2015年4月10日金曜日

無気力症候群

うつと間違えやすい“無気力症候群”

 「無気力症候群」という病気を知っていますか? 
 無気力・無関心になってしまうのはうつだけではありません。無気力症候群は、うつに似た症状も表れるので誤診されやすいのですが、別のものとして扱われることが多いようです(神経内科では独立した病態として、精神科領域ではうつ病の部分症状または近縁疾患として捉えられることが多い)。男性に多くみられます。

この無気力症候群は、アパシー症候群(アパシー・シンドローム)とも呼ばれ、何事にも無気力になり、また、無感動・無関心になる状態をいいます。なかには、仕事に対してはやる気がないが、趣味には精を出すという選択的な無気力もあります。共通していえることは、抑うつ気分や不眠、食欲の低下などはみられず、うつ病や統合失調症における無気力とは異なります。新入生や新入社員の五月病など、無気力症候群の時期は異なりますが誰にでも経験があるものです。通常こうした無気力症候群は一時的なものですが、もしそれが長引くと何にも関心を持てなくなって家に引きこもってしまうなど、無気力症候群が深刻化する恐れもあります。
 無気力症候群の特徴的な状態としては、○感情の起伏が小さくなる ○意欲や自発性が低下する ○今まで通りの情熱を持って物事が出来なくなる ○周囲の人と一緒に楽しめなくなる ○周囲のことに無関心になる ○自分のしていることの結果に関心がなくなる‥‥などがありますので、見逃さないようにしましょう。

 無気力症候群になる理由はストレスです。普通何かのストレスを感じた場合、その理由をはっきりさせて解決する、そのこと自体を忘れるなど、人にはいろいろな解決方法がありますが、無気力症候群の場合は、ストレスがその人自身にとって大きすぎて逃避してしまい、何もやる気がなくなるという構図です。性格的に「勝ち負けに敏感な人」がかかりやすく、その敏感さゆえに勝敗にかかわる局面をできるだけ避けようとします。病的になると、不登校や出社拒否を始めることも少なくありません。特徴的な症状に気づいたら、自分は出来ると思い込むことや、ストレスとの調和を図る事が何よりも重要となってきます。

 無気力症候群は一種の現実逃避といえます。しっかりと現実を見るということが重要ですから、周囲の人の理解が必要になります。怠けもの扱いをするのは厳禁です。

■医学的にも注目され始めた無気力症候群

現状は「無気力症候群(アパシー・シンドローム)」の統一された診断基準はまだ無く、研究を進める上で最も大きな問題となっています。しかし、アパシーの特徴的な症状は、パーキンソン病やアルツハイマー病、脳卒中後患者など脳器質疾患患者で多い症状とされ、医学的に注目を集めている症候群の一つといえます。

無気力症候群とうつの類似性

アパシーとうつ状態は概念的にも臨床的にも混同されることが多いようです。
 うつ状態は概念的には持続的な気分(mood)の障害であり、意欲そのものの障害ではありませんが、精神科で頻用されているうつ病の診断基準では、“抑うつ気分”または“興味・喜びの減退”のいずれかを必須項目としています。抑うつ気分は気分の障害ですが、興味・喜びの減退は普段なら興味や喜びが感じられていた刺激に対して反応しなくなる状態であり、アパシーの概念に近いものです。
 精神科におけるうつ病の診断基準にはアパシーという用語こそ含まれていないものの、意欲に乏しく何事にもやる気が起こらずおっくうな状態はうつ病の主要な症状であると考えられています。

日常生活機能・認知機能の低下に関わる無気力症候群

無気力症候群は、「日常生活機能」との間に密接な関連があります。
 たとえばアルツハイマー病患者を見ると、無気力症候群のある患者は、ない患者と比較して日常生活機能の障害は高度であり、無気力症候群の程度と機能障害の程度の間には相関関係が認められています。
 このような関連はアルツハイマー病だけでなく、血管性認知症、脳卒中患者、うつ病患者においても報告されています。
 「認知機能」に関してもアパシーのある患者は、ない患者と比較して認知機能が低く、認知機能が低下していく速度も大きいことが、アルツハイマー病、脳卒中患者、老人ホームの居住者などで報告されています。
 さらに、無気力症候群を有する脳卒中患者ではリハビリテーションによる機能回復が遅くなることも報告されています。

無気力症候群が起こるメカニズム

報告によって結果には差異が見られますが、一般的には、ストレスによってドーパミンやアセチルコリンなどの神経伝達物質に異常が起こったり、モチベーションに関連する神経回路として前頭葉~皮質下回路のどこかが損傷されたりすることが要因で無気力症候群が引き起こされるといわれています。

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【対策】
 ストレスを感じ無気力症候群の特徴的な症状に気づいたら、うつ病と診断される前に対処することが肝心です。ストレス状態が続きセロトニン放出が抑制されると、ドーパミンやアセチルコリン、アドレナリンをはじめとする神経伝達物質のバランスを崩します。その神経伝達物質のバランスを整えるのがセロトニンです。

 康復医学学会の研究素材「ラフマ」には、セロトニン分泌を促進させ、セロトニン神経の活性を促して神経伝達物質のバランスを調整する作用に関するエビデンスがあります。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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