給食でO-157、後遺症で19年後死亡
20年前の夏、堺市の学校給食が原因で9千人以上が被害者になったO-157による集団食中毒の後遺症で昨秋、25歳の女性が亡くなりました。成人した今も、通院や治療を余儀なくされる元児童もいます。被害者の家族は、不安を口にしています。
被害児童の親を中心にした「安全な給食を求める親の会」の代表を務めた、堺市南区の主婦Aさん(60)は「こんなことがあると思わなかったので、ものすごくショックです」と話しています。
亡くなった女性は1996年の発生当時は小学1年生でした。小学1年と2年だったAさんの娘も腹痛などの症状を訴えました。Aさんは当時、市に対して症状が出た児童の経過観察が重要だと訴えました。それでも約20年が経過し、新たな犠牲者が出ることは予想できなかったといいます。
O-157などの腸管出血性大腸菌は、血管を傷つけるベロ毒素を作ります。この毒素が腎臓に運ばれ、発症するのが溶血性尿毒症症候群(HUS)で後遺症が残ることがあるのです。
市によると、2014年度時点で、死亡した女性を含む5人が高血圧などで治療や経過観察が必要と診断されました。受診の必要があると判断された元児童は5人を含め20人にのぼっています。いまも、経過観察のため通院している女性の母親は「娘はいま普通に過ごしているのでショックです。当時、HUSを発症した子の親は心配していると思う。市は検査を促すべきでは」と話します。
「腎臓の機能が低下するHUS患者の2~4割が腎臓に後遺症が残ることがあり、今回の女性のように、一般に高血圧や腎機能障害を合併しやすい。HUS発症から間もない急性期に死亡する患者が8割以上と言われている。亡くなった女性のように、10年以上たった後に後遺症から容体が急変し、死亡することもある。そのため、重症患者の長期間の経過観察が必要となっている」(大阪労災病院・小児科部長)。
【O-157集団食中毒】 堺市で給食を食べた児童が1996年7月12日夜から、発熱や下痢などを相次いで訴えた。市は検便などからO-157が原因と断定。市によると、罹患者は児童7,892人を含む計9,523人にのぼり、翌年までに市内の3小学校の女児3人がHUSにかかり死亡。3女児のうち1人の遺族が起こした損害賠償請求訴訟で1999年、大阪地裁堺支部は市に約4,500万円の支払いを命じ、判決は確定したが、感染源の食材は特定されなかった。
出典:朝日新聞デジタル160331
■溶血性尿毒症症候群(HUS)と後遺症
大腸菌のほとんどは無害ですが、なかには下痢を起こすものがあり「病原性大腸菌」と呼ばれています。病原性大腸菌には4種あり、うち腸管出血性大腸菌はベロ毒素というものを出して、溶血性尿毒症症候群(HUS)などを起こします。O-157は、この腸管出血性大腸菌の代表的な細菌です。HUSは腎臓や脳などを侵す病気です。HUSは、赤血球の破壊による貧血や、血小板という出血を防ぐ細胞の減少を引き起こしたり、急性腎不全になったりします。また尿毒症のため脳に症状が現れて、けいれんや意識が損なわれることもあります。
腎血管性高血圧症とは
高血圧二次性高血圧症の原因となる病気はたくさんありますが、そのうちの一つは腎臓の機能が悪くなることなどで起こってきます。それが腎血管性高血圧症で、昨秋なくなった女性(本通信1枚目参照)の死亡原因は腎血管性高血圧症による脳出血でした。腎血管性高血圧症は、腎臓の動脈が狭くなることが原因です。腎臓の動脈が狭くなると、血液が十分に供給されないため、血管が狭くなった側の腎臓から血圧を上昇させるタンパク(レニン)が作られ、その結果として、血圧が異常に高くなってしまうのです。放置すると腎不全や心不全、脳卒中など死に至る病に進展します。
HUSは抗生物質では防げない
ベロ毒素産生性大腸菌の治療では、ベロ毒素が症状を起こしているため、抗菌薬で大腸菌を排除しても、残ったベロ毒素による症状が続きます。抗菌薬がHUSの予防につながるかどうかは、研究者の間でも結論が出ていないため、勧めていません。
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予防には「手洗い」や「食材の加熱」が一番
O-157は生焼けのひき肉や殺菌処理されていない牛乳やチーズ、あるいは汚染された水(井戸水など)によって感染します。予防のためには十分な手洗いや食品の加熱を心がけましょう。当学会のおすすめする「ホタテ貝殻焼成カルシウム」は様々な感染症に対する予防効果が確認されており、天然の酸化カルシウムですから安心・安全です。
いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン
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