2015年12月25日金曜日

老化の原因

長寿と炎症、テロメアの密接な関係解明

炎症と染色体の末端にある塩基配列の長さが長寿と深い関係を持つことが、超高齢者を対象とした慶應義塾大学と英ニューカッスル大学の研究チームによる大規模調査で明らかになりました。

 さまざまな副作用がある現在の抗炎症薬に代わる安全な代替薬が開発できれば、高齢者の生活の質を大きく改善し、さらに老化に伴って炎症が起こる理由を解明することで、新しい健康増進法の開発につながることも期待できる、と研究者たちは述べています。

 慶大医学部百寿総合研究センターの新井康通専任講師、広瀬信義特別招聘教授と英ニューカッスル大学のトーマス・グリニツキー教授らは、100歳以上の超高齢者(684人)とその直系家族、85~99歳の高齢者、計1,554人を対象に、長寿に関係があると考えられる造血能(貧血)、代謝、肝機能、腎機能の働き、炎症と、細胞老化の指標とされるテロメア(染色体の末端にある塩基配列)の長さを調べました。
 この結果、炎症の有無や程度を反映する血液中の生化学的指標である炎症マーカーの値が、100歳以上の超高齢者の直系子孫(血縁のある子供)では低く抑えられており、長寿者の中でも特に炎症マーカー値が低いグループは、認知機能と生活の自立をより長い期間保持しているということも明らかになりました。
 さらに、100歳以上の超高齢者と直系子孫はいずれもテロメアの長さがより長く保たれていることも分かったのです。テロメアは細胞分裂のたびに少しずつ短くなるため、長さが細胞の老化を反映する指標と考えられています。実際の年齢が80歳台という直系子孫でも、テロメアは60歳台平均値ほどの長さを維持していました。

今回調べたのは白血球のテロメアですが、超高齢者のテロメアが長く保たれている理由について研究者の一人は、「免疫細胞の老化が起こりにくい」、「酸化ストレスの影響を受けにくい」などの可能性を指摘しています。

 健康的な食生活や運動、ストレス管理、社会支援など生活習慣の改善によってテロメア長の短縮を防げることが報告されています。研究者らは85歳以上の超高齢者を対象に詳細な食事摂取や運動習慣の調査を行っており、炎症を低く抑え、テロメア長を保つ健康増進法の開発を目指しています。 
 
出典:The Huffington Post Japan

■人間を老化させる三つの原因

「酸化ストレス説」「テロメア説」「老化遺伝子説」

●酸化ストレス説:

この説は、簡単にいえば、活性酸素によって細胞かダメージを受け、その結果、老化するというものです。これは、まず間違いありません。

●テロメア説:

テロメア説は、細胞分裂は永遠に続くものではなく、約50回が限界という説です。テロメアとは、DNAの末端にある特殊な構造をした部分で、細く長い染色体を保護するため、両端をキャップのように固定して遺伝子を安定化させるものです。しかし、このテロメアは細胞分裂をするたびに短くなり、ある長さになると、分裂ができなくなります。その時がその細胞の寿命です。そのために、テロメアは細胞の寿命を決める"老化時計"と考えられています。細胞の老化が、体全体の老化にどのようにかかわっているかは、まだ研究段階です。しかし、細胞が分裂してから、さらに新しい細胞に分裂するまでの周期は2年強といわれており、仮に細胞分裂を50回繰り返すと約120年かかります。テロメア説では、これが人間の限界寿命とされています。

●老化遺伝子説:

これは、老化が遺伝子によってプログラム化されているという説です。長寿にかかわる遺伝子は、大きく分けて2種類あり、一つは老化を促進する遺伝子で、もう一つは寿命を延ばす遺伝子です。前者がdaf2(ダフ・ツー)遺伝子で、1993年にカリフォルニア大学のシンシア・ケニヨン博士が発見しました。これが抑制されることで、老化が抑えられるといいます。後者はsir2(サー・ツー)遺伝子で、1991年にレオナルド・ガレンテ博士が発見、長寿遺伝子と呼ばれることでも知られています。空腹の状態で活性化されると話題になっている遺伝子です。
◎肥満者が短命になる理由は、この三つからも説明できます。肥満者の細胞は、細胞自体が膨満し、活性酸素で害された毒素がいっぱいです。俗にこれを"細胞便秘"などといいますが、酸化ストレスをめいっぱい受けています。テロメアは、肥満すると通常より10倍も速く短くなります。また長寿遺伝子は、満腹状態では活性化しません。

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そして、老化・寿命に関わる新説「酵素寿命説」

しかし、これらの三つは根本原因ではなく、現象の一部と考えられます。酸化も、テロメアも、遺伝子も、すべて酵素が関係していますが、もっとも大きな原因は「酵素寿命説」です。
 一生に一定量しかない酵素が徐々に失われていくのが老化で、尽きる時が死を迎える時です。そのため、酵素の浪費は絶対に避けなければならないのです。
 1833年にでんぷん分解物質ジアスターゼ(アミラーゼ)が発見されて以降、様々な酵素が次々と発見され多くのことがわかってきましたが、まだまだ研究は道半ばといってよいでしょう。
 来年、この『本説伝』でも「酵素特集」を検討しております。お楽しみに。

【本年最後の『本説伝』となります。来年もよろしくお願いいたします】


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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