2026年9月30日水曜日

食欲不振と病気

 食欲不振、心の不調が原因?

 味覚の秋、脂がのった魚など旬の食材に舌鼓を打つのが楽しみだという人も多いと思います。しかし、美味しい物を前にしても食欲がわかない、近ごろ食が細くなったなどと悩む人もいます。食欲不振は心の不調と深く関わっており、その理由は主に「自律神経の乱れ」と「脳の摂食中枢への影響」にあります。心理状態がなぜ食欲低下を招くのでしょうか。

 精神的なストレスやうつ状態、不安、悲しみなど強い心理的負荷は、自律神経系のバランスを大きく乱します。人の自律神経は「交感神経(活動・興奮)」と「副交感神経(安静・リラックス)」で体内環境を常に調整していますが、ストレスがかかると交感神経が優位になり、消化管の働きや胃腸の動きが抑制されます。その結果、食欲を感じにくくなります。

 たとえば、仕事や対人関係など日常生活でストレスを感じる時は、緊張や不安のため消化能力が低下し、食べ物を受け入れにくくなります。また、強いストレスにより、胃の不快感や胃痛、味覚変化(味がしない、苦く感じるなど)も現れやすくなります。

 心の病気、特にうつ病では、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)が減少し、その影響で脳の摂食中枢の働きも低下します。摂食中枢は「お腹が空いた」と感じる信号を発する部位ですが、気分の落ち込みや興味の喪失、意欲低下によって信号が弱まり、自然な空腹感が湧きにくくなります。

 加えて、うつ病や適応障害、不安障害など精神科的疾患では「食べること自体がつらい」「美味しさや楽しさを感じない」といった味覚異常もよく認められます。そのため、食事への意欲そのものが大きく低下します。

 うつ病や不安障害、適応障害、摂食障害などは、心理的な症状(気分の落ち込み、不安、興味の減退)だけでなく、身体的症状(食欲低下、睡眠障害、倦怠感、味覚障害など)を伴うことが多いです。このように心の状態がストレートに体の調子に反映されるのは、脳と全身(特に消化器官)が神経ネットワークで密接につながっているからです。

 また、ストレスや心の不調による食欲不振は、検査などを行っても体に異常が見つからないことが多いのも特徴です。このような場合、「心身症」として精神的アプローチや生活習慣の見直しが重要とされています。

 このように、食欲不振が心の不調から起きる主な理由は、「自律神経のバランスの乱れ」と「脳の摂食中枢や神経伝達物質の異常」というエビデンス(科学的根拠)に基づいています。ストレスやうつ状態が長引くと、心身の不調が連鎖し、ますます食事が難しくなる悪循環に陥ることがあります。そのため、食欲不振を感じた時には心のケアも視野に入れた対策が大切とされているのです。

(出典:http://www.nikkei.com/)


■病気が隠れている食欲不振

 食欲不振は、単なる一時的な体調不良として軽視されがちですが、その裏には重大な病気が隠されている可能性があります。食欲不振が続く場合は、医療機関を受診し、適切な診断を受けることが重要です。

1. 消化器系の病気

⇒食欲不振の最も一般的な原因の一つは、消化器系の病気です。

 胃炎・胃潰瘍  胃の炎症や潰瘍で、痛みや吐き気、膨満感が生じて食欲が低下する。特に食事によって症状が悪化する場合が多く見られる。 逆流性食道炎  胃酸が食道を逆流することにより、胸焼けや喉の不快感が生じ、食欲不振になる。  感染性胃腸炎  ウイルスや細菌による感染で、下痢、嘔吐、腹痛とともに食欲不振が現れる。 大腸がん・胃がん  消化管に腫瘍ができると、通過障害や消化吸収不良、全身の倦怠感などから食欲が低下。また、腫瘍から出る物質が食欲を抑制することもある。 胆石症・胆嚢炎  胆嚢や胆管に結石ができることで、炎症や痛みが生じ、特に脂っこい食事後に症状が悪化し、食欲不振を招く。 慢性膵炎  膵臓の炎症が慢性化することで、消化酵素の分泌が阻害され、消化不良や腹痛が生じ、食欲が低下する。

2. 内分泌・代謝系の病気

⇒ホルモンバランスの乱れや代謝異常も食欲不振の原因に。

 甲状腺機能亢進症  甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると代謝が活発になり、エネルギー消費が増える一方、胃腸の動きが過剰になり吐き気や下痢を伴うことがあり、食欲不振を引き起こすことがある。 糖尿病  血糖値が高い状態が続くと、胃の運動が低下する「糖尿病性胃不全麻痺」を起こし、消化不良や食欲不振につながることがある。 アジソン病  副腎皮質機能低下症のこと。副腎皮質ホルモンの分泌が低下すると、全身倦怠感、吐き気、腹痛とともに食欲不振が現れる。

3. 感染症

⇒全身性の感染症も食欲不振を引き起こします。

 インフルエンザ・新型コロナ・風邪   発熱や倦怠感、喉の痛みなどから食欲が低下する。 結核   慢性的な感染症で、微熱、咳、全身倦怠感とともに食欲不振や体重減少が見られる。  HIV感染症   免疫力の低下により、様々な感染症や悪性腫瘍を合併し、全身倦怠感や食欲不振が長期的に続くことがある。

4. 精神疾患・神経疾患:

⇒心の状態や脳の機能異常も食欲に影響を与えます。

 うつ病  気分の落ち込み、興味の喪失で、食欲不振や不眠、倦怠感などが現れる。 摂食障害(拒食症)  著しい体重減少を伴う極端な食事制限や拒食行動が見られ、生命に危険を及ぼすことも。 認知症  脳の機能が低下することで、食事への興味を失ったり、味覚の変化、準備や摂取の困難さから食欲不振につながることがある。 パーキンソン病  脳の神経変性疾患で、嚥下障害や便秘、自律神経の不調などから食欲不振になることがある。

5. その他の病気:

⇒その他、腎不全、肝硬変・肝炎、心不全。膠原病、また薬の副作用などによっても食欲不振となることがあります。

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 食欲不振は多岐にわたる病気のサインとなり得ます。特に、食欲不振が長く続く場合、体重減少を伴う場合、他の症状(痛み、吐き気、発熱など)を伴う場合は、重ねて言いますが、自己判断せず、速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けてください。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

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