2021年11月25日木曜日

アテローム性動脈硬化症

 ストレスと高血圧リスクとの関連

 ストレスが多い人は、血圧や心臓の健康に注意した方がいいようです。血圧が正常でもストレスホルモンのレベルが高い人では低い人に比べて、6~7年以内に高血圧になりやすいとする研究結果が報告されました(京都大学大学院医学研究科による研究)。

 近年、「心と心臓と体のつながり」(mind-heart-body connection)に関する研究報告が増えています。これは、心のあり方は心血管リスクにポジティブにもネガティブにも影響を与えるという考え方のこと。これまでの研究では、高血圧患者のストレスホルモンレベルと高血圧や心血管障害との関係に焦点が当てられてきましたが、高血圧でない成人を対象にした研究は十分に行われていませんでした。

 研究者らは今回、米国のアテローム性動脈硬化症に関する大規模研究(MESA)に参加した、高血圧でない412人(48~87歳)を対象に、ストレスホルモンレベルと、高血圧や心血管障害の発生との関連について調べました(平均年齢61.2歳、男女比1:1)。

 対象者は夜間の12時間の蓄尿により、ストレスホルモン(ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン、コルチゾール)レベルを測定。ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンはカテコールアミンと総称され、心拍数や血圧、呼吸を調節する自律神経系に関連しています。一方、コルチゾールは心身がストレスを感じると分泌が促されます。研究者は、「これらのホルモンは全て副腎で産生されるが、それぞれ異なる役割とメカニズムで心血管系に影響を与えるため、高血圧や心血管障害との関係を個別に調べることが重要」と強調します。

 対象者を6年半の間追跡した結果、4種類のストレスホルモンレベルが2倍になるごとに、高血圧を発症するリスクが21~31%増加することがわかったのです。この傾向は、60歳未満の人で60歳以上の人に比べて強く、ドーパミンとコルチゾールでより顕著でした。

 また、11.2年間追跡したところ、コルチゾールレベルが2倍になるごとに心血管障害の発生リスクが90%増加することが判明しました。しかし、カテコールアミンと心血管障害の発生リスクとの間には、関連が認められていません。

 この結果を受けて研究者は、「ライフイベント・仕事・人間関係・経済状態等からのストレスが増えるとストレスホルモンの分泌が促進される。今回の研究で、ストレスが高血圧や心血管障害のリスクを上昇させる重要な因子であることが確認された」と語っています。ただし、この研究の限界についても認識しており、例えば、高血圧のある人が対象者に含まれていなかった点や、ストレスホルモンの測定手段として尿検査しか使われていない点です。

 研究者は、「ストレスが一般成人に与える影響を調べる必要がある。そうすれば、高血圧や心血管障害の予防策として、ストレスホルモンの定期的な測定が有効かどうかの情報が得られるだろう」との見通しを示しています。     

(出典:https://www.carenet.com/news/)


■アテローム性動脈硬化

 コロナ禍の影響で、仕事や家庭でのストレスが溜まりがちになっていませんか? 過剰なストレスは、交感神経が過度に刺激され、血圧を驚くほど上げることがあります。それをきっかけに脳卒中や心臓病などの発作が起こることもあります。また、ストレスが慢性的に長く続くことは、交感神経の高ぶった状態が続くということです。循環器系の基礎疾患がある方は特に注意が必要です。


ストレスリスクが大きいアテローム性動脈硬化

 ストレスが血管に及ぼす障害のリスクを高めてしまうのがアテローム性動脈硬化です。

 動脈は、3層(内膜、中膜、外膜)でできています。内膜の内皮細胞は血液の凝固予防、血管の拡張など、動脈硬化を防ぐ様々な働きを持っていますが、高血圧や糖尿病などで血管に負担がかかると、血管の内皮細胞が傷つき動脈硬化を防ぐ働きが失われます。すると血液中の悪玉コレステロール(LDL)が内膜に入り込み、酸化して酸化LDLに変化します。それを処理するために白血球(単球)も内膜へと入り込み、マクロファージに変わります(上図)。マクロファージは酸化LDLを取り込んで、やがて死んでいきます。この結果、内膜に、LDLに含まれていたコレステロールや脂肪が、お粥のような柔らかい沈着物となって溜まっていき、内膜はどんどん厚くなります。こうしてできた血管のコブをプラーク(粥腫)と言い、プラークができた状態をアテローム(粥状)動脈硬化と言います。そして、ストレスによりこのプラークの発生が進行してしまうのです。冠動脈内のプラークが破綻すると、その部位に血栓が形成され、不安定狭心症や心筋梗塞の発症を引き起こすことになるのです。

===============

 ストレスにより血流が低下している微小循環に対して、康復医学学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、血流改善・血栓形成抑制・血管内皮細胞の改善を促すため、アテローム動脈硬化対策に期待が持てます。また、ストレスへの対応として脳内セロトニンが働きますが、当学会の研究素材「ラフマ」には、セロトニン神経を活性しセロトニン分泌を促進するというデータがあり、ストレスが影響する高血圧への対策には最適です。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年11月11日木曜日

世界糖尿病デー

 藤原道長と糖尿病

 11月14日は「世界糖尿病デー」です。世界各国でイベントが催されるようですが、平安時代中期に摂政・太政大臣を務めた藤原道長が糖尿病だったことはご存知でしょうか。

 平安時代の華やかな貴族文化を象徴する権力者として有名な藤原道長ですが、万寿4年12月4日(西暦1028年)に62歳でこの世を去りました。当時の平安貴族の一般的な寿命から考えれば決して短命ではありませんが、記録が残るうちで日本最古の糖尿病患者といわれており、糖尿病が原因で亡くなったという説が濃厚です。

 現代では主に血液検査で糖尿病を診断します。しかし、平安時代に検査はありませんし、糖尿病という概念自体が確立していませんでした。では、なぜ道長が糖尿病だったと考えられているのでしょうか。実は道長が訴えていた不調が、まさに糖尿病の症状そのものだったのです。その症状が藤原実資(さねすけ)の遺した日記『小右記(しょうゆうき)』や、道長自身の日記『御堂関白記(みどうかんぱくき)』に記されています。

藤原道長
【道長にみられた症状】

 ●喉が乾いて大量に水を飲む 

 ●痩せてきて体力がなくなった

 ●目が見えなくなった 

 ●背中に腫れ物ができた

 なぜこれらの症状が糖尿病によるものだと考えられるのかは、次項で解説します。


道長が糖尿病になった理由は?

 糖尿病は生活習慣から起こりやすくなることが分かっている病気です。具体的には「過食」「運動不足」「過度の飲酒」などがこれにあたります。

 これを踏まえると、道長が糖尿病になってしまった背景についても記録から読み解くことができます。『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』や『延喜式(えんぎしき)』など平安時代の記録によると、平安貴族は山盛りの白米を食べ、糖度の高い日本酒を飲み、中国風の揚げ菓子や芋がゆ、そして果実などをデザートとして食べていたようです。仏教や陰陽道の影響で獣肉食が避けられる傾向にもあったようで、かなり糖質に偏った食生活になっていたと推測されます。

 また、歴史書『大鏡(おおかがみ)』によれば、道長の弓の腕は良かったようですが、平安貴族の数少ない運動機会である蹴鞠(けまり)については、道長に関する記録があまりありません。このことから、運動不足だった可能性が考えられます。

 糖尿病のほとんどを占めるタイプの2型糖尿病は、遺伝的要因がかなり大きいといわれています。道長の伯父:伊尹(これただ)、兄:道隆(みちたか)、甥:伊周(これちか)なども「飲水病」であったと記録があり、道長は糖尿病家系であったようです。道長が糖尿病にかかってしまったのは遺伝の要素も大きかったと考えられます。

(出典:https://medley.life/)


■糖尿病で表れる主な症状

 前項で紹介した、藤原道長に表れた症状を見てみましょう。

〇 喉が乾いて大量に水を飲む

 糖尿病はインスリンの効きの悪化、あるいはインスリンの量の不足が原因で起きる病気です。インスリンの効きが悪くなるとブドウ糖を細胞内にうまく取り込めないため、血中のブドウ糖濃度(血糖値)は高くなり、尿にもブドウ糖が漏れ出します。尿中の糖は浸透圧の原理で体の水分を奪い、多くの尿が出るので、喉が乾いて多くの水を飲むようになります。道長に関する記述にも「日夜を問わず水を飲み、口は乾いて力無し」とあります。平安時代には「飲水病」として恐れられたそうです。

〇 痩せてきて体力が落ちた

「太っている人がかかる病気」というイメージがあり、確かに糖尿病の原因の一つは肥満です。肥満はインスリンの効きが悪化します。しかし、糖尿病になるとブドウ糖をうまく取り込めなくなるので、次第に痩せてくることがよくあります。

〇 目が見えなくなった

 高血糖値の状態は全身の血管にダメージを与え、以下の「三大合併症」を引き起こします。

①神経障害(足先の感覚の鈍り、立ちくらみ、下痢や便秘、勃起障害など) ②網膜症(視力低下、失明など) ③腎症(むくみ、だるさ、皮膚のかゆみなど)

 これらの三大合併症は糖尿病になって数年以上かけて現れてきます(神経障害→網膜症→腎症の順に出ることが多い)。糖尿病網膜症は現在でも失明の原因としてとても多い病気であり、道長も網膜症により視力が低下した可能性が高いと考えられます。また、糖尿病では眼の水晶体が濁ってくる白内障も起こりやすくなります。

〇 背中に腫れ物ができた

 道長は亡くなる数日前から背中の大きな腫れ物で苦しみました。糖尿病では免疫細胞の機能異常が起きるため、感染症にかかりやすくなり、皮膚でもしばしば障害を起こします。また、合併症の神経障害で痛みを感じにくくなって皮膚のトラブルに気づかず、悪化するまで放置してしまいがちです。道長の背中の腫れ物も何らかの菌が全身に回ってしまったのかもしれません。糖尿病は「がん」にもなりやすいので、皮膚がんだったかもしれませんし、他の臓器から皮膚に転移したがんだった可能性も考えられます。

==================

「HM-3000(特系霊芝)」の産生物の一つ「2,3-DPG」は、酸素を効率よく細胞に供給する役割のほかに、糖化ヘモグロビン(HbA1c)生成の阻害作用も確認されています。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年11月2日火曜日

健脚習慣

 座りっぱなしは“とてつもなく危険”

 新型コロナウイルスの影響で、テレワークを経験した方は多いでしょう。通勤時間がなくなったのでラクになったかと思いきや、実は体調不良を訴える人が増えています。実はこれはとても危機的な状況なのだと専門家は言います。

 新型コロナウイルスの蔓延はここにきて収束の様子を見せていますが、医師の多くが指摘しているのが、運動量の減少により体調不良を訴える人の増加です。特に目立つのが「体重増加」「筋肉量の低下」。普段からトレーニング習慣のある人でも、自宅にこもってしまうと、2kgも筋肉が減ってしまいます。この状態が続くと股関節や膝が痛みだし、血糖値が上昇します。その結果、多くの人が高血圧症になりかねません。筋肉を動かすことで体は糖を消費しているので、運動をしないと糖尿病のリスクも抱えてしまうのです。

 実はテレワークは、重大な危険性をはらんでいたのです。

 必要なのは、何より全身のトレーニング。筋トレや有酸素運動、ストレッチをバランス良く行うことが必要です。まずは脚の筋肉量を確保するために、習慣的にスクワットすることをおすすめします。ウォーキングは、運動の導入時期としては良いですが、できればもう少し強度の高いランニングが効果的です。ウォーキングをする場合は、筋トレも組み合わせて行いましょう。

 スポーツ庁では、こういったテレワーク下の体調不良を「健康二次被害」と名付け、解消に乗り出しています。

 実は、1日に11時間以上座っている人は、4時間未満の人に比べて、死亡リスクが40%も高まるとの調査もあるのです。自宅でも頻繁に立ち上がって歩くといった“運動習慣”が重要なポイントです。

 この問題に取り組み始めた企業も多いようです。ある会社は昨年3月から完全テレワークに移行しており、出勤の必要がなくなったため、不調を訴える社員が増えています。

「現在、全ての社員が自宅で作業をしているのだが、8時間近く椅子に座り続けるため、不調になる社員が目立つようになった。疲れやすくなった、眠りが浅い、寝ても疲れがとれない。こんな悩みをよく耳にする。このままにしておくと、仕事にも影響を及ぼすようになり、パフォーマンスが下がる可能性がある。弊社はシステム開発が基盤となっているので、社員の不調は経営全般にも大きく響いてしまう」(同社マーケティング担当者)

 そこで同社が取り入れたのが、トレーニングジムが提供しているサービス。様々なプログラムを実践して社員の健康の改善に取り組んでいるそうです。従来はスポーツ選手に対して行っていたサービスですが、一般企業が採用するケースは、まだ珍しいとのことです。

(出典:https://diamond.jp/)


■健脚習慣のすすめ

 かつてないほど寿命が長くなった今、いつまでも健やかでいたいもの。そこでおすすめなのが歩くこと。いつでもどこでも手軽にできる有酸素運動です。

 コロナ禍で自粛生活が長期化して活動量が減り、健康への影響が危惧されています。実際、足腰が弱くなり、わずかな段差に足を取られたりして転倒する人が急増しています。


正しく歩くことでうれしい効果がたくさん!

■気分スッキリ:身体を動かすこと自体が爽快感をもたらします。景色を眺め季節を感じながら歩けばさらに楽しい気分に。 

■心肺機能の向上:下半身の静脈血を心臓に送るふくらはぎの筋肉を動かすことで血液循環が良くなり、心肺機能がアップします。 

■血圧・血糖値の低下:血液循環が改善され、血管の弾力性が増して血圧が安定。インスリンの働きが活発になり血糖値も低下します。 

■肩こりや腰痛の軽減:背筋を伸ばして歩くと腰回りの筋肉が鍛えられます。また、腕振りは肩や胸のストレッチになり、肩こりを改善します。 

■骨密度の低下を予防:かかとの骨に適度な負荷がかかるので骨が丈夫に。日光を浴びて歩くと、骨の健康を保つビタミンDも作られます。 

■脳の活性化:歩くことで筋肉や腱、関節などにある感覚器を刺激し、脳を活性化。血流が促進され、脳に新鮮な酸素が供給されます。 

■睡眠の質が向上:歩行などの適度な運動をした後は、心身をリラックスさせる副交感神経が優位になり、眠りにつきやすくなります。

■便通の改善:歩く動作は腸を刺激するので便秘予防の効果が期待できます。またリズミカルな動作が、腸の動きを支配する自律神経を整えます。 

■体が引き締まる:糖質や資質を燃焼する有酸素運動なので、体型が整い、体幹が強化します。継続することで体全体が引き締まります。 

■姿勢が良くなる:歩くということは、立った姿勢をそのまま前へ運んでいくこと。正しい歩き方をすれば自然と姿勢が正されます。


「霊芝」との併用で効果倍増!

 当学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」は、血液中の酸素供給力を高める糖化ヘモグロビン(HbA1c)の生成を阻害する血管の修復・弾力性の維持抗酸化作用により生活習慣病を予防‥‥などが期待できます。歩くこととの併用で、より健康的な生活を!


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年10月27日水曜日

体たんぱく質

 筋トレ後のお酒は、効果を下げる?

 お酒が好きな人の多くは、運動後のビールやハイボールが楽しみのようです。しかし、筋トレ後に飲酒すると、せっかくの筋トレの効果に悪影響があるという研究があります。

 立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授は、「筋トレ後にアルコールを飲むと、筋肉の合成に悪影響を及ぼすという研究結果がある。ちなみに筋トレ前に飲んでも、血中のアルコール濃度は急激には下がらないので、結果はあまり変わらない」と解説します。

 なぜ、筋トレ後のアルコールは筋肉の合成に悪影響を及ぼすのでしょうか。

「筋トレを行うと、筋肉を合成する生理作用が高まる。その際、筋肉の合成を高めるスイッチとなるmTOR(エムトール)という酵素が細胞内で働き、たんぱく質の合成が活性化される。mTORを作用させるには、筋トレ以外に、たんぱく質を摂取して血中のアミノ酸の濃度を高めることが有効です。ところが、筋トレ後にアルコールを飲んでしまうと、このmTORの作用が抑制され、筋肉の合成率が3割程度も減るという研究結果が出ている」(藤田教授)

 豪・RMIT大学で行われた研究では、トレーニング後に、①プロテインのみ摂取、②アルコール+プロテインを摂取、③アルコール+糖質を摂取という3パターンを比較しました。その結果、②のアルコール+プロテインでは、プロテインのみ摂取した場合より、筋肉の合成が24%減少し、③のアルコール+糖質では37%減少することが分かりました。

「筋トレ後のアルコールの影響は、女性に比べ男性のほうが大きい。飲酒すると、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌が抑制される。テストステロンは筋肉の合成と深い関わりがあるため、それゆえに男性のほうが筋肉の合成の落ち込みが大きいのではないかと考えられる」(藤田教授)

「上記の研究では、体重1kg当たり1.5gのアルコール摂取と、かなり多めの量を飲んでいる。体重が80kgの被験者が120gのアルコールを摂取しているということなので、ウォッカ60mLで4杯。現在、どれくらいの量なら問題ないか、というデータはない。ただ、筋トレから十分に時間を空ければ、ビール(350mL)1~2缶くらいであれば影響が少ないかと思う。夜にお酒を飲むのであれば、筋トレは朝に行うなど間隔を空けるように」(藤田教授)

 お酒の種類はあまり関係なく、トータルのアルコールの量が問題になるようです。そして、血中のアルコール濃度が急に上がらないようにするのがポイント。ワインのように食事とともにゆっくり飲めるお酒か、低アルコールのお酒を選ぶようにするのがいいそうです。          

(出典:https://gooday.nikkei.co.jp)


■カラダを構成するたんぱく質

 ヒトのカラダは、水分と脂質を除くとほとんどがたんぱく質でできています。筋肉や骨、臓器、皮膚、爪などの主成分もたんぱく質です。筋肉は水分を除くと約80%がたんぱく質です。筋肉を必要とするスポーツ選手にとっては、特に欠かせない栄養素です。

 摂取したたんぱく質は、体内でアミノ酸に分解されて吸収されます。その利用のされ方は、筋肉や内臓を構成する体たんぱく質となるもの、ホルモンや抗体となるもの、脂肪として蓄積されるもの、エネルギーとして使われるものなど様々です。

 プロテイン(Protein)はたんぱく質を英語にしたものです。一般的には、たんぱく質を主成分とするプロテインサプリメントのことを指す場合が多く、様々な製品があります。ホエイプロテインはBCAA*が豊富で消化吸収が早く利用効率が優れています。

*必須アミノ酸の「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」を総称してBCAA(分岐鎖アミノ酸)といいます。BCAAは、筋肉でエネルギーとなる必須アミノ酸です。


たんぱく質の必要量

 体たんぱく質合成に利用されるたんぱく質の上限は1日あたり約2g/体重1kg程度と言われています。また、摂取すればするほど合成が高まるわけではなく、エネルギーとして消費される量の増加や、体脂肪の増加にもつながります。また、肝臓・腎臓の負担が大きくなる可能性もあります。そのため、量を調整しながら摂取することが重要になるのです。

 3食の食事をしっかりバランス良く摂取することができれば、たんぱく質の必要量を摂取することは十分可能です。大切なのは、「量」ではなく「タイミング」なのです。


たんぱく質は糖質との同時摂取がオススメ

 たんぱく質は糖質と同時に摂取すると血糖値が上昇するためにインスリンが分泌され、アミノ酸合成が促進されます。さらに、糖質がエネルギーとして優先的に利用され、アミノ酸の利用を抑制することができます。運動後には、糖質とたんぱく質を同時に摂取できるゼリー飲料などを上手に活用しましょう。


たんぱく質の摂取タイミング

 たんぱく質は摂取タイミングが重要です。 理想的なタイミングは"運動直後"です。

 運動直後は体たんぱく質の分解が高まりますが、それ以上に合成が活発となり筋肉へのアミノ酸の取り込みが多くなります。運動直後の摂取は、運動2時間後に比べ、体たんぱく質合成が大幅に増大します。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年10月20日水曜日

“産後うつ”とセロトニン

 “産後うつ”は出産1年後でも出現

 東北大学は9月、東北メディカル・メガバンク計画において、3世代コホート調査に参加した妊婦を対象として、産後1年までの産後うつの経過とそれに関わる心理社会的リスク因子の分析を行った結果、産後1か月と同様に産後1年でも同程度となる1割強の母親に産後うつが出現すること、産後1年にうつ症状を呈した母親のうち、約半数は産後1か月時点ではうつ症状を呈していない遅発型であることが判明したことを発表しました。詳細は、情動障害を学際的に広く扱う学術誌『Journal of Affective Disorders』に掲載されました。

 出産後3日以内に悲しさや惨めさなどの感情が出現し、2週間以内に治まるとされるマタニティブルー。しかし、そこから顕著な抑うつ症状が数週間から数か月間続き、日常生活に支障が出ることで、うつ病の診断基準を満たす状態になる場合、「産後うつ(病)」と呼ばれ、出産後、約10~20%の女性に発症すると試算されています。

 これまでの多くの研究が行われ、産後数か月時点での有病率や心理社会的因子などが扱われてきましたが、産後1年が経った時点で、産後数か月時点に比べて有病率が高いかどうかについては、結果が一致していない状況だったといいます。

 そこで研究チームは今回、三世代コホート調査に参加した2万2493名の妊婦のうち、必要項目に対して有効回答が得られた1万1668名を対象とし、産後1年までのうつ症状の有病率およびうつ症状の経過の調査を実施しました。

 その結果、産後1年時点で、12.9%の母親にうつ症状があり、それは産後1か月(13.9%)とほぼ同等であることが判明したそうです。さらに、産後1年にうつ症状を呈していた母親のうち、約半数は産後1か月時点ではうつ症状を呈していない「遅発型」だったことも明らかになりました。

 また、産後1か月と1年のうつ症状の経過から4群に分けたところ、持続群(persistent)が6.0%、回復群(recovery)が7.9%、遅発群(late-onset)が6.8%、正常群(resilient)が79.2%であることが判明したほか、妊娠中の心理的不調が、うつ症状のあるすべての群で有意に関連していることも確認されたそうです。

 なお、研究チームでは、今回の研究成果を踏まえ、産後1年経過してもうつ症状が出現するリスクに注意し、産後直後だけでなく、より長期的な視点に立ってスクリーニングやケアの体制を構築する必要があることを示唆していると説明しています。

(出典:https://news.mynavi.jp/)


■出産に伴ううつ病

 新型コロナウイルスの影響で人と触れ合うことや外出する機会が減り、出産後に孤独感が高まった母親のメンタルヘルスへの影響が懸念されています。

 出産は女性にとって命がけで人生の一大イベント。産後はホルモンバランスの波があり、理由もなく急に涙が出たり、イライラしたりすることも多いもの。また、頻回の授乳などが慢性的な睡眠不足による疲労の蓄積を招き、正常な判断ができず、産後うつになりやすくなるといいます。

 産後うつとはうつ病の一種です。「産褥うつ*」「産後抑うつ症」とも呼ばれます。この症状は10~20%の女性を襲います。産後1ヶ月以内~1年に発症、長期化(25~50%は半年以上続く)、気分が落込む、不眠、不安、イライラ、忘れっぽい、集中できない、罪悪感、日常生活に支障などが起きます。

*産褥(さんじょく):出産を終えたあと、妊娠前の状態に戻るまでの時期を「産褥」といい、一般的に6~8週間といわれています。


産後うつ病の定義

●睡眠障害(不眠または過眠) ●精神運動の興奮または静止 ●自分に価値がないと感じる、または罪悪感 ●疲労感 ●食欲の変化 ●集中力の欠如 ●自殺念慮

▲無関心、または喜びを感じない ▲気分が落込む 

 上記、●の症状のうち5つ以上が2週間以上続き、かつ、▲のうち1つがある場合を「産後うつ症」といいます。


産後うつ病の要因と考えられる状態

○妊娠期の不安が強い ○妊娠中のうつ ○ストレスが強い ○育児困難 ○社会的サポートが少ない ○うつ病の既往 ○赤ちゃんが扱いにくい性格 ○シングルマザー ○望まない妊娠○自尊心が低い ○社会的に不利な状況(貧困など) ○夫との関係がうまくいっていない etc.


女性ホルモンとセロトニン

 女性はセロトニン量が1か月周期で増減します。排卵前後にセロトニン量が一番多く、女性が精神的に最も充実しているのはこの時期です。更年期、生理前や産後はエストロゲン(女性らしい健康的な体をつくるホルモン)が急激に減少し、それに伴ってセロトニンの受容体が少なくなってうつ状態になると言われています。つまり、女性ホルモンの減少が、セロトニン受容体の発現を抑制しているのです。

============

 康復医学の研究素材「ラフマ葉」は、脳内セロトニンを増やし、セロトニン神経通過性の安定させる効用が確認されています。精神疲労の改善、うつ症状の緩和が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年10月13日水曜日

オステオカルシン

 骨が分泌する“若返り物質”

 運動により骨に力をかけると、骨を作る細胞が新しくできるだけでなく、「オステオカルシン」というたんぱく質の分泌も促されることがわかっています(2018年岡山大学)。オステオカルシンは、運動による筋肉増強、認知機能の改善、精力のアップなどに関係します。

 骨には、運動などの負荷をかけると強くなり、逆に負荷をかけないと弱くなるという性質があります。骨を丈夫にするために効果的な運動は、衝撃や負荷の大きい運動です。逆に、寝たきりの人や、無重力で過ごす宇宙飛行士などでは、骨密度が急激に減少します。運動の転倒予防の効果は骨折予防のために重要ですが、運動の効果はそれだけではありません。

 骨は単なる体の支柱ではなく、重要な臓器のひとつです。骨の主な成分はコラーゲン線維とそこに沈着しているリン酸カルシウムですが、そのほかにも「オステオカルシン」や「オステオポンチン」などの微量成分が含まれていて、骨の硬さを調節したり、骨の細胞が接合しやすい足場を作ったりしています。最近の研究では、これらの微量成分は、骨から溶け出して全身の臓器に働きかけるメッセージ物質として機能していることが分かってきました。特に骨芽細胞から分泌される「オステオカルシン」は重要な物質で、脳、精巣、筋肉、膵臓などに働きかけ、記憶力、筋力、精力などをアップする「若返り物質」として働くことが知られています。

 また「オステオカルシン」は、インスリン分泌および感受性も促し、全身の糖代謝をコントロールしています。一方、インスリンは、骨芽細胞内のインスリン受容体を介して破骨細胞の骨吸収を活発させます。

 骨に力をかけると、新しく骨を作る細胞が増えてくるだけでなく、それらの細胞が「オステオカルシン」を作るタイミングが早まることが発見されています。運動により若さを保つ方法を発見できる可能性があるのです。

 骨は運動や重力などで力が加わると太く丈夫になり、逆に運動不足や微小重力下では細く弱くなります。骨の継ぎ目(縫合部)を広げるように伸展力を加えると、広がった縫合部を埋めようと、骨を作る細胞が新しくリクルートされてきて急速に骨を作ります。

 ネズミを使った実験で、骨縫合部に伸展力をかけると、引っ張られた方向に新しい骨が急速に作られ、このとき骨を作る骨芽細胞が増えるだけではなく、通常より早いタイミングで「オステオカルシン」を分泌する骨芽細胞が現れることが確認されています。

 運動で骨に力を加えることで、骨の全身に及ぼす働きに違いが出てくることが示されています。今後の研究で、骨と運動という観点から、寝たきりで骨が失われるのを防ぐなど、超高齢化社会を健康で若々しく生き抜くためのヒントがみつかる可能性があるのです。

(出典:http://www.seikatsusyukanbyo.com/)


■骨活でオステオカルシンを増やす

 オステオカルシンは、ホルモンの一種。血液を通して全身に運ばれ、多くの臓器に活性化メッセージを送っています。


オステオカルシンの働き

 オステオカルシンは、その血糖値を下げる働きによって、「糖尿病・メタボの予防」「動脈硬化の予防」「認知症の予防」など、多くの事例が報告されています。さらに、コラーゲン生成もサポートするため、ハリのある美肌づくりにも役立ちます。

 骨は、新たな骨を生成する“骨芽細胞”と、古い骨を壊す“破骨細胞”がバランスよく働くことで新陳代謝を繰り返しており、この新陳代謝が活発なほど、丈夫な骨が形成され、オステオカルシンもよく分泌されます。オステオカルシンの正体は、骨芽細胞から分泌されるたんぱく質の一種です。


オステオカルシンの減少により高まるリスク

●免疫力が低下する:オステオカルシンには、免疫力を高め、がん細胞の増殖を抑えるという研究結果がある

●寝たきり生活のリスク:オステオカルシンは筋肉を増やす働きもあるため、減ると筋肉が衰えて運動能力が低下し、寝たきり生活のリスクも高まる

●太りやすくなる:オステオカルシンが不足すると血糖値が上昇しやすく、太りやすい体質に。急上昇した血糖値がガクンと下がり、甘い物を欲するようになる

●認知症のリスクが増す:脳にも働きかけるオステオカルシン。ニューロン(神経細胞)を活性化させ、記憶力や認知機能を高める

●しわやたるみが増える:骨がやせて縮小すると、皮膚が余ってしわやたるみの原因に。良質のコラーゲンを生成するオステオカルシンが不足すると、ハリのない肌に。


骨活は下半身の運動と食事から

 オステオカルシンは、下肢の骨からたくさん分泌されるので、下半身に刺激を与える軽い運動がお勧めです。効果的なのは「かかと落とし」と「ミニジャンプ」。

■ かかと落とし :背筋を伸ばしてまっすぐ立ち、両足のかかとを高く上げてつま先立ちに。全体重をかかとに伝えるようなイメージで、ストンとかかとを落とす(右図)。1日30回を目標に。

■ ミニジャンプ :高さ10cmくらいの台の上から両足でストンと飛び降りる。体重の何倍もの負荷がかかるので、かかと落としより刺激は強い。台がなければその場でジャンプも可。

※ 食事も大事 :骨ごと食べられてカルシウムが豊富なさば缶や、骨の生成に役立つビタミンD、ビタミンKを豊富に含む納豆やきのこ、豆苗などの食材を積極的に摂りましょう。

 美と健康のためのスーパーホルモン・オステオカルシンを増やすために、食事、運動で毎日の生活を心がけましょう。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン

2021年10月6日水曜日

睡眠不足と肥満

 睡眠不足は肥満のもと

 最近の研究報告では、睡眠不足が肥満を助長し、生活習慣病を引き起こすことがわかってきました。睡眠をきちんととることは、生活習慣病を予防・改善するもっとも簡単で効果的な方法といえます。日ごろの睡眠を見直して、健康的な生活をめざしましょう!


(1)睡眠と肥満の関係

 私たちの体には生命活動を支えるシステムが備わっており、相互に作用し合って健康状態を保っています。睡眠不足が続くと、自律神経系、内分泌系の調節機能が乱れ、消費エネルギーの低下や食事摂取量の増加を招き、肥満の原因になります。また睡眠不足は、昼間の眠気⇒集中力低下⇒日中の活動意欲の低下を招きます。その結果運動不足となり、肥満が助長されていくのです。

 ★自律神経系の働きと乱れ★ 

 自律神経には「交感神経」と「副交感神経」という二つの神経があり、相反する働きをしています。交感神経は活動モード、副交感神経は休息モードといえます。日中は主に交感神経が優位となり活動的に、夜間は体を休ませるために副交感神経が優位となって毎日の体のリズムを作っています。睡眠不足になると、その切替がうまくいかなくなります。日中でも交感神経が十分働かなくなり、日中の代謝が悪くなり、消費エネルギーが低下します。その結果、太りやすくなります。

 ★内分泌系の働きと乱れ★ 

 ホルモン系では食欲の変化が大きく影響します。食欲を調整している代表的なホルモンにレプチンとグレリンがあり、この二つのホルモンは脳の視床下部に働いて食欲をコントロールしています。レプチンは食欲を抑制するホルモン、グレリンは食欲を亢進するホルモンといえます。睡眠不足になるとグレリンの分泌が増加、レプチン分泌が低下して、空腹感が強くなり食べ過ぎてしまいます。


(2)睡眠と糖尿病との関係

 睡眠不足が血糖を下げるホルモンであるインシュリンの働きを悪くするために糖尿病を起こしやすくするともいわれています。最近の調査では糖尿病の人の40%に不眠があり、不眠症状がある人は将来糖尿病や高血圧になる確率が、症状のない人より2~3倍高いという報告があります。


本来私たちの体に備わっている調節機能をきちんと働かせるためにも、食事や運動に心がけると同時に、日ごろの睡眠も見直して、生活習慣病を予防していきましょう!

(出典:https://www.sonykenpo.or.jp/)


■睡眠不足による肥満とその対策

 統計上、6~7時間の睡眠が、内臓脂肪が最もたまりにくいとされ、寝不足はもちろん、寝過ぎもよくありません。長い時間睡眠をとることは、日中の活動量の減少を招き、ひいては基礎代謝の低下をもたらします。

睡眠は、時間を確保するだけでなく、ぐっすり眠ることにも気を配ることが大切です。同じ睡眠時間でも質が悪いと、レプチンや成長ホルモンが十分に分泌されないからです。


就寝前に注意したいこと

●食事

 寝る前に食事をすると、胃腸の動きが活発になり、眠りが浅くなりがちです。眠っている間は食べた物が脂肪になりやすいため、寝る前の食事は体重を管理するうえでマイナス要素が大きいのです。

●運動

 お腹のでっぱりを気にする人がよくやるのが、"就寝前の腹筋運動"。これも、交感神経が刺激されて体が覚醒してしまうので、睡眠にはよくありません。ただし、交感神経をあまり刺激しない軽い運動なら問題ありません。

●飲酒

 眠れないからといって、アルコールに頼る人もいます。寝酒をあおると確かに寝付きはよくなります。しかし、眠りが浅くなり、睡眠の質の向上にはつながらないため、好ましくありません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 睡眠・覚醒のサイクルに関係する神経伝達物質「メラトニン」が減少するのは、メラトニンの原料である「セロトニン」が慢性的に不足しているからです。

 康復医学学会の主要研究素材「ラフマ」(羅布麻)は、中国北部・西部原産の多年生宿根本草植物(紅麻)で、その葉のエキスには脳内セロトニンの分泌を促進する働き、およびセロトニン神経通過性を安定させる薬理作用が確認されています。ラフマ葉エキスは、精神疲労を軽減させ、睡眠・覚醒のサイクルを整えて「質の良い睡眠」が期待できます。


いつもありがとうございます。

愛・感謝 村雨カレン