2018年8月29日水曜日

消化酵素

焼き魚には大根おろし!

食物酵素には、「消化の力」があります。一緒に食べる食物を消化しやすいように加工することで、一種の"事前消化"と言えます。新鮮な野菜や果物にはビタミンやミネラルに加えて、この酵素が豊富に含まれています。

 たとえばパパイア。南中央アフリカの原住民たちは、パパイアの葉に肉を包み込み、放置します。パパイアに含まれる消化酵素が肉を柔らかくすることを知っていたのです。これが、たんぱく質分解酵素のパパインです。
 同じくたんぱく質分解酵素を含む果物に、キウイフルーツがあります。キウイフルーツにはアクチニジンが含まれ、肉を食べた後に摂れば、肉の消化が良くなり、胃もたれもしなくて済みます。
 酢豚に入っているパイナップルにも、プロメリンというたんぱく質分解酵素が豊富です。ただし、熱に弱いため、高温で炒めると酵素は死滅します。イチジクにもフィシンというたんぱく質分解酵素が含まれています。

 日本では、サンマやサバなどの焼き魚に大根おろしを添えますが、この食習慣は理に適っています。大根おろしには100種類以上の酵素が含まれ、さながら食物酵素のオンパレードです。澱粉の分解にはアミラーゼ(ジアスターゼ)が、たんぱく質の分解にはプロテアーゼセテラーゼが、脂肪の分解にはリパーゼが働きます。ほかにも活性酸素を攻撃するカタラーゼ、がん物質分解酵素のオキシダーゼも含まれます。焼き魚のコゲはがんの原因とされていますから、このオキシダーゼは効果的です。大根おろしの絞り汁は、酵素など有効成分の宝庫ですから、捨てずに飲みましょう。
 山芋も、デンプン分解酵素アミラーゼや活性酸素分解酵素カタラーゼが含まれています。とろろご飯は消化が良く、お年寄りも安心して食べられる料理です。
 外国にも同じような知恵が見られます。代表的なオードブル、生ハムのメロン添えも消化補助という同じコンセプトですし、ステーキのパイナップル添えも同様です。概して果物は、たんぱく質分解酵素が豊富です。肉類と一緒に食べるか、もしくは食後すぐに食べることをお勧めします。

 食物酵素に関して、胃酸で失活するから外部から摂っても意味がない、という乱暴な説がテレビなどで紹介されたことがあります。しかし、それは違います。酵素は、胃酸で失活しないものと、胃酸で失活したように見えて小腸で蘇り活動するものの2種類があり、胃酸で完全失活する酵素はありません
(出典:『酵素の謎』鶴見隆史著/祥伝社新書)

■酵素を消耗させる食事

以前にも書きましたが、私たちの体内で生み出される潜在酵素には消化酵素代謝酵素があり、生涯で生産される潜在酵素量は決まっています。つまり、消化酵素を使い過ぎれば、生存活動すべてにかかわる代謝酵素の欠乏を招きます。代謝酵素がなければエネルギー回路も働きませんし、活性酸素も除去できませんので、多くの病気を作り出します。
 ちなみにオウム真理教事件で有名になったサリンは、アセチルコリンエステラーゼという筋肉の収縮を止める酵素の働きを失効させる毒ガスです。この酵素が働かなくなるために、筋肉は収縮したままとなり、硬直・麻痺して呼吸ができなくなるのです。
 現在の食品の中にも、消化酵素の働きを邪魔したり、消耗を激しくしたりする、いわゆる酵素阻害物質の働きを持つものが多いので、注意が必要です。
 インスタントやレトルトなどの加工食品精製糖(白砂糖)を使った食品、食品に含まれる添加物や化学合成食材など。他にも高GI食品高たんぱく食品残留農薬トランス脂肪酸などの悪い油脂加熱調理品など数多あります。ファストフードスナック菓子喫煙大量の飲酒深夜の食事など、悪しき食・生活習慣が酵素を欠乏させるのです。
 また、カイロ大学生化学科の研究では、電子レンジでマイクロ波を2秒当てるだけで食品の酵素がすべて破壊されることを発見しています。
 これらを日常的に摂る生活は、自然の食のシステムではあり得ないもので、大量の酵素を消費しています。例えば、多くの消化酵素を分泌している膵臓は、何か異常があれば体内の組織や細胞内にある酵素を動員して、その時に必要な消化酵素に変換して、懸命に分泌します。悪しき食生活をしていると、体内の酵素がどんどん使われ、浪費されてしまいます。潜在酵素が著しく減少することで代謝や解毒に回す酵素が絶対的に不足してしまうのです。つまり、不自然な食品の常食は、代謝酵素が十分に得られない状態になるため、健康状態を損ね、病気を引き起こす大きな原因となり、老化も進めるのです。

消化酵素の消耗を押さえるために

アメリカでは「酵素アプリ」(消化酵素)を販売しています。しかし、日本では独特な法規制があり、消化酵素はサプリとして販売できません。つまり、身体の外から酵素そのものを補うことはできないのです。したがって、生野菜や果物や発酵食品による事前消化で、体内の消化酵素の使用が減少させるしかありません。酵素を含む生食60%、加熱料理40%を目安に摂るのが理想だといわれています。


いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン

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