2012年10月18日木曜日

微小循環基礎講座② 「血管事故」危険度はMAX81倍!


危険度は3×3×3×3=81倍!

今回の前半は、東京医科大学八王子医療センターの病院長・高沢謙二医師の言葉(「」を中心にお伝えします。

「突然死につながる心筋梗塞や脳卒中といった病気について、誤った情報を信じている人が非常に多い。心筋梗塞になった患者さんは『まさか、自分がなると思ってもいなかった』と言う方がほとんどなのですが、それは正しい知識を持っていなかったからです」。
 「そもそも、心筋梗塞は『心臓が悪くて起る病気』と思っている人が多いのですが、それは間違い。心筋梗塞は心臓に血液を届ける血管が詰まって、心臓が壊死してしまう病気。脳卒中も同様に、脳に血液を送る血管が原因の病気です。つまり、突然死は『血管の事故』によって引き起こされるのです」。

 そして、突然死のリスクは体型や体重に関係がありません。「じつは、痩せている人ほど危ないこともあるんです。食事で脂肪分を摂取しても、皮下脂肪に溜まらないということは、血管の中にコレステロールが溜まっている可能性があるのです。痩せていて血中コレステロールの数値が高い人は一番危険です。さらにタバコを吸っているなら、いつ心筋梗塞になってもおかしくありません」。

 そもそも日本人においては、肥満と心筋梗塞や脳卒中との直接的な関係ははっきりしていません。血管は、どんなに硬くなって内壁にコレステロールが溜まっても、心筋梗塞や脳卒中が起きるまで自覚症状が現れないので“痩せているから大丈夫”と油断して、生活習慣を見直さないことも突然死に至る要因の一つです。

 また、心筋梗塞は心臓の血管が狭くなる狭心症が悪化して起ると思っている人が多いようですが、「心筋梗塞の約6割は、血管の詰まり具合が25%未満、つまり血液が75%は流れている状態で起こるのです。このことは、心臓の専門家であってもまだ知らない人がいます。狭心症の検査をして『大丈夫』といわれても、その当日や翌日に心筋梗塞で倒れて救急車で運ばれる、といった人はじつは非常に多いんです」。

 これら血管の事故の最も大きな原因は、①高血圧 ②脂質代謝異常 ③糖尿病 ④喫煙の4つです。「高血圧があると、突然死のリスクは普通の人の3倍、脂質代謝異常が加わると3×3=9倍。さらに糖尿病が加わると危険度は3×3×3=27倍、そこに喫煙習慣があると3×3×3×3=81倍という高リスクになると思って、注意しなければなりません」。
 血管の事故といっても突然太い血管が狭窄することはなく、末端の細い血管の微小循環の血流から変異していくので、微小循環領域の環境維持改善が特に重要なのです。

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康復医学の基本 微小循環基礎講座②

末端の微小循環での血液は、酸素や栄養素の供給、二酸化炭素や老廃物の回収など、健康を維持するために働いています。この微小循環における血流低下の改善は、傷病後の健康を回復し、再発・合併症の予防する学問“康復医学”の重要なテーマです。

■微小循環血流低下の原因

毛細血管の収縮

体に強いストレスがかかると、自律神経の交感神経が活発に働き、副腎髄質から大量のアドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。そして毛細血管の出入口付近にある平滑筋に影響し、毛細血管が収縮し血球が入りづらくなります。また、中性脂肪や酸化ストレスが増加すると、血管内皮細胞が阻害され、NO(一酸化窒素)の産生が低下し伸縮しにくい血管になります。血球の直径よりも細い毛細血管は非常に繊細です。血流は血液の質も大切ですが、この毛細血管のしなやかさがとても重要になります。


赤血球の凝集

血液の40~45%は赤血球です。生活習慣や加齢、ストレス、疾患などが原因で赤血球表面の粘度が増加すると、赤血球どうしがくっつく「連銭状態」(左図上)になり、微小循環の血流が低下する原因になります。


赤血球の変形能

赤血球が酸素の供給を行う微小循環の毛細血管は、その径が赤血球の直径より細いため、毛細血管がNO(一酸化窒素)で拡張し、赤血球は自らが変形(右図下)して通っていきます。しかし、微小循環のNO産生の低下や、赤血球の変形(弾力性)の低下が起きると、赤血球自体が毛細血管に入りにくくなり、血液の機能も低下してしまいします。


★微小循環では、血管壁からのNO産生、毛細血管の本数、毛細血管の入口・出口の口径、血液の流速、赤血球の変形能、凝集など、すべての条件が整った状態が最高の血流とされています。“最高の血流”は、健康維持はもちろんのこと、傷病後の健康回復を目的とする康復医学の基本条件となっています。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

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