2022年3月25日金曜日

EPA、DHA

 魚油サプリで心房細動が発症!?

 魚介類由来のオメガ3脂肪酸のサプリメントの摂取は、心房細動の発症リスクと関連することが、「Circulation」誌掲載の論文で明らかにされました。このリスクは特に、1日当たりの摂取量が1gを超える場合に大きかったそうです。

 心房細動は不整脈の一種で、心房内を流れる電気信号の乱れにより心房が不規則に収縮している状態です。心房細動が直ちに命の危険をもたらすことはありませんが、放置しておくと心不全や脳卒中などを引き起こす可能性があります。これまでに多くの研究で、オメガ3脂肪酸サプリの使用により心房細動の発症リスクが高まることが報告されていますが、この結果を否定する報告もあり、いまだ統一した見解は得られていません。

 そこで、米シダーズ・サイナイ医療センターの研究者らは、2種類の論文データベースを用いてシステマティックレビューを実施。2012年1月1日~2020年12月31日までの間に発表され、500人以上の対象者を1年以上追跡し、これらのデータを統合して、オメガ3脂肪酸摂取と心房細動の発症リスクとの関連をメタ解析しました。

 解析対象者は総計8万1,210人。このうち5万8,939人(72.6%)はオメガ3脂肪酸の摂取量が1g/1日以下、2万2,271人(27.4%)は1g超でした。メタ解析から、魚介類由来のオメガ3脂肪酸の摂取が心房細動の発症リスクと関連することが明らかになりました。オメガ3脂肪酸の1日当たりの摂取量が1g超の群では心房細動の発症リスクが49%上昇したのに対して、1g以下の群でのリスク上昇は12%にとどまっていました。

 結果を受けて研究者は、「現在、オメガ3脂肪酸を処方され服用中なら、自己判断で服用をやめるべきではない。担当医と心房細動発症のリスクについて話し合うべき」と話します。オメガ3脂肪酸は、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度が非常に高い人に処方されます。オメガ3脂肪酸は、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクの上昇に関連するトリグリセライドの血中濃度低減に効果があるとされているからです。研究者はまた、「オメガ3脂肪酸を服用中の人は、心房細動発症の可能性があることを念頭に置き、突然の動悸やめまいなどの心房細動の潜在的な症状に関する知識を身につけておいた方が良い」と述べ、「このような症状が現れた場合には、担当医に報告するべき」とアドバイスしています。

 市販のサプリに関しても、「"栄養補助食品"も無害だとは言い切れない。心臓への有効性に関するエビデンスも不足している」として、使用に関しての注意を喚起しています。

 なお、米国心臓協会(AHA)は、サプリではなく魚からのオメガ3脂肪酸摂取を推奨しています。AHAのメンバーで米ノースウェスタン大学医学部の専門家は、「魚は、オメガ3脂肪酸、たんぱく質、その他多くの重要な栄養素の優れた供給源だ」と話し、サーモンやマス、ビンナガマグロなどの脂肪分の多い魚を週2回摂取することを推奨しています。

(出典:HealthDay News)


■EPA、DHAは摂りすぎに注意!

 魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)は、血液サラサラやアレルギー軽減効果のサプリメントに使われています。"中性脂肪対応食品"としてトクホ指定の商品もあります。また、EPAは医薬品として動脈硬化の治療に使われています。DHA(ドコサヘキサエン酸)について明確にわかっているのは、人の脳組織にとても豊富に存在するということです。脳が大きくなる子供にとってはとても重要なものであると考えられています。


副作用に注意 
 

 EPAは脳梗塞や心筋梗塞など、血管が詰まって起きる重大な障害を避ける目的で使いますが、副作用もあります。血液が固まりにくくなるため、出血するとすぐには止まりません。医薬品として服用する量では安全ですが、1日3g以上の摂取は注意が必要です。手術や出血を伴う歯科治療の際は、医師などに相談して数日前から服用を中止しましょう。また、医薬品では肝機能障害、健康食品で滲出性紅斑といった副作用も報告されています。健康に良いとされる「不飽和脂肪酸」ですが、バランスが大切です。特に、リノール酸などの「n-6系不飽和脂肪酸」と、DHAやEPAなどの「n-3系不飽和脂肪酸」は、代謝された結果、微量でも身体に大きな影響を引き起こす物質を生成するため注意が必要です。摂取過多の傾向があるn-6系は、アレルギー疾患を引き起こすことが問題となっています。

 生活習慣病予防には油脂の総摂取量を控えると同時に、n-6系をn-3系の4倍以内にすることが推奨されています。米国食品医薬品局(FDA)は、サプリメントからの摂取はDHAとEPAを合わせて1日2gを超えないように警告しています。n-6系を減らすこと”が重要です。


 健康効果は限定的  

 魚油に健康効果があるといっても、全ての効果が解明されてはいません。EPA製剤の大規模臨床試験では、心疾患の発症率を下げる傾向が出ましたが、他の治療法と比べて有意の差は認められていません。

 心疾患の有効な予防策は、食事の改善や運動、ストレスの回避という、当たり前の健康法です。またサプリメントに頼らずとも、お茶や魚、酢、納豆、タマネギなどが、血液をサラサラにする食品として知られています。EPAは、サバやイワシなどの青魚に多く含まれます。DHAは、青魚の他にマグロなど油の多い魚に多く含まれています。高価なサプリメントではなく、魚を食べる回数を増やすことをおすすめします。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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