睡眠薬リスク 高齢者の転倒も
ベンゾジアゼピン系薬 |
BZ系薬の長期使用について、患者はメリットばかりでなく副作用などにも目を向けて考える必要があります。例えば、05年に英国医師会誌に掲載された論文によると、服用しても睡眠時間が平均25分しか延びず、夜起きる回数も減らず、転倒などの副作用が6人に1人の割合で起きているといいます。入院や死につながる交通事故、転倒、大腿骨頸部の骨折の発生率が、BZ系薬を使う患者では2倍という研究報告もあります。
このため、米国の老年医学会では、高齢者の不眠や興奮、せん妄に対し、BZ系薬などは最初に選ぶべきではないと提言。その上で「高齢者や医療従事者らはこうした危険の可能性を知っておくべきだ」と訴えます。
しかし、医療経済研究機構のチームが日本医療データセンターのレセプト(診療報酬明細書)などで分析すると、BZ系薬を使う65歳以上の高齢者は国内に約2割いて「ここ10年、利用者の割合に変化がない」そうです。BZ系薬の使用が減らない理由としては、①患者が強く求める ②医師が副作用を重篤と考えていない ③減薬や休薬を促す薬物療法以外の治療へのインセンティブがない――など様々です。
海外では、BZ系薬の抑制策を取る国が多く、オランダでは催眠鎮静作用のためのBZ系薬処方を保険対象から外し、処方割合が睡眠障害では67%から59%に減少。フランスでは14年からBZ系薬の医療保険の償環率を65%から15%に抑えました。日本では、薬の承認審査を行う医薬品医療機器総合機構が17年にBZ系薬の長期使用による依存を防ぐため薬を適正に使うよう医師らに注意喚起しましたが、奥村氏は「効果は疑問。長期使用を抑制できるよう国が規制すべき」と指摘しています。
一方、医療現場でBZ系薬を減らす動きもあります。東京女子医大では、患者らにBZ系薬に関するパンフレットを配布。医師らに講習会で広報したところ、処方された患者が約2割も減りました。薬剤師長は「長期使用を抑制する効果があり、大きなトラブルもない。医療関係者と患者がBZ系薬について理解を深めることが重要だ」と話しています。
(出典:https://mainichi.jp/)
■睡眠薬(睡眠導入剤)
睡眠薬は現在5種類が処方されていますが、作用メカニズムの違いから2つに分類することができます。①脳の機能を低下させて睡眠に導く薬
⇒ ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系
②自然な眠気を強めて睡眠に導く薬
⇒ メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬
このうち、現在は主に①の脳の機能を低下させる睡眠薬が使われています。大脳辺縁系や脳幹網様体と呼ばれる部分の神経活動を抑えることで、催眠作用をもたらす薬です。
それに対して近年は、自然な眠気を強くする睡眠薬が発売されています。私たちの睡眠・覚醒の周期に関係する生理的な物質の働きを調整し、睡眠状態に仕向けていく薬です。
前者の薬の効き方は、「疲れきって寝てしまった」時のような形です。脳の機能を強制的に低下させるので、強引さのある効き方をします。それに対して後者は、本来の眠気を強める形になります。したがって、効果が人によっても異なります。
アルコールとの併用で「健忘症」「呼吸困難」の危機
アルコールと一緒に飲むことで、睡眠薬の薬理効果は数倍になるので注意が必要です。特にベンゾジアゼピン系睡眠薬は、主に大脳辺縁系を中心とする情動中枢に分布するベンゾジアゼピン受容体に結合して作用し、アルコールと同様、脳の活動を抑えます。つまり、アルコールとの併用は脳の活動が抑えられ過ぎてしまうのです。両者は似た薬理効果があるため、アルコール依存症の患者が睡眠薬に依存することも少なくありません。さらには「前向性健忘」といって、一時的な物忘れが起きることがあります。また、アルコールと一緒に摂取すると呼吸が抑制され、命にかかわる事態になりかねません。酷いケースになると、アルコールと睡眠薬の併用で幻覚や妄想が起きることすらあるのです。ベンゾジアゼピン系睡眠薬や抗不安薬を服用し始めたら、お酒は止めるべきです。
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睡眠薬に走る前に‥‥
現代の日本人の4人に1人が何らかの睡眠障害から睡眠不足に悩んでいます。大きな原因として自律神経のバランスが崩れて眠れない体質を作ってしまっていることがあります。ラフマ |
いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン