2013年12月28日土曜日

「放散痛」とは?

思わぬ所に表われる「放散痛」に要注意

 残業続きで「疲れがたまった」くらいに思っていた。その後も、何度か左肩が強く痛む時があったが、特に気にしないでいたら3ヵ月後、心筋梗塞を起こしてしまった――。

 これは実際にあった話ですが、もし胸の辺りが激しく痛んだなら、この方は重大病と疑っていたはずです。しかし、重大病のサインは、そのものずばりの場所に出るとは限らないのです。このような重大病と関連があるとは思えない痛みの自覚症状を「放散痛」といいます。

九段クリニック・阿部博幸理事長は、「内臓にはさまざまな神経系統があります。痛みはそこを伝わって生じるので、思わぬ場所に表れることが少なくありません」と言っています。
 「狭心症の場合、左の肩や顎などが痛みます。狭心症は心筋梗塞の前兆とよくいわれますが、典型的な訴えは前胸部の真ん中あたりの圧迫感、焼けるような痛み、締め付けられるような感じです。いずれにしても、胸周辺に起こります。そのために、肩や歯が痛んでも、肩凝りや歯の痛みと勘違いするケースが珍しくないのです」(阿部理事長)。
 狭心症は、高血圧、喫煙者、肥満の人にリスクが高く、これらに該当するなら、左の肩凝り、左の歯痛は要注意です。
 「狭心症の症状は、長く続くわけではありません。数分から20~30分で症状が消えますが、労作に伴って何度も症状が表れます。そういった時は、循環器内科を受診してください」。

 こんな事例もあります。日頃、腰痛を訴えていた人が「これまでの腰痛と違う感じ」と何度も言い、「様子を見て、この痛みが続くようなら病院に行ってみる」と話していましたが、その数時間後、突然倒れ、そのまま亡くなり「解離性大動脈瘤」と診断されました。「腰痛は、解離性大動脈瘤の症状だった可能性が高い。解離性大動脈瘤は、放散痛として背中に痛みが表れます。それを腰痛などと勘違いする人がいるのです」。一般的には、解離性大動脈瘤の痛みは強烈です。しかし、ジワジワくる痛みの場合もあります。糖尿病を患っている人なら、神経に障害が生じているので痛みを感じにくく、本来は強烈な痛みと感じるところを、そう思わずにいることもあります。
「放散痛で命にかかわるといえば、狭心症や心筋梗塞、そして解離性大動脈瘤に関連した痛みになります。少しでも“いつもと違う”と思ったら、病院で検査を受けるべきです」(すべて阿部理事長)。

■関連痛と放散痛

神経は、各部位の神経が集まる箇所では一本の太い束ですが、身体の末端に行くほど枝分かれして細くなります。こうした仕組みから、脳は障害が起きている部位からの痛みの信号を特に異常のない身体の部位から送られているものと勘違いする場合があります。
 このように体のある部位の痛みを、別の部位の痛みと脳が勘違いして発生する痛みのことを「関連痛」といいます。

かけ離れた自覚症状

関連痛の中でも、病気や障害のある部位とは全くかけ離れた部位に現れる痛みのことを特に「放散痛」といいます。内臓疾患で肩・背中・腰に痛みが出たり、心筋梗塞などの心臓の病気で、歯・肩・背中などに痛みが出るといったものです。

主な関連痛


放散痛は、それ自体が色々な病気によって生じている症状のため、その根本となっている病気に対処することになります。上記のような自覚症状が長時間続く、頻繁に起るなどの場合は痛みの原因を追究し対処することが重要です。


いつもありがとうございます。
★今年の『本説伝(ホントツタエ)』は今回で打ち止めとなります。一年間お付き合いいただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月25日水曜日

危険なタバコの煙!

副流煙の弊害!

タバコの副流煙(喫煙者が吸い込む主流煙に対してタバコの先から出る煙)は、喫煙者が吸う煙よりも多くの有毒化学物質が含まれています。この副流煙、心臓病になるリスクを最大で30%増加させることが知られています。

 米サンフランシスコ総合病院の研究チームは、これまでの研究で示されたものよりも濃度が低い副流煙を短時間吸い込むだけで、喫煙をしていない成人に血管機能障害の徴候が観察されることが分かった、と米医学誌「Journal of the American College of Cardiology」に発表しました。

 今回の研究には糖尿病、心臓病、腎臓病にかかったことがない健康な非喫煙者33人(18~40歳)が参加しました。唾液中のコチニン(ニコチンからできる化学物質)の濃度を測り、研究前24時間以内に副流煙にさらされていないことを確認した上で、
 ①フィルター処理した清浄な空気
 ②一般的な喫煙者の家庭またはレストランに漂う副流煙
 ③タバコの煙が立ち込めるバーやカジノの副流煙
の3つの環境に割り付けました。これらの環境は実験室で再現され、タバコはフィルター付きのメンソールでないものを使用し、喫煙マシンで煙と測定器を使ってそれぞれの環境に準じた濃度の副流煙を発生させ、被験者を、30分間さらしました。その結果、環境中にしばらく漂う副流煙にさらされた成人では上腕動脈の拡張度が低下し、血管内皮細胞の機能が障害されることが示唆されました。血管内皮機能不全は、脳卒中心筋梗塞などを引き起こすアテローム性動脈硬化症との関連が指摘されています。

 一方で、尿検査と血液検査などの代謝物の測定を行いましたが、いずれも差は認められませんでした。研究者は「多くの成人と子供が地域社会の屋内外で遭遇している低濃度の副流煙を吸入すると、わずか30分後に血管機能が障害を受けることが示された。これは、非常に懸念すべき問題だ」と述べています。

 さらに「喫煙は、自分で変えられる心臓や血管の病気の最も大きな危険因子。今回の研究で、喫煙習慣が自分の心臓だけでなく、別の部屋で短時間喫煙するだけでも自分以外の人に危険を及ぼすことを喫煙者に強く認識してほしい」と結論づけました。
 また、被験者の数が少ないことと副流煙にさらされたのが1回のみだった点が研究の限界ですが、その点について「短時間で何度も副流煙にさらされるという日常生活により近い状況が再現されれば、代謝物や心臓と血管の機能に及ぼす影響の規模も大きくなる可能性がある」と述べています。

 現在、中国で発生しているPM2.5(微小粒子状物質)が話題になっていますが、実はタバコの煙もPM2.5そのものであることを忘れないでください。喫煙OKの居酒屋のPM2.5濃度は、ひどいときの北京市と同等以上なのです。

■血管内皮細胞と一酸化窒素

喫煙習慣がなくても、副流煙だけで血管内皮細胞機能が障害されることが示唆されています。血液内のLDL(悪玉コレステロール)の増加や、血圧上昇、酸化ストレスの増加などにより、血管内皮細胞の機能が低下し、一酸化窒素(NO)などの血管作動物質の産生が減り、臓器としての血管の機能に障害が出ます。血管内皮機能の障害はアテローム性動脈硬化症の発症につながり、この状態が続くと脳卒中や心筋梗塞などを引起こす恐れがあります。

一酸化窒素の重要性

血管内皮細胞から産生される一酸化窒素(NO)は、血管拡張作用(降圧作用)、血小板凝集抑制作用(抗動脈硬化作用)、単球などの白血球が血管内皮細胞に接着したり内皮細胞下組織に浸潤するのを防ぐ作用、などがあります。

 ○酸化ストレスによる内皮障害の抑制     
 ○血小板凝集の抑制
 ○白血球の内皮細胞への接着の抑制     
 ○平滑筋細胞遊走の抑制
 ○血管平滑筋細胞のアポトーシスの誘導   
 ○血管の拡張
 ○平滑筋細胞増殖の抑制

一酸化窒素(NO)の産生を促進する霊芝

※資料抜粋:『HM真菌エビデンス~自然食菌の同定から臨床まで』(微小循環研究所刊)

 康復医学学会が長年研究に取り組んでいる生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、上記データのように一酸化窒素(NO)の産生促進作用があります。一酸化窒素(NO)は、血管内皮細胞の障害の改善だけではなく、血管の拡張作用低下・血小板の凝集にも影響し、血流低下の改善にもなります。そのため、微小循環の血流改善のベースになり、動脈硬化による脳血管障害、心臓血管障害などの予防・改善に期待が持てます。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月21日土曜日

低体温症

屋内の方が発症率が高い?

 「低体温症」と聞くと、冬山などで寒風や雪、冷雨などにさらされて起きるものと勝手に思い込んでいる人が多のですが、実際はまったく違います。

 「実は、都会など普段の生活の中で生じる身近な危険として見過ごせないのが低体温症なのです。事実、救急車で病院へ運ばれてくる低体温症の患者さんのうち、自宅など屋内で低体温症を起こした患者さんが、屋外での発症者の3倍以上に上ります」。こう警鐘を鳴らすのは低体温症の全国調査を初めてまとめた日本救急医学会・熱中症に関する委員会の三宅康史委員長(昭和大学医学部・救急医学)です。

 「人体の中心部の温度(中心温)は通常36.5~37.1度に保たれていますが、それが36度を切ると低体温症と診断されます」。当初は皮膚表面の血管の収縮から鳥肌が立ち、熱を得るための筋肉の収縮から体がカタカタと激しく震え始めます。口ごもって言葉が思うように出なくなり、歩行もままならなくなります。
 「そのうち体熱の喪失が発熱を上回るようになると、中心温は33度以下(中等症)へ低下。やがて体の震えは止まり、意識障害からもうろうとなったり、支離滅裂なことを言い姶めたり、呼びかけに反応しなくなったりします」。
 さらに30度以下(重症)に低下すると昏睡状態に陥り脈拍は微弱となります。そして、心停止に至るというのが低体温症です。

 屋内の場合では、「たとえば、同居家族が不在中の昼間、トイレに行く途中で階段を踏み外し、倒れたまま動けなくなり、助けを呼べずに低体温症に陥ったお年寄りのケースもあります」。家の中でも暖房か効いていない寒いスペースはいくらでもあります。認知症のため適切に判断できない高齢者を抱える家庭では、特に注意しなければなりません。

 「また、脳卒中や狭心症・心筋梗塞、低栄養などの病気を患っている場合、低体温症の発症をきっかけに病状を悪化させ、後遺症を残したり、死に至ったりするケースも少なくありません」。
 中でも糖尿病の患者は要注意です。「いわば、糖は体の中でエネルギーをつくり出すガソリンです。このガソリンを燃焼させるため、血液中から糖を細胞の中へうまく取り込む必要があるのですが、糖尿病はそれがスムーズにできなくなるので、低体温症に陥りやすいと言えます」「自分一人で身の回りのことができなかったり、独り暮らしだったりするお年寄りが低体温症になりやすいといえます」(すべて三宅委員長)。

 しかし、家族と同居していても、お互いのコミュニケーシヨンがとれていないケースも少なくありません。体が冷えたまま、当初の体の震えがなくなったら危険な兆候です。ただちに救急車を呼んでください。

■日常でも多い低体温の弊害

 「低体温症」は前項でもお伝えした通り、重症になると命に関わります。しかし、軽度な低体温でも様々な不調に悩む人が多いのが現状です。
 低体温は体質だけが原因ではなく、薄着でいることによる必要以上の熱の放出や、偏食(ダイエット等)などによる栄養不足、不規則な生活習慣・運動不足、等々も原因と考えられています。
 また、ストレスにも要注意です。ストレスによって交感神経と副交感神経のバランスが崩れると中心温が36℃を下回り、低体温特有の疾患や免疫力の低下などが表れることがわかっています。

低体温になる生活習慣

ストレスによる血行不良・自律神経の乱れ

過度のストレスがかかると血行不良が起こることがあり、これも低体温の原因としてあげられます。
 また、ストレスはホルモンバランスを崩し、自律神経を乱してしまうため、体温をコントロールすることができなくなり、低体温になってしまうことがあります。

エネルギー産生の不足

エネルギーを作り出す機能が低下してエネルギー不足に陥ると、基礎代謝が低下するため冷え性や低体温の原因になります。

たんぱく質不足

ダイエットや高齢者の摂食障害によりたんぱく質が不足すると、血液を送る筋力も低下するので、やはり低体温の原因となります。細胞の中にある“ミトコンドリア”という小器官が熱を発生させているのですが、筋肉量が減ると、ミトコンドリアの数も少なくなるため、それに伴って体温が下降してしまうのです。
 体を作っているのはたんぱく質です。植物性だけでなく動物性たんぱく質もしっかり摂る必要があります。



いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月18日水曜日

がん、アルツハイマーもストレスに起因する

ストレスは万病の元?

ストレスとアルツハイマーとの関係について、佐賀女子短期大学非常勤講師の長谷川亨先生は、次のように述べています。「強いストレスが続くと、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸が減少し、必須アミノ酸であるホモシステインがホモシステイン酸に変化するのを助長します。そして、このホモシステイン酸が、脳内でベータアミロイドの蓄積を加速させます。この“ベータアミロイド”というのが非常に有害な物質で、これが脳内に蓄積すると脳の神経細胞が死んでしまいアルツハイマーを発症するのです」。
 もちろん、アルツハイマーの発症率は若年層より老年層の方が高いのですが、「老化によってホモシステイン酸の排出機能が低下することや、年齢とともにストレスを引きずる傾向が高まることなどが挙げられます。気持ちを若く保ち、なるべく切り替えを早くすることが大事です」(長谷川先生)とのことです。
 一方、ストレスとがんの関係も研究によって徐々に解明されてきています。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の動きが活発な人よりも、そうではない人の方ががんにかかる率が高い傾向があることが分かっています。そしてこのNK細胞の活性が、ストレスによって抑制されてしまうことが報告されています」。
 また、「免疫の低下以外でも、活性酸素によって細胞のがん化が引き起こされることも分かっています。生体はストレスにさらされると、交感神経が緊張し、アドレナリンなどのホルモンが分泌されます。それによって生体が興奮状態に導かれると、それを元に戻そうとする調整作用が働き、アドレナリンの分解が起こります。この時、分解酵素の働きに伴って活性酸素が発生、がんの発症につながるのです」(お茶の水女子大学名誉教授・室伏きみ子氏)。
 ちょっとした体の変調から大病まで、まさにストレスは万病の元なのです。

 最も効果的なストレス解消法はもちろん「ストレス源を絶つこと」。しかし、そうそう仕事を辞めるわけにもいかないし、人間関係や生活習慣を改善するのは難しいものです。
 他にストレスを撃退する方法はないものでしょうか。

ストレスの予防・解消には、セロトニンを活性化させるのがおすすめです」。長年、ストレスと健康の関連を研究してきた東邦大学名誉教授の有田秀穂氏(脳生理学)は語ります。
「人はストレスに対して戦うか逃げるかのどちらかの行動を取るのですが、解決できないことが長く続くと、やがて戦わなくなってしまいます。そうなると、脳内でストレスホルモンが分泌され、うつや自律神経失調症、不眠などになります。セロトニンは、このストレスホルモンをコントロールする役割を持っています」。

■ストレスとセロトニン

ストレスに対抗するセロトニンですが、ストレスや睡眠障害、生活習慣などでセロトニン神経の機能が低下し、セロトニンの分泌量は減少してしまいます。分泌されたセロトニンは、リサイクルもされていますが、慢性的なストレスは、このリサイクル機能も低下させてしまいます。
 ストレスにより分泌される量が減り、リサイクル量も減ると慢性的なセロトニン不足となってしまうのです。

ストレスが神経伝達物質のバランスを崩す!

ストレス状態が続き、CRH(ストレスホルモン)が放出されセロトニン放出が抑制されると、アドレナリンやドーパミンをはじめとする神経伝達物質のバランスを崩します。その神経伝達物質のバランスを整えるのがセロトニンです。

 康復医学学会の主要研究テーマ「ラフマ」には、
〔セロトニン神経の活性〕→〔セロトニン分泌の促進〕→〔神経伝達物質のバランス調整〕
という働きに期待できるエビデンスがあります。

ラフマとセロトニン

ストレスやうつ状態に伴い脳内神経伝達物質セロトニンの量が変動することが知られています。下記はラットによる脳内セロトニンに対するラフマ錠剤の作用の研究データです。




いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月14日土曜日

ストレスで老化が進む

ストレスが老化を促進する!

職場や家庭、人間関係などで生じるストレスは社会的にも問題になっています。
 ストレスとは一体何なのか、そしてストレスを感じた時、体の中では何か起こっているのか? 今回は、そんな意外と知られていないストレスの基礎知識と最新情報をお送りします。

 ストレスとは、元々は物理学の言葉ですが、今では、動物に加えられる生物学的・精神的圧力の総称としても使われています。そして、ストレスには「悪い」ものと「良い」ものがあります。
 外国の研究チームが、同一の母ラットから同時に生まれたラットを数匹ずつの2つのグループに分け、片方のグループには食事量を減らし時々震動などのストレスを与え、もう一方には何のストレスも与えず十分な食事を与えて育てました。すると、前者の方が健康に育ったのです。

 「ストレス状態には①交感神経が興奮する警告期 ②防衛反応が引き起こされる抵抗期 ③生体が疲弊してしまう疲労期、という3つの段階があります。良いストレスとは②の抵抗期までで解消される程度のもので、悪いストレスとは③の疲労期にまで達したものです」とは、お茶の水女子大学名誉教授の室伏きみ子先生。つまり、適度なストレスは動物が成長する上で必要ですが、過剰なストレスはその生体に悪影響を及ぼす、ということなのです。

 そして、気になるのが過剰なストレスは老化が進む原因になってしまうということです。
 「脳の中の扁桃体はストレスを感知すると、“快”か“不快”のシグナルを視床下部に伝達します。その後、体内の2つの経路から抗ストレスホルモンと呼ばれるグルココルチコイド(コルチゾンやコルチソールを含む)が分泌され、生体に影響を及ぼします。ストレス状態が長く続くというのは、グルココルチコイドが長く出すぎることなのです」(室伏先生)。
 過剰なグルココルチコイドは体にどう影響するのでしょうか。
 「グルココルチコイドはたんぱく質を壊しながらグルコースを作りますので、筋肉が弱くなったり傷が治らなくなったりします。また、胃粘膜の減少と胃液分泌の亢進が起こり、胃潰瘍を引き起こすこともあります」と、室伏先生は続けます。
 「グルココルチコイドが長く出ている間は、成長ホルモンなど他のホルモンの分泌が妨げられてしまいます。例えば、成長ホルモンの分泌が減ると、子供なら発育不良になりますし、大人であれば、老化が進む原因になってしまうのです」。

■ストレスの数値化

ストレスは目に見えないものです。知らず知らずのうちにストレスをため込んでいても、自分ではなかなか気づきません。そこで専門家たちが腐心してきたのが“ストレスの数値化”という試みです。

勤労者のストレス点数

左の表は“勤労者のストレス点数表”といい、「配偶者の死」や「左遷」といった、誰にとってもストレスとなりそうな項目がずらりと並び、性別、年代別にそれぞれ点数がつけられています。
 「この表の元になっているのは、1967年に社会学者のホームズと内科医のレイがワシントン大学で発表した“社会的再適応評価尺度”。彼らはまず結婚や借金など、ストレスの作用因子になると考えられる項目を選び出して表を作成。結婚によるストレス度を50点とし、それを基準に0~100点の範囲でそれぞれの項目について多数の人に自己評価で点数をつけさせ、項目ごとのストレス度を割り出したのです」。
 そう説明するのは、大阪樟蔭女子大学心理学部臨床心理学科教授の夏目誠先生。
 「私は、大阪府立公衆衛生研究所の村田弘氏と共にホームズの“尺度”を日本的に改善し、勤労者用、大学生用、主婦用に分けてストレス調査票を作成しました。勤労者用では、大企業に就業中の1,630名(女性308名)に調査し、結婚によるストレスを50点として、それを基準にそれぞれの項目に対して任意で数値を記入してもいました。そのデータをもとに、統計ソフトなどを用いて解析して割り出したのが“勤労者のストレス点数”なのです」
 このような表をもとにして自らのストレス度を測定する方法を「ライフイベント法」と言うそうです。評価方法は、まず20項目のうち、ここ1年以内を振り返って当てはまるものに丸をします。20項目中で2個以上、上位10項目中で1個でもあてはまる人はすぐにでも休息をとったほうが良い。統計の結果は、健常者の平均点は102点、半健康状態の人の平均は260点、ストレス疾患のある人の平均は309点となっています。300点を超えていたら危険、ということになります。
 「ライフイベント法の利点は、自分のストレスを客観的に見ることができる点です。例えば、“多忙による心身の疲労”と“仕事上のミス”の両方に丸がついたとしましょう。その場合、過労のためにミスが起こったのか、ミスをリカバーするために多忙になったのかを考えます。もし過労によるミスだと分かったら、意識的に疲れをとることでミスも防げる、といったようなストレス回避策を具体的に考えられるのです」。

 現在、すでに市販されている「ストレス計測器」もあります。唾液アミラーゼの分泌量で急性のストレスを測ることができる機器で2005年の完成時から2012年末までに1万台以上を売り上げたと言います。
(参考:週刊新潮 2013.12.19日号)

 上記の「ストレス点数表」と「唾液による計測器」で判断すれば、自分のストレスをある程度“可視化”出来るようになります。
 しかし、これもあまり気にしすぎると、それ自体が新たなストレスとなってしまいます。ほどほどに‥‥。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月12日木曜日

「うつ病」?、それとも「認知症」?

判断が難しい高齢者のうつ病と認知症

高齢化や独り住まいの増加などを背景に、うつ病にかかる高齢者が多くなっています。65歳以上では軽症例を含めると約15%に及び、若い人のケースと比べて体の症状が前面に出やすく、自殺率も高いのが特徴です。

 認知症介護研究・研修東京センター副センター長の須貝 佑一先生は、「うつ病は意欲、感情、自律神経の障害が基本的な症状ですが、高齢者では食欲不振、不眠、体のだるさや痛みなどの身体症状が前面に出やすいのです」と言っています。食欲不振がひどいと衰弱して、もともとかかっていた病気が悪化したり、脱水を起こして血管障害を招いたりすることがあります。
 さらに、物事の成り行きを悪い方向にばかり考えやすく悲観的になったり、家族に迷惑を掛けたくないといった自責の念から、自殺を考えたりするケースもあります。

 「この他にも問題なのは、思考停止状態に陥って認知症と間違えられやすい点です。これを“仮性認知症”といいますが、逆に実際に認知症があってうつ病を合併することもあるのです。特に脳の血管障害による認知症を合併するケースが多く、脳血管性うつ病とも呼ばれています」(須貝先生)。高齢者のうつ病に早期に適切に対応するには、これまでかかったことのある病気や手術などの診療の記録などを把握する事も大切です。そして、「食欲がない、不眠が見られる、頭痛や腹痛があって近くの内科を受診してもこれといった原因疾患が見つからないようなときには、精神科の専門医を受診すべきです」(須貝先生)。最悪の事態を避けるには家族や周囲の注意が欠かせません。

 脳血管性うつ病の診断には、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像装置)による脳の検査が必要になりますので、設備が整った精神科を受診した方がよいでしょう。治療には抗うつ薬が用いられますが、脳血管性うつ病では血流を改善する薬が併用されます。

■高齢者のうつと認知症

高齢者の場合、認知症の兆候かと思われる言動は、実はうつ病の症状である場合もあるので仮性認知症という位置づけがあります。
 現在、アルツハイマー型認知症の40~50%の人が抑うつ気分だということが確認されていて、10~20%の人にはうつ病が合併していることがわかっています。また、脳血管障害などには、約30%にうつ病が合併しています。

うつ病性仮性認知症と認知症の鑑別

うつ病性仮性認知の特徴として“思考の停止”があります。考えが止まってしまうのです。

 またうつ症状が強くなると、何もしたくない、食事もいらない、お風呂にも入らないなどの状態になっていきます。注意・集中力や判断力が低下し、認知症ではないかなと周りの人が思うようになってきます。

 うつ病性仮性認知症の場合、放っておけば高い確率で認知症になってしまいます。認知症の場合は、うつ対策を講じてもあまり効果がないとされていますが、うつ病性仮性認知症には、うつ対策が有効です。

================================-

 うつ病では不眠や過眠、睡眠リズム異常などの睡眠障害が高頻度に合併します。また、睡眠障害はうつ病の症状であると同時に、うつ病の原因と治療経過に深くかかわっていることが明らかになっています。

 うつ病とも密接なかかわりがあるホルモンが、睡眠物質の「メラトニン」です。メラトニンは、脳内神経伝達物質の一つ「セロトニン」を原料としています。そして、康復医学学会が長年研究を続けている生薬「ラフマ」には、セロトニンの分泌の促進に関する豊富な研究データがあります。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月7日土曜日

ストレスと自律神経

冬場に乱れる自律神経

寒さが増してきましたが、この時期に便通が悪くなる、すぐ風邪を引いてしまうと悩んでいる人も多いと思います。このような人の場合、体の様々な機能を無意識に調節する「自律神経」の乱れが関係している可能性があります。

 自律神経は呼吸や心臓の動き、血液の流れ、食べ物の消化、体温などを制御しており、特に意識しなくても自然に活動し、自分の意思でコントロールできない神経です。脳の視床下部を起点に脊髄を通って、手足の先まで全身にくまなく張り巡らされています。

 この自律神経は、緊張をもたらすものとリラックスをもたらすものの2種類からなります。自律神経のうち、活動しているときや興奮・緊張するときに強く働くのが「交感神経」です。自動車のアクセルのようなイメージで、活発に働くと血管が収縮し、心拍数や血圧が上がります。
 これに対し、休息やリラックス時、睡眠の際に強く働くのが「副交感神経」で、ブレーキのような役割を果たします。活発化すると小腸や大腸が盛んに働きます。
 両者はシーソーのようにバランスを取りながら健康を保っていて、交感神経は午前中に、副交感神経は夕方から夜にかけてそれぞれ活発化します。

 健康維持には交感神経と副交感神経のバランスをうまく保つことが不可欠です。しかし、寒さや暑さ、ストレス、生活習慣の乱れなどの影響でバランスが崩れることがあります。「低温で乾燥した冬は、血管を収縮させようとして交感神経の働きが活発化する」と順天堂大学の小林弘幸教授は指摘します。副交感神経の働きが低下し、小腸や大腸の筋肉が収縮を繰り返す「ぜん動運動」が低調になるということです。この状態になると、便秘になりやすくなります。暖房が効いた室内と屋外との気温差が大きいことも、自律神経のバランスを崩す一因になります。

 冬に起こりやすい心筋梗塞脳梗塞も、交感神経との関連が指摘されています。寒いと血管が収縮して血圧が上がりやすくなるためです。
 また、自律神経のバランス悪化は病原体などから身を守る免疫システムにも影響を与えてしまいます。交感神経が優位な状態が続くと、体内でつくられるリンパ球が減り、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
 アンバランスを解消するには、副交感神経の働きを活発化させることが大切です。それには、十分に睡眠を取ることです。小林教授は「自律神経のバランスを整えると、病気になるリスクを減らせる」と訴えます。夜遅くまで仕事をしたり遊んだりしていると、交感神経が刺激され続け、副交感神経の活動が亢進しないまま朝を迎えることになってしまいます。

■ストレスに影響される自律神経

前半でも述べたように、自律神経は自分の意志や意識で働かせることのできない神経です。内臓や血管、瞳孔、汗腺などの働きは、この自律神経によって支配されています。心臓の動き、血圧、食べ物の消化、体温の調節など、生命を維持するうえで重要な体の機能をコントロールしているのが、自律神経なのです。

 自律神経の2つの神経「交感神経」と「副交感神経」は対照的な働きをしており、ほとんどの器官はこの2つの神経が同時に働くことで維持されています。

女性に多い自律神経失調症

自律神経のバランスがくずれる最大の原因は、“ストレス”にあるといわれています。仕事や人間関係などで感じる緊張や不安、イライラなど精神的なものを思い浮かべますが、人が受けるストレスはこれだけではありません。気温や気候などの急激な変化も、大きな身体的ストレスになります。そのため、季節の変わり目には自律神経失調症が起こりやすくなります。
 自律神経失調症は男性より女性に多く見られます。これには女性ホルモンが関係しています。女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部というところでコントロールされています。この視床下部は自律神経の働きもコントロールしているので、女性ホルモンの分泌が乱れると、自律神経もそれに影響されてバランスがくずれてしまうのです。

===============================

ストレスが原因で自律神経系に起る反応としては、交感神経の活動が亢進する一方、逆に副交感神経の活動は低下することがあげられます。交感神経は副腎髄質を刺激するので、ノルアドレナリン、アドレナリンなどが血中へ放出され、それらが血液・血管に影響を与えます。その結果、微小循環血流の低下を招き、様々な自覚症状や疾患へとつながってしまうのです。



いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

2013年12月5日木曜日

睡眠時無呼吸症候群

女性も油断できない「睡眠時無呼吸症候群」

「睡眠時無呼吸症候群=SAS(Sleep Apnea Syndrome)」は、就寝中に呼吸が何度も止まるだけでなく、日中には強い眠気も襲います。さらにSASは、高血圧など生活習慣病の悪化も招く病気なのです。

 女性の患者も2~3割を占めているのですが、“太った中年男性の病気”というイメージが強いため、かなり見逃されている可能性があります。専門医によると、女性では閉経後に体重が増えた人、顎がほっそりしている人なども要注意とのことです。大きないびきを注意されたり、強い眠気が気になったりしたら、早めの対処が必要です。

 SASの大部分は、寝ている時に気道(のどの空気の通り道)がふさがって目覚めます。代表的な原因は肥満です。首周りに脂肪が付いて気道が狭くなっているうえ、さらに仰向けで寝ると、重力で舌の付け根部分がのどの方へ落ち込むことで起るのが特徴です。

 疫学調査から、SASは国内に少なくとも200万人いると推定されています。「正確な男女比は不明だが、男3~4に対し女1くらいではないか。男性が多い理由として考えられるのは、気道が女性より長いなど体の構造の違い。また、女性は閉経する更年期以降、男性との発症率の差があまりなくなることから、ホルモンの影響も疑われている。また最近は、病気が広く知られ抵抗感が減ったためか、小顎、細顎の若い女性の受診が増えてきた(睡眠総合ケアクリニック代々木・井上雄一理事長談)

 結婚後、夫の指摘で初めて自分のいびきを知り、SASと診断された人もいました。、彼女は、顎がほっそりしているため、寝ると舌が収まりきらずに気道をふさいでしまっていたようですが、自分では全く気づかなかったということです。

 SAS発見のきっかけは、ほとんどが家族や一緒に旅行した友人からの指摘です。大きく不規則ないびきが続き、何度か呼吸が止まって、のどから「カカッ、カカッ」などと苦しそうな音が聞こえることが多いようです。自覚症状としては、いくら寝ても疲れが取れない、昼間眠気が強いなどが多く確認されています。

 NPO法人SASネット・伊藤康子事務局長は、「男性を中心にSASの認知度はかなり上がったが、特に更年期以降、自分のリスクも上がることをきちんと理解している女性は少ない。今後は女性が自分の睡眠に関心を持つような啓発に力を入れたい」と話しています。

■SASは早めの対策が大切!

SASは眠り出すと呼吸が止まってしまう病気です。呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため、目が覚めます。再び呼吸し始めますが、眠り出すとまた止まってしまいます。これを一晩中繰り返すため、深い睡眠がまったくとれなくなり、日中に強い眠気に襲われます。

 SASによって血中酸素濃度が下がってくるので、これを補うために心臓の働きが強まり、結果的に高血圧となります。また、酸素濃度の低下は動脈硬化を促し、心筋梗塞脳梗塞の原因ともなります。さらに、睡眠不足はストレスを生じますので、血糖やコレステロール値が高くなり、さまざまな生活習慣病やメタボリック・シンドロームがひきおこされます。(厚労省「e-ヘルスネット」より)

SASの可能性がある症状

※以下の項目の3つ以上が当てはまる場合は、念のため受診をお勧めします。家族と一緒にチェックするのが有効です。

大きないびきをかく
就寝中に息が止まることがある
いくら寝ても疲れが取れない
肥満
高血圧
寝汗をかく
眠りが浅い
昼間の眠気、居眠りで困ることがある

=====================================

1時間あたり10秒以上の呼吸停止が20回以上出現するようなSASを放置すると、心筋梗塞、脳梗塞、生活習慣病、眠気による事故などの原因となります。いずれも死亡率が非常に高くなるものですから、すぐに治療する必要があります。
 ひどいイビキ、睡眠中の呼吸停止がある場合には、速やかに対策をとるよう心がけましょう!


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ