2025年10月29日水曜日

糖化と老化

 “脂質”も糖化を進める共犯

 糖化に関わるのは糖質だけではありません。近年の研究で明らかになったのが「脂質」の関与です。

 脂質の摂り過ぎで体に中性脂肪をため込むと、脂肪が分解されて「脂肪酸」が増え、それが酸化することでもアルデヒドが発生します。ある報告では、マウスに高脂肪食を与えると、血液中に脂肪酸由来のアルデヒドが増えることが確認されたといいます。皮下脂肪は寒さや衝撃から体を守る大切な存在ですが、中性脂肪としてたまり過ぎるのは問題なのです。

 同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター教授の米井嘉一氏はこう言います。

「脂肪酸由来のアルデヒドが新たなアルデヒドを生んだり、たんぱく質と結びついたりして糖化が進む」。

 つまり、糖質の摂り過ぎだけでなく、脂肪(油)の摂り過ぎも糖化を進めるのです。両方摂り過ぎの人はダブルパンチで糖化が加速するわけです。

 アルデヒドの暴走は、脂質の多い場所でも起こりやすくなります。例えば、約6割が脂質でできている「脳」です。脂肪酸由来のアルデヒドにより、アルツハイマー型認知症の原因物質とされる「アミロイドβ」が糖化され、排出されにくくなって認知症につながるという説があります。また、肝臓に脂肪がたまる「脂肪肝」も、脂肪酸由来のアルデヒドが関与することが指摘されています。

 なお、アルデヒドは、お酒やタバコと切っても切れない関係があります。お酒の主成分であるエタノールが肝臓で代謝されると、アルデヒドの一種「アセトアルデヒド」が生成されます。また、ホルムアルデヒドなど、アルデヒドの仲間はタバコの蒸気にも含まれています。

 お酒やタバコとアルデヒドの関係は、細胞レベルで考えるとよく分かると米井氏は話します。細胞が分裂・増殖を繰り返すとき、遺伝子のコピーミスによってアルデヒドが発生するからです。

「アルデヒドは、生体内の細胞が分裂・増殖する過程でも発生する。ということは、アルデヒドの悪影響をダイレクトに受けるのは胎児だ。飲酒や喫煙がアルデヒドと関係すると述べたが、いずれも低出生体重児の原因でもある。過剰になれば人体に有害であることは間違いない」(米井氏)

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■体の糖化と老化の関係

 糖化(Glycation)とは、体内で糖(主にブドウ糖やフルクトース)とたんぱく質や脂質が非酵素的に結合し、最終的に「AGE(終末糖化産物)」を形成する現象を指します。これは体内の様々な組織や細胞で起こり、その蓄積が細胞機能の低下や組織の硬化をもたらします。

糖化と老化の関連

 体内のAGEは加齢とともに増加していきます。糖化は老化の促進因子の一つとして注目されており、そのメカニズムは以下のように考えられています。

(1)たんぱく質の機能障害:たんぱく質は体内で様々な役割を担いますが、糖が結びつくことでたんぱく質の立体構造が変化し、正常な機能を果たせなくなります。例えば、皮膚のコラーゲンも糖化されて硬くなり、弾力性が失われてシワやたるみの原因となります。

(2)細胞の酸化ストレスの増加:AGEが体内で酸化ストレスを誘発⇒ 活性酸素種(ROS)の生成を促進⇒ 細胞がダメージを受ける⇒ 遺伝子変異⇒ 細胞機能が低下。酸化ストレスは老化の根本的な原因の一つとされており、糖化はその一因となっています。

(3)慢性炎症の促進(炎症老化):AGEは「RAGE」という受容体と結合すると、炎症性サイトカイン(炎症を引き起こす物質)を大量に産生させ、慢性的な炎症状態を引き起こします。慢性炎症は動脈硬化、糖尿病、認知症など多くの老化関連疾患の背景にあり、「炎症老化(インフラメイジング)」という概念も近年注目されています。

(4)血管の硬化(動脈硬化):糖化によって血管壁のたんぱく質が変性すると、血管が硬くなり弾力性を失います。そして血管の機能が低下し、高血圧や心血管疾患のリスクが高まります。血管の老化は全身の老化を加速させる要因です。

糖化の原因と予防法

 糖化は加齢だけでなく、食事や生活習慣の影響も大きく、特に高血糖状態や糖質過多、加工食品・揚げ物などAGEを多く含む食事は糖化を促進します。

 高血糖状態の継続 糖尿病患者では糖化が著しく進行しやすいため、血糖値を適切にコントロールすることが重要。

 過剰な糖質摂取 特に精製された白砂糖や白米、パンなどの摂りすぎは血糖値の急上昇を招きやすい。

 調理法の影響 高温調理(揚げ物、焼き物など)は食品中のAGEを増加させる。


“糖化の予防法”としては以下が挙げられます。

バランスの良い食事 /低GI食品(血糖値の上昇が緩やかな食品)を選び、野菜や食物繊維を多く摂取すること。 

適度な運動 /運動は血糖値のコントロールや抗酸化酵素の活性化を促進し、糖化や酸化ストレスを軽減させます。 

禁煙と飲酒の節度 /タバコやアルコールは酸化ストレスを増やし、糖化を悪化させます。 

抗糖化作用を持つ栄養素の摂取 /ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどは抗酸化作用が強く、糖化の進行を抑制します。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年10月22日水曜日

廃用症候群

 寝たきりになったのに退院を迫られた

 入院する前よりも歩けなくなったのに、病院から「退院してほしい」と言われた――。こんな、患者の家族の戸惑いの声を聞くことがあります。「病院は治療して、患者が元の生活に戻れるようにする施設」と思われていますが、そうならないケースは珍しくありません。

 過去に脳梗塞を起こしたことがある70歳代の女性は、ある日、食事が取れなくなり、動けなくなってしまいました。「また脳梗塞を起こしてしまったのではないか」。家族はそう思い、救急車を呼びました。急性期病院に搬送されて検査を受けましたが、新たな脳梗塞の所見はなく、はっきりとした原因は分かりませんでした。ただ、家族の強い希望により入院となり、口から食べられないという理由で、鼻から管を入れて栄養を取ることにしました。

 入院中は、転倒リスクや安全管理の観点から歩行を制限されることがあります。寝たきりの生活が長引くと、筋肉や関節、内臓などの機能が著しく衰えてしまいます。「廃用症候群」と呼ばれ、たとえ病気の治療はうまくいっても、以前のように動けなくなってしまうのです。

 この女性は、入院中に 誤嚥性肺炎や尿路感染を繰り返し、その間に廃用が進み、ほぼ寝たきりとなってしまいました。管による栄養摂取が続き、ご家族は「この状態では、家では看病できない」と悩まれました。しかし、病状が落ち着いていることから、病院からは退院してほしいと言われたのです。

「入院が長引くほど筋力が落ちる」「病院は治療の場であって、生活を支える場ではない」という前提があります。しかし、家族は「入院すれば元気になる」「退院するときは元通りに近い状態であるはず」と考えていることが多く、そこに大きなギャップが生じています。

 この女性の病状はその後、安定したものの、「退院して自宅に戻るのは困難」と判断されて療養病棟に転院しました。

 急性期病院には、できるだけ早く退院してほしいという意図があったと思います。しかし、女性は様々な合併症を持っており、回復は想像以上に難しいものでした。だからこそ、入院中から「退院後の生活」を見据えた準備が必要です。医師、看護師、リハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカーなど、多職種が連携して退院支援を行い、必要に応じて在宅介護、施設入所、リハビリ入院、療養病棟などの選択肢を検討していくことが大切です。

 患者や家族も、「今の状態では家での生活が心配」「介護サービスについて知りたい」というのであれば、地域の行政機関や専門機関、医療関係者、民生委員などに相談しましょう。

「入院前より悪くなっている」と感じることは、とてもつらいことです。しかし、現実から目をそらさず、「どうすればこれからの日常を支えられるか」と考えていくことが、次の一歩につながります。

(出典:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/)


■廃用症候群

 廃用症候群(Disuse Syndrome)は、身体や精神の機能低下を起こす状態で、長期間にわたる身体的な活動や使用の減少・停止が要因です。特に、病気や怪我、手術、長期の臥床療養、または精神的な理由などにより、日常的な動作や活動を行う機会が制限されると発生しやすくなります。廃用症候群は、多岐にわたる臓器や機能に影響を及ぼし、結果としてQOL(生活の質)の低下、社会活動の制限、身体的な衰弱や合併症を引き起こします。

廃用症候群の主な特徴と兆候

 廃用症候群の兆候は、身体的、精神的、社会的側面にわたります。代表的な身体症状は、筋力低下や関節可動域の減少、筋萎縮です。長期臥床による筋肉委縮は、歩行や日常動作に支障をきたし、転倒や骨折リスクも高まります。さらに、関節が硬くなり、動きが制限されることもよくあります。精神面では、意欲や気力の低下、抑うつ状態、認知機能の低下など。これらは精神的な疎外感や孤立感を促進する結果となります。社会的な影響では、長期間の安静や身体的制約により、社会活動や趣味、仕事からの離脱、孤立感の深刻化などが生じます。

廃用症候群の発生メカニズム

 廃用症候群の発症には、身体・心理の両面からのメカニズムがあります。身体的には、運動不足により筋肉の萎縮や関節の硬化が進行し、血液循環の減少や骨密度の低下も促進されます。これらにより、リハビリテーションや身体活動への適応が困難になり、二次的な合併症を引き起こすこともあります。一方、心理的側面では、長期の療養や身体制約に伴うストレス、孤独感、意欲の低下が、身体活動の再開を妨げる悪循環を生み出します。精神的なストレスや不安は、交感神経系や免疫系のバランスを崩し、さらに身体機能の低下を助長します。

廃用症候群の予防と対策

 廃用症候群の予防・改善には、多角的なアプローチが重要です。まず、早期のリハビリと積極的な身体活動の促進は不可欠。特に長期臥床を余儀なくされる場合でも、患部の運動や、理学療法士の指導による関節や筋肉のストレッチ、筋トレが推奨されます。また、日常生活の活動量を増やす努力も重要です。杖や歩行器などの補助具を使った活用した歩行訓練や、座ったままできる体操も効果的です。併せて心理的ケアも行えば、モチベーションの維持や精神的なサポートが可能となります。さらに、栄養管理や適切な休息、睡眠の質向上も、身体と心の回復に寄与します。多職種連携による包括的なケア体制の整備が鍵でしょう。

廃用症候群の治療とリハビリテーション

 既に発症した場合の治療は、原因の除去とともに、身体的・精神的機能の回復を目指します。具体的には、段階的な身体活動の導入、理学療法や作業療法、リハビリテーションプログラムの実施、精神的支援や社会的支援を組み合わせて行います。早期の介入で、筋肉や関節の硬化を防ぎ、日常生活動作の回復が可能です。


2025年10月15日水曜日

健康な生活

 “座りっぱなし”は認知機能を低下?

 毎日身体活動をしていても、ソファで過ごす時間が長い高齢者はアルツハイマー病(AD)を発症しやすい可能性があるようです。

 新たな研究で、高齢者における長い座位時間は、認知機能の低下やADの発症に関連する脳領域の萎縮と関連していることが明らかになったのです。米ピッツバーグ大学神経学分野のマリッサ・ゴグニアット博士らによるこの研究結果は、学術誌『Alzheimer's & Dementia』に5月13日掲載されました。

 ゴグニアット博士氏らは、50歳以上の成人404人(平均年齢71±8歳、男性54%)を対象に、座位時間とADの関係を調査。試験参加者は、腕時計型の活動量計を7日間装着して活動量を測定したほか、神経心理検査と脳の3T MRI検査を受けました。試験開始時の活動量計での測定時には、79%の参加者で認知機能に障害は見られませんでした。また、87%が米疾病対策センター(CDC)が推奨する身体活動量(中~高強度の運動〔MVPA〕を1週間当たり150分以上)を満たしており、1日当たりのMVPAの時間は平均61分でした。

 横断解析(1時点のデータに基づく)の結果、座位時間が長いことは、嗅内皮質や中側頭皮質などのADに関連する脳領域の皮質厚の減少(ADシグネチャー)、およびエピソード記憶の低下と有意な関連を示しました。ただし、エピソード記憶との関連はMVPAで調整すると有意ではなくなりました。これらの関連は、ADの遺伝的リスク因子であるAPOE-e4の保有者において特に顕著でした。一方、縦断解析(長期追跡データに基づく)からは、座位時間が長いほど、記憶を司る海馬の体積の減少速度が速く、また、言葉を思い出す能力と情報を処理する能力の低下速度が速いことが明らかになりました。

 こうした結果を受けてゴグニアット博士は、「ADのリスクを減らすには、1日に1回の身体活動だけでは不十分だ。たとえ毎日、身体活動を行っていても、ADの発症リスクを抑制するには座位時間を最小限に抑えるべき」と話しています。

 加齢に伴うライフスタイルの選択とそれが脳の健康に及ぼす影響を研究することは非常に重要です。この研究は、座位時間を減らすことが、脳の神経変性とそれに続く認知機能低下を予防する有望な戦略となり得ることを示したものであり、特に、ADの遺伝的リスクが高い高齢者において、座位時間を減らすことの重要性が強調されています。

 日中に座って過ごす時間を減らして体を動かし、活動的な時間を増やすことは、脳の健康にとって非常に重要です。

(出典:HealthDay News)


■健康的な生活を送るために

 健康的な生活は、身体的・精神的な健康を維持・向上させるために不可欠なものであり、生活の質を高める基盤となります。健康的な生活を送るためには、適切な要素の取り入れ、日々のルーティーンの確立、そして避けるべき習慣を理解し実践することが重要です。

健康生活に欠かせない要素

 1. バランスの良い食事 :栄養素をバランスよく摂取することは、身体の機能維持や免疫向上に直結します。具体的には、野菜や果物、全粒穀物、良質なタンパク質(魚・鶏肉・豆類など)、良質な脂質(オメガ3脂肪酸を含む魚油やナッツ類)を適度に摂ることが大切です。一方で、加工食品や過剰な砂糖、塩分、飽和脂肪酸の摂取は控えましょう。また、水分補給も忘れずに。十分な水分摂取は代謝を助け、身体の老廃物を排出する役割を担います。

 2.  適度な運動 :WHO(世界保健機関)では、成人は週に最低150分の中強度有酸素運動、または75分の高強度有酸素運動を推奨しています。有酸素運動は心肺機能の向上や体脂肪の減少に寄与し、筋力トレーニングは筋肉量の維持・増加を促します。さらに、ストレッチやヨガも、ケガ防止やストレス軽減に役立ちます。運動は精神面にも好影響を与え、うつ症状の軽減にもつながります。

 3. 十分な睡眠 :睡眠は身体の修復や記憶の定着、ホルモンバランスの調整にとって重要です。成人の場合、7~9時間の睡眠が推奨されています。睡眠の質を高めるためには、毎日同じ時間に就寝・起床する規則正しい生活習慣を心掛け、寝る前のスマホやテレビの使用を控えることが効果的です。寝室は静かで暗く、適温に保つことも大切です。

4.  ストレス管理 :過度なストレスは免疫機能の低下、血圧上昇、消化不良など身体に悪影響を与えます。ストレス緩和のために瞑想や深呼吸、趣味の時間を持つことも有効です。人間関係を良好に保ち、感情を適切に表現・発散することもストレス管理に役立ちます。

避けるべき・止めるべき習慣

 健康的な生活を阻害する習慣の代表が「喫煙」です。タバコはがんや心臓病のリスクを大幅に高めます。禁煙は重要な健康改善策の一つです。また、「過度な飲酒」も肝臓疾患や各種健康問題を引き起こします。適量・節酒を心がけましょう。さらに「過食」「ジャンクフードの常習的摂取」も肥満や生活習慣病の原因となります。

 また、「座りっぱなし生活」も健康に悪影響を及ぼします。姿勢の悪化や筋力低下、代謝の低下を招くため、立ち上がって身体を動かす習慣を持つことが大切です。さらに、「睡眠不足」「不規則な生活」は免疫低下や精神的な不調を招きます。規則正しい生活を。

 総じて、健康的な生活は上記4つの健康要素を基本に意識しつつ、それらを日々のルーティーンに落とし込み、不健康な習慣を避けることによって築かれるのです。小さな習慣の積み重ねが大きな効果を生むため、無理なく継続できる取り組みを優先し、自身の生活環境や好みに合わせて調整していくことが、健康的な生活を長く維持する鍵となります。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年10月8日水曜日

喫煙のリスク

 膀胱がんの5割はたばこが関係

 たばことがんの関係というと、一般の方は肺がんを思い浮かべるかもしれません。肺もそうですが、実は、「膀胱」もたばこの影響を受けやすいことが知られています。

 韓国では、40歳以上の閉経女性約136万人を追跡したところ、たばこを吸わない人に比べて喫煙の"累積量"が多いほど膀胱がんリスクを高めることが明らかになりました。累積量とは1日の箱数と喫煙年数を掛けて算出する数値で、単位はパックイヤー。たとえば1日2箱で10年なら、20パックイヤーです。

 膀胱がんのリスクは10パックイヤーで1.5倍、20パックイヤーで2.3倍でした。現在は禁煙している人でも、吸っていた時の累積量が20パックイヤーならば、2.25倍と高止まりしたままでした。

 この調査は40歳以上の閉経女性が対象でしたが、50歳以前に膀胱がんを発症するのはそもそも稀ですから、喫煙は女性全体の膀胱がんリスクを高めることを意味しています。男性についても世界的に同様の結果となっています。国立がん研究センターの多目的コホート研究でも、累積量が40パックイヤー以上だと膀胱がん発症リスクは約2倍になっています。

 たばこに含まれる発がん物質は、肺胞で吸収されて血中に入ると、やがて腎臓から尿の中に排出されて膀胱へ。発がん物質は排尿されるまで膀胱の内壁を刺激するため、膀胱がんを発症しやすくなるのです。現在では、膀胱がん全体の5割は、喫煙が関係しているとされます。ですからスモーカーは要注意でしょう。

 昨年12月に膀胱がんで亡くなったキャスターの小倉智昭さん(享年77)は、闘病経験を発信するようになると、過去の喫煙歴に触れつつも、「たばこが(膀胱がんの)原因になることは意外に知らなかった」と語っています。もし現在まだ喫煙されている人は、なるべく早く禁煙することが最重要事項と言えます。

 
前述の国立がん研究センターの多目的コホート研究では、禁煙して「10年未満」の膀胱がん発症リスクは1.8倍。最も高リスクだった「累積量50パックイヤー以上」の2.2倍よりやや下がるもののあまり変わりません。

この多目的コホート研究では、「禁煙10~19年」で吸わない人の1を下回る結果が出ていますが、世界的には「禁煙10~15年」で約1.5倍、「禁煙20年以上」で約1.2~1.5倍ほど。大幅なリスク低下を期待するなら、20年以上の禁煙が必要とされていますから、早期の禁煙が大切です。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■喫煙の体への悪影響と霊芝

喫煙は様々な病気の原因となり、寿命を縮めます。具体的には、肺がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、歯周病など、多くの疾患のリスクを高めることがわかっています。また、妊娠中の喫煙は、早産や低体重児の出産、先天異常のリスクを高めます。

具体的健康リスク

 がん :肺がん、喉頭がん、口腔がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がんなど、全身のがんの発症リスクを高めます。

 心臓病 :虚血性心疾患、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症など、心臓に関する病気を引き起こしやすくなります。

 脳卒中 :脳出血、脳梗塞など、脳血管に関する病気を引き起こしやすくなります。

 呼吸器疾患 :慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、慢性気管支炎など、呼吸器に関する病気を引き起こしやすくなります。

 糖尿病 :喫煙はインスリン抵抗性を高め、糖尿病の発症リスクを高めます。

 歯周病 :口腔内の炎症や歯周組織の破壊を引き起こし、歯周病のリスクを高めます。

 その他の影響 :寿命が短くなる、妊娠中の影響(早産、低体重児、先天異常)、勃起障害、生殖機能の低下など、さまざまな影響が報告されています。

★受動喫煙:喫煙者の周囲で煙を吸い込むと、喘息の発作、呼吸器感染症、心臓病の発症リスクが高まる可能性があります。また、妊娠中の受動喫煙により、胎児の発育遅延、早産、低体重児、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを高めます。

喫煙者における霊芝の効能

 喫煙者は、霊芝の摂取により免疫力を高め、体内の酸化を防ぎ、血管や臓器の健康を保つ効果が期待できます。また、中枢神経の興奮を抑え、鎮痛効果もあります。霊芝には、多くの有効成分(200種以上の霊芝多糖類)や特異成分(ガノデリン酸など10種類以上)が含まれています。

免疫力向上:霊芝には、免疫細胞を活性化させ、免疫力を高める働きがあります。喫煙は免疫力を低下させるため、霊芝の摂取は喫煙者にとって特に有効です。

酸化防止:喫煙によって体内で活性酸素が大量に発生し、細胞やDNAを損傷させます。霊芝に含まれるポリサッカライドは、活性酸素を消去し、酸化を防ぐ働きがあります。

血管の健康:喫煙は血管を硬化させ、高血圧や動脈硬化のリスクを高めます。霊芝には血圧を下げる作用や、血管を柔軟にする作用があるため、喫煙者にとって血管の健康を保つ効果が期待できます。

臓器の保護:喫煙は肝臓や腎臓にも負担をかけており、霊芝には肝臓や腎臓の機能を保護する作用があるため、喫煙者にとって臓器の健康を保つ効果が期待できます。

神経系の安定:霊芝は中枢神経の興奮を抑え、鎮痛作用があるため、喫煙によって神経が高ぶっている喫煙者のリラックス効果が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年10月1日水曜日

老年期うつ

 老年期うつ病

 日本は世界一の長寿国です。2022年の「平均寿命」は男性81.05歳、女性87.09歳となっています(厚生労働省調査)。しかし、「健康寿命」(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を見ると、男性72.57歳、女性75.45歳と、平均寿命より男性で8.49年、女性で11.63年も短くなっています。つまり多くの人は、70代から何らかの健康問題を抱え、生活を制限されながら10年近くの余生を過ごすことになるわけです。

 中高年~老年期では、老化の進行により、体の様々な箇所で支障をきたすことから「体の調子」に目が行きがちです。ですが、健康で元気に長生きするためには、「心の調子」にも目を配る必要があります。特にシニア層は、「老年期うつ病」に注意が必要です。

「老年期うつ病」は、65歳以上の人がかかるうつ病のことで"老人性うつ"や"老後うつ"とも呼ばれます。生きがいや物事に対する興味を感じなくなったり、漠然とした不安にかられたりする特徴があります。

 生きがいを感じられず、幸福感を得られないと、生活の質も落ちていきます。加えてその状態を放置すると、「ひきこもりがちになる」→「外界との交流がなくなる」→「足腰が弱まり、ロコモティブシンドローム*になる」→「認知症&寝たきりになる」といった悪循環に陥ることになりかねません。

*ロコモティブシンドローム:筋肉や骨、関節、神経などの運動器の障害で、立ったり歩いたりする移動機能が低下した状態。

 高齢者の生きがいを感じている割合が減っている事実もあります。内閣府の「令和3(2021)年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」(60歳以上の男女、2435人)によると、生きがいを「十分に感じている」という人は23.1%にとどまります。これは平成25(2013)年の結果、38.5%に比べて大きく減少しています。「(生きがいを)多少感じている」人の割合は50.1%ですが、理想は「十分感じている」状態です。

 厚生労働省の調査結果(2017年)によると、気分障害(うつ病、双極性障害など)の年齢別患者割合は、65歳以上が最も多く31.7%。この数字を見ても、高齢者のメンタルケアが欠かせないことが分かります。

 気分障害の原因には、ストレスが大きく関与しています。強いストレス状態が続くと、コルチゾール(=ストレスホルモン)の分泌量が増え、細菌やウイルスなどへの免疫力が低下します。このため、ストレスを減らす考え方や行動、ストレスを受けたときの対処法が重要です。

 味気ない現実、面倒な人間関係、健康上の不安、経済的な心配など、人生にはストレスがつきものです。高齢者の場合、残りの人生を悲観したり、健康や経済面の不安も増大したりして、気持ちが落ち込みます。しかし、これを侮ってはいけません。こうしたストレスが蓄積していき、老年期うつ病につながっていくからです。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■老年期うつと認知症の違い

症状の進行速度 :認知症は、記憶障害などが徐々に進行することが多く、発症時期がはっきり確定できません。老年期うつは、何かの原因や環境変化に伴って、比較的短い期間に様々な症状が出るため、周囲の人が気付きやすいという特徴があります。

 自責の念の有無 老年期うつの方は、「自分の病気のせいで、周りの人に迷惑をかけている」という自責の念が強くなり、抑うつ症状が特に強く見られます。老年期うつと違い、「死にたい」という気持ちや自責の念を訴えることはあまりありません。

 本人の自覚の有無 認知症の場合、問題行動は見られますが、認知機能の低下で、自分の症状に無関心になることが多くなります。不安や抑うつ症状は、認知症のBPSD(周辺症状)の一部として出る場合もありますが、主要な症状のことはあまりありません。老年期うつの人は、自分の認知機能の低下を、その前後で自覚できるため、自分の症状が悪化していないかどうかをよく気にするようになります。

 記憶障害(物忘れ)の有無 記憶障害は、うつと認知症の両方にみられますが、症状の表れ方が違います。認知症の場合、軽度の記憶障害から始まって、徐々に進行していきます。日常で食事したこと自体を忘れてしまうなど、物事自体を忘れてしまいます。老年期うつの人の場合、環境変化や日常のストレスなどをきっかけとして、突然数日前のことを思い出せなくなり、それによって本人自身の心配や不安が高まっていく傾向があります。

 質問に対する受け答え方の違い 認知症の人は、質問に対して、見当違いな回答をします。そのことを指摘すると、取り繕う様子が見られることも多い。老年期うつの場合は、質問に対して考え込んでしまい、明確な回答ができないことが多いという特徴があります。

うつ病改善のカギは「セロトニン」

 脳内セロトニン(神経伝達物質)は、気分や睡眠、食欲などの調節に関わり、うつ病の発症にはセロトニンの機能低下が関与していると考えられています。特に高齢者は、セロトニンの分泌量が減少し、セロトニン作動性の神経細胞も減少するため、うつ病リスクが高まるのです。セロトニンを増加させれば、うつ病の症状の改善、予防に繋がる効果が期待できます。

 康復医学学会の主要研究素材「ラフマ葉」には脳内セロトニンを増加させ、セロトニン神経の通過性を安定させる作用が確認されています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年9月24日水曜日

頭痛と片頭痛

 見逃すと生命にかかわる頭痛

 頭痛には上手に付き合わざるを得ない「一次性頭痛」と、脳やその他の部位の疾患のサインとして現れる「二次性頭痛」があります。実は、この二次性頭痛の中には、見逃すと生命にかかわるものもあるので注意が必要です。

 一次性頭痛は、脳の一過性の異常によって起こる頭痛で、「頭痛持ちの頭痛」と呼ばれます。全体の約80%を占め、偏頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などが含まれます。大半は良性で、つらいことはあっても、生命に危険を及ぼすことはありません。

 一方、放っておいたら危ないのが、くも膜下出血、脳内出血、脳腫瘍などにより引き起こされる二次性頭痛です。この場合の頭痛は、脳や身体の異常を知らせるサインの役目をはたしているため、すぐに医療機関を受診することが求められます。

 危険な頭痛のサインには次のようなものがあります。

 ハンマーで殴られたような頭痛

 こうした表現をされるのが、脳卒中のひとつで、脳動脈瘤が破裂して起きる「くも膜下出血」です。激烈な頭痛に襲われるのに加えて、嘔吐や意識喪失、痙攣などがみられます。さらに、うなじから首にかけて硬くなる項部硬直も起きます。このような場合は、すぐに救急車を呼びましょう。救急車で運び込まれた人の1/3は社会復帰できるまでに回復し、次いで1/3は身体に何らかの障害を残しています。そして残り1/3は寝たきりか死亡というのが現状です。くも膜下出血タイプの頭痛は、「この時から頭痛が始まった」というように発症時期が明確なのが特徴です。

 吐き気、嘔吐、手足のしびれ、言葉の障害などを伴う頭痛

 頭部を打撲したときに緊急を要するのが「急性硬膜下血腫」や「急性硬膜外血腫」です。頭痛の域を越えている症状なので、救急車で運ばれることになります。そのときは何の問題もなくても、2週間~数ヵ月後に頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が出てくることがあります。これは「慢性硬膜下血腫」といい、頭蓋骨の内側の硬膜と脳のすき間に少しずつ血腫ができ、それが脳を圧迫して、様々な症状を呈する病気です。頭部を打撲した場合は、症状のあるなしにかかわらず2~3週間後にCT検査を受けることをおすすめします。

 朝方に痛みが強くなる頭痛、おう吐

 脳腫瘍の代表的な症状です。脳腫瘍には多くの種類がありますが、とりわけ多いのが「髄膜腫」と「神経膠腫」。最も多い前者は、ほとんどが良性ですが、後者はゼリー状の腫瘍で、脳のあらゆる部分にできるたちの悪い腫瘍です。どちらも初期の症状は目立たないものの、腫瘍が大きくなるに従って、次第に痛みが強くなります。頭全体が重苦しく、四六時中痛みます。そして、特徴的なのが「朝方により痛みが強くなる」ことです。脳腫瘍による頭痛は、一度始まったら治療するまで止まりません。1~2週間ずっと途切れずに頭痛が続くような場合は、脳神経外科を受診しましょう。

(出典:https://www.healthcare.omron.co.jp/)


■男性より女性に多い片頭痛

 片頭痛(偏頭痛)の症状は、周期的に生じる片側性の頭痛で、ズキンズキンと脈を打つように拍動する痛みが特徴です。若年期に発症することが多い傾向です。

 頭痛発作の前日ないし数日前に、気分の変化、口が渇く、飢餓感、あくび、眠気などの症状がでる場合があります。特に治療をしなければ、頭痛は数時間から数日程度持続します。片頭痛の頻度は男性より女性に多く、女性で20%、男性で6%という報告もあります。女性では月経前に生じやすいという特徴があります。

朝から痛むのは片頭痛ではない

 起床時の頭痛は片頭痛だと思い込んでいる人も多いのですが、東京科学大学(旧東京医科歯科大)大学院・神経内科学教授は次のように言っています。「片頭痛は頭部の血管が三叉神経などを刺激して痛みを起こす病気と考えられている。痛みが出る前に目の前がチカチカする閃輝暗点症状などの前駆症状があるのが典型で、多くは拍動性の痛みが特徴だ。しかし、前駆症状があるとは限らず、起床時にきまって起きることはめったにないので、朝からの頭痛の大半は片頭痛の薬を飲んでも無駄なのだ」。

セロトニンの異常分泌

 睡眠障害やストレス、生活習慣など様々な要因で神経伝達物質のセロトニンの分泌に異常が起ると、脳内の血中にセロトニンが一時的に増えます。すると血管が収縮します。収縮した血管からセロトニンが急激に減少すると今度は血管が拡張します。これによって血管の透過性が亢進し炎症物質が産生され血管壁が炎症や浮腫を起こします。これが痛みとして伝達されて片頭痛の発作が起こると考えられています。

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 頭痛薬は、初期の段階では有効な時もありますが、長期連用・飲み過ぎは、頭痛をさらに発症させることにつながるので、注意が必要です。また、慢性的な頭痛や片頭痛などに対しては、軽い抗うつ薬や抗不安薬が処方される場合もあります。

 ストレスや疲労、不摂生な生活習慣などでセロトニン神経の機能が低下するとセロトニンの代謝異常がおこります。康復医学学会が長年研究している天然ハーブ素材「ラフマ」には、セロトニン神経を活性させ、正常なセロトニンの分泌を促進するデータがあります。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年9月17日水曜日

脳とたんぱく質


 菜食主義者はうつ病になりやすい?

 食事とうつ病の関係としては、食事の時間帯とうつ病の発症リスクが関係している可能性が示されたり、高脂肪の食事を繰り返すとアルツハイマー病やうつ病リスクが悪化することが判明したりと、様々な研究が行われています。ブラジル・ポルトガルの大学による共同研究で、新たに「肉を抜いた菜食主義の食事とうつ病の関係」が示されました。

 ブラジルの大学で集団的健康のプログラムを担当する研究者らのチームは2022年9月に公開した論文で、35歳から74歳のブラジル人1万4216人を含むデータを用いて横断分析の研究を発表しました。調査の中には「食物の頻度に関するアンケート」が含まれており、個人が肉を食べるか肉を含まない食事を選んでいるかを判断しています。その後、うつ病や不安障害などのメンタルヘルス面での問題の有無を調べる特別の手法を使用して、個人のうつ病に関するエピソードを喫煙やアルコール摂取量、身体活動、健康状態、毎日のエネルギー摂取量などの要因と合わせて評価しました。

 結果として、うつ病に関するエピソードの発生率が、肉なしの食事との間に正の関連性があると研究者たちは発見しました。肉を食べない人は、肉を日常的に食べる人の約2倍の頻度でうつ病に関するエピソードを経験していたのです。

 菜食主義とメンタルヘルスとの研究は過去にも行われており、2020年の研究ではメタ分析により関連性が観察されなかった一方で、2021年の研究では同様のメタ分析で菜食主義と高いうつ病スコアの関連性が確認されました。2022年1月にイギリスの研究者らが発表した論文では、「過去のメタ分析では、7件の研究で菜食主義とうつ病に関係があると示され、7件の結果では関連性が見られないとされていますが、分析された研究は不均一で、さらなる研究が必要だ」と述べ、範囲を広げた詳細なメタ分析を行いました。結果として研究者は「菜食主義は肉を食べる人よりもうつ病との関連性が高く、またヴィーガンの食事はベジタリアンの食事よりもうつ病との関連性が高い」と示しています。

 ブラジルの研究チームによる論文では、うつ病のリスクは社会経済的要因やライフスタイルではなく、肉を食べない人に多く見られる傾向であると結論付けていますが、栄養不足がその原因ではなく、うつ病と菜食主義との直接的な因果関係の調査はできていません。

 また一方で、この研究についてのオンライン掲示板のスレッドでは、「肉を食べないからうつ病になりやすいのではなく、動物に道徳的価値を強く置いて肉を食べないという選択をする人は、共感性が高くメンタルヘルスを害しやすいのではないか」といった意見や、「ベジタリアンは肉を食べることを非倫理的と思っている人もいるため、多くの人が肉を食べていることに常に心を痛めている」「食べ慣れない料理を前にしたとき、料理に何が入っているのかを気にせねばならないのはストレスだ」などの具体的な指摘も挙げられています。

(出典:https://gigazine.net/)


■認知症予防:脳を守るたんぱく質

なぜたんぱく質が脳に重要なのか?

 脳は、思考、学習、記憶といった高度な機能を司る臓器であり、その活動には絶え間ないエネルギーと栄養が必要です。たんぱく質は、体のあらゆる組織を作る基本的な材料であり、脳にとっても例外ではなく、脳の構造と機能の両面で、重要な役割を担っているのです。

神経伝達物質の合成:脳内の情報伝達は、神経伝達物質(化学物質)によって行われます。これらの神経伝達物質(ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン等)は、アミノ酸から合成されます。アミノ酸はたんぱく質が分解されてできる最小単位であり、十分なたんぱく質摂取は神経伝達物質の合成を円滑に行うために不可欠です。

脳細胞の維持・修復:脳細胞(ニューロン)は、情報の伝達や処理を行います。たんぱく質は、これらの脳細胞の構造を維持し、ダメージを受けた細胞を修復するために必要です。

脳のエネルギー源:一部の研究では、たんぱく質が脳のエネルギー源としても利用される可能性が示唆されています。

たんぱく質摂取と認知症リスクに関する研究

 複数の研究が、たんぱく質摂取と認知症リスクとの関連性を示唆しています。

 疫学研究 :大規模追跡調査では、高齢者においてたんぱく質の摂取量が多いほど、認知機能の低下リスクが低い傾向があります。特に、動物性たんぱく質だけでなく、植物性たんぱく質も認知機能の維持に貢献する可能性が指摘されています。

 介入研究 :たんぱく質の摂取量を増やしたり、特定のアミノ酸を補給したりする介入研究では、認知機能の一部が改善したという報告があります。

 ただし、これらの研究はまだ発展途上であり、量、種類、摂取タイミングなど、より詳細な検討が必要です。しかし、現時点での知見は、たんぱく質が認知症予防の一助となる可能性を示唆しています。

 右図は、たんぱく質がどのように脳の健康に貢献するかを示しています。このプロセスが円滑に進むことで、情報伝達がスムーズになり、結果として認知機能の維持・向上に繋がるというメカニズムです。

 たんぱく質は、脳の構造と機能の両面において不可欠な栄養素であり、認知症予防においても重要な役割を果たす可能性が示唆されています。バランスの取れた食生活の中で、様々な食品から十分なたんぱく質を摂取することは、脳の健康を維持し、認知機能の低下を遅らせるための有効な戦略の一つと言えるでしょう。


いつもありがとうございます。愛・感謝 村雨カレン

2025年9月10日水曜日

認知症の危険因子

 認知症:注意すべき14の危険因子

 認知症のリスクを減らすことができる14の危険因子を、医学雑誌『ランセット』が発表しました。同誌は2020年に12の危険因子を発表していましたが、今回新たに「視力低下」「高LDLコレステロール」を追加。これら14項目全ての修正に取り組めば、全世界で認知症の発症を45%減らせる可能性があるとしています。

 医学分野で最も影響力がある雑誌の1つ『ランセット』は2017年から定期的に、認知症の予防と治療に関する最新のエビデンスについて検討し、その知見を報告しています。今回、2020年以降に発表された新たなエビデンスを確認して、2020年に示した12の「修正可能な認知症の危険因子」に、新たに2つの因子を追加し、以下の14項目を公開しました。

 2020年提示の危険因子12  ⇒教育水準の低さ、外傷性脳損傷、運動不足、喫煙、過度の飲酒、高血圧、肥満、糖尿病、聴覚障害、抑うつ、社会的孤立、大気汚染

 新たに追加:2つの危険因子  ⇒視力低下、高LDLコレステロール

 ランセットは、これら危険因子の修正を行う時期を、若年期、中年期、高齢期に分け、個々の危険因子について、集団寄与危険割合(その因子がなければ発症が何%減るかを示した数字)を推定しました(右図)

 これらを合わせると45%になり、14の危険因子がなくなれば、世界の認知症発症の45%が回避できることが示唆されました。これらの危険因子を回避するため、研究者たちは、個人と、公衆衛生や福祉を担当する政策立案者に対して、以下のような具体的な行動を促しています。

●全ての人が質の高い教育を受けられるようにする。中年期以降は、認知機能を維持するために脳を刺激する活動を実施 ●聴覚障害者の補聴器利用を容易にする。有害な騒音に晒される機会を減らして聴覚障害リスクを減らす

▼うつ病患者に有効な治療を実施 ▼接触スポーツや自転車には頭部保護具を使用 ▼運動を実施 ▼禁煙教育、公共の場での喫煙禁止などで禁煙を促す ▼高血圧の予防と治療 ▼中年期に高LDLコレステロールの診断、治療 ▼健康的な体重を維持。肥満者に治療を促す ▼酒類の価格コントロール、飲酒リスクに関する意識向上、過剰摂取を減少 ▼高齢者に優しく支援的なコミュニティの形成、暮らしやすい住居の提供などにより、社会的孤立を減らす ▼視力検査と視力低下に対する治療の機会を提供 ▼大気汚染の機会を減少

 これらの修正は、遺伝的背景を持つ人にも発症リスクの低下をもたらすことが分かっています。研究者たちは、「危険因子に対する修正の開始は早ければ早いほどよく、生涯を通じてリスクを低く保つことを目指すべきだ」としています。

(出典:https://business.nikkei.com/)


■視力低下、脂質異常症と認知症

「視力低下」と認知症リスク

 近年の研究で、視力低下と認知症、特にアルツハイマー病のリスク上昇との関連性が示唆されています。これは、単なる加齢による視力低下だけでなく、白内障、緑内障、加齢黄斑変性(AMD)といった眼疾患を含むものです。

 以下、考えられる5つのメカニズムです。認知リソースの低下視力低下が、脳が視覚情報を処理するために多くのリソースを必要とし、認知機能に割り当てられるリソースが減少し、認知機能低下につながる。社会的孤立と活動性の低下視力低下は、読書、運転、他人との交流など、様々な活動への参加を妨げ、社会的孤立や活動性の低下を招き、認知機能の低下を加速させる。脳構造の変化視覚情報は脳の多くの領域で処理されるが、視力低下によって、これらの脳領域の活動が低下し、構造的な変化を引き起こし、認知機能に影響を与える。共通の病理アルツハイマー病などの認知症と、加齢黄斑変性などの眼疾患には、炎症、酸化ストレス、血管機能障害など、共通の病理が存在する。運動不足視力低下により外出が億劫になり運動不足となることで認知症のリスクが高まる。

 多くの観察研究で、視力低下と認知症リスクの関連が報告されています。また、白内障手術などの視力回復手術が認知症リスクに与える影響を調べた研究では、手術を受けたグループで認知症リスクが低下する傾向が示唆されています。

 認知症は、視力低下だけでなく、遺伝、年齢、生活習慣など、様々な要因が複雑に関与して発症します。認知症リスクに影響を与える可能性のある他の感覚機能の低下(聴力低下など)も考慮する必要があります。

「脂質異常症」と認知症リスク

 脂質異常症によって動脈硬化が進行し、脳の血管が硬くなることが認知症の原因の一つと考えられています。LDLコレステロール値が39mg/dL上昇する毎に、認知症の発症率が8%増加するというデータや、116mg/dL以上の人は認知症リスクが上がるというデータがあります。さらに中年期の高コレステロール血症は認知症と関連することが報告されています。

 脂質異常症は、血液中のLDLコレステロール値が高い、トリグリセライド(中性脂肪)値が高い、HDL(善玉)コレステロール値が低い状態を指しますが、脂質代謝を改善することで認知症の予防につながると考えられます。脂質を摂取しすぎないことや脂質代謝を高めるために運動することが大切です。

 脂質異常症が進むと動脈硬化によって血管が狭くなり、心臓の血管が詰まると心筋梗塞、脳の血管が詰まると脳梗塞を引き起こします。

 このように、「視力低下」及び「脂質異常症」の早期発見と適切な治療は、認知症リスクの軽減につながる可能性があるのです。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年9月3日水曜日

便秘

 便秘で脳・心筋梗塞のリスク2倍

 便秘が脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患のリスク上昇と関係していることが、英国在住の40万人を対象とした研究で明らかになりました。

 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患は、高血圧などによって引き起こされることが明らかになっています。しかし、より確実な予防と治療のためには、さらなる危険因子を見つけ出すことが大切です。これまでの研究で、心血管疾患の一部は便秘が危険因子であることが示唆されていました。また、便秘を引き起こす自律神経系の調節不全や腸内細菌叢の異常、食物繊維と水分の摂取不足、運動不足などは、高血圧の危険因子でもあることが示されています。そこでオーストラリア・モナッシュ大学などの研究者たちは、「便秘もまた、心血管疾患の危険因子である」という仮説を立てて、これを検証することにしました。

 分析に用いたのは、英国の40~69歳の約50万人を対象とするコホート研究「UKバイオバンク」の参加者40万8354人のデータです。これらの参加者のうち、「不安定狭心症、急性心筋梗塞、脳梗塞、心不全」からなる心血管疾患を経験していたのは4万6891人(11.5%、平均年齢61.3歳、女性が32.7%)でした。一方で、2万3814人(5.8%、60.0歳、55.9%)が便秘でした。

 年齢、性別、BMI(体格指数)を考慮して分析したところ、便秘がある人の心血管疾患のリスクは、便秘がない人に比べ2.15倍に高まっていました。疾患別の検討でも、便秘ありの人の心不全のリスクは2.72倍、脳梗塞のリスクは2.36倍、不安定狭心症・急性心筋梗塞のリスクは1.62倍と、有意に上昇していました。

 腸の運動に影響を与えて便秘を引き起こす可能性のある薬剤の使用と、既知の心血管疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症など)も、分析に際して考慮する要因に加えたところ、リスク上昇幅は小さくなったものの、引き続き統計学的に有意な関係が認められました。

 高血圧と診断されていた15万7414人に限定した分析も行いました。このうち1万3469人(8.6%)が便秘でした。便秘のある人が高血圧と診断された後に心血管疾患を経験するリスクは、便秘のない人の1.34倍でした。

 便秘の発症と心血管疾患の発症に関係する遺伝的背景の相関関係を調べたところ、便秘と今回検討した心血管疾患の間には、正の遺伝的相関関係がある(発症に関係する一部の遺伝子が共通している)ことが示されました。

 今回の分析は便秘が心血管疾患の危険因子であることを明らかにし、高血圧患者が便秘だと、心血管疾患のリスクがさらに上昇する可能性も示されました。今後も研究を進める必要がありますが、便秘を解消するための食習慣の工夫や、水分摂取の増加、積極的な運動といった対策が、心血管疾患のリスク低減にもつながる可能性が示唆されたといえます。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■本当は怖い便秘症

 便秘症は身近な存在だけに軽く思われがちです。しかし実は、便秘症は命に関わる病態であり、正しく治療しないと思わぬ事態になりかねません。米国4000人を対象とした研究で、便秘のある人は便秘のない人と比較して、生存率が約4分の3に低下することが報告されました。なぜ便秘で命を落とすのか、それは以下のような事実が研究によって証明されたことで次第に実態がわかってきました。

便秘の人は(1)心疾患や脳血管疾患での死亡リスク、(2)静脈血栓症の発症リスク、(3)認知症リスク、(4)慢性腎臓病の発症リスクなどが高いほか、(5)便秘の人は生活の質が低いと感じており、労働生産性が低下している。

 このように便秘のある人は様々な内科的な疾患を抱えるようになり、結果として生存率が下がっていくことがわかったのです。

便秘症の改善法

(1)食事で「食物繊維」を摂る 

 お勧めの食材:●水溶性食物繊維(海藻類、納豆、オクラなどのネバネバ食品やキノコ類)。腸内細菌の善玉菌のエサとなり善玉菌を増やす。●食物繊維は、1日20gが目安。玄米や雑穀など、主食で食物繊維豊富な食材を選ぶことが大切。●大腸の蠕動運動に必要な胆汁酸の分泌を促す食材(卵、良質の油)。"油抜き"は良くない。

(2)朝の「トイレ時間」を確保する 

 朝ごはんを食べて、腸が動いて便意をもよおすまで約30分~60分が正常な排便時間。食後リラックスした気持ちでいることが大事。2023年7月改定のガイドラインでも、便意回復の重要性を謳っている。

(3)意外と大事な「排便姿勢」

 排便姿勢はとても重要。腹圧をかけて便を押し出す際に、便の出やすい方向がある。背筋をのばしてまっすぐ座る姿勢では排便しづらく、逆に前傾しすぎても後傾しすぎてもダメ。ロダンの考える人のように足を床につけ、ひじが膝につく前傾姿勢35度がベスト。

(4)定期的な運動や腹部のマッサージ 

 定期的な運動は、便通のためにも重要。運動中は交感神経が優位になるので、腸の運動は止まる。しかし、運動を終えた後は副交感神経が優位になるので便意が来る。交感神経のメリハリをつけることにもつながり、便秘改善にいい効果がある。運動ができないときには、腹部マッサージをする。へその周囲を軽く手で押しながら、時計回りに優しくなでるように約15分。

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 当学会が研究開発・商品化した「モロヘイヤ粉末配合青汁」は、便秘・貧血・高血糖に対してより良い効果が期待できます。

いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年8月27日水曜日

微小血管狭心症

 更年期症状改善に役立つ成分

 更年期症状の対策として大豆イソフラボンを摂る女性は多いですが、実はイソフラボンが体内で分解されてできる「エクオール」という成分が鍵を握っています。ただ日本人でエクオールを作れるのは2人に1人で、若い女性はさらに少ないのです。サプリメントの種類が増えており、更年期症状や生理不順の改善に効果があるとされますが、効果には個人差があります。

『40代女性はパソコン作業中に指の痛みを感じた。最初はしびれだけだったが、次第にこわばりなどを感じ始めた。骨の変形もあり、整形外科では治らなかった。婦人科を訪れると「更年期障害」と診断され、エクオールを含むサプリを飲んで女性ホルモンを補った――』

 エストロゲンの減少で火照りやのぼせなどの更年期症状が出ます。手のこわばりもその一つ。7~10年ほど放置すると、手指の関節が変形する「ヘバーデン結節」などを発症することがあります。しかし多くの女性は女性ホルモンの急な減少に伴う更年期症状と気づかず、整形外科などを訪れがちです。

 エストロゲンが不足しても、必ずしもエクオールで不足分を補えるとは限りません。名古屋大学発ベンチャーのヘルスケアシステムズの研究では日本人のうち、エクオールを作れる菌を保有するのは2人に1人。作れない人はイソフラボンの一種であるダイゼインがそのまま吸収されるとみています。

(出典:https://www.nikkei.com/)

■更年期女性に多い"微小血管狭心症"

 一般の狭心症は男性に多く、冠動脈が硬化して狭くなったり痙攣したりして血流が悪くなり胸に痛みが出ます。これに対し、微小血管狭心症は女性(特に更年期)に多い病気です。血管を広げる女性ホルモン(エストロゲン)の量が閉経で減少し、心臓の細い血管が収縮しやすくなるのが原因と考えられています。

 この病気が米国で報告されてから30年近く経ちますが、循環器専門の医師でも詳しい人はまだ多くありません。胸や背中の痛みを訴え病院に行っても、診断がつかずに複数の医療機関を渡り歩く人は後を絶ちません。その理由の一つが"診断の難しさ"。血管造影検査では細い血管は映りにくく、また心電図で異常が見つかるケースも少ないようです。

 ただ、これまでの研究で病気の特徴は分かっています。就寝中など安静時に起こりやすいことと、痛みが長引くことです。ただし、痛みを感じても、逆流性食道炎だったり、更年期障害だったりするケースも少なくないのが実情です。一部の専門病院はMRIなどを活用し、血流の変化から病気を確定する検査方法の確立を目指しています。

 治療も一般の狭心症とは異なり、ニトログリセリンは細い血管を広げる作用が弱いため、塩酸ジルチアゼムなどのカルシウム拮抗薬というタイプを投与します。また、うつ病などに用いる漢方薬が効く患者もいるということです。

 微小血管狭心症は予防するのは難しい病気と言われています。痛み発作を引き起こしかねないストレスや疲労をなるべく溜めないなど、日常生活に気を配ることが大切です。

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 康復医学学会おススメの「HM-3000(特系霊芝)」は、微小循環血流に対して以下のような作用が認められており、普段からの摂取により微小血管狭心症の予防効果が期待できます。

【霊芝の効果】

赤血球変形能の改善 集合性の低下 血栓形成の予防 組織酸素供給の向上 毛細血管口径と密度の調整 血漿粘度の低下 2,3-DPG(グリセリン2,3-リン酸)の産生促進 血管内皮細胞の増殖促進 血圧の降下 血糖値の降下

 また、ストレスや疲労対策には「ラフマエキス」の効果が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年8月21日木曜日

骨粗鬆症

 骨を強くして骨折・寝たきりを防ぐ

 骨を強くするために、専門家が今すぐ始めるように勧めるのは運動です。骨は力学的なストレスがかかると強くなる性質を持っています。運動によって骨に負荷がかかると、骨芽細胞が活性化し骨の強度やカルシウムの吸収力も上がります。

 様々な研究解析により、中強度から高強度の運動を続ければ、骨粗しょう症による股関節骨折のリスクを男性では45%、女性では38%減らせることが分かっています。

※中強度の身体活動:速歩き、自転車こぎ、テニスなど、心拍数が上がり、少し息が切れるくらいの運動。

 また、かかとの骨を刺激する「かかと落とし」は、骨芽細胞を活性化させ骨の強度を高めるのに有効です。つま先立ちから、かかとを勢いよく落とすだけの簡単な体操なので、どこでも気軽に行えます。

 背骨の一部がいつの間にかつぶれてしまう圧迫骨折を防ぐために有効なのが「背筋体操」です。うつぶせになり、お腹の下に枕を置いて胸を少しずつ上げる「等尺性背筋運動」で、骨粗しょう症の人でも無理なく続けられ、背筋力と生活の質を上げられます。

 寝たきりや死亡に至るリスクが高い股関節(大腿骨近位部)の骨折は年間22万件(約2分25秒に1件)も起こっています。このような重大な骨折を防ぐためには、骨粗しょう症を防ぐだけでなく、転倒の予防が非常に大切です。「片脚立ち」などのバランストレーニングや、「バンザイ体操」を日常生活に取り入れましょう。バンザイ体操で腕の可動域を広げておけば、つまずいて転びそうになったときに手が出やすくなります。

 骨粗しょう症の予防には、骨の材料となる栄養素の摂取が大切です。特に重要なのがカルシウム。『食事摂取基準2025年版』では、女性なら〔1日当たり18~74歳⇒650mg、75歳以上⇒600mg〕、男性では〔18~29歳⇒800mg、30歳以上⇒750mg〕を摂取することを推奨しています。しかし、国民健康・栄養調査によると、成人の1日の平均摂取量は女性476mg、男性490mgで、174~310mg不足しています。カルシウムが豊富な食品は、牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品等(例:牛乳200mLに220mg、ヨーグルト100gに120mg、サバ水煮缶80gに208mg)。日常の食事にこれらを加え、カルシウム不足を解消しましょう。

 ただし、カルシウムの吸収を促すビタミンDや、カルシウムの沈着を助けるビタミンKもしっかり摂らなければ骨は強くなりません。特に、ビタミンDは、日本人の98%が不足または欠乏状態です。血中のビタミンD濃度が低いと転倒や骨折のリスクも高くなります。血中ビタミンDを高める方法には、鮭・鯖などの青魚やキノコなどから摂る"食事ルート"と、日光の紫外線により皮膚で合成する"紫外線ルート"があります。骨の強化に十分な量のビタミンDを食事だけで補うのは不可能とされるため、1日15分程度は日光に当たる必要があります。過度の紫外線防御はビタミンDの合成を阻むため、禁物です。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■骨粗しょう症とコラーゲン

 骨がもろくなる「骨粗しょう症」という病気は、今まで骨の中のミネラル不足と考えられてきましたが、最新の研究では、コラーゲンの側の問題で骨が弱くなるタイプもあることがわかってきました。コラーゲンは骨の構成成分として重要で、骨の硬さとしなやかさを生み出しており、骨の質を維持するためにも大切です。

高齢者だけでなくメタボ気味の人でも要注意

 骨粗しょう症に関して、問題が起きるのは右図のようにコラーゲン分子でできている架橋の部分です。本来はピリジノリンという分子が弾力性に富んだ強い骨の善玉架橋を作るのですが、高齢者やメタボ気味の人では、ペントシジンという悪玉架橋の鉄筋のサビとなります。ペントシジンは、動脈硬化などと同様に、体の中の活性酸素が原因で増えてしまい、これが増えた人の骨は、もろくて折れやすくなります。

AGEで骨の柔軟性が低下する

 骨の架橋に必要なコラーゲン分子は、終末糖化産物のAGEでも影響を受けで骨の柔軟性を低下させてしまいます。外部から骨へ伝わる力の吸収を低下させるため、骨折などの骨障害の原因にもなっています。過去、骨の健康度は骨密度が重要視されてきましたが、近年は鉄筋の役割をしている骨質(架橋)の大切さが重視されています。

コラーゲンを改善する方法と摂取する際の注意点

良質なたんぱく質(魚、肉、卵、大豆など)をたっぷり摂る ●ビタミンB6B12葉酸を摂取する ●糖分(糖質)を控える ●禁煙する ●野菜を摂る ●血圧を正常にする

 一度に過剰な量のコラーゲンを摂取すると、消化の過程で腎臓や肝臓に負担がかかります。近年の研究で、「コラーゲンペプタイド」という小さく分解されたコラーゲンを摂取すると、腸で吸収され、血液を通じて関節軟骨にまで届くことが分かってきました。

 食物から摂取したコラーゲンが、コラーゲンのまま吸収され、体内で利用されることはなく、消化酵素でバラバラにされてから小腸で吸収され、最終的にコラーゲンペプタイド~単体のアミノ酸の形で血中に入ります。

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 康復医学学会の研究開発により製品化された「コラーゲン」は、ペプタイド型です。吸収性に優れているうえ、海洋性なので、動物系コラーゲンに比べ変性温度も低く、吸収性&即効性に優れています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年8月7日木曜日

大切な幼少期の生活環境

成人期の肥満は幼少期に決まる?

 肥満の増加は今や世界的な問題です。世界保健機構(WHO)の報告(2022年)によれば、18歳以上の成人の43%が過体重であり、16%が肥満であるといいます。

 一般に肥満は、遺伝要因に加えて、食事や運動などの生活習慣の影響を強く受けて発症するため、いわゆる生活習慣病のひとつと考えられていますが、近年、そのリスク形成に子宮内や生後早期の様々な環境因子も強く関連していることがわかってきています。成人期の肥満のもとは幼少期にはすでに形成されていると考えられているのです。これはいわゆるDOHaD(ドーハッド)*の概念で説明されています。

*DOHaDとは:Developmental Origins of Health and Diseaseの略で、胎児期や生後早期の環境が将来の健康や病気にかかりやすさに影響を与えるという概念。

 肥満は脂肪組織の増大に起因しています。脂肪組織の増大とは脂肪細胞数の増加または脂肪細胞の肥大によって生じていますが、成人期に脂肪細胞の数が多いか少ないかは、幼少期までにはある程度決定されていると考えられているのです。例えば過去の報告によると、成人期に肥満である人とやせている人で脂肪細胞の数を比較すると、肥満者の方が脂肪細胞の数が多いことがわかっています。そしてその脂肪細胞が多いという状況は幼少期までにはすでに生じていることがわかっているのです。

 さらに興味深いことに、一度脂肪細胞の数が増えると、減量によってやせても減少しないことがわかっています。やせることによって脂肪組織が減るのは、肥大した脂肪細胞が小さくなるからなのです。つまり、幼少期までに脂肪細胞の数が増えると、その傾向は成人期まで続き、かつ一旦増えた脂肪細胞数は減少しないため、肥満のリスク増大と密接にかかわっている可能性が高いのではないかと推測されるのです。実際に、小児肥満では成人期の肥満につながっていくことが多く経験されます。

 ただ一方で、脂肪細胞の数が少ないことが必ず健康につながるとは限りません。極端な例をあげると、脂肪萎縮性糖尿病という病気があります。この病気では脂肪組織が減少または消失することで、糖尿病などの重大な合併症を引き起こします。脂肪組織は様々なホルモンを分泌する内分泌臓器としても重要であり、脂肪細胞が少ないことにより、糖尿病などを防ぐホルモンが十分に分泌されなくなり、これが病気のリスクにつながるのです。

 また、腸内細菌叢(腸内フローラ)と将来の肥満リスクの関連も興味深いものです。幼少期までの理想的な脂肪組織の発達や腸内細菌叢を得ることが、将来の肥満や関連する病気を防ぐことにつながるメカニズムがもっと詳細に解明されれば、"幼少期までの食育の重要性"がもっと見直されることになるかもしれません。

(出典:https://www10.showa-u.ac.jp/)


■幼少期のストレスと病気のリスク

 幼少期に虐待やネグレクト(育児放棄)などを受け強いストレスを経験すると、生涯にわたって心の病だけでなく、がん、心臓病、慢性疾患など身体的疾患も発症しやすくなることが、これまでの神経生物学的研究から示されています。発症の仕組みについて、独キンツィヒタール病院心療内科教授は「幼少期にストレスを受けると、脳がうまく対処しきれず、ストレスホルモンの増加により脳が損傷された結果、様々な身体的障害が生じる」と解説しています。特に、ストレス処理能力が未熟な幼少期にストレスを受けると、生涯にわたって病気にかかりやすくなってしまい、その中でも、咽頭がん、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、リウマチ性関節炎、2型糖尿病、心筋梗塞などの冠動脈性心疾患、脳卒中を発症しやすくなることが分かってきています。

寿命が20年短縮(米調査)

 米国では1万7,000人を対象に、幼少期のストレス要因に関して実施された疫学調査が行われ、幼少期のストレス要因の多くが、平均寿命を約20年短縮させることが示されました。

薬に頼らない子供のストレス対策

 子供のストレスの場合、情緒的な不安定さがすぐ体に現れるのが特徴です。症状は多岐にわたりますが、チック(目をパチパチさせる)、朝起きられない、顔色が悪い、友だちと遊ばないなどの症状が出たら要注意です。これといった原因がないのに右図にあるような症状が表れる場合もストレスが疑われます。

★薬には数々の子どもの副作用が報告されていますから、安易に頼るべきではありません。

ストレス解消のポイント

【セロトニン活性】

 ストレスは、特に脳内のセロトニン(神経伝達物質)の働きで解消されます。セロトニンの働きを促進させるポイントは、生活のリズム(起床・睡眠・食事時間やリズム運動)や良質の睡眠(セロトニン神経を休める)、そして食事などです。ストレスで一番不足する栄養素はアミノ酸(セロトニンの材料となるトリプトファンもアミノ酸の一種)です。たんぱく質を摂らせるよう心がけましょう。さらに、タマネギに多く含まれるポリフェノール「ケルセチン」は、抗ストレス作用を発揮する可能性があるとして注目されています。しかし、なんといってもセロトニンを活性させる一番簡単な方法は、康復医学学会の研究素材「天然ラフマエキス」配合のサプリメントを利用することです。セロトニン活性に関するデータがあり、また、良質の睡眠にも良い影響を与えます。お子様にも安心・安全で副作用もない方法です。


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愛・感謝 村雨カレン 

2025年7月31日木曜日

体の“サビ”と“コゲ”

 老いのスピードに大きな個人差

 老化の進行速度には個人差が大きく、これは遺伝的要因だけでなく、環境や生活習慣など多岐にわたる要因が関与しています。

■ 遺伝的要因:

 老化の速度において、遺伝子の影響は約25~30%、そして残りの70%以上は、環境要因や生活習慣によって決まると言われています。これは、同じ遺伝的背景を持つ双子でも、生活環境や習慣の違いにより老化の進行に差が出ることを示唆しています。

■ 生活習慣と環境要因:

 生活習慣や環境要因は、老化の速度に大きな影響を及ぼします。特に食生活、運動習慣、喫煙、飲酒、ストレス管理などが重要な要素とされています。例えば、バランスの取れた食事や定期的な運動は、老化の進行を遅らせる効果があるとされています。一方で、不健康な食生活や運動不足、喫煙、過度の飲酒は、老化を加速させる要因となります。さらに最近の研究では、環境要因が遺伝的要因よりも老化と死亡率に大きな影響を与えることが示されています。具体的には、環境要因が死亡リスクの17%を占めるのに対し、遺伝的要因は2%未満であると報告されています。

■ 生物学的老化の評価と研究:

 ニュージーランドのダニーデン市で行われた「ダニーデン研究」(1972~1973年に生まれた1037人が対象)は、20年以上にわたり追跡調査した研究です。この研究では、腎臓、肝臓、肺、代謝、免疫系の機能や歯の健康、コレステロール、心肺の状態、肺機能など、多岐にわたる健康指標が評価されました。その結果、同じ年齢であっても、生物学的な老化の速度には個人差があり、45歳時点での健康状態が、その後の老化速度の分岐点となる可能性が示唆されました。 

■ 老化の特徴と対策:

 老化には以下の4つの特徴があるとされています。 

(1)生理的機能の低下:筋力や視力、聴力などの身体的機能が徐々に低下します。

(2)代謝機能の変化:基礎代謝の低下により、太りやすくなるなどの変化が生じます。

(3)免疫力の低下:感染症にかかりやすくなるなど、免疫機能が低下します。

(4)細胞の老化:細胞の再生能力が低下し、組織の修復が遅れるようになります。

これらの老化現象に対して、適切な生活習慣を維持することが重要です。具体的には、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスの適切な管理などが推奨されます。

また、定期的な健康チェックや早期の医療介入も、老化の進行を遅らせるために有効です。

■ 結論:

 老化の速度には個人差があり、その主な要因は遺伝的要因だけでなく、生活習慣や環境要因が大きく関与しています。特に、生活習慣や環境要因は、遺伝的要因よりも老化と死亡率に大きな影響を与えることが示されています。したがって、健康的な生活習慣を維持し、環境要因を適切に管理することが、老化の進行を遅らせ、健康寿命を延ばすために重要であると考えられます。

(出典:president.jp/thesun.co.uk/jast1.jp/suntory-kenko.com)


■生物学的老化はサビとコゲで加速

過剰な「活性酸素」が体をサビ付かせ、老化を速める

 体内で発生した「活性酸素」には、免疫機能の一部として体内に侵入した細菌などの異物を攻撃する働きなどの役割があります。しかし、活性酸素が過剰に発生すれば、体を酸化させて老化や病気の原因になってしまいます。体に取り込まれた酸素は細胞内のミトコンドリアでエネルギー代謝に利用されますが、代謝の過程で1~2%が活性酸素に変化し、細胞内のミトコンドリアや核のDNA、さらに細胞膜を酸化させ傷つけます。活性酸素により酸化の連鎖反応が起こり、細胞膜は機能を失い細胞は死んでしまいます。ミトコンドリアをはじめ細胞の内外にはSODなどの抗酸化酵素が存在し、活性酸素を速やかに分解し無毒化しますが、抗酸化酵素の活性は加齢に伴って低下します。こうして活性酸素の攻撃と抗酸化酵素の防御のバランスが崩れると細胞は酸化により損傷し、老化が少しずつ進行していくのです。

「糖質+たんぱく質」 が体をコゲ付かせ、老化を促進する

「糖質」は適量であれば体の中でエネルギー源として利用されますが、多すぎる糖はたんぱく質を糖化させて最悪のコゲ=老化物質「AGE(終末糖化産物)」を生成・蓄積させます。AGEは、肌や血管、骨、脳など、細胞全般を生物学的に老化させてしまうのです。

「酸化(サビ)」と「糖化(コゲ)」は連動している

 活性酸素によって体が酸化ストレスの攻撃を受けると、たんぱく質や糖質がその影響を受けて糖化が進み、AGEが発生しやすくなります。逆にAGEは、RAGE(AGEの受容体)に結合して、NADPH酸化酵素の発現を促し、ROS(Reactive Oxygen Species:活性酸素種)の産生を促進させ、酸化ストレスを作り出します。

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【対策】 抗酸化×抗糖化で老化に歯止めを

 ストレス、たばこ、紫外線などは、体内の活性酸素発生量が増大させ、老化を一段と加速させます。老化にブレーキをかけるには、生活習慣を見直すとともに、抗酸化物質の活性を高める運動や抗酸化食品をとり入れることが必要です。また、抗酸化酵素が糖化されると活性が低下してしまうため、抗酸化と抗糖化を同時に行うことが大切です。当学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、強い抗酸化作用を持つ「GSH-Px(グルタチオンペルオキシダーゼ)と、HbA1c(糖化ヘモグロビン)の生成阻害作用のある「2,3-DPG(グリセリン2,3-リン酸)の産生を促進させます。まさにHM-3000は“抗老化生薬”といっても過言ではありません。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年7月23日水曜日

睡眠障害

 睡眠と健康

 睡眠は、健康増進・維持に不可欠な休養活動です。良い睡眠は、心血管、脳血管、代謝、内分泌、免疫、認知機能、精神健康の増進・維持に重要であり、睡眠が悪化することで、様々な疾患の発症リスクが増加し、寿命短縮リスクが高まることが報告されています。また、良い睡眠は、眠気や疲労が原因の事故や怪我のリスク低減にも役立ちます。さらに、睡眠は心身の疲労を回復する機能や、成長や記憶の定着・強化など環境への適応能力を向上させる機能を備えているため、睡眠の悪化は成長や適応能力の向上をも損なうことにつながります。

 良い睡眠は、十分な睡眠量(睡眠時間)の確保と、良質な睡眠で担保され、不適切な睡眠環境、生活習慣、嗜好品の摂り方および睡眠障害の発症によりこれが損なわれます。

 国民健康・栄養調査によると、1日6~8時間睡眠している人の割合は総じて5~6割程度で、特に40~60歳では、平成21年に比べて平成29年以降は減少しています。この調査によると、睡眠で休養がとれている人の割合は8割程度で、特に20歳以上で7割程度と低く、年々減少傾向にあります。

 睡眠で休養がとれている感覚(睡眠休養感)は、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠環境、生活習慣、日常的に摂取する嗜好品、睡眠障害の有無などの様々な要因により影響を受けますが、将来の健康状態に関わることが確認されており、良い睡眠の指標となります。

 一晩に眠ることができる時間には限りがあります。体が必要とする睡眠時間以上に眠ろうと床の上で長く過ごすと、「寝つくまでに長く時間がかかる」「途中で目が覚める時間(回数)が増える」「熟眠感が減る」など、眠りの質が低下することがわかっています。

 夜間、実際に睡眠可能な時間は、加齢により徐々に短くなることがわかっています。15歳前後では約8時間、25歳で約7時間、45歳では約6.5時間、65歳では約6時間というように、成人後は20年毎に30分程度の割合で夜間の睡眠時間が減少します。これと相反して、夜間に床の上で過ごす時間は、20~30歳代では7時間程度ですが、45歳以上では徐々に増加し、75歳では7.5時間を超える傾向があります。これらから、若い世代は床上時間の不足に伴い睡眠不足になりやすく、高齢世代では逆に必要な睡眠時間に比べ床上時間が過剰になりやすいといえます。さらに、加齢が進むと早寝早起きの傾向が強まり朝型化します。これは特に男性で強く、適切な睡眠習慣を考える上で年代別・性別の配慮が必要となります。

 適正な睡眠時間 

 複数の研究から、7時間前後の睡眠時間の人が、生活習慣病やうつ病の発症および死亡に至る危険性が最も低く、これより長い睡眠、短い睡眠のいずれもこれらの危険性を増加させることから、成人においておおよそ6~8時間が適正睡眠時間と考えられています。こうした睡眠充足の個人差を把握する目安として、朝目覚めたときの睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)が役立つこともわかってきました。

(出典:https://www.mhlw.go.jp/)


■高齢者の睡眠障害

 年齢とともに睡眠は変化します。健康な高齢者でも睡眠が浅くなり、"中途覚醒"や"早朝覚醒"が増加します。また、睡眠を妨げる心や体の病気にかかると睡眠障害が出現します。

高齢者に多い睡眠障害

 高齢者では心理的なストレスに加えて、不活発でメリハリのない日常生活、体の病気、その治療薬の副作用などによって、不眠症をはじめとするさまざまな睡眠障害が現れます。

【入眠障害】

 一般的には、寝つくまでに30分以上かかると入眠障害の可能性があるとされています。入眠障害の原因のひとつめは、床入りする時間が早いことも原因です。また、「今日は眠れるだろうか?」という不安や「眠らなければ」という義務感にとって代わり、更に寝つきが悪くなるという悪循環を生む可能性があります。

【中途覚醒】

 物音や尿意のようなこれといった理由は無いにも関わらず、何故か睡眠の途中で目が覚めてしまうのが中途覚醒です。一度目が覚めると寝直すことが難しい場合があります。そして、睡眠中に足がつり、そのために目が覚めてしまう周期性四肢運動障害。また、睡眠中に起こる無呼吸症候群も原因のひとつです。

【早朝覚醒】

 早朝4時や5時頃に目が覚めてしまい、更にその後、寝付けなくなってしまうのが早期覚醒です。高齢者の間では特に多い種類です。早朝の起床に慣れていない場合は、日中の眠気に悩まされることもあります。早期覚醒はうつ病患者に多く見られています。

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 睡眠・覚醒のリズムに影響するのが神経伝達物質のセロトニンとメラトニンです。年齢とともに減少するメラトニンは、原料であるセロトニンが慢性的に不足しているからです。

 康復医学学会が研究テーマ素材「ラフマ葉」は、セロトニン分泌の促進に期待でき、睡眠・覚醒のリズムを整えますので、高齢者特有の睡眠障害にお勧めです。

また、睡眠には脳内の老廃物を掃除する効果があるという研究データがあります。睡眠中のマウスのたんぱく質アミロイドβ(アルツハイマー病に関係しているとされる)を調べたところ、覚醒時に比べて睡眠中は2倍速く脳から取り除かれていました。良質な睡眠は認知症の予防にも有効です。

「HM-3000(特系霊芝)」には、霊芝エキスが血液脳関門(右図参照)の働きを高める効果などが確認されており、脳の神経細胞に関連する効果が期待できるとともに、アミロイドβの神経伸長抑制作用を軽減させる効果も認められています。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年7月16日水曜日

脳神経細胞

 高齢でも脳神経細胞は増え続ける

 高齢になると脳細胞は減るばかりで増えることはないと考えられてきました。しかし近年、ラットや猿を使った動物実験から海馬領域の神経細胞は高齢でも新生することが明らかになってきています。そして人間でもこうした神経細胞の新生があることを示唆する研究もされてきていますが、2018年に報告された、新しい研究結果を紹介します。

 報告では、14~79歳で急死した健康な男女28人の脳を剖検した結果、高齢者でも若い人と同様に、記憶や学習に重要な役割を担う脳の海馬で前駆細胞から新しい神経細胞(ニューロン)を生成する能力がある可能性が示唆されたといいます。

 その結果、高齢者と若者の脳では中間型の前駆細胞と未熟な神経細胞がほぼ同数見つかったほか、海馬の容量に年齢で差はみられないことが分かりました。

 研究を率いた米コロンビア大学のボルドリーニ准教授は「高齢になっても脳内に(神経細胞に分化する)前駆細胞の存在を示すこの結果は、高齢者にとって朗報だ」と述べています。

 ただし、健康な79歳の脳が29歳の若々しい脳と全く同じというわけではなさそうです。高齢者の脳は血管新生が少なく、一部の海馬領域では静止期の前駆細胞プールが小さいことも明らかになっています。

 専門家の間では、高齢者の脳でも若い人の脳と同じように新しい神経細胞同士で信号を伝達したり、機能したりするかどうかは分かっていないが、この研究結果は有望だとも評価。そして、高齢者の脳で神経細胞を生成させ、細胞同士の信号伝達を促進する因子について、さらに研究を進めていく必要があると指摘しています。また、健康な高齢者と認知症の高齢者の脳を比較することにも興味を示しています。

 これまでの研究で、アルツハイマー病で死亡した人の脳の海馬では神経細胞の数が減ることが分かっています。しかし、この理由が、神経細胞が生成されなくなったためなのか、神経細胞が死滅した結果なのかは明らかになっていません。

 健康な高齢者の脳と認知症患者の脳を比較することで、高齢でも認知機能が衰えない人がいる理由を突き止められる可能性や新しい認知症治療の開発につながる可能性があると期待します。さらに、高齢になっても若々しい海馬を維持している人が実践している生活習慣を知ることも大切だとも強調しています。

 アルツハイマー病協会によると、多くの研究で、喫煙をしない、適正体重や正常血圧を維持する、健康的な食生活を送る、定期的に運動するといった生活習慣因子や、社会的活動、知的活動が認知症リスクと関連することが報告されているほか、運動によって海馬の神経細胞の生成が促進される可能性も示されているといいます。

(出典:https://www.gurutto-mama-yokohama.com/)


■脳神経細胞と認知症

 脳の神経細胞が機能低下したり、損傷を受けたりすると、認知症を発症します。

【認知症の原因となる神経変性疾患】

アルツハイマー型認知症:脳の機能を担う神経細胞が死滅することで、記憶障害や生活機能障害を引き起こす病気です。

レビー小体型認知症:脳の神経細胞に「レビー小体」というたんぱく質のかたまりができ、神経細胞を傷つけて壊します。

【認知症の原因となる脳血管障害】

脳血管性認知症:脳梗塞や脳出血などの脳血管障害(脳卒中)により脳の神経細胞が破壊されることで起こる認知症です。

【認知症の症状】

記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下などの中核症状のほか、多くの周辺症状(BPSD)があります(右図参照)。

【認知症の治療】

脳で生き残っている神経細胞を活性化させ、覚えたり考えたりする働きをある程度保つ薬(認知症の薬)があります。

脳血管性認知症の場合は認知症の治療のみならず、脳血管障害の治療も必要になることがあります。

【認知症のメカニズム】

脳に蓄積したアミロイドβの毒性で神経細胞が死滅して脳が委縮し、認知症を発症する「アミロイドβ仮説」が有力な説とされています。一方、タウタンパクが関与するアルツハイマー病の程度と関係する「タウオパチー」に焦点をあてた「タウ仮説」にも注目が集まっています。タウオパチーとは神経原線維変化を主な病理像とするものの総称で、多くの疾患が知られていますが、アルツハイマー病もその中の1つとされています。

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「HM-3000(特系霊芝)」は必要な栄養素を各臓器や器官に供給する微小循環血流を総合的に改善し、エネルギー産生に必要な酸素の供給に影響を与えます。また、それが脳血管性認知症やアルツハイマー病の発症も抑えると考えられています。

また「ラフマ」によるセロトニン産生の促進がうつ症状の抑制に影響し、仮性認知症対策として有効になります。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年7月9日水曜日

肝臓病と霊芝

 薬の排泄には肝臓が活躍

 飲んだ薬の全部が効力を発揮するわけではありません。内用薬は、主に小腸で吸収された後肝臓に入り、薬の一部または大半が効能のない物質に変えられ、多くは腎臓から排出されます。病気を治すための薬ですが、通常は体に存在しない"異物"です。体外へ排出できず体内に留まっていたら、それはそれで問題です。

 肝臓は、栄養成分からエネルギーを産生、体を作る成分に変換、異物である薬や有害物質の処理などを行う体の中の化学工場です。内用薬の場合、肝臓を通過し、血液にのって全身を巡る薬の量は、小腸での吸収量よりも少なくなります。そのため薬の使用量は、この"目減り"の量を考えて決められます。肝臓を通過せずに血中に入る注射薬や外用薬は、この目減りを避けて体を巡ります。肝臓で失効・効力低下する薬は、内用薬ではなく舌下剤、噴霧剤、坐剤として使うのはこのためです。役目を終えた薬は、主に肝臓の酵素の働きで、排出されやすい性質へと変えられます(薬の「代謝」)。その後、腎臓に送られ、尿と一緒に体外へ排出されます。一部の薬は、胆汁と一緒に消化管へ入り、便とともに排出されます。量的には多くないものの、だ液や汗、吐く息、母乳から排出される薬もあります。

 大人の薬が使えるのは15歳から。15歳未満は子供とみなします。子供は、薬の代謝や排出に関わる肝臓や腎臓、そして薬の影響を受けやすい脳が未発達です。「体が小さいから、薬も半分でいい」という単純な計算は、必ずしも成り立たちません。大人用の薬には、子供での有効性や安全性が確立されていないものもあります。子供用と大人用とでは、成分量だけではなく成分そのものが異なる場合もあります。市販薬も、「小児用」「ジュニア」と書いてある薬を選び、保護者と相談しながら使うことが重要です。

 高齢者では、肝臓での代謝や腎臓からの排出機能が低下するため、薬が効き過ぎることがあります。特に肝臓や腎臓の病気を持っている場合、副作用の危険性が高くなります。複数の病気にかかり、使う薬が増えればますます肝臓や腎臓に負担をかけることになります。高齢者は、生活習慣病のような慢性的な病気が多いので、薬を使う期間も長くなりがちです。量を変える、より安全な薬に変える、などの検討が必要になってきます。

 重要なのはもちろん「狙い通りに効くこと」ですが、薬の役目を終えたら「速やかに代謝、排出されること」も同じくらい大切なのです。   

(出典:https://www.sumitomo-pharma.co.jp/)


■肝臓病と霊芝

 肝炎などの障害が生じると、肝細胞が破壊され、血液中にGOT、GPTが流れ出します。これら"肝臓の機能を評価する血液検査の指標"の数値が高いことは多くの肝臓の細胞が壊れていることを意味します。高値は急性肝炎・慢性肝炎などが疑われます。GOT、GPTは同じくらいの数値になることが多いのですが、GOTの方が高い場合は肝炎の急性期やアルコール性肝障害の疑いが高くなります。

 GOT、GPT、特にGPTは他の臓器にあまり含まれていないため、その血液中の数値の高さは肝障害を反映することになります。また、細胞膜の障害程度も反映します。

 健康な肝臓には、3%を少し超える程度の脂肪(中性脂肪・コレステロール・リン脂質など)が含まれています。しかし、10%を超えると細胞の中に脂肪滴という泡状のものが現れるようになります。この脂肪滴が、肝細胞の小さな集合体である肝小葉の中の肝細胞の3分の1以上に現れるようになった状態を「脂肪肝」といいます。

 脂肪肝の分類 

(1)過栄養性脂肪肝 (2)栄養欠乏性脂肪肝 (3)アルコール性脂肪肝 (4)薬物性・中毒性脂肪肝 (5)非アルコール性脂肪肝炎(NASH) (6)急性妊娠脂肪肝

 ほとんどの薬剤は肝臓にて肝臓酵素によって分解、解毒され、腎臓にて排出されます。長期間に薬を服用している場合、肝臓の負担は重くなり、肝細胞の仕事限度を超えると肝細胞にダメージを与える事になり、肝臓障害を引き起こします。例えば、高血圧薬、高脂血症薬、心臓病薬、血流改善薬、鎮痛剤、睡眠導入剤などがあります。また短期間でも薬剤の毒性が強ければ、肝臓障害をもたらす薬もあります。例えば、抗癌剤、免疫抑制剤(自己免疫疾病―リウマチなど)、ホルモン剤、精神神経系薬などがあります。

HM-3000(特系霊芝)の肝機能への保護作用

■肝機能の低下は、ストレスに対抗する体の力(ストレス耐性)を低下させます。肝機能の低下は、メタボ、飲酒などの生活習慣なども原因のひとつです。「HM-3000(特系霊芝)」は、肝臓を保護し肝機能低下の予防に期待が持てます。

■右の霊芝のデータは、肝臓代謝性障害(脂肪肝・アルコール性肝炎を含む)に顕著な保護作用があるというエビデンスです。

■抗癌剤だけではなく、一般的な薬も肝臓に負担をかけます。そして、活性酸素やフリーラジカルは、さまざまな病気の原因や老化、美肌などに影響を与えます。霊芝には、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)GSH-Px(グルタチオンペルオキシダーゼ)という生体内最も重要な二つ抗酸化酵素の活性を促すというエビデンスがあります。活性酸素やフリーラジカルによる損傷から組織細胞を守る働きがあることが認められています。


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2025年7月2日水曜日

熱中症と自律神経

 自律神経酷使で“脳のオーバーヒート”

 体を動かすと全身が温かくなるのは、筋肉が熱を作るからです。しかし、実は体の中で最も発熱しやすいのは「脳」です。脳は、自律神経を通して、体内の全器官の動きをコントロールする司令塔です。自律神経の働きは生命活動の維持に不可欠なので、休むことなく働き続け、常に発熱の状態です。自律神経に負荷がかかれば、それだけ脳の発熱量も増えます。しかも、頭蓋骨に覆われている脳は、外気に晒して熱を放散することができません。特に、視床下部と前帯状回にある自律神経中枢は、鼻腔の奥に位置し、脳の深部にあります。熱を冷ますには、首や脇の太い血管を冷やすか、あるいは鼻から冷たい空気を吸い込むしかありません。発熱が抑えきれないと頭の中に熱が籠り、脳が「オーバーヒート」を起こして、のぼせや疲労感、頭痛などが生じます。

 自律神経の負荷が増えて、脳を疲れさせる原因は二つあります。一つは環境要因で、脳の発熱を抑えられない場合。気温が高くなると、体温調節で自律神経が酷使されるため、脳の温度が上がりやすくなります。二つ目は自律神経中枢の消耗。精神的・身体的なストレスが増すと、自律神経中枢の負荷が増して、脳が発熱しやすくなります。

 脳は体の全ての器官の動きを司っているので、脳がオーバーヒートすると、体内のコントロールが乱れます。体温や心拍、呼吸、血圧の調節などが乱れれば、あらゆる臓器の働きが低下するため、頭痛や発熱、めまいなど、体に不調が表れます。集中力を失い、パフォーマンスが低下します。体を安定した状態に戻そうと、自律神経中枢に負荷がかかり続け、脳のオーバーヒートが悪化、さらに脳が疲労するという悪循環が生まれるのです。

 脳のオーバーヒートの予防で最も大切なのは、自律神経に負荷をかけすぎないこと。暑い季節は、脳に合わせた環境づくりも重要です。脳にとっての最適温度は22~24℃と言われており、少し涼しいくらいが理想的です。気温が25℃以上になると、1℃上がるごとにパフォーマンスが2%下がるという研究報告もあります。

 日本人は欧米人に比べて筋肉量が少なく、体が発熱しにくいので、寒がりだと言われています。しかし、体に合わせてエアコン温度を設定するよりも、脳に合わせた室温にしておき、着る服で調整したほうが、脳のオーバーヒートは予防できます。

 さらに、6月頃から脱水症状を起こしやすくなります。湿気があるために汗が蒸発せず、喉の渇きを感じにくいので、水分の補給を怠りがちです。その結果、血流が悪くなって体に熱がこもりやすくなり、熱中症や脳梗塞などのリスクが増します。喉が渇く前に、意識的に水分補給を心がけましょう。              

 (出典:https://kenko.sawai.co.jp/)


■自律神経と体温調節

 人は体温を一定に保つことが重要ですが、体内で生産された熱と、体外へ放出される熱のバランスがうまく取れていないと体温を一定に保つことはできません。重要なのは体温を調節するシステムです。

体温調節の要:自律神経

 通常は、体内で作られた熱で血液の温度が上昇し、温まった血液が体表を通るときに皮膚から放熱して体温を下げます。しかし、猛暑の夏など、体表からの放熱だけでは間に合わない場合、皮膚に分布する汗腺からどんどん汗が出てきて皮膚の表面をぬらすことによって温度を下げる働きをします。汗腺も自律神経に支配されており、発汗を促進するのも交感神経の役割です。

熱中症とチアノーゼ

 血液中の酸素濃度が低下して、唇や爪の色が紫色になるチアノーゼですが、通常、健康な人の血液では、酸素とヘモグロビンが結合していて、それが血液の赤い色を作っています。

 しかし、熱中症で体温調節が限界を超えると皮膚血管の拡張のために皮膚に血液が集中し、発汗などのため血液粘度も上昇し血流障害を起こします。重症の場合、心負担⇒血圧低下⇒チアノーゼを経て虚脱状態や意識障害などになります。

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普段からの良好な血流の維持が大切

 現代人の汗をかけない原因の一つに、東洋医学でいうところの「瘀血(おけつ)の問題があります。つまり、微小循環血流の滞りです。血液は酸素や栄養素とともに体内の熱を運ぶ役割も持っていますから、微小循環血流を改善し、血流を良好に維持すれば、体温調節システムも効率よく働きます。康復医学学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」微小循環の改善作用と、「ラフマエキス」自律神経調整作用が、熱中症の予防にも役立ちます。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年6月25日水曜日

塩分について

 塩分摂取は“長寿の知恵

 今では、「塩分=高血圧」がすべての日本国民の固定観念となってしまいました。しかし「塩分摂取量の全国順位が40位以下の大阪や沖縄など(=全国平均よりも塩分摂取量が少ない地域)で高血圧疾患による死亡率が高い」という現実もあります。「塩分=高血圧」が正しければ、もっと順位が高い地域で高血圧疾患による死亡者が多くなるはずではないでしょうか。また、がんによる死亡率も同様に、塩分摂取量が全国順位40位以降の大阪、兵庫、島根などで全国平均よりも高くなっています。そして逆に、今や日本の最長寿県として知られる長野県の塩分摂取量は、日本で4番目に多いのです。

 さらに、うつや自殺(うつが要因になることが多い)は、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、ロシアなどの北欧の国々で多発しています。日本でも、人口10万人当たりの自殺者数は、秋田県、山形県、青森県、新潟県といった北国が高いのですが、その要因は「日照量の少なさ」と「寒さ(低気温)」とされています。だからこそ北国の人々は、身体を温めるために塩分摂取量が伝統的に多かったのです。そうした地域に何百年も住んできた先祖の知恵だったわけです。しかし今や、塩分を極端に制限された東北の人々の体温は下がり、「うつ」や「自殺」が増加しています。「塩=高血圧」という一点の理由から始まった"減塩運動"が、こうした種々の弊害をもたらしていることは、ほとんど知られていません。西洋医学は歯牙にもかけていないし、一顧だにしません。

 話はやや旧聞に属しますが、アメリカで25歳から75歳までの20万7729人を対象にした国民栄養調査が行われ(1998年)、その結果をM,H.アルダーマン博士が世界的に権威のあるイギリスの医学雑誌『Lancet(ランセット)』に発表しました。

 同調査では、食塩の1日平均摂取量によって調査対象者を4つのグループに分け、あらゆる病気の脂肪率を比較しました。すると意外にも、食塩摂取量の一番多いグループの脂肪率が最も低く、少なくなるほど死亡率が高くなっていました。また高血圧や脳卒中、心筋梗塞などの心臓・循環器系疾患の死亡率も、食塩摂取量が少ないほど高かったのです。調査対象者が数十人や数百人といった少人数であれば信憑性が劣ると指摘する人がいたかもしれませんが、20万人もの被験者がいたのですから文句のつけようはないでしょう。

 米・アインシュタイン大学のハイレル・W・コーエン博士は、8700人のアメリカ人を対象に行った健康栄養調査の結果、「塩分摂取の最も少ない25%に属する被験者は、摂取の最も多かった25%に比べて、心臓病による死亡率が80%高かった」と述べています(一般内科学誌『Journal of General Internal Medicine』掲載)。デンマーク・コペンハーゲン病院のニールス・グラウダル博士は、アメリカの高血圧学会誌に掲載した論文(2014年)の中で、「最も好ましい、健康的な食塩摂取量は“6.7~12.6g”である」と論じています。

(出典:『Renaissance』誌より/イシハラクリニック 石原結實院長)


■“減塩”による免疫機能低下

「塩分は、高血圧や脳出血の一大要因になる」という固定概念は、1960年代に米国のL・K・ダール博士が、日本人の塩分摂取量と高血圧の発症頻度を、塩分摂取量の少ないマーシャル諸島の人々やアラスカのイヌイットの人々と比較した論文が大きく影響しています。

 1960年頃、13~14g/日の食塩摂取をしていた鹿児島など南日本の人々の高血圧の発症率が約20%、同じく27~28gと2倍もの食塩を摂取していた東北地方の人々の発症率が約40%という結果が出た為、「塩分こそ、高血圧や脳出血の元凶である」という論文になりました。

 この頃から東北地方で減塩運動が始まり、全国に普及していったのです。1945(昭和20)年以降の日本人全体の平均食塩摂取量は15g/日でしたが、1979年(昭和54年)には13.1g/日になりました。しかし当時、厚生省が「10g以内が望ましい」と発表、その後1日の平均食塩摂取量は1985(昭和60)年には12.1g/日、2015(平成27)年には10.0g/日にまで減少しました。にもかかわらず、厚生省は減塩を推し進め、現在は「男性7.5g以下、女性6.5g以下が望ましい」としています。またWHO(世界保健機関)では5.0g以下を推奨しています。

“減塩”で免疫力が落ち、ガンに罹りやすくなる

 昔から塩は"生きていくための最重要食品"でしたし、文化の発展にも大いに寄与してきました。なのに「寒い地方の人々が体を温めるために塩を多く摂ったことで高血圧の人が多い」という一点の理由で、全国民に減塩を強制してしまったことのツケは実に甚大です。

 日本人の脇の下の平均体温は、1957(昭和32)年には36.9℃だったといいます。ところが今は36.5~36.2℃の人がほとんどで、中には34℃台の人もいるのです。体温が低くなってしまった要因の一つは、現代人の筋肉量が減っていることです。体温の40%は筋肉で作られているのに、体を動かす機会が減り、昔に比べて筋肉を動かさなくなっています。もちろん、体温を高く保ってくれる塩分の摂取不足も大いに関係しています。また、体温が1℃下がると免疫機能が約30%低下することや、ガン細胞は35.0℃の低体温で増殖し、39.6℃で死滅することも分かっています。

 1975(昭和50)年のガン死者数は約13万人で、当時は医師数も同様の約13万人でした。それから50年近くの間にガンの研究・治療は格段と進歩したし、医師数も約33万人へと増加したのに、2021年のガン死者数は約38万人でした。

 医師がガン細胞を切り取ったり、放射線で焼いたり、抗がん剤で殺したりという対症療法に終始していることの他に、ガンに罹る人が著しく増加しているのです。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年6月18日水曜日

便秘

 便秘が脳梗塞や心筋梗塞のリスクに

 便秘が脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患のリスク上昇と関係していることが、英国在住の40万人を対象とした研究で明らかになりました。

 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患は、高血圧などによって引き起こされることが明らかになっています。しかし、より確実な予防と治療のためには、さらなる危険因子を見つけ出すことが大切です。これまでの研究で、心血管疾患の一部は便秘が危険因子であることが示唆されていました。また、便秘を引き起こす自律神経系の調節不全や腸内細菌叢の異常、食物繊維と水分の摂取不足、運動不足などは、高血圧の危険因子でもあることが示されています。そこでオーストラリアのモナッシュ大学などの研究者たちは、「便秘もまた、心血管疾患の危険因子である」という仮説を立てて、これを検証することにしました。

 分析に用いたのは、英国の40~69歳の約50万人を対象とするコホート研究「UKバイオバンク」の参加者40万8354人のデータです。これらの参加者のうち、「不安定狭心症、急性心筋梗塞、脳梗塞、心不全」からなる心血管疾患を経験していたのは4万6891人(11.5%、平均年齢61.3歳、女性が32.7%)でした。一方で、2万3814人(5.8%、60.0歳、55.9%)が便秘でした。

 年齢、性別、BMI(体格指数)を考慮して分析したところ、便秘がある人の心血管疾患のリスクは、便秘がない人に比べ2.15倍に高まっていました。疾患別の検討でも、便秘ありの人の心不全のリスクは2.72倍、脳梗塞のリスクは2.36倍、不安定狭心症・急性心筋梗塞のリスクは1.62倍と、有意に上昇していました。

 腸の運動に影響して便秘を引き起こす薬剤の使用と、既知の心血管疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症など)も、分析に際して考慮する要因に加えたところ、リスク上昇幅は小さくなったものの、引き続き統計学的に有意な関係が認められました。

 高血圧と診断されていた15万7414人に限定した分析も行いました。このうち1万3469人(8.6%)が便秘でした。便秘のある人が高血圧と診断された後に心血管疾患を経験するリスクは、便秘のない人の1.34倍でした。

 便秘の発症と心血管疾患の発症に関係する遺伝的背景の相関関係を調べたところ、便秘と今回検討した心血管疾患の間には、正の遺伝的相関関係がある(発症に関係する一部の遺伝子が共通している)ことが示されました。

 今回の分析によって便秘が心血管疾患の危険因子であることが明らかになり、高血圧患者が便秘だと、心血管疾患のリスクがさらに上昇する可能性も示されました。今後も研究を進める必要がありますが、便秘を解消するための食習慣の工夫や、水分摂取の増加、積極的な運動といった対策が、心血管疾患のリスク低減にもつながる可能性が示唆されたといえます。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■食物繊維と便秘

 食物繊維とは「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」です。食物繊維にはたくさんの種類があり、それぞれの特徴によって体に対する働きが異なっています。

 消化・吸収されない食物繊維は、昔は栄養的に価値のないものと考えられていました。しかし、健康維持のために大切であることがわかり、現在では三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)、五大栄養素(三大栄養素+ビタミン・ミネラル)に加えて「第六の栄養素」と呼ばれています。日本人の食物繊維摂取の目標量は、男性19g以上、女性17g以上と定められています。しかし、実際の食物繊維摂取量は、年齢が若いほど少なく、目標量を満たしていません。

理想的な食物繊維の摂り方

 食物繊維には「水溶性」と「不溶性」があり、上表のように、それぞれ腸の中で異なる働きをしています。両方を組み合わせることで便秘解消&デドックス効果が高まります。

●水溶性食物繊維:腸管内の水を吸収して、便を柔らかくしてくれる作用があります。ネバネバ・ヌルヌルとした粘性があるので腸内の老廃物や毒素を吸着し、便として排出してくれます。また、悪玉菌を減らして腸内環境を整える働きもあります。

●不溶性食物繊維:腸内で水分を吸収して膨らみ、腸壁を刺激して腸内の蠕動運動を促します。便の嵩を増やす作用があるので、便秘解消に効果的なのですが、水に溶けない性質のため、摂り過ぎると便が硬くなってしまいます。

 腸の健康を考えると、摂取量は「不溶性2:水溶性1」の割合が理想的と言われています*。厳密にこの割合を守る必要はありませんが、バランスよく摂取することが重要です。

*慢性便秘症の患者にポリデキストロース(水溶性食物繊維)を摂取してもらったところ、排便に対して最も良い結果が得られたのは不溶性食物繊維14g、水溶性食物繊維7gの割合であったという研究結果に基づいています。


 最近の「トクホ(特定保健用食品)」には、難消化性デキストリンを配合した商品が増えています。これは、水溶性食物繊維が"脂肪の吸収を抑え排出を増加させる効果がある"と言われているからです。ただし、デキストリンの原材料には遺伝子組み換えのトウモロコシを使用したものが多く、摂り過ぎには注意が必要です。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年6月11日水曜日

内臓脂肪

 中年男性、内臓脂肪を7日で15%減

 高強度の持久力運動により、体脂肪だけを効果的に減らせることを示す研究結果が報告されました。中年男性が7日間で1440kmのロードサイクリングを行った結果、全身の体脂肪は9%減少、内臓脂肪は15%減少して、血圧や血清脂質にも良い影響が生じ、一方で体重はわずか1%しか減らなかったといいます。

 この研究は、ラヴァル大学(カナダ)のジャン=ピエール・デプレ氏らによるもの(詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」9月号に掲載)

 論文の責任著者である同氏は、「我々の研究結果は、肥満予防にはカロリー制限よりも、身体的に活動的なライフスタイルを促進することが重要であるという事実を裏付けている」と述べています。

 また研究グループは、「人間はできるだけ食べないようにするのではなく、身体的に活動的になるように設計されていることを示す、一つのエビデンスといえる」という別の言い方で研究結果を総括しています。

 この研究には、50~66歳のレクリエーションレベルの男性サイクリスト11人(平均年齢60.4±4.4歳)が参加しました。これらの参加者はベースライン時点において、同年齢の一般男性86人に比べて心肺機能が有意に高く、皮下および肝臓の脂肪量が有意に少ないものでした。

 これらの参加者に対して、7日間で1440kmのロードサイクリングを課し、その間、消費したエネルギー量を食事で十分に補充して体重が落ちないようにしてもらいました。そのため、朝食と昼食はビュッフェ形式で自由に摂取可能とし、夕食は持ち帰りの弁当や菓子などを無制限に提供しました。

 7日後、体重は約1%減少し(-0.8±0.9kg)、BMIも低下(-0.3±0.3)したものの、わずかな変化に抑えられていました。

 それに対して、全身の脂肪量は約9%減少し(-1.5±1.0kg)、内臓脂肪量は14.6%減少(-14.1±14.2mL)、ウエスト周囲長も有意に低下していました(-3.2±1.7cm)。

 さらに、除脂肪体重は1.2%増加し(0.8±1.2kg)、総コレステロールは20%以上低下、トリグリセライド(中性脂肪)に関しては40%近く低下し、また血圧も大幅に低下していました。

 研究グループは、「これらの結果は、持久力運動によって引き起こされる影響が体重の変化にとどまらずに、体組成への好ましい影響が少なくないことを改めて強調している」と結論付けています。

(出典:HealthDay News)


■今、改めて"内臓脂肪"を知る

 人間の体では、脂肪は主に二つの場所に蓄積されます。このうち内臓の周りにつく脂肪が「内臓脂肪」、皮膚の下につく脂肪が「皮下脂肪」です。

 内臓脂肪は、腹筋の内側、胃や腸などの消化器官の収まる空洞「腹腔(ふくくう)」内につきます。一般的に、内臓脂肪は女性より男性がつきやすい脂肪ですが、閉経後は女性も内臓脂肪がつきやすくなる傾向があります。

 内臓脂肪は皮下脂肪に比べて注意が必要な脂肪と言われています。それは、内臓脂肪が過剰に蓄積すると糖尿病など様々な病気を引き起こす「生活習慣病」の原因になるからです。

内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクがアップ!

 内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクが高くなるのか、それは以下の理由です。

 お腹周りの脂肪である内臓脂肪は、脂肪細胞から様々な「生理活性物質」を分泌しています。生理活性物質とは、わずかな量で私たちの体の生理に影響を与え、身体の働きを調整する役割を持つ、ホルモンに似た物質です。その作用の多くは体で起きている炎症や、免疫機能の促進または抑制に深く関わっています。

 内臓脂肪から放出される生理活性物質には、生活習慣病を「招くもの」と「防ぐもの」があります。内臓脂肪がたまると、生活習慣病を引き起こす生理活性物質の分泌量が増加し、反対に生活習慣病を防ぐ生理活性物質は減少してしまいます。そのため、内臓脂肪がたまると血糖値や血圧が上がり、血管の損傷が促進され、やがては糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病になるリスクが高まってしまうというわけです。さらに進行すると、動脈硬化や心臓病、脳卒中など命にかかわる病気を発症する危険性が高まります。

 内臓脂肪の蓄積で増加する生理活性物質 

TNF-α:インスリンの働きを妨げ、血糖値を上げる。TNF-αの増加で糖尿病のリスクが上がる。アンジオテンシノーゲン:血圧を上昇させ、高血圧の原因となる。PAI-1:血栓をつくり、動脈硬化を促進させる。

 内臓脂肪の蓄積で減少する生理活性化物質 

レプチン:満腹中枢を刺激して食欲を抑制する、生活習慣病を防ぐ生理活性化物質。内臓脂肪の蓄積で分泌が減少すると、この効果も減少する。アディポネクチン:血圧や血糖を低下させ、傷んだ血管を修復する。動脈硬化の防止効果のある生理活性化物質。内臓脂肪の増加⇒血管損傷の進行⇒生活習慣病。

内臓脂肪が引き起こす主な病気

▼糖尿病 ▼高血圧症 ▼脂質異常症 ▼高尿酸血症・痛風 ▼狭心症・心筋梗塞 ▼非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝) ▼脳梗塞 ▼月経異常・不妊 ▼腎臓病

 内臓脂肪は生活習慣病の原因になり、放っておくと命に係わる病気を発症するリスクが高まります。健診などで内臓脂肪を指摘されたら、まずは自分の生活習慣を振り返り、無理のないゆるやかなダイエット生活を始めましょう。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年6月4日水曜日

六月病

 “六月病”が増えている?

 五月病は聞いたことがあると思います。ゴールデンウィーク明け頃、主に新入社員や新入学の大学生など4月からの環境変化がストレスとなって発症するもので、急性の適応障害といえます。そして、6月ごろに現れる心身の不調が「六月病」です。新入社員だけでなく、異動などで環境の変わった社会人に多いものです。五月病が遅れて現れたようにも見えますが、実は五月病は性質が違っており、六月病はうつ病の入り口の状態といえます。

 4月からの環境変化が発端であることは同じですが、我慢に我慢を重ね、我慢しきれなくなって出てくるのが“六月病”。たとえば5月の段階で気づいて手を打てれば回復も早いのですが、六月病は“こじらせた状態”とも言え、適切な対応が求められます。

 環境の変化は入学、入社だけではなく、昇進なども要因になります。プレーヤーとして優秀な人がマネジャーとなり、自分と同じように仕事ができない部下へのいらだちなどがストレスとなって不調につながる、という「昇進うつ病」も珍しくありません。

 六月病は特にまじめに頑張る人に多い傾向があります。多少の不調があっても「このくらい大丈夫。もっと頑張らないと」と心身に鞭打って走り続けてしまい、無理がきかなくなって倒れてしまう、ということになりがちです。

 初期のSOSには気づかないことも多いもの。右表をチェックしてみましょう。一つでも当てはまるものがあれば、要注意です。

 六月病の予防あるいは長引かせないためには、原因となるストレスをなくすのが一番ですが、現実的には難しいでしょう。できることは、ストレスに強い状態をつくっておくこと。お勧めの方法をご紹介します。

 睡眠 :睡眠は健康の基本で、眠ると気分もリセットされます。睡眠のほか、しっかり食事を摂る、運動するなど、基本的なことを大切に。

 趣味を楽しむ :趣味や楽しみに意識を向けてストレス源から離れることで、心がリフレッシュします。

 安心できる人と話す :家族や友人などと話すことも効果的です。

 “お守り”をつくる :深呼吸する、空を見る、好きな音楽を聴く、大好きなお菓子を食べるなど、自分なりの“息抜き法”をつくると、ストレスへの対応力が高まります。これは「コーピング」というストレス対処法で、企業のストレスマネジメントなどにも広く活用されています。

 6月は心の調子を崩しやすい時期です。特に昨今は働き方が変化して、調子を崩しやすくなっていることが多いようです。日ごろからストレスとうまく上手に付き合う方法を身につけて、うまく乗り切ってください。

(出典:https:// //kenko.sawai.co.jp/)


■“六月病”の対策

 六月に入り、病気というほどでもないけれど、ちょっと調子が良くないという人は、次の三つのポイントを心がけてみましょう。

◆生活リズムを整える

 悩みや不安があると夜眠れず、起きる時間も遅くなりがちです。できるだけ同じ時間に起き、太陽の光を浴びましょう。朝、強い光に当たると「脳内セロトニン」が活性し、それが覚醒・睡眠リズムをつくります。セロトニンには、様々な脳内ホルモンのバランスをとって精神を安定させる働きがあるのです。またセロトニンは、睡眠ホルモン「メラトニン」の材料でもあります。

◆適度に身体を動かす

 運動が好きな人は汗をかくのもいいでしょう。苦手な人はラジオ体操のようなリズミカルな運動をしたり、15分間歩いたりするだけでも違います。速く歩いたり、ゆっくり歩いたり、風景を眺めて季節を感じたりします。途中目にする野の花や夕焼けなどに「わあ、きれい」と声に出して言ってみると、心も温まります。

◆オンとオフを意識して区別する

 いつもオン状態だと交感神経が優位になり過ぎてしまいます。意識的にオフの時間をつくり、読書や音楽、映画鑑賞など好きなことをして、ゆったりと気分転換をしましょう。

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【薬に頼る前に】

 適応障害やうつの治療は、カウンセリングなどの精神療法が中心に用いられ、補助的に薬が用いられます。薬は主に睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬ですが、あくまでも症状を抑える対処療法です。また、たいていの薬は効果が出るまでに1~2週間を要し、逆に副作用はすぐに表れます。初期症状の段階で薬に頼ってしまうと、薬をやめる怖さから依存症に陥り、場合によっては本当のうつ病になってしまう人も少なくありません。特にSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)の、若年層への処方による凶悪な副作用については、ご存知の方も多いと思います。使用には十分な注意が必要です。

 不安感を改善する抗うつ薬の作用機序は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンによって精神状態や気分の高低が決定されるという“脳内モノアミン仮説”を前提としています。

 当学会の研究素材である「ラフマ」(キョウチクトウ科の多年草)には、セロトニン産生および脳神経細胞膜流動性への影響を示すデータがあります。ラフマ葉エキスの抗ストレス作用睡眠改善鎮静作用血圧安定作用などが、六月病対策として期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月28日水曜日

デジタル認知症

 デジタル時代の隠れた危険

 現代の私たちの日常生活では、デジタルテクノロジーが浸透し、スマートフォンやパソコンがない生活は考えられません。デジタル機器は、便利で生活を豊かにしてくれますが、過度な使用によっては「デジタル認知症」という危険が潜んでいます。

 デジタル認知症は、デジタル機器の過度な使用によって引き起こされる認知機能の障害で、記憶力の低下、注意力や集中力の低下、運動能力の低下などが症状として現れます。

 デジタル認知症は正式な病名ではなく、状態を表す呼称であり、最近ではスマホ認知症とも呼ばれています。この名称は、主に高齢者が発症する認知症と症状が似ていることから使用されていますが、脳の萎縮などの症状はありません。年齢や性別に関係なく発症し、特に脳が成長途中の若い世代に大きな影響を与えると言われています。

 デジタル認知症の原因としては以下のものが考えられます。

 情報過多による脳疲労 :スマホやパソコンを長時間使用し、常に新しい情報にアクセスすることで、情報過多になり、脳疲労が起こる可能性がある。

 デジタル機器依存による記憶力の低下 :電話番号などの情報の記憶は完全にスマホに依存し、検索して情報を取り出すだけという状態が当たり前になり、その結果、記憶力はどんどん低下していきます。

 対面コミュニケーションの不足 :SNSなどのバーチャルなコミュニケーションは、実際の対面コミュニケーションとは異なり、感情的なつながりが不足することがあります。また、すぐに返信しなければならないというプレッシャーや、誰かとつながっていないと不安というような感情を生むこともあります。これらの要因が精神的な問題を引き起こすリスクとなります。

 運動不足と不適切な姿勢の影響 :デジタル機器の長時間使用は、運動不足を引き起こし、肥満や体の健康問題につながる可能性があります。また、長時間前かがみの姿勢でいることも悪影響を及ぼします。

 デジタル認知症の症状として、右表のようなものが挙げられます。中でも、デジタル認知症が子どもに与える影響は深刻だと言われています。子どもは脳がまだ成長途中であるため、デジタル機器の過度な使用が脳の発達に悪影響を与える可能性が高いと考えられています。特に、発達の遅れや不安定な感情、協調性のない行動などに注意が必要です。

(出典:https://medical-b.jp/)


■デジタル認知症の予防

 デジタル認知症は、日々の行動に気を付けることで予防が可能です。

デジタル機器の使用時間を減らす⇒1日の中でデジタル機器を使用しない時間を決めたり、目的のない時はデジタル機器を使用しないなどのルールを設け、できるだけデジタル機器の使用時間を制限しましょう。また、デジタル機器を使った後は必ず一定の休憩時間をとりましょう。特に子どもに対しては、保護者が時間管理をサポートすることが重要です。

【頭を使う、脳を鍛える】⇒脳も体の他の筋肉と同様に使わなければ衰えてしまいます。日常生活で脳を鍛えるために、クロスワードパズル、数独、ボードゲームなどのゲームや、絵を描くこと、楽器の演奏など、画面から離れて脳をトレーニングする活動を取り入れることで、脳血流が活発化し、脳内の老廃物を運び出すとともに脳の記憶機能も鍛えられます。思い出せないことがあっても、すぐにスマホで検索せずに、思い出すことに集中しましょう。

【読書をする】⇒タブレットではなく、実際の本や雑誌、漫画、新聞を読むことで、読解力や記憶力が向上すると言われています。

屋外で体を動かす⇒屋外で体を動かす行為は、脳を活性化させ、血流を増加させて脳への栄養供給を促進します。デジタル機器から離れて屋外で時間を過ごすことは、子どもから高齢者まで、あらゆる年齢層にとって有益なことです。

対面のコミュニケーションを促進する⇒人と直接会って話し、交流することは、脳を刺激し活性化させます。メールやSNSなどのオンラインコミュニケーションではなく、実際に相手と対面して、表情やしぐさを見ながらコミュニケーションをとることが大切です。

 人の脳の働きは取り入れた情報を処理し、アウトプットするまでがひとつのサイクルになっています。デジタル機器の使用においても、脳はそれらを情報として処理するために活発に稼働します。「特に考えずに」「なんとなく」取り入れた情報はアウトプットされないまま、「情報のゴミ」として蓄積されます。脳の容量を超えて情報のゴミが溜まり続けると脳の疲労が深刻化し、脳の機能が低下してしまうのです。

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 康復医学学会が推奨する「HM-3000(特系霊芝)」の、脳血流を維持・促進させる働きは、デジタル認知症の予防にもつながります。

 また、スマホやパソコンのブルーライトを見続けると睡眠を促すホルモン・メラトニンの分泌量が減少するといわれています。「ラフマ葉エキス」は、メラトニンの材料となるセロトニンの産生を促します。それがメラトニンの活性に影響し、質の良い睡眠へと誘います。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2025年5月21日水曜日

鉄欠乏

 鉄分不足、心臓には大きなリスク

 鉄分の不足は心臓の健康に悪影響を及ぼします。たとえば、慢性心不全の患者の30%以上は鉄欠乏性貧血が合併していると報告されており、貧血を合併している人は、合併していない人と比べ、全死亡率や心不全による再入院率が高くなっています。また、心不全患者の鉄分不足を治療すると、再入院率とQOL(生活の質)が改善されるという報告もあります。

 鉄分は、赤血球に含まれるヘモグロビンを合成するために欠かせない物質で、不足するとヘモグロビンの生成が足りなくなり貧血が引き起こされます。ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割を担っているため、貧血になると細胞が酸欠状態になり、疲労感、倦怠感、立ちくらみ、息切れ、動悸、めまい、頭痛など様々な不調が現れるのです。

 貧血が起こる原因は、その70~80%が冒頭で触れた鉄分不足による鉄欠乏性貧血で、多くは体から血液を失う要素がある人に生じます。例えば歯茎のトラブルや痔などで頻繁に出血しやすいとか、消化管など体内での出血、女性の生理の出血量などで起こります。こうした場合、慢性的な貧血状態になり、それが心臓に負担をかけることにつながります。貧血による体内の酸欠状態をカバーするため、心臓が必死に働き多く血液を循環させようとして、心拍数が増加する「心悸亢進」という症状が現れ、心臓に大きな負担がかかります。その結果、心不全の"予備群"のような状態になると、特に高齢者では心不全を起こしやすくなったり、心臓に障害があれば狭心症や大動脈弁狭窄症の症状が急激に現れたりするのです。

 貧血気味の人で息切れ、胸が苦しい、立ちくらみといった症状がある場合は、家族歴や既往歴を確認して、心臓疾患の疑いがあるなら専門医を受診したほうがいいでしょう。

 鉄欠乏性貧血は、鉄剤を服用して新たに赤血球を作り出す治療で改善できます。ただし、不足の鉄分を取り込んだとしても、体内に「貯蔵鉄」の蓄えがなければ、再び貧血が起こります。貯蔵鉄はフェリチンという鉄結合たんぱく質として肝臓、脾臓、骨髄などに貯蔵されており、体内の鉄分が不足すると血液中に放出されて不足分を補う働きをします。そのため、貯蔵鉄を十分に作っておかないと、貧血を繰り返すことになるのです。

 鉄分は食事で摂ることも重要です(右表)

 慢性的な鉄分不足の場合、心臓に負担がかかって何らかの影響が出る前に、まずは貧血の症状が先に現れやすいといえます。近頃疲れやすくなった、少し動くだけで動悸がするなどの変化を自覚したら、医療機関で血液状態をチェックしてもらいましょう。

(出典:https://www.nikkan-gendai.com/)


■鉄欠乏の症状と対応法

 鉄は体内の酸素の運搬・貯蓄に強く関わる栄養素であり、人間は鉄が無くては生きていけません。欧米では小麦粉などの日常食材に鉄分を添加したり、鉄不足の女性に妊娠を控えるよう勧めたりする国もあるのに対し、日本はこれといった鉄不足対策は行われていません。特に55歳以下の有経女性の大半は鉄不足となっているのが現状です。

鉄欠乏の症状

 鉄不足でまず思い浮かぶ症状は貧血(男性:Hb値<13g/dl、女性:Hb値<12g/dl)です。検査で貧血と判定されるほどの鉄不足はすでに重症レベルと言えます。「フェリチン」(体内の鉄貯蔵量を反映するたんぱく質)を測定してみると、ほぼ底を付いているケースがほとんどです。鉄不足はほかにも次のような様々な症状を起こします。

 骨・皮膚・粘膜の障害 (あざ、コラーゲン低下による骨・肌異常、爪・毛髪・舌異常) 

 知能・情動への影響 (不眠・集中力低下・学習障害・うつ・パニック障害) 

 ホルモンへの影響 (甲状腺ホルモンの成熟障害、不妊症)

 白血球・免疫への影響 (抵抗力の減少) 

 消化系に及ぼす影響 (嚥下障害、食欲不振、下痢、便秘、氷を好んで食べる) 

 いわゆる不定愁訴 (頭痛、イライラ、耳鳴り、肩こり、寝坊癖、疲労、むずむず脚など)

 これらの症状が鉄不足からくることに気付いてない方が大勢いますので要注意です。

 貧血ではないから鉄不足ではないと考えがちですが、貧血でなくとも潜在的鉄欠乏の人は多いのです。血液検査項目の赤血球数Hb値などに続いて「MCV(平均赤血球容積)」という項目があれば注意してみてください。〔異常なし〕とされていてもMCVが95(fl)を下回り、かつ上記のような症状がある人は、鉄不足を疑って受診してみてください。

 貧血治療経験のある45歳の有経女性が特にわけもなく気が滅入ってきたとします。「更年期?」などと軽く済まさず鉄欠乏再発を疑いましょう。鉄不足でメンタルが不安定になるのは、やる気を高めるノルアドレナリンドーパミン、興奮と抑制をバランス調整するセロトニンなどの脳内神経伝達物質が、たんぱく質を原料として造られる際に鉄が必要だからです。

 女性が出産後、情緒不安定に陥るのも鉄不足の悪化が一因と考えられています。妊婦が鉄不足だと胎児も鉄不足となり早産や低出生体重児の原因となるため、妊婦の鉄不足はあらかじめ十分に改善しておく必要があります。

鉄欠乏の対応法

 まず、鉄分豊富な食材を意識的に摂ります。牛・豚・まぐろなどの赤身肉やレバーに含まれる動物由来「ヘム鉄」、小松菜、海苔、パセリなどの植物系食材に含まれる「非ヘム鉄」、吸収がよいのは前者ですが、両方一緒に摂るのが効果的です。

 病院では鉄剤が処方されますが、むかつきや便秘などの副作用が苦手な人もいます。そういう場合は上記の食材に加えて「ヘム鉄」サプリメントの服用も有効です。鉄が充足されれば吸収しなくなるだけなので鉄過剰とはなりません。出来れば血液検査でフェリチン値(貯蔵鉄)が60~100ng/ml以上になるまで補充するのがよいでしょう。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン