“脂質”も糖化を進める共犯
糖化に関わるのは糖質だけではありません。近年の研究で明らかになったのが「脂質」の関与です。脂質の摂り過ぎで体に中性脂肪をため込むと、脂肪が分解されて「脂肪酸」が増え、それが酸化することでもアルデヒドが発生します。ある報告では、マウスに高脂肪食を与えると、血液中に脂肪酸由来のアルデヒドが増えることが確認されたといいます。皮下脂肪は寒さや衝撃から体を守る大切な存在ですが、中性脂肪としてたまり過ぎるのは問題なのです。
同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター教授の米井嘉一氏はこう言います。
「脂肪酸由来のアルデヒドが新たなアルデヒドを生んだり、たんぱく質と結びついたりして糖化が進む」。
つまり、糖質の摂り過ぎだけでなく、脂肪(油)の摂り過ぎも糖化を進めるのです。両方摂り過ぎの人はダブルパンチで糖化が加速するわけです。
アルデヒドの暴走は、脂質の多い場所でも起こりやすくなります。例えば、約6割が脂質でできている「脳」です。脂肪酸由来のアルデヒドにより、アルツハイマー型認知症の原因物質とされる「アミロイドβ」が糖化され、排出されにくくなって認知症につながるという説があります。また、肝臓に脂肪がたまる「脂肪肝」も、脂肪酸由来のアルデヒドが関与することが指摘されています。
なお、アルデヒドは、お酒やタバコと切っても切れない関係があります。お酒の主成分であるエタノールが肝臓で代謝されると、アルデヒドの一種「アセトアルデヒド」が生成されます。また、ホルムアルデヒドなど、アルデヒドの仲間はタバコの蒸気にも含まれています。
お酒やタバコとアルデヒドの関係は、細胞レベルで考えるとよく分かると米井氏は話します。細胞が分裂・増殖を繰り返すとき、遺伝子のコピーミスによってアルデヒドが発生するからです。
「アルデヒドは、生体内の細胞が分裂・増殖する過程でも発生する。ということは、アルデヒドの悪影響をダイレクトに受けるのは胎児だ。飲酒や喫煙がアルデヒドと関係すると述べたが、いずれも低出生体重児の原因でもある。過剰になれば人体に有害であることは間違いない」(米井氏)
(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)
■体の糖化と老化の関係
糖化(Glycation)とは、体内で糖(主にブドウ糖やフルクトース)とたんぱく質や脂質が非酵素的に結合し、最終的に「AGE(終末糖化産物)」を形成する現象を指します。これは体内の様々な組織や細胞で起こり、その蓄積が細胞機能の低下や組織の硬化をもたらします。
糖化と老化の関連
体内のAGEは加齢とともに増加していきます。糖化は老化の促進因子の一つとして注目されており、そのメカニズムは以下のように考えられています。
(1)たんぱく質の機能障害:たんぱく質は体内で様々な役割を担いますが、糖が結びつくことでたんぱく質の立体構造が変化し、正常な機能を果たせなくなります。例えば、皮膚のコラーゲンも糖化されて硬くなり、弾力性が失われてシワやたるみの原因となります。
(2)細胞の酸化ストレスの増加:AGEが体内で酸化ストレスを誘発⇒ 活性酸素種(ROS)の生成を促進⇒ 細胞がダメージを受ける⇒ 遺伝子変異⇒ 細胞機能が低下。酸化ストレスは老化の根本的な原因の一つとされており、糖化はその一因となっています。
(3)慢性炎症の促進(炎症老化):AGEは「RAGE」という受容体と結合すると、炎症性サイトカイン(炎症を引き起こす物質)を大量に産生させ、慢性的な炎症状態を引き起こします。慢性炎症は動脈硬化、糖尿病、認知症など多くの老化関連疾患の背景にあり、「炎症老化(インフラメイジング)」という概念も近年注目されています。
(4)血管の硬化(動脈硬化):糖化によって血管壁のたんぱく質が変性すると、血管が硬くなり弾力性を失います。そして血管の機能が低下し、高血圧や心血管疾患のリスクが高まります。血管の老化は全身の老化を加速させる要因です。
糖化の原因と予防法
糖化は加齢だけでなく、食事や生活習慣の影響も大きく、特に高血糖状態や糖質過多、加工食品・揚げ物などAGEを多く含む食事は糖化を促進します。
高血糖状態の継続 :糖尿病患者では糖化が著しく進行しやすいため、血糖値を適切にコントロールすることが重要。
過剰な糖質摂取 :特に精製された白砂糖や白米、パンなどの摂りすぎは血糖値の急上昇を招きやすい。
調理法の影響 :高温調理(揚げ物、焼き物など)は食品中のAGEを増加させる。
“糖化の予防法”としては以下が挙げられます。
●バランスの良い食事 /低GI食品(血糖値の上昇が緩やかな食品)を選び、野菜や食物繊維を多く摂取すること。
●適度な運動 /運動は血糖値のコントロールや抗酸化酵素の活性化を促進し、糖化や酸化ストレスを軽減させます。
●禁煙と飲酒の節度 /タバコやアルコールは酸化ストレスを増やし、糖化を悪化させます。
●抗糖化作用を持つ栄養素の摂取 /ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどは抗酸化作用が強く、糖化の進行を抑制します。
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愛・感謝 村雨カレン








