新型コロナは"空気感染"です!
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染様式として接触感染および飛沫感染が重視されています。そうした中、国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルス疾患研究室室長の西村秀一氏は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は空気媒介感染によって伝播されると、第61回日本臨床ウイルス学会(2020年10月2~31日、WEB開催)で指摘。その根拠を示した上で、厚生労働省のアドバイザリー・ボードが使用している「マイクロ飛沫感染」という造語は非科学的であると完全に否定しました。
感染様式には大まかに右の6種があります。これらのうち汚染媒介感染は、乾燥した汚染物が塵埃となって空中を浮遊すればエアロゾル感染となり、エアロゾルが空気を介して伝播したものは空気媒介感染ともなります。さらに汚染媒介感染は接触感染にもなりうるのです。鼻腔粘膜への手指を介したSARS-CoV-2の接触感染について、西村氏は「通常、手指が触れる範囲は鼻前庭に限られるが、そこは組織学的には粘膜ではなく鼻毛も存在するような皮膚でウイルスの侵入は難しい。さらに奥に挿入してもようやく粘膜に届く程度で、感染効率は極めて悪いはずである」と説明しました。
しかし、SARS-CoV-2の感染経路として接触感染がことさら強調されています。シミュレーションモデルとしてSARS-CoV-2に見立てた大量の蛍光塗料を手に塗布し、接触によって塗料があちらこちらに拡散していく実験映像がしばしば用いられます。
これについて、同氏は「手指に付着した活性を持つウイルスが、あのような極端な多量であることは考えられず、非現実的だ」と述べ、蛍光塗料を用いた実験は素人によるミスリードだと断言しました。
今年(2020年)9月下旬、米疾病対策センター(CDC)はガイダンスの改訂に当たり、COVID-19の主な感染経路を空気感染とする変更を加えました。その4日後に素案であったとして発表は取り下げられましたが、10月5日には空気感染例が存在することを再び認めるに至っており、接触感染の方がむしろ頻度は低いとまでしています。
(出典:https://medical-tribune.co.jp/)
■感染症~厄介な空気感染
病原微生物は、何らかの形で私たちの体内に侵入して病気を起こします。麻しんや結核は、インフルエンザやマイコプラズマと同様に、われわれが呼吸する時に吸い込むことで呼吸器に感染します(経気道感染)。経気道感染は、麻しん、結核や水痘のような「空気感染」と、インフルエンザやおたふく風邪などの「飛沫感染」とに分けられます。飛沫感染の「飛沫」とは、咳、くしゃみ、会話によって飛散する唾液を指しています。医学的には、「水分を含んだ直径5?m(マイクロメートル)以上の粒子」であり、目に見えるほどの唾液であれば重さですぐに落下しますが、小さくなればなるほど空中を漂い、別のヒトが吸い込む確率が高くなります。吸い込める距離は通常1~2mほどですが、くしゃみのように勢いよく飛び出た場合には10mを越す場合もあります。これが、風邪やインフルエンザなど何らかの呼吸器感染をしているヒトの飛沫の場合、飛沫の中に病原体が含まれることになります。肺炎球菌のような細菌なら、大きさが1個当たり数?mなので、一つの飛沫の中に含まれる菌数は数個~数十個ですが、ウイルスは0.1?m前後であるため数十個~数百個含まれており、吸い込んだヒトの感染リスクが高まります。マスクやハンカチでくしゃみを抑えるなど、咳エチケットは感染拡大予防にとても重要です。
飛沫が乾燥して小さくなったものや、元々5?m以下の粒子を「飛沫核」と呼びます。飛沫感染する病原体は大きければ落下し、小さければすぐに乾燥して感染リスクが低減します。
ところが、麻しんウイルス、結核菌、水痘ウイルスは、飛沫核となっても感染性を失わず、飛沫核は軽いために空気中を漂い、広範囲に感染を拡げます。これが空気感染です。電車や飛行機のような狭い空間において、飛沫感染は感染者の半径約2mの乗客が高い感染リスクなのに対して、空気感染では同乗者全員が高い感染リスクを背負うことになります。
経気道感染以外の感染経路として、感染性胃腸炎や大腸菌のような食中毒病原体は、水や食物を介して消化器官に感染します(経口感染)。クラミジアなどの性感染症や、バルトネラ(ネコひっかき病)などの人獣共通感染症の多くは、病原体を保有するヒトや動物との接触によって感染します(接触感染)。この他、蚊やダニなどの吸血性の節足動物が媒介者となって直接的に血液中へ病原体を送り込むような経路(経皮感染)や、母親から胎児へと病原体が移行して垂直感染することもあります(母児感染)。
感染経路をよく見ると、飲食、呼吸、生殖と、私たちが生きるために不可欠な行動とともにあることが分かります。生きている限り、私たちは常に感染症のリスクを背負っているのです。そのため、私たちは病原体に打ち勝つための生体防御機構(免疫)を持っています。麻しんのようにワクチンが開発されている感染症では、予防接種で免疫を得ることも重要な予防対策の一つですが、日頃から規則正しい生活を心掛け、自己免疫機能を高めて感染症に負けない身体を心がけることが何よりも大切になってきます。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン