2022年9月15日木曜日

口腔健康

 食欲の秋、"脱早食い"で健康アップ

 国民健康栄養調査の結果では、男女とも食べる早さが「早い」人ほど肥満度が高い人の割合が多いことがわかっています。いくつかの疫学研究でも同様の結果が出ており、また子どもにおいても同じ傾向がみられます。

 早食いをすると肥満になりやすいのはなぜか? 食事をすると血液中のブドウ糖濃度が上昇し、満腹中枢がそれに反応して満腹感を知らせますが、ブドウ糖濃度が上昇するには、ある程度の時間が必要です。早食いの場合、満腹感が得られる前に多くの食事を摂ってしまいがちになり、摂取エネルギー量が多くなるため肥満につながると考えられています。

 広島大学の研究チームが約1,000人の男女を5年間追跡調査した結果では、早食いの習慣のある人がメタボを発症した割合は11.6%で、ゆっくり食べる人の2.3%、普通の人の6.5%よりも高いということが確認されています。早食いは、体重の増加、血糖値の上昇、腹囲の増加にも関連していることがわかっています。

 日本肥満学会の「肥満症治療ガイドライン」では、肥満の行動療法の一つとして「咀嚼法」があげられており、一口30回噛むことが推奨されています。咀嚼には、満腹中枢を刺激して、食欲を抑える働きがありますが、さらにゆっくりよく噛んで食べることで、食後のエネルギー消費量である「食事誘発性体熱産生」が増加します。食事誘発性体熱産生とは、食後安静にしていても栄養素の消化・吸収による代謝によって使われるエネルギー消費量のこと。つまり、よく噛んでゆっくり食事をすることは、エネルギー摂取量の抑制とエネルギー消費量アップの2つの効果が期待できることになります。

 ゆっくり食べる、つまり食べるスピードを遅くするには、食材の工夫をする、という方法もあります。料理の際は、食材は大きく厚めに切り、噛みごたえがある状態に。きのこやこんにゃくなど食物繊維を多く含む食材を使うことも効果的です。魚や肉は骨付きのものを選ぶと噛みごたえや食べにくさから時間をかけて食べることができます。

 十分な咀嚼には、"噛める"ことも大切です。国民健康・栄養調査報告から、歯の本数が多い人ほどよく噛めることがわかっています。歯を失う2大原因は、虫歯と歯周病です。毎日の歯みがきや定期的な検診で、歯の健康も維持しましょう。

(出典:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/)


■お口の健康から全身の健康へ

 近年、お口の健康が、全身の健康や生活習慣病に大きく関係していることを示す科学的なデータが報告されつつあります。


口腔健康は生活習慣病に関係あり!?

 厚生労働省が行っている国民健康・栄養調査から、現在歯の数が少ない人ほど炭水化物の摂取量が多く、ミネラル、ビタミン類、食物繊維の摂取量が少ない傾向が認められています。こうした背景から、歯周病などによる歯の喪失と共に生じる咀嚼能力の低下が、食行動の変化を招き、食行動の変化から生じる栄養摂取状態の悪化が、生活習慣病やメタボリックシンドロームを促進するのではないかと推測されます。


口腔機能の低下を防ぐことがフレイルを防ぐ

 歯・口の健康の悪化が放置され、食べる・しゃべるといった機能の低下が進むと「オーラルフレイル」と呼ばれる状態になります。これは、栄養 面・身体面のフレイルを進行させ、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)やロコモティブシンドローム(運動器症候群、ロコモ)の要因となります。オーラルフレイルを予防・改善することによって、全身のフレイルに歯止めをかけることが重要です。

 昨今、地域包括ケアシステムが推進される中で、フレイル予防への動きが活発になってきています。

 日常生活の行動に、少し運動を取り入れたり、歩く時間や距離を伸ばすなどして、毎日続けられる方法を少しずつ始めましょう。 ロコモティブシンドロームを予防する方法によっても、足腰の筋力を向上・維持し、バランスを保つことで、フレイルを予防し、その進行をおさえることができます。


※地域包括ケアシステムとは :高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援の体制を包括的に構築、提供しようとするシステム。

※QOLとは :「quality of life」の略。人々の生活を物質的な面から量的にのみとらえるのではなく、精神的な豊かさや満足度も含めて、質的にとらえる考え方。

※ADLとは :「activities of daily living」の略。食事、排泄、着脱衣、入浴、移動、寝起きなど、日常の生活を送るために必要な基本動作全てを指す。高齢者の身体活動能力や自立度をはかるための重要な指標。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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