チャーハン症候群
チャーハンやパスタをちょっと作りすぎた時に、そのまま室温で放置していませんか? あるいは、時間差で後から食べるご主人やお子さんのごはんを、ラップをかけてそのまま食卓に置いておく‥‥なんてこと、よくあるのではないでしょうか?
“チャーハン症候群”(Fried Rice Syndrome)という言葉が、海外のSNSを中心に話題になっています。チャーハン症候群とは正式な名称ではなく、SNSによる造語で、チャーハンやパスタなどの料理を室温で長時間放置したときに起こる「セレウス菌(Bacillus cereus)」による食中毒のことを意味しています。昨年の秋ごろ、5日前のトマトソースパスタを食べた後に急死した20歳の男性に関するTikTok動画に対し、医師が反応したことからこの言葉がトレンド入りしたようです。
報告書によると、その男性は常温保存で5日も経ったパスタを電子レンジで温め直して食べてしまいました。その際、「いつもと味が違う」と感じていたようなのですが、パスタに新しいブランドのソースを使ったため、料理に異変が起きているとは思わず、そのまま食べ続けたといいます。結果、食後30分以内に吐き気、腹痛、頭痛に見舞われ、最後は下痢と嘔吐を繰り返しました。そして、男性は就寝後のおそらく午前4時ごろ、食事を取ってから約10時間後に死亡したことが判明しました。ちなみにこの男性のニュースは、2008年にベルギーのブリュッセルで起こった出来事です。
セレウス菌による食中毒は、チャーハンやピラフ、スパゲティや焼きそばなどが代表的な原因食品として挙げられます。セレウス菌は、調理後に室温で長時間放置することで増殖します。厄介なのは、食品においてセレウス菌が増殖し、いわゆる腐った状態になっても見た目やにおいの変化がないことです。しかも、セレウス菌は90度で60分の加熱にも耐える芽胞(熱に強い殻のようなもの)を形成し、生き残ります。発症は食後30分から最大15時間後とされており、一般的に吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を引き起こします。通常は短期間で治り、治療も水分補給のみですが、重症例には点滴を投与するケースもあります。セレウス菌が産生した毒素による食中毒なので、抗生物質の投与は効果がありません。
セレウス菌による食中毒は夏場に件数が多いのですが、どの季節においても調理した食べ物を室温で長時間放置しないことが大切です。調理後に小分けにして、速やかに冷蔵庫で保存しましょう。
(出典:https://hc.nikkan-gendai.com/)
■冬に多発、ウイルス性の食中毒
食中毒というと、夏場に多く発生する病原性大腸菌やサルモネラ菌などによる「細菌性食中毒」をイメージするかもしれませんが、冬場も夏場と同じように注意が必要です。冬場に多く発生するのはセレウス菌などの細菌性食中毒よりも「ウイルス性食中毒」です。代表的なものが11~2月にピークを迎えるノロウイルス。年間を通して食中毒にかかった患者数が最も多いのがノロウイルスによるものです。また、ウイルス感染という特性から、発端は食中毒であったとしても感染する力が極めて強く、学校や病院等で発生した集団感染の大半は誰かがまずノロウイルスに感染し、ヒトからヒトへ感染して広がっていきます。大規模になりやすいので、発生した場合は適切な対処をして感染拡大を防ぐことが大切です。
ウイルス性食中毒の感染経路と予防法
ノロウイルスの主な原因食品は牡蠣、アサリ、シジミなどの二枚貝ですが、ウイルス性食中毒の感染は食品からだけでなく、ヒトや食器などからも経由して拡がります。少量でもウイルスが体内に入ると腸内で増殖して、吐き気やおう吐、下痢、腹痛などを引き起こします。幼児や高齢者、病気治療中の人は、症状が重くなる場合もあります。症状が出たら脱水症状を防ぐために十分な水分と栄養を補給しましょう。また、医療機関を受診する際は、感染拡大を防ぐために事前に電話を入れ、医療機関の指示に従って受診するようにしましょう。
ノロウイルスの食中毒は、ウイルス感染です。食品の管理、衛生面に注意しましょう。
日常生活で気をつけるポイント
▼帰宅直後、調理の前後、食事の前、トイレの後などこまめに石けんを使って、指の間、爪の内側までていねいに手洗いをする。
▼魚介類を調理するときなど、「生食用」と表示のないものは中心部分を1分間85度以上で加熱する。
▼まな板やふきんなど台所の調理器具は水で薄めた家庭用塩素系漂白剤で消毒する(表示されている使用方法を確認すること)。
▼体調不良になるとウイルスに対する抵抗力が低下するので、普段から適度な運動を行い、栄養や睡眠などを十分にとって体調を管理すること。
感染拡大を防ぐポイント
▼便や吐瀉物を片付けるときは、使い捨ての手袋やマスク、ペーパータオルを利用し、処理後はビニール袋に密封し、塩素系漂白剤など消毒液を加えて捨てること。
▼汚れた床や家具、衣類、調理器具、食器などは水で薄めた家庭用塩素系漂白剤で消毒する(表示されている使用方法を確認すること)。
▼処理後は自分の手をていねいに洗う。
食生活で食中毒を予防しよう
食中毒の予防には、ウイルスに対する抵抗力、免疫をアップさせる食生活が重要です。多品目を1日3回の食事でバランスよく摂ることが大切です。ヨーグルト、オリゴ糖など、腸内の善玉乳酸菌を増やす食品を積極的に摂り、腸内環境を整えましょう。また、抗菌作用のある、におい成分が強い野菜、ハーブ、薬味などを利用したり、タマネギ、梅干しなどの殺菌、解毒作用のある食品を積極的に摂りましょう。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン
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