“発達障害もどき” 寝不足の子供達
成長に必要な睡眠時間は、0歳児で14~15時間、1歳児で14時間、3歳児で12時間、小学生で10時間が理想とされています(日本小児保健協会)。しかし、日本全国の小学生の平日の平均睡眠時間は8時間15分。理想より2時間近くも短いのです。
大人でも睡眠不足は不調の原因になりますが、子供の睡眠不足は、大人が思う以上に様々なことに影響を及ぼします。まず、自己肯定感への影響です。文部科学省の調査でも、寝る時間が遅くなるほど、自分のことを好きだと感じる割合が減ることがわかっています。
その理由が脳科学の研究で明らかにされつつあります。強い光を浴びて夜更かしをすると、本来持っている昼行性動物としての活動リズムが狂い、その影響が心身の不調となって表れます。その結果、就寝時刻が遅い子供ほど「自分のことが好き」と回答する割合が低く、「何でもないのにイライラする」と回答する割合が高いという結果につながってくるのです。世界と比べて日本の子供達は、自己肯定感が低く、うまくいくかどうかわからないことには挑戦しようとしないという傾向が様々な調査結果で出ています。世界と比較しても、日本の子供達は遅寝で、睡眠時間の不足が大きく影響しているようです。「自分は大丈夫だ」と思えないと、チャレンジすることはできません。
子供の中の「これをやりたい!」という気持ちを開花させ、探究力を発揮させるためにも、何よりもまず生活習慣を見直し、早寝早起きを実行することが大切なのです。
睡眠は、学習意欲や学習の成果にも影響を及ぼします。全国学力調査でも、睡眠時間を8時間以上取っている児童の正答率が高いという結果が出ていますし、勉強後に睡眠を取ったほうが、学んだことが定着しやすいこともわかっています。睡眠には、脳の休息だけでなく、学習内容の整理や、記憶の定着という役割があるからです。
また、授業中に集中できず立ち歩く子、ちょっとしたトラブルにキレて暴言を吐く子、学校に通えなくなる子などの増加が伝えられていますが、それらの一因として"睡眠習慣の乱れ"があるということも、はっきりしています。
成長期にある子供達にとっては、睡眠不足で成長ホルモンが十分分泌されず、発育が遅れ、自律神経が乱れることでイライラすることは多々あります。睡眠不足が子供の困った言動を引き起こしてしまうのです。
さらに今、発達障害といわれる子供達が増えていますが、発達障害といわれる子供達の5人に3人は、生活習慣を見直すと問題行動がなくなる「発達障害もどき」だそうです。
睡眠不足は、このような現在の困った言動の原因になるのはもちろん、その後の成長にも深刻な影響を及ぼす可能性が高いことも数々の研究でわかっています。
(出典:https://toyokeizai.net/)
■睡眠とセロトニン
世の中には、短時間睡眠でも成果が上がるというような情報が流布していますが、子供にとっての睡眠の役割は、大人のそれとは同じではありません。探究する力の源である「好奇心」や「意欲」も、睡眠不足では湧いてこないのです。
朝型に変えるだけでうまくいく…セロトニン活性!
夜型から朝方に変えて、とにかく生活リズムを整えることを第一優先にするだけで「子供が変わった」という親御さんもたくさんいます。
実際、早寝早起きし、朝型に変えることでうまくいくというのには、理由があります。脳内セロトニンの働きです。セロトニンは神経伝達物質の一つで、心と身体を安定させ、幸せを感じやすくする働きを持つといわれています。そのセロトニンが分泌されるピークが朝の5時から7時。早起きして朝日を浴びることで、セロトニンが十分分泌されるのです。このセロトニンが不足すると、うつやパニック発作、摂食障害などを引き起こします。また、起床後も覚醒状態をうまく作れず、感情のブレーキが利かなくなり攻撃的になりやすくなるのです。セロトニンが作るメラトニンは、睡眠導入物質であるとともに、脳内最大の抗酸化物質でもあります。メラトニンは睡眠だけでなく、認知症の予防にとっても重要な脳内ホルモンなのです。
朝の光を目に入れることで、体内時計もリセットされ、頭が覚醒。セロトニンが分泌されて心身のバランスも取れて、自然に物事に対する意欲が出る‥‥。
夜型から朝型に変えるは大変と思われるかもしれませんが、まずは早起きから始めて、夜に眠くなったらさっさと寝てしまうこと。その生活をとにかく続けることです。朝、なかなか起きられないお子さんでも、続けることで、乳幼児期なら1週間で体内のリズムが整って朝型に変えることができます。
「子どもが大きくなってもう手遅れ」と思ったあなたも大丈夫!脳の細胞には可塑性があり、いつからでもつくり変えることができるそうです。
子供にとって正しい睡眠習慣は、今後続く長い人生を幸せに送る上でとっても大事なこと。まずは睡眠第一で、じょうぶな脳を育てましょう。
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康復医学学会の主要生薬素材である「ラフマ葉」は、脳内セロトニンを増加させるエビデンスを有しており、その生理作用として、睡眠の改善や精神疲労の軽減(抗ストレス)、鎮静作用、血圧安定などの効果が認められています。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン