医学部教授が警鐘! “骨卒中”とは
「高齢者が一度骨折をすると、クセになりやすいというのは定説だ。特に注意すべきは背骨と股関節周辺の骨折だろう」 こう話すのは、鳥取大学医学部の萩野浩教授。高齢になって足腰が弱くなると、ちょっとした動作で転倒し、骨折するのは体を支える中心部であることが多く、フレイル(虚弱)状態が進むため、治っても再び骨折する確率が高くなるのです。「たとえば、背骨を骨折した高齢者は、そうでない人に比べて4~7倍、再び骨折しやすくなる。しかも、次に骨折するのは背骨だけでなく、股関節周辺であることも多い」(同教授)
一般的に股関節周辺の骨折は予後が悪く、長期間、寝たきりの生活を送ることになります。するとさらに筋力が落ち、自力で生活できなくなって介護生活に入る‥‥。ショッキングなことに、5人に1人が1年以内に死亡しているそうです。
「骨折後、死亡までの期間が極端に短くなることを『骨卒中』と呼び、警鐘を鳴らしている」
60~70代で背骨を骨折、その後、70~80代で股関節周辺を骨折するというパターンが多く、また、3人に1人が生涯に1度は背骨の骨折を、5人に1人が股関節周辺の骨折を経験するといいます。
さらに、一度骨折をすると1年以内に再び、という可能性は非常に高く、少なくとも骨折後10年間はその影響が続くことになります。しかし、骨卒中のサインは、そのずっと前から出ているのだと萩野教授は話します。
「高齢になってから骨折する人の多くは、50歳前後で手首を骨折している。つまずいたり転んだりして手をついたときが多いのだが、その時点ですでに骨がもろくなっているという証拠と言える」
にもかかわらず、「手首だから軽く済んでよかった」と骨折の治療だけを施して、骨質を上げる対策をしないケースがほとんどです。
最初の骨折時点で行うべきこととして、自分の骨密度を知ること、必要に応じて骨粗しょう症の治療をすること、転ばないためにも筋力をつけ、骨密度を上げる食生活をすることが挙げられます。ちなみに、骨粗しょう症の治療には注射と投薬があり、治療することで、再発のリスクが50%程度下がります。
また、生活周りの危険な場所のチェックも必要です。
「高齢者の転倒骨折の9割は家の中で起こっている。じゅうたんの縁がめくれていたら留める、段差のあるところには手すりをつけるなど、転倒のリスクがある場所の処置をしておくことが大切だ」
(出典:https://jisin.jp/life/health)
■骨粗しょう症予防
人の骨は生涯を通して古い骨を壊して吸収し(骨吸収)、その場所に新しい骨を作る(骨形成)ことにより、血清中のカルシウムの値を調節すると共に骨の強度も保っています。これを骨代謝と呼びます。
予防のための運動:骨に刺激が加わる運動を
骨粗しょう症を予防するためには、カルシウムの摂取とビタミンDを体内で合成するために必要な日光浴に加えて、ウォーキングや筋力トレーニングなど、骨に刺激が加わる運動が推奨されます。骨はその長軸に対して物理的な刺激が加わると、微量の電流が骨に伝わり強さが増すといわれています。スポーツ選手の骨密度は、一般の人よりも高いことが知られていますが、物理的な過重負荷が大きい者ほど高いのです。たとえば過重負荷の少ない水泳選手は、陸上でグランドを使用するスポーツ選手よりも骨密度が低いそうです。したがって骨粗しょう症を予防するためには、ウォーキングやジョギングのような重力のかかる運動が効果的だと考えられます。軽いダンベルを持ったウォーキングはパワーウォーキングと呼ばれますが、自身の体重に少し負荷を増やしたウォーキングも効果的です。α-リノレン酸の高い効果
オメガ3脂肪酸の一種であるα-リノレン酸(ALA)が、骨の健康状態を改善することは、すでに2007年に立証されています(ペンシルベニア州立大学)。
クルミと亜麻仁油を加えたα-リノレン酸の高い食事と、リノール酸の高い食事の2種を平均的な米国人の食事(AAD)と比較した結果、骨吸収を表す数値が平均的な米国人の食事に較べて、クルミを加えたα-リノレン酸食において最も低下した、というものでした。この研究は、人において骨の健康状態に対する植物性オメガ3脂肪酸(ALA)供給源の効果を評価した最初の研究です。
この研究結果からα-リノレン酸の摂取量が増えれば骨の代謝が抑制され、骨の「分解と形成」の2つのバランスが「形成」の方に傾くということが示唆されたのです。
高齢化社会の今、骨粗しょう症や骨折は治療の長期化により寝たきりのリスクも高くなります。普段から食生活などに気をつけ、骨を丈夫に保つことを考えていくことが大切です。
===============
霊芝と骨粗しょう症
中国の古い薬物書には、「霊芝」が更年期障害など中高年の体の不調に有効であるという記述があります。そこに着目した九州大学の清水邦義教授は、霊芝が骨粗しょう症への効果も期待できるのではと考え、研究を始すすめ、ついに、霊芝によるエストロゲン様活性、破骨細胞分化抑制活性、骨密度低下抑制活性の新規機能性の発見に成功しています。
※清水教授の論文『霊芝の前立腺肥大・骨粗鬆症改善効果』(2006年)、『高齢化社会に対応した霊芝の機能性--骨粗鬆症予防・改善効果』(2008年)
いつもありがとうございます。
愛・感謝 村雨カレン