2025年9月10日水曜日

認知症の危険因子

 認知症:注意すべき14の危険因子

 認知症のリスクを減らすことができる14の危険因子を、医学雑誌『ランセット』が発表しました。同誌は2020年に12の危険因子を発表していましたが、今回新たに「視力低下」「高LDLコレステロール」を追加。これら14項目全ての修正に取り組めば、全世界で認知症の発症を45%減らせる可能性があるとしています。

 医学分野で最も影響力がある雑誌の1つ『ランセット』は2017年から定期的に、認知症の予防と治療に関する最新のエビデンスについて検討し、その知見を報告しています。今回、2020年以降に発表された新たなエビデンスを確認して、2020年に示した12の「修正可能な認知症の危険因子」に、新たに2つの因子を追加し、以下の14項目を公開しました。

 2020年提示の危険因子12  ⇒教育水準の低さ、外傷性脳損傷、運動不足、喫煙、過度の飲酒、高血圧、肥満、糖尿病、聴覚障害、抑うつ、社会的孤立、大気汚染

 新たに追加:2つの危険因子  ⇒視力低下、高LDLコレステロール

 ランセットは、これら危険因子の修正を行う時期を、若年期、中年期、高齢期に分け、個々の危険因子について、集団寄与危険割合(その因子がなければ発症が何%減るかを示した数字)を推定しました(右図)

 これらを合わせると45%になり、14の危険因子がなくなれば、世界の認知症発症の45%が回避できることが示唆されました。これらの危険因子を回避するため、研究者たちは、個人と、公衆衛生や福祉を担当する政策立案者に対して、以下のような具体的な行動を促しています。

●全ての人が質の高い教育を受けられるようにする。中年期以降は、認知機能を維持するために脳を刺激する活動を実施 ●聴覚障害者の補聴器利用を容易にする。有害な騒音に晒される機会を減らして聴覚障害リスクを減らす

▼うつ病患者に有効な治療を実施 ▼接触スポーツや自転車には頭部保護具を使用 ▼運動を実施 ▼禁煙教育、公共の場での喫煙禁止などで禁煙を促す ▼高血圧の予防と治療 ▼中年期に高LDLコレステロールの診断、治療 ▼健康的な体重を維持。肥満者に治療を促す ▼酒類の価格コントロール、飲酒リスクに関する意識向上、過剰摂取を減少 ▼高齢者に優しく支援的なコミュニティの形成、暮らしやすい住居の提供などにより、社会的孤立を減らす ▼視力検査と視力低下に対する治療の機会を提供 ▼大気汚染の機会を減少

 これらの修正は、遺伝的背景を持つ人にも発症リスクの低下をもたらすことが分かっています。研究者たちは、「危険因子に対する修正の開始は早ければ早いほどよく、生涯を通じてリスクを低く保つことを目指すべきだ」としています。

(出典:https://business.nikkei.com/)


■視力低下、脂質異常症と認知症

「視力低下」と認知症リスク

 近年の研究で、視力低下と認知症、特にアルツハイマー病のリスク上昇との関連性が示唆されています。これは、単なる加齢による視力低下だけでなく、白内障、緑内障、加齢黄斑変性(AMD)といった眼疾患を含むものです。

 以下、考えられる5つのメカニズムです。認知リソースの低下視力低下が、脳が視覚情報を処理するために多くのリソースを必要とし、認知機能に割り当てられるリソースが減少し、認知機能低下につながる。社会的孤立と活動性の低下視力低下は、読書、運転、他人との交流など、様々な活動への参加を妨げ、社会的孤立や活動性の低下を招き、認知機能の低下を加速させる。脳構造の変化視覚情報は脳の多くの領域で処理されるが、視力低下によって、これらの脳領域の活動が低下し、構造的な変化を引き起こし、認知機能に影響を与える。共通の病理アルツハイマー病などの認知症と、加齢黄斑変性などの眼疾患には、炎症、酸化ストレス、血管機能障害など、共通の病理が存在する。運動不足視力低下により外出が億劫になり運動不足となることで認知症のリスクが高まる。

 多くの観察研究で、視力低下と認知症リスクの関連が報告されています。また、白内障手術などの視力回復手術が認知症リスクに与える影響を調べた研究では、手術を受けたグループで認知症リスクが低下する傾向が示唆されています。

 認知症は、視力低下だけでなく、遺伝、年齢、生活習慣など、様々な要因が複雑に関与して発症します。認知症リスクに影響を与える可能性のある他の感覚機能の低下(聴力低下など)も考慮する必要があります。

「脂質異常症」と認知症リスク

 脂質異常症によって動脈硬化が進行し、脳の血管が硬くなることが認知症の原因の一つと考えられています。LDLコレステロール値が39mg/dL上昇する毎に、認知症の発症率が8%増加するというデータや、116mg/dL以上の人は認知症リスクが上がるというデータがあります。さらに中年期の高コレステロール血症は認知症と関連することが報告されています。

 脂質異常症は、血液中のLDLコレステロール値が高い、トリグリセライド(中性脂肪)値が高い、HDL(善玉)コレステロール値が低い状態を指しますが、脂質代謝を改善することで認知症の予防につながると考えられます。脂質を摂取しすぎないことや脂質代謝を高めるために運動することが大切です。

 脂質異常症が進むと動脈硬化によって血管が狭くなり、心臓の血管が詰まると心筋梗塞、脳の血管が詰まると脳梗塞を引き起こします。

 このように、「視力低下」及び「脂質異常症」の早期発見と適切な治療は、認知症リスクの軽減につながる可能性があるのです。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年9月3日水曜日

便秘

 便秘で脳・心筋梗塞のリスク2倍

 便秘が脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患のリスク上昇と関係していることが、英国在住の40万人を対象とした研究で明らかになりました。

 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患は、高血圧などによって引き起こされることが明らかになっています。しかし、より確実な予防と治療のためには、さらなる危険因子を見つけ出すことが大切です。これまでの研究で、心血管疾患の一部は便秘が危険因子であることが示唆されていました。また、便秘を引き起こす自律神経系の調節不全や腸内細菌叢の異常、食物繊維と水分の摂取不足、運動不足などは、高血圧の危険因子でもあることが示されています。そこでオーストラリア・モナッシュ大学などの研究者たちは、「便秘もまた、心血管疾患の危険因子である」という仮説を立てて、これを検証することにしました。

 分析に用いたのは、英国の40~69歳の約50万人を対象とするコホート研究「UKバイオバンク」の参加者40万8354人のデータです。これらの参加者のうち、「不安定狭心症、急性心筋梗塞、脳梗塞、心不全」からなる心血管疾患を経験していたのは4万6891人(11.5%、平均年齢61.3歳、女性が32.7%)でした。一方で、2万3814人(5.8%、60.0歳、55.9%)が便秘でした。

 年齢、性別、BMI(体格指数)を考慮して分析したところ、便秘がある人の心血管疾患のリスクは、便秘がない人に比べ2.15倍に高まっていました。疾患別の検討でも、便秘ありの人の心不全のリスクは2.72倍、脳梗塞のリスクは2.36倍、不安定狭心症・急性心筋梗塞のリスクは1.62倍と、有意に上昇していました。

 腸の運動に影響を与えて便秘を引き起こす可能性のある薬剤の使用と、既知の心血管疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症など)も、分析に際して考慮する要因に加えたところ、リスク上昇幅は小さくなったものの、引き続き統計学的に有意な関係が認められました。

 高血圧と診断されていた15万7414人に限定した分析も行いました。このうち1万3469人(8.6%)が便秘でした。便秘のある人が高血圧と診断された後に心血管疾患を経験するリスクは、便秘のない人の1.34倍でした。

 便秘の発症と心血管疾患の発症に関係する遺伝的背景の相関関係を調べたところ、便秘と今回検討した心血管疾患の間には、正の遺伝的相関関係がある(発症に関係する一部の遺伝子が共通している)ことが示されました。

 今回の分析は便秘が心血管疾患の危険因子であることを明らかにし、高血圧患者が便秘だと、心血管疾患のリスクがさらに上昇する可能性も示されました。今後も研究を進める必要がありますが、便秘を解消するための食習慣の工夫や、水分摂取の増加、積極的な運動といった対策が、心血管疾患のリスク低減にもつながる可能性が示唆されたといえます。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■本当は怖い便秘症

 便秘症は身近な存在だけに軽く思われがちです。しかし実は、便秘症は命に関わる病態であり、正しく治療しないと思わぬ事態になりかねません。米国4000人を対象とした研究で、便秘のある人は便秘のない人と比較して、生存率が約4分の3に低下することが報告されました。なぜ便秘で命を落とすのか、それは以下のような事実が研究によって証明されたことで次第に実態がわかってきました。

便秘の人は(1)心疾患や脳血管疾患での死亡リスク、(2)静脈血栓症の発症リスク、(3)認知症リスク、(4)慢性腎臓病の発症リスクなどが高いほか、(5)便秘の人は生活の質が低いと感じており、労働生産性が低下している。

 このように便秘のある人は様々な内科的な疾患を抱えるようになり、結果として生存率が下がっていくことがわかったのです。

便秘症の改善法

(1)食事で「食物繊維」を摂る 

 お勧めの食材:●水溶性食物繊維(海藻類、納豆、オクラなどのネバネバ食品やキノコ類)。腸内細菌の善玉菌のエサとなり善玉菌を増やす。●食物繊維は、1日20gが目安。玄米や雑穀など、主食で食物繊維豊富な食材を選ぶことが大切。●大腸の蠕動運動に必要な胆汁酸の分泌を促す食材(卵、良質の油)。"油抜き"は良くない。

(2)朝の「トイレ時間」を確保する 

 朝ごはんを食べて、腸が動いて便意をもよおすまで約30分~60分が正常な排便時間。食後リラックスした気持ちでいることが大事。2023年7月改定のガイドラインでも、便意回復の重要性を謳っている。

(3)意外と大事な「排便姿勢」

 排便姿勢はとても重要。腹圧をかけて便を押し出す際に、便の出やすい方向がある。背筋をのばしてまっすぐ座る姿勢では排便しづらく、逆に前傾しすぎても後傾しすぎてもダメ。ロダンの考える人のように足を床につけ、ひじが膝につく前傾姿勢35度がベスト。

(4)定期的な運動や腹部のマッサージ 

 定期的な運動は、便通のためにも重要。運動中は交感神経が優位になるので、腸の運動は止まる。しかし、運動を終えた後は副交感神経が優位になるので便意が来る。交感神経のメリハリをつけることにもつながり、便秘改善にいい効果がある。運動ができないときには、腹部マッサージをする。へその周囲を軽く手で押しながら、時計回りに優しくなでるように約15分。

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 当学会が研究開発・商品化した「モロヘイヤ粉末配合青汁」は、便秘・貧血・高血糖に対してより良い効果が期待できます。

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愛・感謝 村雨カレン

2025年8月27日水曜日

微小血管狭心症

 更年期症状改善に役立つ成分

 更年期症状の対策として大豆イソフラボンを摂る女性は多いですが、実はイソフラボンが体内で分解されてできる「エクオール」という成分が鍵を握っています。ただ日本人でエクオールを作れるのは2人に1人で、若い女性はさらに少ないのです。サプリメントの種類が増えており、更年期症状や生理不順の改善に効果があるとされますが、効果には個人差があります。

『40代女性はパソコン作業中に指の痛みを感じた。最初はしびれだけだったが、次第にこわばりなどを感じ始めた。骨の変形もあり、整形外科では治らなかった。婦人科を訪れると「更年期障害」と診断され、エクオールを含むサプリを飲んで女性ホルモンを補った――』

 エストロゲンの減少で火照りやのぼせなどの更年期症状が出ます。手のこわばりもその一つ。7~10年ほど放置すると、手指の関節が変形する「ヘバーデン結節」などを発症することがあります。しかし多くの女性は女性ホルモンの急な減少に伴う更年期症状と気づかず、整形外科などを訪れがちです。

 エストロゲンが不足しても、必ずしもエクオールで不足分を補えるとは限りません。名古屋大学発ベンチャーのヘルスケアシステムズの研究では日本人のうち、エクオールを作れる菌を保有するのは2人に1人。作れない人はイソフラボンの一種であるダイゼインがそのまま吸収されるとみています。

(出典:https://www.nikkei.com/)

■更年期女性に多い"微小血管狭心症"

 一般の狭心症は男性に多く、冠動脈が硬化して狭くなったり痙攣したりして血流が悪くなり胸に痛みが出ます。これに対し、微小血管狭心症は女性(特に更年期)に多い病気です。血管を広げる女性ホルモン(エストロゲン)の量が閉経で減少し、心臓の細い血管が収縮しやすくなるのが原因と考えられています。

 この病気が米国で報告されてから30年近く経ちますが、循環器専門の医師でも詳しい人はまだ多くありません。胸や背中の痛みを訴え病院に行っても、診断がつかずに複数の医療機関を渡り歩く人は後を絶ちません。その理由の一つが"診断の難しさ"。血管造影検査では細い血管は映りにくく、また心電図で異常が見つかるケースも少ないようです。

 ただ、これまでの研究で病気の特徴は分かっています。就寝中など安静時に起こりやすいことと、痛みが長引くことです。ただし、痛みを感じても、逆流性食道炎だったり、更年期障害だったりするケースも少なくないのが実情です。一部の専門病院はMRIなどを活用し、血流の変化から病気を確定する検査方法の確立を目指しています。

 治療も一般の狭心症とは異なり、ニトログリセリンは細い血管を広げる作用が弱いため、塩酸ジルチアゼムなどのカルシウム拮抗薬というタイプを投与します。また、うつ病などに用いる漢方薬が効く患者もいるということです。

 微小血管狭心症は予防するのは難しい病気と言われています。痛み発作を引き起こしかねないストレスや疲労をなるべく溜めないなど、日常生活に気を配ることが大切です。

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 康復医学学会おススメの「HM-3000(特系霊芝)」は、微小循環血流に対して以下のような作用が認められており、普段からの摂取により微小血管狭心症の予防効果が期待できます。

【霊芝の効果】

赤血球変形能の改善 集合性の低下 血栓形成の予防 組織酸素供給の向上 毛細血管口径と密度の調整 血漿粘度の低下 2,3-DPG(グリセリン2,3-リン酸)の産生促進 血管内皮細胞の増殖促進 血圧の降下 血糖値の降下

 また、ストレスや疲労対策には「ラフマエキス」の効果が期待できます。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年8月21日木曜日

骨粗鬆症

 骨を強くして骨折・寝たきりを防ぐ

 骨を強くするために、専門家が今すぐ始めるように勧めるのは運動です。骨は力学的なストレスがかかると強くなる性質を持っています。運動によって骨に負荷がかかると、骨芽細胞が活性化し骨の強度やカルシウムの吸収力も上がります。

 様々な研究解析により、中強度から高強度の運動を続ければ、骨粗しょう症による股関節骨折のリスクを男性では45%、女性では38%減らせることが分かっています。

※中強度の身体活動:速歩き、自転車こぎ、テニスなど、心拍数が上がり、少し息が切れるくらいの運動。

 また、かかとの骨を刺激する「かかと落とし」は、骨芽細胞を活性化させ骨の強度を高めるのに有効です。つま先立ちから、かかとを勢いよく落とすだけの簡単な体操なので、どこでも気軽に行えます。

 背骨の一部がいつの間にかつぶれてしまう圧迫骨折を防ぐために有効なのが「背筋体操」です。うつぶせになり、お腹の下に枕を置いて胸を少しずつ上げる「等尺性背筋運動」で、骨粗しょう症の人でも無理なく続けられ、背筋力と生活の質を上げられます。

 寝たきりや死亡に至るリスクが高い股関節(大腿骨近位部)の骨折は年間22万件(約2分25秒に1件)も起こっています。このような重大な骨折を防ぐためには、骨粗しょう症を防ぐだけでなく、転倒の予防が非常に大切です。「片脚立ち」などのバランストレーニングや、「バンザイ体操」を日常生活に取り入れましょう。バンザイ体操で腕の可動域を広げておけば、つまずいて転びそうになったときに手が出やすくなります。

 骨粗しょう症の予防には、骨の材料となる栄養素の摂取が大切です。特に重要なのがカルシウム。『食事摂取基準2025年版』では、女性なら〔1日当たり18~74歳⇒650mg、75歳以上⇒600mg〕、男性では〔18~29歳⇒800mg、30歳以上⇒750mg〕を摂取することを推奨しています。しかし、国民健康・栄養調査によると、成人の1日の平均摂取量は女性476mg、男性490mgで、174~310mg不足しています。カルシウムが豊富な食品は、牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品等(例:牛乳200mLに220mg、ヨーグルト100gに120mg、サバ水煮缶80gに208mg)。日常の食事にこれらを加え、カルシウム不足を解消しましょう。

 ただし、カルシウムの吸収を促すビタミンDや、カルシウムの沈着を助けるビタミンKもしっかり摂らなければ骨は強くなりません。特に、ビタミンDは、日本人の98%が不足または欠乏状態です。血中のビタミンD濃度が低いと転倒や骨折のリスクも高くなります。血中ビタミンDを高める方法には、鮭・鯖などの青魚やキノコなどから摂る"食事ルート"と、日光の紫外線により皮膚で合成する"紫外線ルート"があります。骨の強化に十分な量のビタミンDを食事だけで補うのは不可能とされるため、1日15分程度は日光に当たる必要があります。過度の紫外線防御はビタミンDの合成を阻むため、禁物です。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■骨粗しょう症とコラーゲン

 骨がもろくなる「骨粗しょう症」という病気は、今まで骨の中のミネラル不足と考えられてきましたが、最新の研究では、コラーゲンの側の問題で骨が弱くなるタイプもあることがわかってきました。コラーゲンは骨の構成成分として重要で、骨の硬さとしなやかさを生み出しており、骨の質を維持するためにも大切です。

高齢者だけでなくメタボ気味の人でも要注意

 骨粗しょう症に関して、問題が起きるのは右図のようにコラーゲン分子でできている架橋の部分です。本来はピリジノリンという分子が弾力性に富んだ強い骨の善玉架橋を作るのですが、高齢者やメタボ気味の人では、ペントシジンという悪玉架橋の鉄筋のサビとなります。ペントシジンは、動脈硬化などと同様に、体の中の活性酸素が原因で増えてしまい、これが増えた人の骨は、もろくて折れやすくなります。

AGEで骨の柔軟性が低下する

 骨の架橋に必要なコラーゲン分子は、終末糖化産物のAGEでも影響を受けで骨の柔軟性を低下させてしまいます。外部から骨へ伝わる力の吸収を低下させるため、骨折などの骨障害の原因にもなっています。過去、骨の健康度は骨密度が重要視されてきましたが、近年は鉄筋の役割をしている骨質(架橋)の大切さが重視されています。

コラーゲンを改善する方法と摂取する際の注意点

良質なたんぱく質(魚、肉、卵、大豆など)をたっぷり摂る ●ビタミンB6B12葉酸を摂取する ●糖分(糖質)を控える ●禁煙する ●野菜を摂る ●血圧を正常にする

 一度に過剰な量のコラーゲンを摂取すると、消化の過程で腎臓や肝臓に負担がかかります。近年の研究で、「コラーゲンペプタイド」という小さく分解されたコラーゲンを摂取すると、腸で吸収され、血液を通じて関節軟骨にまで届くことが分かってきました。

 食物から摂取したコラーゲンが、コラーゲンのまま吸収され、体内で利用されることはなく、消化酵素でバラバラにされてから小腸で吸収され、最終的にコラーゲンペプタイド~単体のアミノ酸の形で血中に入ります。

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 康復医学学会の研究開発により製品化された「コラーゲン」は、ペプタイド型です。吸収性に優れているうえ、海洋性なので、動物系コラーゲンに比べ変性温度も低く、吸収性&即効性に優れています。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年8月7日木曜日

大切な幼少期の生活環境

成人期の肥満は幼少期に決まる?

 肥満の増加は今や世界的な問題です。世界保健機構(WHO)の報告(2022年)によれば、18歳以上の成人の43%が過体重であり、16%が肥満であるといいます。

 一般に肥満は、遺伝要因に加えて、食事や運動などの生活習慣の影響を強く受けて発症するため、いわゆる生活習慣病のひとつと考えられていますが、近年、そのリスク形成に子宮内や生後早期の様々な環境因子も強く関連していることがわかってきています。成人期の肥満のもとは幼少期にはすでに形成されていると考えられているのです。これはいわゆるDOHaD(ドーハッド)*の概念で説明されています。

*DOHaDとは:Developmental Origins of Health and Diseaseの略で、胎児期や生後早期の環境が将来の健康や病気にかかりやすさに影響を与えるという概念。

 肥満は脂肪組織の増大に起因しています。脂肪組織の増大とは脂肪細胞数の増加または脂肪細胞の肥大によって生じていますが、成人期に脂肪細胞の数が多いか少ないかは、幼少期までにはある程度決定されていると考えられているのです。例えば過去の報告によると、成人期に肥満である人とやせている人で脂肪細胞の数を比較すると、肥満者の方が脂肪細胞の数が多いことがわかっています。そしてその脂肪細胞が多いという状況は幼少期までにはすでに生じていることがわかっているのです。

 さらに興味深いことに、一度脂肪細胞の数が増えると、減量によってやせても減少しないことがわかっています。やせることによって脂肪組織が減るのは、肥大した脂肪細胞が小さくなるからなのです。つまり、幼少期までに脂肪細胞の数が増えると、その傾向は成人期まで続き、かつ一旦増えた脂肪細胞数は減少しないため、肥満のリスク増大と密接にかかわっている可能性が高いのではないかと推測されるのです。実際に、小児肥満では成人期の肥満につながっていくことが多く経験されます。

 ただ一方で、脂肪細胞の数が少ないことが必ず健康につながるとは限りません。極端な例をあげると、脂肪萎縮性糖尿病という病気があります。この病気では脂肪組織が減少または消失することで、糖尿病などの重大な合併症を引き起こします。脂肪組織は様々なホルモンを分泌する内分泌臓器としても重要であり、脂肪細胞が少ないことにより、糖尿病などを防ぐホルモンが十分に分泌されなくなり、これが病気のリスクにつながるのです。

 また、腸内細菌叢(腸内フローラ)と将来の肥満リスクの関連も興味深いものです。幼少期までの理想的な脂肪組織の発達や腸内細菌叢を得ることが、将来の肥満や関連する病気を防ぐことにつながるメカニズムがもっと詳細に解明されれば、"幼少期までの食育の重要性"がもっと見直されることになるかもしれません。

(出典:https://www10.showa-u.ac.jp/)


■幼少期のストレスと病気のリスク

 幼少期に虐待やネグレクト(育児放棄)などを受け強いストレスを経験すると、生涯にわたって心の病だけでなく、がん、心臓病、慢性疾患など身体的疾患も発症しやすくなることが、これまでの神経生物学的研究から示されています。発症の仕組みについて、独キンツィヒタール病院心療内科教授は「幼少期にストレスを受けると、脳がうまく対処しきれず、ストレスホルモンの増加により脳が損傷された結果、様々な身体的障害が生じる」と解説しています。特に、ストレス処理能力が未熟な幼少期にストレスを受けると、生涯にわたって病気にかかりやすくなってしまい、その中でも、咽頭がん、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、リウマチ性関節炎、2型糖尿病、心筋梗塞などの冠動脈性心疾患、脳卒中を発症しやすくなることが分かってきています。

寿命が20年短縮(米調査)

 米国では1万7,000人を対象に、幼少期のストレス要因に関して実施された疫学調査が行われ、幼少期のストレス要因の多くが、平均寿命を約20年短縮させることが示されました。

薬に頼らない子供のストレス対策

 子供のストレスの場合、情緒的な不安定さがすぐ体に現れるのが特徴です。症状は多岐にわたりますが、チック(目をパチパチさせる)、朝起きられない、顔色が悪い、友だちと遊ばないなどの症状が出たら要注意です。これといった原因がないのに右図にあるような症状が表れる場合もストレスが疑われます。

★薬には数々の子どもの副作用が報告されていますから、安易に頼るべきではありません。

ストレス解消のポイント

【セロトニン活性】

 ストレスは、特に脳内のセロトニン(神経伝達物質)の働きで解消されます。セロトニンの働きを促進させるポイントは、生活のリズム(起床・睡眠・食事時間やリズム運動)や良質の睡眠(セロトニン神経を休める)、そして食事などです。ストレスで一番不足する栄養素はアミノ酸(セロトニンの材料となるトリプトファンもアミノ酸の一種)です。たんぱく質を摂らせるよう心がけましょう。さらに、タマネギに多く含まれるポリフェノール「ケルセチン」は、抗ストレス作用を発揮する可能性があるとして注目されています。しかし、なんといってもセロトニンを活性させる一番簡単な方法は、康復医学学会の研究素材「天然ラフマエキス」配合のサプリメントを利用することです。セロトニン活性に関するデータがあり、また、良質の睡眠にも良い影響を与えます。お子様にも安心・安全で副作用もない方法です。


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愛・感謝 村雨カレン 

2025年7月31日木曜日

体の“サビ”と“コゲ”

 老いのスピードに大きな個人差

 老化の進行速度には個人差が大きく、これは遺伝的要因だけでなく、環境や生活習慣など多岐にわたる要因が関与しています。

■ 遺伝的要因:

 老化の速度において、遺伝子の影響は約25~30%、そして残りの70%以上は、環境要因や生活習慣によって決まると言われています。これは、同じ遺伝的背景を持つ双子でも、生活環境や習慣の違いにより老化の進行に差が出ることを示唆しています。

■ 生活習慣と環境要因:

 生活習慣や環境要因は、老化の速度に大きな影響を及ぼします。特に食生活、運動習慣、喫煙、飲酒、ストレス管理などが重要な要素とされています。例えば、バランスの取れた食事や定期的な運動は、老化の進行を遅らせる効果があるとされています。一方で、不健康な食生活や運動不足、喫煙、過度の飲酒は、老化を加速させる要因となります。さらに最近の研究では、環境要因が遺伝的要因よりも老化と死亡率に大きな影響を与えることが示されています。具体的には、環境要因が死亡リスクの17%を占めるのに対し、遺伝的要因は2%未満であると報告されています。

■ 生物学的老化の評価と研究:

 ニュージーランドのダニーデン市で行われた「ダニーデン研究」(1972~1973年に生まれた1037人が対象)は、20年以上にわたり追跡調査した研究です。この研究では、腎臓、肝臓、肺、代謝、免疫系の機能や歯の健康、コレステロール、心肺の状態、肺機能など、多岐にわたる健康指標が評価されました。その結果、同じ年齢であっても、生物学的な老化の速度には個人差があり、45歳時点での健康状態が、その後の老化速度の分岐点となる可能性が示唆されました。 

■ 老化の特徴と対策:

 老化には以下の4つの特徴があるとされています。 

(1)生理的機能の低下:筋力や視力、聴力などの身体的機能が徐々に低下します。

(2)代謝機能の変化:基礎代謝の低下により、太りやすくなるなどの変化が生じます。

(3)免疫力の低下:感染症にかかりやすくなるなど、免疫機能が低下します。

(4)細胞の老化:細胞の再生能力が低下し、組織の修復が遅れるようになります。

これらの老化現象に対して、適切な生活習慣を維持することが重要です。具体的には、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスの適切な管理などが推奨されます。

また、定期的な健康チェックや早期の医療介入も、老化の進行を遅らせるために有効です。

■ 結論:

 老化の速度には個人差があり、その主な要因は遺伝的要因だけでなく、生活習慣や環境要因が大きく関与しています。特に、生活習慣や環境要因は、遺伝的要因よりも老化と死亡率に大きな影響を与えることが示されています。したがって、健康的な生活習慣を維持し、環境要因を適切に管理することが、老化の進行を遅らせ、健康寿命を延ばすために重要であると考えられます。

(出典:president.jp/thesun.co.uk/jast1.jp/suntory-kenko.com)


■生物学的老化はサビとコゲで加速

過剰な「活性酸素」が体をサビ付かせ、老化を速める

 体内で発生した「活性酸素」には、免疫機能の一部として体内に侵入した細菌などの異物を攻撃する働きなどの役割があります。しかし、活性酸素が過剰に発生すれば、体を酸化させて老化や病気の原因になってしまいます。体に取り込まれた酸素は細胞内のミトコンドリアでエネルギー代謝に利用されますが、代謝の過程で1~2%が活性酸素に変化し、細胞内のミトコンドリアや核のDNA、さらに細胞膜を酸化させ傷つけます。活性酸素により酸化の連鎖反応が起こり、細胞膜は機能を失い細胞は死んでしまいます。ミトコンドリアをはじめ細胞の内外にはSODなどの抗酸化酵素が存在し、活性酸素を速やかに分解し無毒化しますが、抗酸化酵素の活性は加齢に伴って低下します。こうして活性酸素の攻撃と抗酸化酵素の防御のバランスが崩れると細胞は酸化により損傷し、老化が少しずつ進行していくのです。

「糖質+たんぱく質」 が体をコゲ付かせ、老化を促進する

「糖質」は適量であれば体の中でエネルギー源として利用されますが、多すぎる糖はたんぱく質を糖化させて最悪のコゲ=老化物質「AGE(終末糖化産物)」を生成・蓄積させます。AGEは、肌や血管、骨、脳など、細胞全般を生物学的に老化させてしまうのです。

「酸化(サビ)」と「糖化(コゲ)」は連動している

 活性酸素によって体が酸化ストレスの攻撃を受けると、たんぱく質や糖質がその影響を受けて糖化が進み、AGEが発生しやすくなります。逆にAGEは、RAGE(AGEの受容体)に結合して、NADPH酸化酵素の発現を促し、ROS(Reactive Oxygen Species:活性酸素種)の産生を促進させ、酸化ストレスを作り出します。

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【対策】 抗酸化×抗糖化で老化に歯止めを

 ストレス、たばこ、紫外線などは、体内の活性酸素発生量が増大させ、老化を一段と加速させます。老化にブレーキをかけるには、生活習慣を見直すとともに、抗酸化物質の活性を高める運動や抗酸化食品をとり入れることが必要です。また、抗酸化酵素が糖化されると活性が低下してしまうため、抗酸化と抗糖化を同時に行うことが大切です。当学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、強い抗酸化作用を持つ「GSH-Px(グルタチオンペルオキシダーゼ)と、HbA1c(糖化ヘモグロビン)の生成阻害作用のある「2,3-DPG(グリセリン2,3-リン酸)の産生を促進させます。まさにHM-3000は“抗老化生薬”といっても過言ではありません。


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愛・感謝 村雨カレン

2025年7月23日水曜日

睡眠障害

 睡眠と健康

 睡眠は、健康増進・維持に不可欠な休養活動です。良い睡眠は、心血管、脳血管、代謝、内分泌、免疫、認知機能、精神健康の増進・維持に重要であり、睡眠が悪化することで、様々な疾患の発症リスクが増加し、寿命短縮リスクが高まることが報告されています。また、良い睡眠は、眠気や疲労が原因の事故や怪我のリスク低減にも役立ちます。さらに、睡眠は心身の疲労を回復する機能や、成長や記憶の定着・強化など環境への適応能力を向上させる機能を備えているため、睡眠の悪化は成長や適応能力の向上をも損なうことにつながります。

 良い睡眠は、十分な睡眠量(睡眠時間)の確保と、良質な睡眠で担保され、不適切な睡眠環境、生活習慣、嗜好品の摂り方および睡眠障害の発症によりこれが損なわれます。

 国民健康・栄養調査によると、1日6~8時間睡眠している人の割合は総じて5~6割程度で、特に40~60歳では、平成21年に比べて平成29年以降は減少しています。この調査によると、睡眠で休養がとれている人の割合は8割程度で、特に20歳以上で7割程度と低く、年々減少傾向にあります。

 睡眠で休養がとれている感覚(睡眠休養感)は、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠環境、生活習慣、日常的に摂取する嗜好品、睡眠障害の有無などの様々な要因により影響を受けますが、将来の健康状態に関わることが確認されており、良い睡眠の指標となります。

 一晩に眠ることができる時間には限りがあります。体が必要とする睡眠時間以上に眠ろうと床の上で長く過ごすと、「寝つくまでに長く時間がかかる」「途中で目が覚める時間(回数)が増える」「熟眠感が減る」など、眠りの質が低下することがわかっています。

 夜間、実際に睡眠可能な時間は、加齢により徐々に短くなることがわかっています。15歳前後では約8時間、25歳で約7時間、45歳では約6.5時間、65歳では約6時間というように、成人後は20年毎に30分程度の割合で夜間の睡眠時間が減少します。これと相反して、夜間に床の上で過ごす時間は、20~30歳代では7時間程度ですが、45歳以上では徐々に増加し、75歳では7.5時間を超える傾向があります。これらから、若い世代は床上時間の不足に伴い睡眠不足になりやすく、高齢世代では逆に必要な睡眠時間に比べ床上時間が過剰になりやすいといえます。さらに、加齢が進むと早寝早起きの傾向が強まり朝型化します。これは特に男性で強く、適切な睡眠習慣を考える上で年代別・性別の配慮が必要となります。

 適正な睡眠時間 

 複数の研究から、7時間前後の睡眠時間の人が、生活習慣病やうつ病の発症および死亡に至る危険性が最も低く、これより長い睡眠、短い睡眠のいずれもこれらの危険性を増加させることから、成人においておおよそ6~8時間が適正睡眠時間と考えられています。こうした睡眠充足の個人差を把握する目安として、朝目覚めたときの睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)が役立つこともわかってきました。

(出典:https://www.mhlw.go.jp/)


■高齢者の睡眠障害

 年齢とともに睡眠は変化します。健康な高齢者でも睡眠が浅くなり、"中途覚醒"や"早朝覚醒"が増加します。また、睡眠を妨げる心や体の病気にかかると睡眠障害が出現します。

高齢者に多い睡眠障害

 高齢者では心理的なストレスに加えて、不活発でメリハリのない日常生活、体の病気、その治療薬の副作用などによって、不眠症をはじめとするさまざまな睡眠障害が現れます。

【入眠障害】

 一般的には、寝つくまでに30分以上かかると入眠障害の可能性があるとされています。入眠障害の原因のひとつめは、床入りする時間が早いことも原因です。また、「今日は眠れるだろうか?」という不安や「眠らなければ」という義務感にとって代わり、更に寝つきが悪くなるという悪循環を生む可能性があります。

【中途覚醒】

 物音や尿意のようなこれといった理由は無いにも関わらず、何故か睡眠の途中で目が覚めてしまうのが中途覚醒です。一度目が覚めると寝直すことが難しい場合があります。そして、睡眠中に足がつり、そのために目が覚めてしまう周期性四肢運動障害。また、睡眠中に起こる無呼吸症候群も原因のひとつです。

【早朝覚醒】

 早朝4時や5時頃に目が覚めてしまい、更にその後、寝付けなくなってしまうのが早期覚醒です。高齢者の間では特に多い種類です。早朝の起床に慣れていない場合は、日中の眠気に悩まされることもあります。早期覚醒はうつ病患者に多く見られています。

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 睡眠・覚醒のリズムに影響するのが神経伝達物質のセロトニンとメラトニンです。年齢とともに減少するメラトニンは、原料であるセロトニンが慢性的に不足しているからです。

 康復医学学会が研究テーマ素材「ラフマ葉」は、セロトニン分泌の促進に期待でき、睡眠・覚醒のリズムを整えますので、高齢者特有の睡眠障害にお勧めです。

また、睡眠には脳内の老廃物を掃除する効果があるという研究データがあります。睡眠中のマウスのたんぱく質アミロイドβ(アルツハイマー病に関係しているとされる)を調べたところ、覚醒時に比べて睡眠中は2倍速く脳から取り除かれていました。良質な睡眠は認知症の予防にも有効です。

「HM-3000(特系霊芝)」には、霊芝エキスが血液脳関門(右図参照)の働きを高める効果などが確認されており、脳の神経細胞に関連する効果が期待できるとともに、アミロイドβの神経伸長抑制作用を軽減させる効果も認められています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン