2023年5月24日水曜日

難聴

 聴力改善で認知機能低下リスクが減少

 難聴のある人が補聴器などを使って聴力を改善すると、認知機能の低下リスクが小さくなることが、複数の研究データを統合した分析で示されました。難聴は、認知機能低下の重要な危険因子であることが分かってきたのです。

 シンガポール国立大学のブライアン・シェン・イェップ・ヨー氏らは、難聴患者が補聴器の使用を開始した場合、または人工内耳植込術を受けた場合に、その後の認知機能にどのような影響が及ぶのかを調べました。文献データベースから、18歳以上の難聴患者を対象に、聴力補助デバイス(補聴器または人工内耳植込術)が認知機能に及ぼす影響を検討していた31件(対象者計13万7484人)の研究を抽出。その中からまず、長期的な関係を検討していた8件のデータを分析しました。それらは全て、補聴器の使用と認知機能の低下の関係を検討しており、12万6903人を2年から25年にわたって追跡していました。

 8件の研究のデータをプールして解析したところ、補聴器使用者は、非使用者に比べて認知機能低下のリスクが19%低くなっていました(年齢、性別、学歴、社会経済学的地位、併存疾患を考慮した分析結果)。さらに、認知機能障害の発生について報告していた3件のデータを分析したところ、補聴器使用者では非使用者に比べて認知機能障害の発生リスクが21%低くなっていました。このほか、補聴器使用者は軽度認知障害から認知症への進行リスクも27%低下し、認知症の発症リスクも17%低下していました。

 これら8件の研究は、米国、欧州、アジアで行われていましたが、どの地域で行われた研究も一貫して補聴器使用の利益を示しました。

 続いて、聴力補助デバイス使用開始後の短期的な影響を検討していた11件の研究(4件が補聴器、7件は人工内耳植込術)、568人のデータを分析しました。その結果、デバイス使用開始後短期間のうちに、認知機能検査のスコアが向上することが明らかになりました。3カ月から1年の追跡で、デバイス使用前に比べ使用後の認知機能検査のスコアの平均値は3%高くなっていました。

 なお、人工内耳植込術を行っていた7件の研究のデータを合わせて分析すると、術後の短期的なスコアの改善は3%になりましたが、補聴器を用いていた研究では、スコアは改善傾向を示したものの、統計学的有意差は認められませんでした。

 この研究では、補聴器の使用が難聴患者の長期的な認知機能低下のリスクを19%低減すること、認知機能が正常な状態からの低下と、認知機能障害の進行のいずれにも利益が見られることが明らかになりました。さらに、聴力補助デバイスは、全般的な認知機能のスコアの短期的な改善とも関係していました。著者らは、「難聴患者の認知機能低下リスクを低減するために、医師は聴力補助デバイスの使用を勧める必要がある」と述べています。

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp/)


■難聴は認知症の重大な原因

「難聴が認知症の大きなリスク要因である」――これは、国際アルツハイマー病会議の場で発表された知見です(2017年)。以来世界の医療界では、難聴と認知症との関連についての研究が急速に進み、今日では認知症患者の約9%が、難聴が原因で発症したものと推測されています。日本の高齢者の4人にひとりが認知症発症の可能性ありとされている今日、「難聴対策」は認知症患者をひとりでも減らしていくための有効な手立てであると考えられます。


聴覚と脳の深い関係

 人間は耳から入ってくる情報(音)を電気信号に変換して脳に送り、様々に処理しています。誰かと話をしている時は、耳から入ってきた音声を処理し言葉として認識して、相手と受け答えを行います。音楽を聞く時も、耳でとらえた空気の振動をメロディとして認識し、心地よさを感じます。このように私たちの耳は、24時間ずっと音を取り込み脳に信号を送り、脳もまた休むことなくそれを処理し続けています。耳からの情報=刺激を受けることで脳は活発に働き、活力を保っているのです。


刺激がなくなると衰える

 ところが難聴になると、耳から脳に伝達される情報量は、極端に少なくなり、重篤な場合はほとんどゼロになります。脳の各部位は互いに連携しながら機能しているので、音声を処理する部位が健全に機能しないと他の部位も影響を受けます。そうなると神経細胞の働きが弱まり、脳の萎縮が進み、認知症発症につながってくるとされています。また難聴になると、人や社会とのコミュニケーションをつい避けがちになってしまうことも深刻な問題です。

 会話に参加できない。危険を察知する能力が低下する。支障をきたすので外出がおっくうになる。そうすると社会的に孤立し、次第に抑うつ状態に陥っていくことになります。これらもまた、認知症発症への危険因子と考えられています。このようなことから「難聴になると認知症発症のリスクが高まる」と言われているのです。2011年の米国ジョンズ・ホプキンズ大学の研究では、軽度難聴者の認知症発症リスクは、難聴でない人の2倍、中等度難聴者では3倍に上がると発表されています。しかしこのことは逆に考えると、良好な「聞こえ」を維持することが、認知症への対策ともなります。


難聴は高齢者だけのものじゃない‥‥考えられる3つの原因

 多くの人は「年を取れば誰でも耳は遠くなる。それは避けられない」と考えると思いますが、果たしてそうでしょうか? 答えはNOです。国立長寿医療研究センターも「難聴と年齢とは直接の関係はない」という研究成果を発表しています(2008年)。

 聴力悪化の原因は、病気や障害などによる聴覚障害を除くと、次の3つとされています。

【1】大きな音を聞き続けること 【2】動脈硬化症 【3】加齢性難聴


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愛・感謝 村雨カレン

2023年5月18日木曜日

前頭側頭型認知症

 “いつ・どこ・誰”がわかりづらくなる

 認知症の「認知機能障害(中核症状)」には、記憶障害見当識障害失語視空間認知障害遂行機能障害などがあります。原因によらず、どの認知症でも症状が進行するにつれ、様々な認知機能障害が生じてきます。見当識障害は、「今がいつか(時間)」「自分がどこにいるか(場所)」「この人は誰か(人物)」といった能力(見当識)が障害されることです。

 アルツハイマーでは記憶障害によって見当識障害が生じることも多く、初期では「何月何日」といった日時がわかりづらくなることがよくあります。症状が進むと「今どこにいるか」がわからなくなり、さらに進行すると「この人は誰か」がわからなくなります。

 ハリウッドスターのブルース・ウィリスさんが2022年3月に失語症を理由に俳優業からの引退を表明しました。今年2月には、前頭側頭型認知症と診断されたことを家族が発表しています。「失語症」という言葉を初めて知った人もいるかもしれませんが、失語は脳の言語中枢が損傷を受けることです。「言葉を発す」「言葉を理解する」「物の名前を正しく言う」「文字や文章を正しく読み書きする」ことへの障害が生じます。原因は認知症だけではありません。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、そして事故による脳の損傷などがあります。

 視空間認知障害は、認知症の中等度障害の段階で重要な症状で、早期から視空間認知障害が出ると認知機能の低下が早まるとも報告されています。視力は障害されていないのに、顔や物を認識できない、物を見つけ出せない、外の様子や立体が理解しにくいなどの症状が見られます(簡単な図形を描けない、手指の形を真似できない、運転で道に迷う、いつもの場所で道に迷う、服は認知するが腕を袖に通せない、左右・上下を逆に着てしまう‥‥)。

 遂行機能障害は、物事を段取りよく進められなくなること。「料理好きの母親が認知症で料理をしなくなった」という話をよく聞きますが、「料理をしなくなった」というより、遂行機能障害によって、「料理ができなくなった」可能性もあります。

 認知機能障害で「できなくなる」ことばかりを挙げましたが、これらすべてが出るわけではありません。また、何年もかけてゆっくり出るものもあります。

 認知機能障害があっても自活できている人は少なくありませんし、それが難しくなっても、周囲の手を借り1人暮らしをされている人は珍しくありません。まずは慌てず医療・介護関係者と連携して対応を相談されればいいので、あまり悲観的にならずに日々の生活を楽しみましょう。それが、進行予防にもつながります。

(出典:https://hc.nikkan-gendai.com/)


■前頭側頭型認知症

 前頭側頭型認知症とは「神経変性」による認知症の一つ。前頭葉や側頭葉前方の委縮がみられ、他の認知症では表れにくい、特徴的な症状を示します。神経変性による認知症は、脳の神経細胞が徐々に減ってしまったり、一部に本来見られない細胞ができ、脳が委縮したりすることで発症することがわかっています。

脳の中で、前頭葉は「人格・社会性・言語」を、側頭葉は「記憶・聴覚・言語」を主に司っています。前頭側頭葉型認知症を発症すると、これらが正常に機能しなくなり、右記のような特徴的な症状が表れます。症状は緩やかで静かに進行し、発症後平均6~8年で寝たきりの状態となります。


前頭側頭葉型認知症の原因と診断

 前頭側頭型認知症の原因は現在研究が進められており、最近の研究で脳の神経細胞の中にある、「タウ蛋白」および「TDP-43」というたんぱく質が関与していることがわかってきました。しかし、原因解明までには未だ至っていません。

 前頭側頭葉型認知症の中でも、ピック球と呼ばれる神経細胞の一種が見られるものを、「ピック病」と呼び、前頭側頭葉型認知症の一つとしています。

 前頭側頭型認知症を疑う場合、まず「問診」を行い、前頭側頭型認知症特有の症状が出ているかを確認します。このとき、患者本人以外に家族にも同席してもらい、自宅での様子を客観的視点から聞くことで、総合的に診察を勧めていきます。

 問診の結果、前頭側頭型認知症の疑いがある場合には、アルツハイマーと区別するためにCTやMRIによって前頭葉や側頭葉前部に委縮が認められるかを調べます。

 アルツハイマーの場合は記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる部分から委縮が始まり、やがて脳全体が委縮するため、CTやMRIでも前頭側頭型認知症とアルツハイマー病は区別することができます。

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康復医学における認知症への対処法

「HM-3000(特系霊芝)」によって、高血圧・高血糖・脳血管障害に対する微小循環の血流を改善します。また、認知症の兆候かと思われる言動にうつ病の症状が出る場合(仮性認知症)は、「ラフマ葉エキス」をお勧めします。うつ病に対してセロトニン神経を活性化させ、セロトニンの分泌を促進させる効果が期待できます。


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愛・感謝 村雨カレン

2023年5月11日木曜日

ステロイドの副作用

 ステロイドに副作用があるのはなぜ?

 ステロイドにはたくさんの効果があります。それは言い換えると、たくさんの副作用のリスクがあるということにもなります。今回はステロイドが持つ副作用を、効果と関連付けながらできるだけわかりやすくお話しします。

「ステロイドは元気を出す」と言われていますが、その理由のひとつは血糖値を高める効果によります。そのため、ステロイドの内服が長期間になると、その副作用として「糖尿病」を発症する場合があるのです。ステロイドを中止できればいいのでしょうが、ステロイドを用いる病気の特性上、それが難しいケースも多くあります。場合によっては、糖尿病のクスリを使わなければならないこともあります。この副作用は内服や注射などでステロイドが全身に作用していることにより起こります。ですから、外用(塗り薬や吸入薬)として局所的に使用している場合は起こりにくいと言えます。

 ステロイドの影響で血糖値が高くなると、体はそれを下げようとしてインスリンを分泌します。実はインスリンの作用は血糖値を下げるだけではありません。体の脂肪を増やす作用もあります。脂肪は顔や腹部に多く存在しているため、ステロイドを長期間、そして多量に用いているとそういった部分の脂肪が増え、肥満や満月様顔貌という副作用が起こります。これらの副作用は直接生命の危機に陥るものではありませんが、外見上の変化を伴います。対策としては、ステロイドの減量・中止が挙げられますが、それができない場合には食事を工夫するなどしてカロリーをコントロールしなければなりません。

 ステロイドは体の様々な部分に作用します。骨も例外ではなく、骨形成(骨を作ること)を低下させ、骨吸収(骨が分解されること)を増加させ、その結果、副作用として「骨粗しょう症」が起こることがあります。特に閉経後の高齢女性でリスクが高いのですが、ステロイドの使用が長期間になると男性でも起こることがあります。そのため、必要に応じて骨粗しょう症のクスリが併用されます。

 また「ステロイドに免疫抑制作用がある」ことも知られています。本来、免疫は体を細菌などから防御するための重要なものです。そのため、ステロイドを使用していると感染しやすくなる場合があります。また、感染したときに治りにくくなるケースもあるため、いかに感染をしないようにするかが重要となります。こまめにうがいや手洗いをして、感染予防に努めましょう。

 ほかにも「胃潰瘍」などたくさんの副作用がありますが、ステロイドの副作用対策の基本は減量・中止となります。しかし、減量・中止にもリスクがあるので注意が必要です。

(出典:https://hc.nikkan-gendai.com/)


■ステロイドの副作用について

 ステロイドは腎臓の上にある副腎皮質で作られるホルモンのうち、糖質コルチコイドという成分を合成した薬です。炎症やアレルギーを抑える効果があり、膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス他)、気管支喘息、肺炎、腎臓病、皮膚病、アレルギー疾患など、様々な病気の治療薬として使われています。

 ステロイドには、飲み薬、注射、塗り薬、吸入薬などがあり、種類によって効果の持続時間や、副作用の出方は少しずつ異なりますが、気をつけるべき副作用はほぼ同じです。

 注意しなくてはいけない副作用は使用する量、期間によって違います。使用期間が短い(数日~1~2 週)場合は大量であっても副作用の心配は少ないのですが、少量でも長く使い続ける場合は副作用に注意が必要です。


気をつけなくてはいけない副作用

●高血糖 

 ステロイドにはインスリンの作用を抑え、血糖値を上げる作用があります。持病に糖尿病がある方は特に注意が必要で、糖尿病が悪化しないよう、薬の調整が必要となる場合があります。

●高血圧 

 ステロイド開始後 1~4 週間で少しずつ血圧が上昇することがあります。高血圧が続く場合は、降圧薬を始めたり、増量したりする必要があります。

●不眠 

 ホルモンの影響で寝つきが悪くなることがあります。中等量から大量のステロイドを使用すると、気分が高揚したり、逆に落ち込んだりすることもあります。●体重増加 

 ステロイドには食欲増進の作用があります。おいしく食べられるのはうれしいのですが、急に体重が増えないよう食事の量や内容に気をつけましょう。

●眼圧上昇(緑内障) 

 緑内障を治療中の方、眼圧高めを指摘されている方は、ステロイドの使用後、眼圧がさらに上がることがあります。薬を中止すると 2~3 か月で正常化しますが、中止できない場合は「ステロイド緑内障」として治療が必要です。

●感染症 

 細菌、ウイルス、真菌などの感染症は最も重要な副作用の一つです。感染症にかかりやすくなったり、感染が治りにくくなったりします。

●骨粗しょう症 

 3カ月以上ステロイドを内服することが予想される場合、治療開始時に骨密度の測定をお勧めしています。

●コレステロールの上昇、脂質異常症 

 脂質異常症とは、コレステロールや中性脂肪などの、血中の脂肪成分が増えてくる状態をいいます。

●満月顔貌(ムーンフェイス)、肥満 

 ホルモンの作用で顔、首まわり、肩、胴体などの脂肪が多くなり、四肢の脂肪は少なくなります。これを「中心性肥満」といいます。体重を増やさないようにすることで、ひどくなるのを防ぐことができます。

●白内障 

 発症機序は十分に解明されていませんが、1年以上使用すると白内障を合併することがあります。加齢による白内障と区別がつきません。

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 康復医学学会が推奨する「HM-3000(特系霊芝)」には、免疫機能の増強がん再発予防ホルモン剤やステロイド治療の副作用の軽減などの働きが認められています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン