老化研究で注目の物質 “エクソソーム”
私たちの体のさまざまな細胞から放出され、細胞の情報伝達に関わる小さなカプセル状の物質「エクソソーム」。最近はメディアでも話題で、医療や美容などを中心に、応用に向けた研究や開発が進んでいます。
「がん転移」のメカニズムや老化とも深く関わることで注目されるようになったエクソソームですが、エクソソームは、健康な細胞からももちろん放出されています。がん細胞から放出されるエクソソームはいわゆる“悪玉”ですが、“善玉”もあります。動物や植物の幹細胞、間葉系幹細胞のエクソソームなどです。
動植物の幹細胞のエクソソームは、スキンケアを始め、アンチエイジングに働くことがわかっています。また、セラミドを含む間葉系幹細胞のエクソソームは皮膚の保湿やバリア機能の維持において重要です。
化粧品などの美容分野でもエクソソームの応用が進められていますが、体の中からのアンチエイジングとして注目したいのが、様々な食品に含まれるエクソソームです。牛乳や卵、肉や魚といった動物性食品や、野菜や果物などの植物性食品、様々な微生物が作用する発酵食品などにエクソソームは多く含まれます。こうした食品を毎日の食事で摂ることで、エクソソームに含まれるよい情報を体内に取り入れられるという一面は確かにあるようです。旬の野菜や果物、特に強い紫外線を浴びて育ったドラゴンフルーツに代表される南国フルーツ、味噌や醤油、酒などの発酵食品には善玉のエクソソームが豊富に含まれています。
将来の健康リスクのひとつに、加齢に伴う筋量の減少や筋力の低下によるサルコペニアやフレイルがあります。その治療にエクソソームを活用する研究も進んでいます。筋量・筋力に優れた人の間葉系幹細胞に含まれるエクソソームを"移殖"するイメージです。
エクソソームの表面には異物を認識する分子が存在し、不要なものは排除します。人から人へ移しても体が抵抗するといった心配はありません。
医薬品以外でも様々な可能性を持つエクソソームですが、その多くはまだ研究段階にあり、医学的根拠が確立されていくのもこれからです。
「扱い方を間違えれば事故につながる可能性もある。医薬品としてのエクソソームについては、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)で専門部会を設置し、正しい使用法などを提言している」(東京医科大学医学総合研究所教授・落谷孝広氏)
エクソソームの持つ抗老化作用などについて、詳しいメカニズムはまだ解明されていません。今後研究が進むことで、アンチエイジングや皮膚の再生などもより期待できるようになるはずです。
(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)
■エクソソームの新しい可能性
エクソソーム(Exosome)は、多くの細胞から分泌されて血液(血漿、血清)、尿、唾液、母乳など様々な体液中に存在する細胞外小胞(Extracellular Vesicles; EV)の一種です。体液だけではなく、多くの細胞株の培養上清にも放出されています。由来する細胞の特徴を反映し、他の細胞に取り込まれ、細胞間の情報伝達を担う、と言われています。大きさは直径30~150 nmで、その膜上に特徴的な抗原(CD9、CD63、CD8等)や脂質(ホスファチジルセリン等)を有しており、また内部にはタンパク質、メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA(miRNA)、DNAを含んでおり、これらの分子が由来細胞の特徴を反映すると言われています。
エクソソームの仕組み
細胞から分泌されたエクソソームは細胞間の情報伝達の役割を担っていると言われています。エクソソームはその内部に核酸やタンパク質を含んでいますが、その核酸(miRNA等)がエクソソームを介してもう一方の細胞に伝達され、機能していることが報告されており、エクソソームは細胞間のコミュニケーションツールとしてはたらいていると考えられています。エクソソームと病気の関連性
エクソソームは、がんの転移、ウイルス感染の媒介、疾患バイオマーカー、組織修復など多岐にわたり様々な疾患との関わりを持っています。
エクソソームは超遠心法、限外ろ過法、密度勾配遠心法、ポリマー沈降法や、免疫沈降法などで単離、精製することができます。
体液中のエクソソームの分析から得られる情報としては、含まれるmiRNAの種類と量、mRNAやDNAの配列情報、膜の構成脂質の種類、エクソソームの数、エクソソームの粒度分布、エクソソームの密度などが挙げられます。中でも特にmiRNAなどの核酸に関連した分析は集中的に研究が進んでおり、具体的には体液中に含まれるmiRNAを網羅的に解析し、そのプロファイルから複数のがん種の発がんリスクを判定するサービスなどが開発されています。その他、エクソソームが細胞間コミュニケーションツールとしての役割を担っていることに着目し、ドラッグデリバリーシステムに応用する検討がされています。
また、エクソソームの分泌機能研究を応用し、がん転移抑制などのがん治療法が開発されているなど、エクソソーム分析、研究成果を応用して、医療分野で様々な活用が期待されています。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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