2012年11月16日金曜日

ミトコンドリア②


寿命や疾患に関わるミトコンドリア

ミトコンドリアの変異によって十分なエネルギー産生が行えなくなることが原因のひとつになり起る病気に、ミトコンドリア病があります。ミトコンドリア病は、エネルギー需要の多い、脳、骨格筋、心筋が異常を起こすことが多く、体内全てのミトコンドリアが一様に異常をきたすわけではないため、多彩な病態を示すのが特徴です。
 ミトコンドリアDNAの異常が原因でインスリン分泌に障害が生じ糖尿病になる、「ミトコンドリア糖尿病」という疾病もあります。糖尿病患者の1%はミトコンドリア病であると考えられています。そして、生物の寿命について、過去には、老化が代謝エネルギーと密接に関係しているからだという「生命活動代謝速度理論」という説も生まれました。動物は一般的に、体が小さいほど皮膚から熱が逃げやすくなります。体重に比例して体表面積が大きくなるためです。そこで、小さい動物は体温を保つために多量のエネルギーを必要としますから、さかんにエネルギーを代謝します。短時間にエネルギーを消費するので短命になるといわれ、逆に象のような大きい動物は体重あたりの表面積が小さく熱が失われにくいので、エネルギー消費がゆっくり進むので寿命も長くなるというのです。
 しかし現在、平均寿命が延びているのは、食糧事情や医療(感染症対策)などが向上しているだけで、人の生物学的な最長寿命(ある集団の中で一番長く生きたものが何歳で死んだかという値)は今も昔も変わってはいないと言われています。昔の人は身体が衰えるまで生をまっとうできなかっただけのことだといわれています。しかし、今の時代は、平均寿命はまっとうできても「健康寿命」となるとどうでしょうか? 
 傷病後の健康を回復する「康復医学」などもそうです。健康寿命」や「康復医学」にも大きくかかわってくる微小循環とエネルギー代謝。実はその要となるのがミトコンドリアなのです。


康復医学の基本 

■細胞内器官ミトコンドリア②

通常の細胞は微小循環を経由して酸素・栄養素を取込み、ミトコンドリアで身体が機能するために必要なエネルギーを産生しています。この産生方法は2通りあります。そして、エネルギー産生後の二酸化炭素などの不要物を微小循環経由で排出し処理します。酸素・養分を細胞に運び、不要物を回収するのが微小循環の役目なのです。

2系統の産生システム

ミトコンドリアで産生されるエネルギー(ATP)は、2段階のしくみで作られます。
 ひとつは、炭水化物(糖質)を利用してエネルギーを産生するしくみの嫌気性システム「解糖系」です。酸素がなくてもエネルギーを産生できるのですが、量が少ない反面、素早くエネルギーを産生し瞬発力に有効です。ガン細胞はこの解糖系エネルギーを利用しています。解糖系は、エネルギー産生時にピルビン酸を作ります。
 ピルビン酸からいくつかの物質に変化しクエン酸がつくられます。このクエン酸が代謝されて、クエン酸回路・電子伝達系を回し続けます。これが運動のためのエネルギーを生み出す好気性システム「ミトコンドリア系」です。この時には、酸素が必要になります。ミトコンドリア系は解糖系に比べ18倍ものエネルギーを産生します。ミトコンドリア系は、エネルギー産生のスピードは遅いですが、エネルギー産生量が多いのが解糖系との違いです。

エネルギー産生の低下で乳酸が蓄積する!

上記の2つのシステムは、エネルギー産生の時間差が生じ、余った物が「乳酸」という形で残ります。乳酸は一時的に作られる物で、燃えカスや老廃物ではありません。もちろん疲労物質でもありません。必要に応じてミトコンドリアで再利用されエネルギーになりますので、ミトコンドリアの多い筋肉繊維や心筋などで、乳酸は多く使われます。このシステムが低下していると、エネルギー不足を起こし疲労の原因にもなります。そして、乳酸も消費できず蓄積することになります。
 また、乳酸そのものは疲労物質ではなく、セロトニンに影響(後号で詳しく)を与え、疲労を発生させることがわかっています。


いつもありがとうございます。
光・愛。感謝 五月雨ジョージ

0 件のコメント:

コメントを投稿