おしっこの色で分かる体の不調
「おしっこは健康のバロメーター」といわれるように、尿が病気の徴候を告げていることもあります。尿の状態の中でも、一般の人がひと目で判断できるのが色。赤、黄、緑‥‥さまざまな尿の色でどんな体の不調が分かるのでしょう。
(尿の色と病気の関係についての解説:中山寺いまいクリニック今井院長)
【透 明】
コーヒーやビールなど、利尿作用のある飲み物を飲むと、尿中の水分量が増え、尿の色素であるウロビリノーゲンを薄めるため、透明に近い色になる。この場合、異常ではないので心配は不要。【黄 色~褐 色】
肉食、運動、疲労、不眠、飲酒などにより尿中のウロビリノーゲンが増加し、黄色みが強くなる。また、ビタミンB2は黄色なので、ビタミンB2を多く含む食事(緑黄色野菜、レバー、キャビアなど)を取ると、緑色に近い黄色の尿が出ることがある。汗を多くかいた後も濃い黄色になることがある。これらに心当たりがなく、濃い黄色の尿が出る場合、脱水のサインである可能性もある。この場合は、水分を多く取ることが必要。【茶 褐 色】
尿が毎回茶褐色の場合、大量のビリルビンが尿中に排泄されている可能性がある。通常、ビリルビンは、ほとんど尿中に排泄されないが、肝障害や胆道の閉塞などにより胆汁の流れが妨げられると、血液中に増え、尿として排泄されてしまう。【赤 色】
赤い尿は血が混じっていることを示す。膀胱がんの場合、無症状にもかかわらず血尿が出ることがある。なお、尿路感染症、尿路結石、膀胱出血の場合、鮮やかな赤色を示すが、腎臓内で起こる出血の場合、比較的暗い赤色を示す。【緑 色】
麻酔薬や漢方薬、一部の消化性潰瘍治療薬には緑色の色素を含むものがあり、服薬すると緑色の尿が出る場合がある。また、緑膿菌による膀胱炎にかかると、緑膿菌が産生する緑色の色素により青緑色の尿が出ることがある。閉塞性黄疸になるとビリルビンという色素が尿中に排泄され、尿の中でビリルビンがビリベルジンに変化し、緑色になることもある。今井院長は「尿色に何も異常がなく、体の不調も感じない人でも、気付かないうちに腎機能が低下し、検査で初めて透析導入直前の段階にまで慢性腎臓病(CKD)が進んでいたことが分かる例もある。健康な人でも必ず年に1度は病院で検査を」と話します。
(出典:https://kenko100.jp/)
■尿はこうして作られる
血液と腎臓の働き--血液をろ過して尿がつくられる
血液は酸素や栄養素を全身に運ぶとともに、老廃物や毒素も受け取って循環しています。全身をめぐって汚れた血液は、やがて腎臓を通ります。腎臓では、血液から老廃物や毒素をろ過してきれいに浄化し、また余分な水分なども一緒に取り除きます。腎臓で取り除かれた老廃物や毒素、余分な水分などは、尿として体外に排泄されます。腎臓が一日にろ過する血液の量は150?といわれており、大型のドラム缶1本分に相当します。
尿を作ることは、腎臓の主要な仕事の一つです。この機能が低下すると、体中に老廃物や毒素が蓄積してしまうことになります。
腎臓で尿を作っているのは、「ネフロン」という構造です(右図)。ネフロンは腎臓の最小単位の構造物であり、腎臓1個に約100万個あります。ネフロンは毛細血管が詰まった「糸球体」と呼ばれる組織から始まります。糸球体はボーマン嚢という袋に包まれています。
糸球体に血液が送られると、糸球体ろ過により毛細血管からボーマン嚢に水分がにじみ出します。これが尿の元(原尿)となります。
次に原尿は「尿細管」という細い管に流れていきます。尿細管は、原尿から塩分やたんぱく質など、体にとって必要な物質を選び出し、その約99%を再吸収します。
最終的に残りの1%が、不要な老廃物を含んだ水分である尿として、体外へ排出されます。
尿の成分
尿の成分の90%以上は水分です。そのほかに、タンパク質の代謝によって作り出される老廃物が含まれます(左表)。1日の尿量は健康な人では約1~1.5?です。腎機能に障害があると、500m?程度になったり(乏尿)、2?以上になったり(多尿)します。このように腎臓は、老廃物や余分な水分を排出することで身体を健康に保っています。そのため、尿の色や量などによって、全身の状態を知ることができます。
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン