日本、国民の8割が非喫煙者でも法規制進まず
わが国の成人喫煙率は約2割。ここ10年ほどは減少傾向を示しています。しかし、副流煙による受動喫煙に関する健康被害は後を絶たず、訴訟問題も増えています。世界保健機関(WHO)が制定する「世界禁煙デー」(毎年5月31日)における今年のわが国のテーマは「2020年、受動喫煙のない社会を目指して ~タバコの煙から子ども達をまもろう~」でした。この日、日本医師会などによるイベントでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに受動喫煙防止法の制定を目指す決議文が発表されています。
世界的に見ても、成人の喫煙人口は年々減少傾向にあります。ただ、欧米諸国とわが国におけるタバコ問題への取り組みの差は、パッケージだけを見ても歴然としています。
WHOのタバコ規制枠組み条約(FCTC)第11条「タバコ製品の包装およびラベル」に即し、喫煙による健康被害画像の表示をパッケージに導入している国は2015年現在で77カ国に上ります。
一方、日本では警告文のみの表示で、表示面積はパッケージのわずか30%。『主たる表示面の50%以上を占めるべきであり、30%を下回るものであってはならない』とする条件をかろうじてクリアしているにすぎません。
また、海外ではパッケージに禁煙電話相談サービス(クイットライン)の連絡先を表示したり、たばこ製品に特有の色使いや画像、マークなどの使用を禁じる簡素な包装デザイン(プレーンパッケージ)を導入したり、さらなる喫煙率減少に向けた取り組みが進められ、成果を上げています。
米ニューヨーク市の全てのレストランやバーが全面禁煙化されたのは2003年のこと。当時、世界的に大きな話題になりましたが、今や各国の都市では当たり前の風景になってきました。こうした法規制は、利用客の健康を守るだけが目的ではありません。従業員を健康被害から守り、ひいては受動喫煙で健康を害した従業員による訴訟から経営者を守ることにもつながるのです。
また、分煙化にはそれなりのコストがかかること、受動喫煙を完全に防ぐことが難しいことが分かってきたことも理由です。
このような世界的なタバコ対策の潮流に乗り遅れた日本の現状に危機感を募らせるのは日本医師会や受動喫煙防止条例の制定に尽力する議員連盟。異口同音に唱えるのは、受動喫煙に対する罰則を設けた法規制の必要性です。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを、実現の好機と捉えています。しかし、自民党をはじめとする各党の議員にはびこる“タバコ利権問題”が大きく立ちはだかり、難航しているようです。
(出典:https://medical-tribune.co.jp)
■軽く考えられない受動喫煙の害!
受動喫煙によりおこる病気
受動喫煙によりすぐにあらわれる症状としては、目やのどの痛みなどがあります。心拍数が増えたり、咳込んだり、手足の先が冷たくなったりするなどの影響があらわれる人もいます。また、長期的にも影響があります。受動喫煙をしていると、心筋梗塞や狭心症で死亡する危険性が1.3~2.7倍にもなることが報告されています。他にも受動喫煙により、脳卒中や喘息などのさまざまな病気を発症する危険性が高くなることが知られています。
さらに、妊婦やお腹の中の赤ちゃんにも影響があります。妊婦が受動喫煙にさらされると、流産や早産の危険性が高くなることや、新生児の低体重化がおこることなどが報告されています。
子供へのさまざまな影響
発達の途中にある子どもは、タバコによって大人とは異なる深刻な影響を受ける可能性があります。タバコの煙の影響が最も出やすいのが、鼻、耳、のどなど の空気の通り道にあたる部分です。受動喫煙により子どもの 中耳炎、気管支炎、肺の感染症や肺機能の低下などがおこることが知られています。また、脳の働きにもさまざまな影響があることが知られています。家庭内などで受動喫煙をしている子どもは、言語能力が低かったり、注意力が散漫だったりする傾向が報告されています。また、親が喫煙者であると、その子どもはタバコの煙に慣れ、将来喫煙者になる可能性も高くなります。
喫煙による母体と胎児への影響
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素が胎盤に吸収されると、子宮内の血流の減少や血液中の酸素の減少を起こします。その影響で表れる危険例には次のようなものがあります。●流産、●胎盤異常、●低出生体重児、●口唇裂、口蓋裂、●乳幼児突然死症候群(SIDS)
このような肉体的影響だけでなく、2013年のコロンビア大学での研究では、妊娠中の喫煙が胎児の双極性障害(躁うつ病)につながる可能性を示しています。また、同チームの研究で、妊娠中喫煙していた母親から生まれた子が、統合失調症になりやすいとわかりました。
タバコは「百害あって一利なし」です。知らず知らずに周囲の人に迷惑をかけています。喫煙がもとのトラブルで警察沙汰が増えているのも、先進国では日本だけ。恥かしいことです。タバコはやめましょう。
いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン