2020年11月26日木曜日

飛沫感染と空気感染

 新型コロナは"空気感染"です!

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染様式として接触感染および飛沫感染が重視されています。そうした中、国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルス疾患研究室室長の西村秀一氏は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は空気媒介感染によって伝播されると、第61回日本臨床ウイルス学会(2020年10月2~31日、WEB開催)で指摘。その根拠を示した上で、厚生労働省のアドバイザリー・ボードが使用している「マイクロ飛沫感染」という造語は非科学的であると完全に否定しました。

 感染様式には大まかに右の6種があります。これらのうち汚染媒介感染は、乾燥した汚染物が塵埃となって空中を浮遊すればエアロゾル感染となり、エアロゾルが空気を介して伝播したものは空気媒介感染ともなります。さらに汚染媒介感染は接触感染にもなりうるのです。

 鼻腔粘膜への手指を介したSARS-CoV-2の接触感染について、西村氏は「通常、手指が触れる範囲は鼻前庭に限られるが、そこは組織学的には粘膜ではなく鼻毛も存在するような皮膚でウイルスの侵入は難しい。さらに奥に挿入してもようやく粘膜に届く程度で、感染効率は極めて悪いはずである」と説明しました。

 しかし、SARS-CoV-2の感染経路として接触感染がことさら強調されています。シミュレーションモデルとしてSARS-CoV-2に見立てた大量の蛍光塗料を手に塗布し、接触によって塗料があちらこちらに拡散していく実験映像がしばしば用いられます。

 これについて、同氏は「手指に付着した活性を持つウイルスが、あのような極端な多量であることは考えられず、非現実的だ」と述べ、蛍光塗料を用いた実験は素人によるミスリードだと断言しました。

 今年(2020年)9月下旬、米疾病対策センター(CDC)はガイダンスの改訂に当たり、COVID-19の主な感染経路を空気感染とする変更を加えました。その4日後に素案であったとして発表は取り下げられましたが、10月5日には空気感染例が存在することを再び認めるに至っており、接触感染の方がむしろ頻度は低いとまでしています。

(出典:https://medical-tribune.co.jp/)

■感染症~厄介な空気感染

 病原微生物は、何らかの形で私たちの体内に侵入して病気を起こします。麻しんや結核は、インフルエンザやマイコプラズマと同様に、われわれが呼吸する時に吸い込むことで呼吸器に感染します(経気道感染)。経気道感染は、麻しん、結核や水痘のような「空気感染」と、インフルエンザやおたふく風邪などの「飛沫感染」とに分けられます。飛沫感染の「飛沫」とは、咳、くしゃみ、会話によって飛散する唾液を指しています。医学的には、「水分を含んだ直径5?m(マイクロメートル)以上の粒子」であり、目に見えるほどの唾液であれば重さですぐに落下しますが、小さくなればなるほど空中を漂い、別のヒトが吸い込む確率が高くなります。吸い込める距離は通常1~2mほどですが、くしゃみのように勢いよく飛び出た場合には10mを越す場合もあります。

 これが、風邪やインフルエンザなど何らかの呼吸器感染をしているヒトの飛沫の場合、飛沫の中に病原体が含まれることになります。肺炎球菌のような細菌なら、大きさが1個当たり数?mなので、一つの飛沫の中に含まれる菌数は数個~数十個ですが、ウイルスは0.1?m前後であるため数十個~数百個含まれており、吸い込んだヒトの感染リスクが高まります。マスクやハンカチでくしゃみを抑えるなど、咳エチケットは感染拡大予防にとても重要です。

 飛沫が乾燥して小さくなったものや、元々5?m以下の粒子を「飛沫核」と呼びます。飛沫感染する病原体は大きければ落下し、小さければすぐに乾燥して感染リスクが低減します。

 ところが、麻しんウイルス、結核菌、水痘ウイルスは、飛沫核となっても感染性を失わず、飛沫核は軽いために空気中を漂い、広範囲に感染を拡げます。これが空気感染です。電車や飛行機のような狭い空間において、飛沫感染は感染者の半径約2mの乗客が高い感染リスクなのに対して、空気感染では同乗者全員が高い感染リスクを背負うことになります。

 経気道感染以外の感染経路として、感染性胃腸炎や大腸菌のような食中毒病原体は、水や食物を介して消化器官に感染します(経口感染)。クラミジアなどの性感染症や、バルトネラ(ネコひっかき病)などの人獣共通感染症の多くは、病原体を保有するヒトや動物との接触によって感染します(接触感染)。この他、蚊やダニなどの吸血性の節足動物が媒介者となって直接的に血液中へ病原体を送り込むような経路(経皮感染)や、母親から胎児へと病原体が移行して垂直感染することもあります(母児感染)。

 感染経路をよく見ると、飲食、呼吸、生殖と、私たちが生きるために不可欠な行動とともにあることが分かります。生きている限り、私たちは常に感染症のリスクを背負っているのです。そのため、私たちは病原体に打ち勝つための生体防御機構(免疫)を持っています。麻しんのようにワクチンが開発されている感染症では、予防接種で免疫を得ることも重要な予防対策の一つですが、日頃から規則正しい生活を心掛け、自己免疫機能を高めて感染症に負けない身体を心がけることが何よりも大切になってきます。


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愛・感謝 村雨カレン

2020年11月18日水曜日

動物由来感染症

 中国豚コロナ ヒトへの感染の可能性も

 アメリカ研究者チームは、最新の研究論文の中で、中国で確認された「豚急性下痢症候群コロナウイルス(SADS-CoV)」について報告しました。このウイルスは、ヒトへの感染リスクがあると考えられ、もしヒトに感染した場合、新型コロナウイルスに似た症状を引き起こすとの事です。

『アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)』は10月12日、豚コロナウイルスに関する研究論文を掲載し、中国では2016年10月から、豚の下痢や嘔吐の症状を伴う群れの感染を誘発するSADS-CoVの感染があったと指摘しました。


 論文には、SADS-CoVは中国広東省で発見され、4つの子豚の群れに胃腸障害、重度の下痢を引き起こしたと記されています。SADS-CoVは、コウモリを由来として豚に経口感染します。子豚にとって非常に致命的なウイルスで、感染後は90%の子豚が5日以内に死亡すると報告されています。

 研究者は、SADS-CoVウイルスの複製をヒトのサンプル細胞に感染させ、ウイルスの伝播、増殖(複製)などを検証しました。すると、SADS-CoVが肺と腸の両方に由来する初代ヒト細胞で効率的に複製されることを発見しました。このことは、豚からヒトへ感染する可能性を示すといいます。

 SADS-Covは現在、世界的パンデミックを引き起こした「新型コロナウイルス(COVID-19)」と同じファミリーに属しており、研究によると、SADS-CoVがヒトに感染すれば、COVID-19と同様に呼吸器症状を発症する可能性があるといいます。

 この研究は、アメリカ・ノースカロライナ大学の疫学者、免疫学者、微生物学者の14人からなるチームが行いました。

 研究者らは、豚コロナウイルスは流行の可能性があるため、中国の養豚業界は細心の注意を払うべきだと書いています。

 昨年にも中国では「アフリカ豚熱」が発生しており、その結果、数百万頭の豚が殺処分されています。

 台湾大学医学院感染科の黄立民医師は台湾メディアに対し、「ウイルスが哺乳類に感染した場合、人間が感染動物と頻繁に接触している限り、人間にも感染する可能性はある」と指摘しました。

(出典:https://www.epochtimes.jp/


■動物由来感染症

 動物由来感染症とは、世界保健機構(WHO)では「脊椎動物と人の間で自然に行き来することができる病気又は感染」と定義しており、人獣共通感染症やズーノーシス(ZOONOSIS)とも呼ばれています。交通手段が発達したため、人・動物の国境を超えた移動が著しく増え、海外の病気の流入が容易になったことや、野生動物が希少ペットとして飼育されるようになったこと、また、ペットを室内で飼う家庭が増え、人とペットの距離が近くなったことなどから近年、注目されるようになっています。動物からの感染で健康を害する場合があり、現在、WHOで確認されているだけでも200種類以上あり、よく知られる病気として狂犬病や鳥インフルエンザ、エボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、豚熱(CSF)などがあります。

 どういう動物から感染するのか  

 エボラ出血熱はコウモリの一種からサルなどを介して、中東呼吸器症候群(MERS)はラクダから感染すると考えられています。東南アジア地域で見られる鳥インフルエンザも、野生のハトやスズメ、飼育されているニワトリなどの鳥類から人に感染することが知られています。しかし、このような特殊な感染症だけでなく、日本でも日常的に見られる共通感染症として、ネコに引っかかれて発症する猫ひっかき病、ミドリガメやイグアナなどの爬虫類から感染するサルモネラ症、接し方によっては家庭のペットのイヌ・ネコが普通に持っている病原体で感染するQ熱、パスツレラ症などがあります。

 感染経路は  

 動物から人に感染する経路は、大きく分けると動物から人に直接感染する直接伝播とダニや蚊などを介して感染する関節伝播があります。引っ掻かれたり咬まれたりして生じた傷口からの感染、動物に舐められたり動物や動物の糞尿を触ったりすることでの感染を直接伝播、蚊やダニなどを介して感染したり、動物の肉などを食べて感染したり、動物から排泄された菌が土壌や水系を介して感染するのを関節伝播といいます。

 感染しないために気をつけること  

 動物との濃厚な接触を避け、動物に触った後は手洗いに心がけましょう。動物が赤ちゃんや小さな子どもを舐めたり触ったりするのはよくありません。また、国内外問わず野生動物は大変危険です。引っ掻かれたり咬まれたりしないよう十分に気を付けて接します。ペットを飼育する方は、ペットの身のまわりを清潔にし、糞尿は速やかに処理するよう心がけましょう。

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 康復医学学会が推奨する「ホタテ貝殻焼成カルシウム」の水溶液には、複数の大学の人獣共通感染症学研究室が行った、殺菌・抗ウイルス作用に関するデータがあります。


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愛・感謝 村雨カレン

2020年11月12日木曜日

広場恐怖症

 プロゴルファーが広場恐怖症を告白

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年は約3カ月遅れで開幕を迎えた女子ツアー。2017年の「日本ジュニア選手権」を制するなどアマチュア時代から有望株として知られた菅沼菜々プロ(20)が6月25日からの「アース・モンダミンカップ」(千葉)の開幕を前に、不安障害の一つ「広場恐怖症」に苦しんでいることを告白しました。

「選手仲間にも心配されていました。ファンの方に病気について知ってほしいと思い、公表を決意しました」

 彼女が突然その症状に襲われたのは、2016年高校2年の夏。自宅から高校に通う駅のホームで急に、電車に乗ることができなくなったのです。診察を受けたものの病名ははっきりせず、高校3年時は電車通学もできていました。

 しかし高校卒業後、18年7月のプロテストに合格した後から再び症状が出たのです。公共交通機関での長時間移動などに対し、激しい恐怖や不安を覚える「広場恐怖症」と診断されました。広場恐怖症の原因は解明されていません。

 ツアーフル参戦初年度だった昨季は、飛行機や新幹線での移動を伴う北海道や九州での大半の試合に出場できませんでした。昨年8月の所属先の冠大会「ニトリレディス」(北海道)でも、父の運転で盛岡駅まで行ってから新幹線に乗ろうと努力しましたが、ホームにうずくまって号泣。現地入りを断念しました。昨季は全38試合で出場30試合。賞金ランキング62位で、惜しくもシードを逃しました。

「できることを信じてやるしかないです」。彼女はコロナ禍でも前向きにゴルフと治療に努めています。自宅(東京・立川市)を拠点に、練習ラウンドや体幹トレーニングで準備を進めました。薬の服用はドーピング違反にあたる恐れもあることから、治療はカウンセリングや自然療法に限られます。完治した人の本を読み、1人でツアー転戦できるようにと2月末に運転免許証を取得しました。

「不安はありますが、コースは好きなので、そこをプラスに考えて頑張ります」

 今季"開幕戦"となる「アース・モンダミンカップ」の昨年大会は首位発進して、最終的に昨季最高の5位。今年もファンや同じ病気に苦しむ人たちに勇気を届けるため、優勝争いを演じようと意気込み参加しました(結果:4アンダー27位)。


【広場恐怖症】:広い場所が怖いのではなく、広場の人混み、電車や飛行機など公共交通機関の利用時、狭い空間にいる際など、その場所から逃げ出すことが困難な場所や状況に対して強い恐怖や不安を抱く「不安症群」の一種。突然、激しい不快感に襲われ動悸や発汗、身震い、息苦しさなどパニック発作を起こす。10~20代の若年時に発症するケースが多い。パニック症を伴わない場合、生涯でかかるのは女性の2%、男性の1%とされる。高速道路走行中、地下鉄の長いトンネル内、劇場の中央付近の座席などで起きる例がある。

(出典:https://www.sanspo.com/)


■広場恐怖症とパニック

 広場恐怖症の方のほとんどがパニック障害を伴っています。特に原因もなく突然起こる「予期しない発作」、また発作が起きるのではないかという「予期不安」があります。

 パニック発作の症状は、動悸、発汗、めまい、窒息感、胸痛、吐き気や嘔吐、下痢、失神、現実感の消失、死への恐怖です。高齢者では転倒を恐れる、子どもでは迷子を恐れるなどがあります。仮に、動悸や窒息感などで医療機関に駆け込んでも、その時には治まっていることも多く、医師にも身体的異常は確認できないことが多いようです。

 広場恐怖症は、パニック発作が起こった時にそこから逃れられない、助けも求められない状況を恐れます。それは広場に限らず、乗り物、人混みの交差点、高速道路、美容院、歯科受診時、劇場の中心辺りの席など、すぐには逃れられない場所、逃げたら恥をかくと思われる会議、結婚式など自由を束縛される状況などが挙げられます。また逆に、家にひとりでいるという状況に恐怖を感じる人もいます。誰かと一緒なら行動が可能な場合もありますが、家族依存になるなど行動可能な範囲が限られます。生活機能の著しい低下は避けられません。

 明確な原因は解明されていませんが、身体的な不安に対する感受性が高い人がなりやすいようです。脳科学の研究では、大脳の扁桃体に関わる恐怖神経回路の過剰な活動性が指摘されています。扁桃体は心地よい、不快、恐怖といった情動の中心機能を司っています。何かの刺激を受けて扁桃体で生まれた恐怖感情と、環境要因、心理的要因、遺伝的要因が関わりあっていることが多いと言われています。幼少期のつらい出来事、両親の死や別離、虐待、何者かに襲われる、被災するなど強いストレスがかかる経験があったなどの環境的要因が背後にあることが多いようです。加えて遺伝的要因もあり、親が広場恐怖症の場合、遺伝することがあります。

【治療方法】

 薬の服用だけでは完治する可能性は低いと言われています。薬物療法としては、いわゆる抗うつ薬や、抗不安薬などを使用します。

 そして、行動療法は、患者本人に「乗り越えたい」という強い意志があるほうが、効果は高いようです。認知・行動療法として、現実の捉え方、ものの見方に働きかけ、バランスよく柔軟な視点を持てるように、ストレスを軽減していく心理カウンセリングを行います。

 エクスポージャー(曝露療法)も効果が期待できます。不安を感じる状況を低いものから高いものへ順にリストアップし「不安階層表」を作ります。できるところから、実際に経験するようにし、もともと恐れていた場所でも十分な時間そのままいるようにすれば、不安や恐怖を乗り越えられることを実際の体験から学び取るようにする治療法です。

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 パニック障害の原因は、脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)のバランスの乱れであることがわかってきています。 特にセロトニンとノルアドレナリンが関係しており、セロトニンは、他の脳内神経伝達物質の情報を制御し、精神状態を安定させる働きがあります。


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愛・感謝 村雨カレン

2020年11月4日水曜日

歯周病

 歯周病で膵臓がんのリスク2倍に!

 歯周病が様々な臓器に影響を与えることは、疫学的には随分前からわかっていました。新たな動きとして、歯周病菌があらゆる臓器に影響を与えることを示すしっかりしたエビデンスが出てきました。歯周病のコントロールの悪さが、全身疾患のリスクを上げるメカニズムもわかってきています。歯科と医科が手を結び、治療を行う機会も増えてきました。

 歯周病は主に2つの要因で他の臓器の健康を左右します。①血液に入り込んで全身を駆け巡る歯周病菌などの口腔細菌と②歯を失い咀嚼が難しくなることでの栄養低下です。口腔ケアをおろそかにし歯周病が進行すると、歯周ポケットの組織が破壊され、炎症が起こります。そこから口腔細菌が血液内に入り込むのです。歯周ポケットの滲出液は血液とほぼ同じ成分であり、血液内でもしばらく生き延びることができるため、血液に乗って全身に運ばれます。


歯周病菌が全身に及ぼす影響

 まず、膵臓がんの発症リスクが高まると言われています。歯周病菌の代表的な菌で、特に問題があるポルフィロモナス・ギンギバリス菌の保菌者は膵臓がんの発症リスクが1.6倍、同じく歯周病菌の一種であるアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌の保菌者は膵臓がん発症リスクが2.2倍高くなると発表されています。

 膵臓がんに限らず、歯周病菌はすべてのがんのリスクを上げるとされています。


生活習慣病・認知症と歯周病菌との関係

 例えば高血圧、脳血管疾患、心疾患などに関係していることがはっきりしています。これらの疾患で共通しているのが動脈硬化です。それは、歯周病菌のギンギバリス菌とギンギバリス菌が分泌する無数の外膜小胞(OMVs)に細胞侵入する性質があり、それによって動脈に慢性炎症が起こるからです。

 認知症の中でも多くを占めるアルツハイマー型認知症に関係しているとみられているのが、アミロイドβという脳内で作られるたんぱく質です。これが脳内に蓄積し、脳細胞を死滅させることが発症の一因になっているというのです。

 このアミロイドβは、ギンギバリス菌が多いほど、蓄積が多いことがマウスを使った感染実験でわかっています。つまり、ギンギバリス菌は脳のアミロイドβの沈着を促し、アルツハイマー型認知症の発症リスクを上げると考えられるのです。

 その他、糖尿病、関節リウマチ、早産、低体重児出産、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)、クローン病、潰瘍性大腸炎、大腸がんなど、歯周病との関連が指摘されている疾患は多岐にわたります。

(出典:https://diamond.jp/)


■歯周病のメカニズム

 毎日きちんと歯を磨いているから大丈夫だと思っていても、歯医者で「歯周病予備軍です」と言われてしまった方も、多いことでしょう。歯周病になると、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎のすき間に細菌が増え、歯を支えている骨(歯槽骨)が減少していくため、やがて支えをなくした歯がぐらつき、ついには抜けてしまいます。

 歯周病は、大きく分けて「歯肉炎」「歯周炎」の2つの時期に分けられます。「歯肉炎」の状態であれば、大抵の場合、原因となっているプラーク(歯垢)と歯石を除去し、丁寧にブラッシングをすれば治ります。しかし「歯周炎」まで症状が進行してしまうと、歯茎が腫れ、膿が出たり、歯がぐらついて抜けてしまったりすることもあります。

 歯周病の部分的な原因  

 口の中の部分的な原因としては、プラーク(歯垢)があげられます。プラークは、食事のたびにネバネバした薄い膜の細菌集団が発生し、歯の表面に付着します。うがいなどでは簡単に落ちず、放置しておくことで、徐々に菌が増殖していきます。プラーク1mgには、多い場合500種類以上の細菌が1億個もいるといわれます。

 プラークは、長い間放置されると、歯と歯の間や歯と歯茎の間で、石灰化して硬い歯石(プラークの死骸が石のように硬くなった状態)になります。歯石になってしまうと、自分では取り除くことが出来ないため、歯科医院で特殊な専門の器具(スケーリングやPMTCなど)を使用し、除去しなければなりません。

 歯周病の全身的な原因 

 歯石がたまってしまうと、歯周ポケット(歯と歯茎の間のすき間)が少しずつ深くなっていきます。歯周病菌は酸素が大嫌いなため、歯周ポケットは歯周病菌が繁殖する格好の場所となり、ますます有害な種類の菌を繁殖させます。

 酸素を嫌う歯周病菌は、身体の組織を構成するたんぱく質を壊し、歯茎の腫れなどの炎症を引き起こし、身体を細菌から守る白血球を攻撃する有害物質を出します。また、口臭の原因となるガスを出したりして、その後、歯を支える骨を溶かしてしまいます。支えを失った歯は、最終的に抜けてしまいます。

 今や歯周病は、成人の8割がかかっているといわれる生活習慣病です。前章のニュース(出典:https://diamond.jp/)でお伝えしたように、歯周病は様々な臓器に影響を与えてしまいます。メカニズムを知ることで、しっかりと歯周病にならないための予防をすることが大切です。

 歯磨き剤は、フッ素ラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤など、毒性が認められている成分が含まれているものは避けましょう。

 康復医学学会で企画・開発し、メーカーで製品化された歯磨き剤にはこれらは含んでおりませんので安心してお使いいただけます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン