています。ただ、こうした例はごくまれなものであり、これまでに接種が進められているワクチンは、デルタ株に対しても十分な効果を保っているといいます。

こうした現状とワクチンの有効性について、現時点で分かっているのは、以下の4点です。

1.  デルタ株はさらに危険? 

 現状、デルタ株が従来株(武漢株)やその他の変異株より重症化の可能性を高めているとはみられていません。しかし感染力は武漢株の2倍近くに強まったとされています。これは、デルタ株が変異によってヒトの免疫系から逃れる能力を高めたことが、理由のひとつです。また、デルタ株の感染力が強いのは、感染者の鼻や喉で確認されるウイルス量が大幅に増加、さらに他の人にうつしやすくなっているためです。

2.  ワクチンに問題がある? 

 ワクチンに問題があるとは考えられていません。米国ではこれまでに1億6380万人以上がワクチン接種を完了していますが、そのうちブレイクスルー感染して入院した人は、死亡した人を含めて6000人未満。重症化するのは、高齢者や免疫不全の人が大半とみられており、75%が65歳以上です。ワクチン接種を完了しても再感染して重症化する確率は今のところ非常に低く、米疾病対策センター(CDC)は、ブレイクスルー感染しても無症状だという人を確認するためのデータ収集を停止しています。

3.  ワクチンはデルタ株にどれだけ有効? 

 従来株に対する有効性に比べ、わずかに低下してはいるワクチンもあります。しかし、それでも米国で緊急使用を認められているワクチン(3種類)はすべて、デルタ株に対する高い有効性を保っています。接種を完了していれば、その後にデルタ株に感染しても、重症化や死亡の危険性ははるかに低くなります。7月21日発表の研究結果によると、米ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発したワクチンの接種完了後の有効性は、アルファ株(英国で確認)に対して93.7%、デルタ株(インドで確認)に対して88%でした。ただし、接種が1回終了した時点での有効性は、デルタ株に対しては大幅に低下していました。一方、イスラエルで行われた調査結果などのデータによれば、デルタ株に対するファイザー製ワクチンの(接種完了後の)有効性は、結果的に64%に低下したとされています。

4. 「ブースターショット」は必要? 

 ワクチンの種類によっては、それも考えられます。自社のワクチンに関する分析を継続しているファイザーによれば、時間の経過とともに有効性が薄れていくことが示されており、そのためブースターショット(追加接種)が必要になる可能性があるといいます。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(デルタ株に対しては有効性が下がるとの調査結果もある)、モデルナについては、ブースターショットの必要性について判断するだけの十分なデータが得られていません。


いつもありがとうございます。愛・感謝 村雨カレン

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