2021年10月27日水曜日

体たんぱく質

 筋トレ後のお酒は、効果を下げる?

 お酒が好きな人の多くは、運動後のビールやハイボールが楽しみのようです。しかし、筋トレ後に飲酒すると、せっかくの筋トレの効果に悪影響があるという研究があります。

 立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授は、「筋トレ後にアルコールを飲むと、筋肉の合成に悪影響を及ぼすという研究結果がある。ちなみに筋トレ前に飲んでも、血中のアルコール濃度は急激には下がらないので、結果はあまり変わらない」と解説します。

 なぜ、筋トレ後のアルコールは筋肉の合成に悪影響を及ぼすのでしょうか。

「筋トレを行うと、筋肉を合成する生理作用が高まる。その際、筋肉の合成を高めるスイッチとなるmTOR(エムトール)という酵素が細胞内で働き、たんぱく質の合成が活性化される。mTORを作用させるには、筋トレ以外に、たんぱく質を摂取して血中のアミノ酸の濃度を高めることが有効です。ところが、筋トレ後にアルコールを飲んでしまうと、このmTORの作用が抑制され、筋肉の合成率が3割程度も減るという研究結果が出ている」(藤田教授)

 豪・RMIT大学で行われた研究では、トレーニング後に、①プロテインのみ摂取、②アルコール+プロテインを摂取、③アルコール+糖質を摂取という3パターンを比較しました。その結果、②のアルコール+プロテインでは、プロテインのみ摂取した場合より、筋肉の合成が24%減少し、③のアルコール+糖質では37%減少することが分かりました。

「筋トレ後のアルコールの影響は、女性に比べ男性のほうが大きい。飲酒すると、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌が抑制される。テストステロンは筋肉の合成と深い関わりがあるため、それゆえに男性のほうが筋肉の合成の落ち込みが大きいのではないかと考えられる」(藤田教授)

「上記の研究では、体重1kg当たり1.5gのアルコール摂取と、かなり多めの量を飲んでいる。体重が80kgの被験者が120gのアルコールを摂取しているということなので、ウォッカ60mLで4杯。現在、どれくらいの量なら問題ないか、というデータはない。ただ、筋トレから十分に時間を空ければ、ビール(350mL)1~2缶くらいであれば影響が少ないかと思う。夜にお酒を飲むのであれば、筋トレは朝に行うなど間隔を空けるように」(藤田教授)

 お酒の種類はあまり関係なく、トータルのアルコールの量が問題になるようです。そして、血中のアルコール濃度が急に上がらないようにするのがポイント。ワインのように食事とともにゆっくり飲めるお酒か、低アルコールのお酒を選ぶようにするのがいいそうです。          

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp)


■カラダを構成するたんぱく質

 ヒトのカラダは、水分と脂質を除くとほとんどがたんぱく質でできています。筋肉や骨、臓器、皮膚、爪などの主成分もたんぱく質です。筋肉は水分を除くと約80%がたんぱく質です。筋肉を必要とするスポーツ選手にとっては、特に欠かせない栄養素です。

 摂取したたんぱく質は、体内でアミノ酸に分解されて吸収されます。その利用のされ方は、筋肉や内臓を構成する体たんぱく質となるもの、ホルモンや抗体となるもの、脂肪として蓄積されるもの、エネルギーとして使われるものなど様々です。

 プロテイン(Protein)はたんぱく質を英語にしたものです。一般的には、たんぱく質を主成分とするプロテインサプリメントのことを指す場合が多く、様々な製品があります。ホエイプロテインはBCAA*が豊富で消化吸収が早く利用効率が優れています。

*必須アミノ酸の「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」を総称してBCAA(分岐鎖アミノ酸)といいます。BCAAは、筋肉でエネルギーとなる必須アミノ酸です。


たんぱく質の必要量

 体たんぱく質合成に利用されるたんぱく質の上限は1日あたり約2g/体重1kg程度と言われています。また、摂取すればするほど合成が高まるわけではなく、エネルギーとして消費される量の増加や、体脂肪の増加にもつながります。また、肝臓・腎臓の負担が大きくなる可能性もあります。そのため、量を調整しながら摂取することが重要になるのです。

 3食の食事をしっかりバランス良く摂取することができれば、たんぱく質の必要量を摂取することは十分可能です。大切なのは、「量」ではなく「タイミング」なのです。


たんぱく質は糖質との同時摂取がオススメ

 たんぱく質は糖質と同時に摂取すると血糖値が上昇するためにインスリンが分泌され、アミノ酸合成が促進されます。さらに、糖質がエネルギーとして優先的に利用され、アミノ酸の利用を抑制することができます。運動後には、糖質とたんぱく質を同時に摂取できるゼリー飲料などを上手に活用しましょう。


たんぱく質の摂取タイミング

 たんぱく質は摂取タイミングが重要です。 理想的なタイミングは"運動直後"です。

 運動直後は体たんぱく質の分解が高まりますが、それ以上に合成が活発となり筋肉へのアミノ酸の取り込みが多くなります。運動直後の摂取は、運動2時間後に比べ、体たんぱく質合成が大幅に増大します。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年10月20日水曜日

“産後うつ”とセロトニン

 “産後うつ”は出産1年後でも出現

 東北大学は9月、東北メディカル・メガバンク計画において、3世代コホート調査に参加した妊婦を対象として、産後1年までの産後うつの経過とそれに関わる心理社会的リスク因子の分析を行った結果、産後1か月と同様に産後1年でも同程度となる1割強の母親に産後うつが出現すること、産後1年にうつ症状を呈した母親のうち、約半数は産後1か月時点ではうつ症状を呈していない遅発型であることが判明したことを発表しました。詳細は、情動障害を学際的に広く扱う学術誌『Journal of Affective Disorders』に掲載されました。

 出産後3日以内に悲しさや惨めさなどの感情が出現し、2週間以内に治まるとされるマタニティブルー。しかし、そこから顕著な抑うつ症状が数週間から数か月間続き、日常生活に支障が出ることで、うつ病の診断基準を満たす状態になる場合、「産後うつ(病)」と呼ばれ、出産後、約10~20%の女性に発症すると試算されています。

 これまでの多くの研究が行われ、産後数か月時点での有病率や心理社会的因子などが扱われてきましたが、産後1年が経った時点で、産後数か月時点に比べて有病率が高いかどうかについては、結果が一致していない状況だったといいます。

 そこで研究チームは今回、三世代コホート調査に参加した2万2493名の妊婦のうち、必要項目に対して有効回答が得られた1万1668名を対象とし、産後1年までのうつ症状の有病率およびうつ症状の経過の調査を実施しました。

 その結果、産後1年時点で、12.9%の母親にうつ症状があり、それは産後1か月(13.9%)とほぼ同等であることが判明したそうです。さらに、産後1年にうつ症状を呈していた母親のうち、約半数は産後1か月時点ではうつ症状を呈していない「遅発型」だったことも明らかになりました。

 また、産後1か月と1年のうつ症状の経過から4群に分けたところ、持続群(persistent)が6.0%、回復群(recovery)が7.9%、遅発群(late-onset)が6.8%、正常群(resilient)が79.2%であることが判明したほか、妊娠中の心理的不調が、うつ症状のあるすべての群で有意に関連していることも確認されたそうです。

 なお、研究チームでは、今回の研究成果を踏まえ、産後1年経過してもうつ症状が出現するリスクに注意し、産後直後だけでなく、より長期的な視点に立ってスクリーニングやケアの体制を構築する必要があることを示唆していると説明しています。

(出典:https://news.mynavi.jp/)


■出産に伴ううつ病

 新型コロナウイルスの影響で人と触れ合うことや外出する機会が減り、出産後に孤独感が高まった母親のメンタルヘルスへの影響が懸念されています。

 出産は女性にとって命がけで人生の一大イベント。産後はホルモンバランスの波があり、理由もなく急に涙が出たり、イライラしたりすることも多いもの。また、頻回の授乳などが慢性的な睡眠不足による疲労の蓄積を招き、正常な判断ができず、産後うつになりやすくなるといいます。

 産後うつとはうつ病の一種です。「産褥うつ*」「産後抑うつ症」とも呼ばれます。この症状は10~20%の女性を襲います。産後1ヶ月以内~1年に発症、長期化(25~50%は半年以上続く)、気分が落込む、不眠、不安、イライラ、忘れっぽい、集中できない、罪悪感、日常生活に支障などが起きます。

*産褥(さんじょく):出産を終えたあと、妊娠前の状態に戻るまでの時期を「産褥」といい、一般的に6~8週間といわれています。


産後うつ病の定義

●睡眠障害(不眠または過眠) ●精神運動の興奮または静止 ●自分に価値がないと感じる、または罪悪感 ●疲労感 ●食欲の変化 ●集中力の欠如 ●自殺念慮

▲無関心、または喜びを感じない ▲気分が落込む 

 上記、●の症状のうち5つ以上が2週間以上続き、かつ、▲のうち1つがある場合を「産後うつ症」といいます。


産後うつ病の要因と考えられる状態

○妊娠期の不安が強い ○妊娠中のうつ ○ストレスが強い ○育児困難 ○社会的サポートが少ない ○うつ病の既往 ○赤ちゃんが扱いにくい性格 ○シングルマザー ○望まない妊娠○自尊心が低い ○社会的に不利な状況(貧困など) ○夫との関係がうまくいっていない etc.


女性ホルモンとセロトニン

 女性はセロトニン量が1か月周期で増減します。排卵前後にセロトニン量が一番多く、女性が精神的に最も充実しているのはこの時期です。更年期、生理前や産後はエストロゲン(女性らしい健康的な体をつくるホルモン)が急激に減少し、それに伴ってセロトニンの受容体が少なくなってうつ状態になると言われています。つまり、女性ホルモンの減少が、セロトニン受容体の発現を抑制しているのです。

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 康復医学の研究素材「ラフマ葉」は、脳内セロトニンを増やし、セロトニン神経通過性の安定させる効用が確認されています。精神疲労の改善、うつ症状の緩和が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年10月13日水曜日

オステオカルシン

 骨が分泌する“若返り物質”

 運動により骨に力をかけると、骨を作る細胞が新しくできるだけでなく、「オステオカルシン」というたんぱく質の分泌も促されることがわかっています(2018年岡山大学)。オステオカルシンは、運動による筋肉増強、認知機能の改善、精力のアップなどに関係します。

 骨には、運動などの負荷をかけると強くなり、逆に負荷をかけないと弱くなるという性質があります。骨を丈夫にするために効果的な運動は、衝撃や負荷の大きい運動です。逆に、寝たきりの人や、無重力で過ごす宇宙飛行士などでは、骨密度が急激に減少します。運動の転倒予防の効果は骨折予防のために重要ですが、運動の効果はそれだけではありません。

 骨は単なる体の支柱ではなく、重要な臓器のひとつです。骨の主な成分はコラーゲン線維とそこに沈着しているリン酸カルシウムですが、そのほかにも「オステオカルシン」や「オステオポンチン」などの微量成分が含まれていて、骨の硬さを調節したり、骨の細胞が接合しやすい足場を作ったりしています。最近の研究では、これらの微量成分は、骨から溶け出して全身の臓器に働きかけるメッセージ物質として機能していることが分かってきました。特に骨芽細胞から分泌される「オステオカルシン」は重要な物質で、脳、精巣、筋肉、膵臓などに働きかけ、記憶力、筋力、精力などをアップする「若返り物質」として働くことが知られています。

 また「オステオカルシン」は、インスリン分泌および感受性も促し、全身の糖代謝をコントロールしています。一方、インスリンは、骨芽細胞内のインスリン受容体を介して破骨細胞の骨吸収を活発させます。

 骨に力をかけると、新しく骨を作る細胞が増えてくるだけでなく、それらの細胞が「オステオカルシン」を作るタイミングが早まることが発見されています。運動により若さを保つ方法を発見できる可能性があるのです。

 骨は運動や重力などで力が加わると太く丈夫になり、逆に運動不足や微小重力下では細く弱くなります。骨の継ぎ目(縫合部)を広げるように伸展力を加えると、広がった縫合部を埋めようと、骨を作る細胞が新しくリクルートされてきて急速に骨を作ります。

 ネズミを使った実験で、骨縫合部に伸展力をかけると、引っ張られた方向に新しい骨が急速に作られ、このとき骨を作る骨芽細胞が増えるだけではなく、通常より早いタイミングで「オステオカルシン」を分泌する骨芽細胞が現れることが確認されています。

 運動で骨に力を加えることで、骨の全身に及ぼす働きに違いが出てくることが示されています。今後の研究で、骨と運動という観点から、寝たきりで骨が失われるのを防ぐなど、超高齢化社会を健康で若々しく生き抜くためのヒントがみつかる可能性があるのです。

(出典:http://www.seikatsusyukanbyo.com/)


■骨活でオステオカルシンを増やす

 オステオカルシンは、ホルモンの一種。血液を通して全身に運ばれ、多くの臓器に活性化メッセージを送っています。


オステオカルシンの働き

 オステオカルシンは、その血糖値を下げる働きによって、「糖尿病・メタボの予防」「動脈硬化の予防」「認知症の予防」など、多くの事例が報告されています。さらに、コラーゲン生成もサポートするため、ハリのある美肌づくりにも役立ちます。

 骨は、新たな骨を生成する“骨芽細胞”と、古い骨を壊す“破骨細胞”がバランスよく働くことで新陳代謝を繰り返しており、この新陳代謝が活発なほど、丈夫な骨が形成され、オステオカルシンもよく分泌されます。オステオカルシンの正体は、骨芽細胞から分泌されるたんぱく質の一種です。


オステオカルシンの減少により高まるリスク

●免疫力が低下する:オステオカルシンには、免疫力を高め、がん細胞の増殖を抑えるという研究結果がある

●寝たきり生活のリスク:オステオカルシンは筋肉を増やす働きもあるため、減ると筋肉が衰えて運動能力が低下し、寝たきり生活のリスクも高まる

●太りやすくなる:オステオカルシンが不足すると血糖値が上昇しやすく、太りやすい体質に。急上昇した血糖値がガクンと下がり、甘い物を欲するようになる

●認知症のリスクが増す:脳にも働きかけるオステオカルシン。ニューロン(神経細胞)を活性化させ、記憶力や認知機能を高める

●しわやたるみが増える:骨がやせて縮小すると、皮膚が余ってしわやたるみの原因に。良質のコラーゲンを生成するオステオカルシンが不足すると、ハリのない肌に。


骨活は下半身の運動と食事から

 オステオカルシンは、下肢の骨からたくさん分泌されるので、下半身に刺激を与える軽い運動がお勧めです。効果的なのは「かかと落とし」と「ミニジャンプ」。

■ かかと落とし :背筋を伸ばしてまっすぐ立ち、両足のかかとを高く上げてつま先立ちに。全体重をかかとに伝えるようなイメージで、ストンとかかとを落とす(右図)。1日30回を目標に。

■ ミニジャンプ :高さ10cmくらいの台の上から両足でストンと飛び降りる。体重の何倍もの負荷がかかるので、かかと落としより刺激は強い。台がなければその場でジャンプも可。

※ 食事も大事 :骨ごと食べられてカルシウムが豊富なさば缶や、骨の生成に役立つビタミンD、ビタミンKを豊富に含む納豆やきのこ、豆苗などの食材を積極的に摂りましょう。

 美と健康のためのスーパーホルモン・オステオカルシンを増やすために、食事、運動で毎日の生活を心がけましょう。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年10月6日水曜日

睡眠不足と肥満

 睡眠不足は肥満のもと

 最近の研究報告では、睡眠不足が肥満を助長し、生活習慣病を引き起こすことがわかってきました。睡眠をきちんととることは、生活習慣病を予防・改善するもっとも簡単で効果的な方法といえます。日ごろの睡眠を見直して、健康的な生活をめざしましょう!


(1)睡眠と肥満の関係

 私たちの体には生命活動を支えるシステムが備わっており、相互に作用し合って健康状態を保っています。睡眠不足が続くと、自律神経系、内分泌系の調節機能が乱れ、消費エネルギーの低下や食事摂取量の増加を招き、肥満の原因になります。また睡眠不足は、昼間の眠気⇒集中力低下⇒日中の活動意欲の低下を招きます。その結果運動不足となり、肥満が助長されていくのです。

 ★自律神経系の働きと乱れ★ 

 自律神経には「交感神経」と「副交感神経」という二つの神経があり、相反する働きをしています。交感神経は活動モード、副交感神経は休息モードといえます。日中は主に交感神経が優位となり活動的に、夜間は体を休ませるために副交感神経が優位となって毎日の体のリズムを作っています。睡眠不足になると、その切替がうまくいかなくなります。日中でも交感神経が十分働かなくなり、日中の代謝が悪くなり、消費エネルギーが低下します。その結果、太りやすくなります。

 ★内分泌系の働きと乱れ★ 

 ホルモン系では食欲の変化が大きく影響します。食欲を調整している代表的なホルモンにレプチンとグレリンがあり、この二つのホルモンは脳の視床下部に働いて食欲をコントロールしています。レプチンは食欲を抑制するホルモン、グレリンは食欲を亢進するホルモンといえます。睡眠不足になるとグレリンの分泌が増加、レプチン分泌が低下して、空腹感が強くなり食べ過ぎてしまいます。


(2)睡眠と糖尿病との関係

 睡眠不足が血糖を下げるホルモンであるインシュリンの働きを悪くするために糖尿病を起こしやすくするともいわれています。最近の調査では糖尿病の人の40%に不眠があり、不眠症状がある人は将来糖尿病や高血圧になる確率が、症状のない人より2~3倍高いという報告があります。


本来私たちの体に備わっている調節機能をきちんと働かせるためにも、食事や運動に心がけると同時に、日ごろの睡眠も見直して、生活習慣病を予防していきましょう!

(出典:https://www.sonykenpo.or.jp/)


■睡眠不足による肥満とその対策

 統計上、6~7時間の睡眠が、内臓脂肪が最もたまりにくいとされ、寝不足はもちろん、寝過ぎもよくありません。長い時間睡眠をとることは、日中の活動量の減少を招き、ひいては基礎代謝の低下をもたらします。

睡眠は、時間を確保するだけでなく、ぐっすり眠ることにも気を配ることが大切です。同じ睡眠時間でも質が悪いと、レプチンや成長ホルモンが十分に分泌されないからです。


就寝前に注意したいこと

●食事

 寝る前に食事をすると、胃腸の動きが活発になり、眠りが浅くなりがちです。眠っている間は食べた物が脂肪になりやすいため、寝る前の食事は体重を管理するうえでマイナス要素が大きいのです。

●運動

 お腹のでっぱりを気にする人がよくやるのが、"就寝前の腹筋運動"。これも、交感神経が刺激されて体が覚醒してしまうので、睡眠にはよくありません。ただし、交感神経をあまり刺激しない軽い運動なら問題ありません。

●飲酒

 眠れないからといって、アルコールに頼る人もいます。寝酒をあおると確かに寝付きはよくなります。しかし、眠りが浅くなり、睡眠の質の向上にはつながらないため、好ましくありません。

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 睡眠・覚醒のサイクルに関係する神経伝達物質「メラトニン」が減少するのは、メラトニンの原料である「セロトニン」が慢性的に不足しているからです。

 康復医学学会の主要研究素材「ラフマ」(羅布麻)は、中国北部・西部原産の多年生宿根本草植物(紅麻)で、その葉のエキスには脳内セロトニンの分泌を促進する働き、およびセロトニン神経通過性を安定させる薬理作用が確認されています。ラフマ葉エキスは、精神疲労を軽減させ、睡眠・覚醒のサイクルを整えて「質の良い睡眠」が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年9月30日木曜日

歩行と健康

 歩く時間10分増で死亡リスク28%減

 米国心臓協会は、成人向け運動ガイドラインで、週にウォーキングなどの中強度の運動を150分以上、あるいはランニングや水泳などの高強度の運動を75分間行うことを推奨しています。しかし近年、日常的に使えるスマートフォンの健康アプリやウェアラブルデバイスが登場したことで、ウォーキングの歩数や様々な体の動きを測定できるようになり、さらに一歩踏み込んだ運動に関する研究結果が発表されています。

 参考になるのが、2011年から15年にかけて、60歳以上、平均72歳の女性1万6732人にウェアラブルデバイスを身につけてもらい、週4~7日間の身体活動を追跡した調査報告(米ノースカロライナ大学)。そして短い時間での身体活動の内容を「中断の少ない10分以上のウォーキングなどの運動」「掃除や洗濯などの家事、階段の昇降、車まで歩くなどの日常での移動や運動」の2種類に分け、さらに19年まであらゆる原因による死亡について調査しました。すると、1日2000歩以上の人は死亡リスクが32%減少したのですが、特に運動をしていなくても1日の歩数を1000歩増やすだけで、歩数が少ない場合に比べて死亡リスクが28%減少。長生きするには1日4500歩増やすと最高とのことですが、何もそれはウォーキングのような「中断の少ない10分以上の運動」でなくてもよいとの結果でした。

 カリフォルニア大学の研究でも同様の結果が出ています。同大学の学生を対象にしたこの研究では、長時間座っていると、心臓病、がん、うつ病、2型糖尿病、肥満などのリスクを高め、1時間に1回は立ち上がって体を動かすと、そのリスクが低くなるとのこと。

 1日の歩数を1000歩増やそうと思ったら、10分くらい歩けばいいといわれています。10分=1000歩。それも、10分間歩き続けなくてもいいのです。1回買い物に出掛ければ、家から店までの往復と、店内を見て回る時間とで、10分なんてすぐです。「1日1000歩増」は、日常生活の中ですぐに実現できてしまう目標設定なのです。

 1分でもいい。立ったり動いたりする回数をできる限り多くする。必要なのは「体を動かそう」という気持ちだけ。在宅勤務で毎日通勤しなくなった人は、歩数獲得の貴重な機会がなくなってしまいました。コロナ感染拡大が言われるようになって1年半足らず、在宅勤務中心の人はその働き方が今後も変わらないでしょうから、歩数減少が将来の身体の健康へ与える影響は想像以上だと考えられます。

 日常生活の中でちょっとだけ活動量を増やすことを習慣化できればベスト。座っている時間を、少し短くするだけでもいい。「1時間仕事したらトイレに行ったり洗面所で歯磨きしたりする」「昼の休憩時間で家や会社の周辺をぐるりと歩く」「駅から自宅までの帰り道、近道ではなくやや遠回りをする」など、自分ができる範囲で行ってみてください。

(出典:https://hc.nikkan-gendai.com/)


■歩行と認知症予防

「高齢者は寝たきりになると認知症になりやすい」といいます。逆に、「よく歩くと認知症になりにくい」ことがわかってきました。実際、70~80歳の女性の認知機能テストの成績と日頃の運動習慣の関係を調べると、よく歩く人はテスト成績が良く、1週間に90分(1日あたり約15分)歩く人は、週40分未満の人より認知機能が良いのです(右図)。なぜ歩行が脳の高次機能に影響を与えるのか。それは、脳の働きに欠かせない脳血流がポイントなのです。


脳の血流とアセチルコリン

 脳が正しく働くためには、絶えず十分な血液が流れている必要があります。脳の働きを担う神経細胞は、血流不足にとても弱く、再生能力もありません。高齢者やアルツハイマー型認知症患者では、大脳皮質や海馬(記憶などの高次機能を司る部位)で脳血流の低下がみられます。この大脳皮質や海馬には、大脳の奥から伸びてきてアセチルコリンという化学物質を放出する神経(アセチルコリン神経)が来ています。


無理せずゆっくり歩く

 海馬の血流は、歩行開始直後から増えはじめ、歩行をやめると徐々に元に戻ります。血圧は、「速く」歩いたときには著しく上がりますが、「遅い」または「普通」の速さではほんの少し上がるだけです。「普通」の速さで歩いた時の海馬のアセチルコリン量は増えることがわかっています。つまり、血圧があまり上がらない程度に無理せずゆっくり歩くことにより、海馬のアセチルコリンが増え、年齢に関係なく海馬の血流が良くなるのです。

 また、歩行運動が不可能でも、皮膚や筋、関節に刺激を与えることで、同様の効果が得られます。皮膚刺激により、アセチルコリンを作る神経細胞の活性化し、大脳皮質でアセチルコリンが放出され、血流が増加します。身体のどの部位の刺激でも効果がありますが、特に手足への刺激は効果的です。軽い刺激でも、15分続けると血流がとても増えてきます。

 年相応の物忘れ程度では、アセチルコリンを作る神経細胞がまだ多く残っていますので、身体への刺激によるアセチルコリン増加が可能となります。つまり、歩いたり皮膚を刺激したりすることで、抗認知症薬と同じ効果が期待できるのです。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年9月24日金曜日

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

 騒音もCOPDのリスク因子!?

英語の頭文字をとって「COPD」
 大気汚染は慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクとされています。大気汚染といっても色々なものがありますが、基本的に空気中に漂っているモノは大体アウトという印象です。

 さて、大気汚染だけでなく、“騒音”も健康被害を起こすことが分かっています。騒音ストレスというのは、精神的な影響だけでなく、身体的な影響も大きいとされており、その最たるものが心血管系疾患なのです。また、騒音の高曝露地域では高血圧のリスクが低曝露地域と比較して高いと推測されています。

 では、騒音は呼吸器系に一体どのような影響を及ぼすのでしょうか。一説として、ストレスホルモンとしてコルチゾールが分泌され、これが呼吸器疾患発症の引き金になるというものがあります。

 デンマーク看護師コホート*は、44歳以上の2万8731人の女性看護師を登録した大規模コホートです。ベースライン時の質問票で、喫煙歴、食生活、教育水準、その他生活スタイルなどを調査しました。ICDコード**でCOPDを発症した看護師を抽出し、居住地域の大気汚染(PM2.5、NO2、NOx)、騒音レベル(0-35dB)をリンクさせました。

*コホート:共通した因子を持ち、観察対象となる集団  ** ICDコード:国際疾病分類でアルファベットと数字を用いたコード

 調査対象となった2万4538人のうち平均追跡期間18.6年において、COPDを発症したのは977人でした(粗罹患率10万人年当たり214.4症例)。解析の結果、COPDを発症した人において大気汚染や騒音レベルが有意に高かったという結果でした。ハザード比は、PM2.5 が6.26μg/m3上昇するごとに1.19(95%信頼区間[CI]1.01-1.41)、NO2が8.19μg/m3上昇するごとに1.13(95%CI 1.05-1.20)、時間帯補正等価騒音レベルが10dB上昇するごとに1.15(95%CI 1.06-1.41)上昇しました。相互調整すると、NO2と時間帯補正等価騒音レベルの関連は減衰しましたが、PM2.5で補正しても頑健性がありました。

 これらの結果から、交通に関連したNO2大気汚染と騒音レベルはCOPD発症に独立して関連していることが分かりました。

 この論文の考察では、「騒音により酸化ストレスが誘導され、肺に炎症が引き起こされる可能性がある」と書かれています。また、騒音により睡眠障害になり、これによって身体活動性が低下し、体重増加や肥満を助長し、これが結果的にCOPDのリスクにつながるのではとも書かれています。いずれのストーリーも推察にすぎないとは思いますが、とにもかくにも、騒音がCOPDのリスク因子としてこれから注目されていくかもしれません。

(出典:https://medical.nikkeibp.co.jp/)


■COPDの治療法と対策

一度破壊され変化を起こした肺は元に戻らない!

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で肺胞が壊れ、細気管支に炎症を起こすと肺機能が低下します。残念ながら、一度破壊され変化を起こした肺を元に戻すことはできません。しかし、症状を和らげたり、病気の進行を抑制したりすることは可能です。


6つの治療管理目標

 COPD 治療の管理目標は以下の6項目です。

① 症状とQOL(生活の質)を改善する 

② 運動能力や身体能力の向上させるまたは維持する 

③ 増悪を予防する 

④ 疾患の進行を抑制する 

⑤ 全身併存症や肺合併症を予防する 

⑥ 寿命を延長する

 COPDが進行すると呼吸困難の症状により、運動能力やQOLが低下します。このような状態を改善するために、薬物療法に加えて、運動療法や栄養療法、在宅酸素療法、日常生活の管理などを総合的に行うことになります。このような包括的な治療は「呼吸リハビリテーション」と呼ばれています。COPD は慢性の病気なので、治療は長期間に及びます。患者自身が病気と向き合い、病気とうまく付き合う能力を身につけ(セルフマネジメント)、生涯治療を続けていくことが必要になります。


対策・治療には"完全な禁煙"が必要

 COPD 患者は、症状の急激な悪化(増悪)が命にかかわることがありますので、普段から増悪を起こさない対策が重要です。喫煙は呼吸機能の低下だけでなく増悪を起こす危険や肺がんになる可能性が高いので、すぐに禁煙をする必要があります。

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 人は、肺の中にある3億個の肺胞とその周りに網のように絡みつく毛細血管との間で行われるガス交換によって酸素を得ています。COPD患者の肺は肺胞壁が壊れてガス交換できない肺胞(肺胞死腔)があり、通常の呼吸だけでは全身組織への酸素量が足りなくなります。在宅酸素療法により酸素量を増やす必要があるのです。しかし、体内の血液と血流の働きが正常でなければ酸素が末端の細胞まで届かないのは同じこと。康復医学学会が長年研究を続けている生薬「HM-3000(特系霊芝)」には血液循環に対する様々な作用が認められています。肺胞と毛細血管とのガス交換、および全身への酸素の運搬・配送の改善を促すことも大いなるメリットの一つです。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

パニック障害

 TWICEのメンバーが活動中断!パニック障害”とは

 先月、人気女性アイドルグループのTWICE(トゥワイス)のメンバー、ジョンヨンさんが「パニック障害および不安障害の症状」のため活動を中断し回復に専念されることが発表されました。ジョンヨンさんは昨年10月に不安症状を訴え、暫定的に活動を中断。休養に務め、今年2月より活動を再開していました。

 このパニック障害という病気、どのようなものなのでしょうか。

 実は、このパニック障害という病名は、近年使用されるようになったものです。それまで、長らく「不安神経症」と呼ばれていました。1990年代に「パニック障害」という用語が登場すると、そのキャッチーな響きが一般に広まり、短期間のうちに浸透したのです。

 パニック障害は「不安症」の分類の一つで、その症状は、身体的な異常がないにも関わらず、突然の動悸、呼吸困難、発汗、震え、眩暈などのパニック発作を繰り返す、というものです。最も頻度の高い身体的な症状は、動悸と息苦しさです。発作の際には、強い不安や恐怖感を伴います。パニック発作そのものは、数分から数十分で治まります。診察を受けても身体的な異常は見つかりません。それでも発作の最中は「このまま死んでしまうのではないか」「重大な病気にかかっているのではないか」と思うぐらい苦しいものだそうです。

 パニック障害の患者は、「また発作が起きるのではないか」という不安が強く、外出などの行動が制限されることもあります。これを「予期不安」といいます。

 パニック発作は多くの場合、特定の場所や状況で誘発されます。特に、電車や飛行機などの乗り物、エレベーターなどの閉鎖的な空間が誘因となりやすいのです。「パニックを起こしやすい状況」に対して不安を感じ、それを避けるために外出を控えるようになります。

 うつ病と同様に、パニック障害は、出現する頻度の高い一般的な疾患であり、多くの患者さんが存在しています。また、改善率、治癒率が良好で、比較的「良性」の疾患といえます。

 パニック障害に、先天的な要因がないわけではありません。遺伝的な素因が関与しているという報告がいくつもあります。しかし、原因らしいものがないのに発作を起こすこともありますし、ストレスがきっかけになることもあります。

「パブロフの犬」についての研究をご存じの人も多いでしょう。実は、パニック障害も同じような現象なのです。いうなれば「悪い学習」です。満員電車の中で、たまたま動悸と息苦しさが生じ、不安や恐怖感を覚えたとします。すると、「満員電車」と「動悸や息苦しさ、不安や恐怖感」という、本来は関係のない現象が結び付いてしまうのです。その結果、その人は電車に乗るだけで、または駅に近づくだけで、パニック発作を起こすようになるのです。


■パニック障害とその対策

 パニック障害の典型的な症状は、突然生じる「パニック発作」。そして、その発作の再発を恐れる「予期不安」。さらに長期化で、生活範囲を限定する「広場恐怖症」があります。

 パニック発作  パニック障害患者は、日常的にストレスを溜め込みやすい生活環境の人が多く、突然、強いストレスを覚え、動悸、めまいなどの自律神経症状と空間認知による強烈な不安感に襲われる。

 予期不安  パニック発作に強烈な恐怖を感じるため、発作が発生した場面を恐れ、また発作再発の不安を募らせていく。これを「予期不安」という。そして、神経質となりパニック発作を繰り返すようになる。

 広場恐怖症  「もし今何かが起きたら、ここから逃げられるだろうか?」と考えて、人の多い場所や、そこに人だかりのできることを恐れる。また、心の不安が激しくなったときに容易に逃げ出すことができないような場所に恐怖を感じるようになり、外出などを控えるようになる。

ストレス⇒CRH*↑⇒5-HT**↓⇒精神的自覚症状↑

【関連する疾患と症状】パニック障害、うつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、緊張性頭痛、偏頭痛、不眠、睡眠障害、心因性多飲多食症、拒食症など。

*CRH:ストレスホルモン  **5-HT:セロトニン

 パニック障害の薬物療法としては、SSRI等の抗うつ作用と抗不安作用がある薬で、脳内神経伝達物質のノルアドレナリンやセロトニンに関する療法が行なわれます。しかし、SSRIでは、飲み忘れ等で服用を中止した数日後に起きる激しいめまい・頭痛などの離脱症状が問題となり、パニック障害に対する安全性・有用性に疑問も呈されています。

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 ストレスホルモンが放出されると、セロトニン放出が抑制されたり、微小循環の血流を低下させ生体反応が表れたりすることが考えられます。

 康復医学学会では、安全にセロトニン活性に影響を与える「ラフマ葉エキス」や、微小循環の血流に影響を与えることがわかっている「HM-3000(特系霊芝)」を推奨しています。さらに、体力の低下による"ストレス耐性"の強化に期待できる「コエンザイムQ10」を一緒に摂ることもおすすめです。


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愛・感謝 村雨カレン